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環境農林常任委員会・専門家からの意見聴取(質疑)

3.質疑

Q.大変丁寧なご講話をいただきましてありがとうございます。以前先生の講演を松井田の文化会館でお聞きしたこともありまして、色々と色んな勉強をさせていただいてます。その中で何点かお聞きしたいと思うんですけれども、先程、野生動物の管理者が誰かということで、やはり県が責任を持ってやるべきであるというお話があったわけですけれども、群馬県がですね、数年前から熊とか鹿、猿、まあ熊は人間に危害がある場合には市町村ということで、市町村へ権限委譲ですね、捕獲許可権限を委譲した経緯もあるんですけども、それについては先生はどのようにお考えでしょうか。

A.権限を委譲したとしてもですね、やはり管理者としてのその責任というのは、責任まで委譲したということではないですね。つまりあくまでも、今まで、従来はですね、従来というか元々今から10年くらい前まではですね、国が持っている権限を機関委任で県に委譲してたんです。それを条例に基づいて市町村にも委譲できるという制度になってきたんですけれども、だけどここでもう、県の自治事務だ、ということを位置付けた以上ですね、それは単なる許認可の事務について委譲しただけであって、管理の責任を委譲したわけでは決してない、というふうに思います。ですからやはりその、県内の例えば熊なら熊をどういうふうに管理するのか、その管理のために例えば市町村に出来なければ県が何らかの支援をするとか、何れにしてもその一定以上の関与とか管理の責任というのは明確に県が持つべきだというふうに思います。

Q.はい、ありがとうございます。もう一点ですけれども、最後のところでですね、アライグマについて面的常時捕獲というようなことが言われたわけでありますけれども、これはアライグマに限ったことではなくてやはり鹿でも熊でも猪でも、同様の考え方がやっぱり有効であるというお考えでしょうか。

A.外来種の場合は、目標は根絶です。最終的にはゴールはゼロにするということですね。外来種の場合はですね。例えば鹿の場合は、先程、丹沢の例でもご紹介しましたけども、丹沢の個体群としては、最終的に1,500頭を下回らないレベルを目指して密度を低下させたい。可能な限り植生が回復できるという、上限の密度というのが、たぶんあるはずなんです。まだ正確には分かりませんけれど、おそらく平方キロ5頭程度くらいまで下げられれば、植生は回復するだろうと。面的にですね。期待しているんですけれど、ただ何れにしても、その目標の設定の仕方は外来種とは違いますが、プロセスとしてはですね、基本的には考え方は同じだと思います。つまり、その地域の集団として、その一定の目標を達成するには、やはり面的に被害があろうがなかろうがですね、それを減らしていくというのは、これは必要だと思います。ただ、そうは言ったって、これはかなり大変ですよね。特に群馬のように非常に森林が大きいようなところでは。ですからやはり優先度というのは当然出てくると思います。ですから被害レベルが高いところ、或いは植生の劣化レベルが高いところ、そういったところから優先的にまず進めていって、最終的に全体を均していくような、そういう進め方しか、現実的には出来ないだろうと思います。

Q.この場合ですと、檻を設置するということなんだろうと思いますけれども、このアライグマの場合、これだけ面的に非常に広い範囲の場合に、檻というのはどの程度設置をされたんですか。

A.今のところの試算では、1キロ四方の中で、大体年間300から600日くらいですね、設置をすればアライグマは減らせるということが分かりました。あくまでもこれ、神奈川県の場合ということですね。群馬ではちょっと分かりませんけれど。ということは、365日ですから、大体1キロ四方に1ないし2台を常時何処かで稼働させていれば、アライグマは減らすことが可能だと、そういうことになります。

Q.この費用っていうのは、神奈川県が全てやったんですか。

A.捕獲の経費ですね。基本的には各市町村の判断で、例えばそれこそ自主的、自前でやっているケースもありますし、JAさんに委託をしているケースもありますし、或いは、あのいわゆる捕獲業者さんですね、例えば鼠とか、駆除業者さんみたいなところは結構ありますので、そういった業者委託にしているとこもあります。何れにしても掛かった経費の2分の1は県が負担すると、そういう枠組みでしています。

Q.すいません、今日はありがとうございました、一点だけ、ちょっとお伺いしたいのは、先程、神奈川の丹沢のお話がありましたけど、あれは非常に独立した山なんだと、いうお話だったですよね。今、主体的な管理は県が行うべきだという先生のご指摘なんですが、群馬県の場合は四方がもう全て囲まれている、神奈川みたいに半分が海というようなとこでもないですし、そういう意味では県単独のこういう管理では、やっぱ自ずと限界があるのかなと。要するにもうちょっと複数の県との連携も必要なのかなというふうに思ってるんですが、その辺のところはどのような管理が、手法が正しいのか、ちょっとご指摘いただければと思います。

A.冒頭のところでもちょっとご紹介したと思うんですけれども、群馬県て、とにかく今先生が仰ったようにですね、非常にそういう意味ではやりづらい自治体だと思うんですね。ただ、よく見ると、例えばここはもうかなり地理的に分断されてますし、それからここもある程度分断されてますので、ですから動物の種類によっては、かなり固有の遺伝子集団として、それぞれ別の個体群というふうに認識されています。ですから、その一概にどう管理すべきかということよりも、それぞれの対象となる動物によって、どう見たらいいか、ということだと思うんですけれども、何れにしても隣接県がある以上ですね、それはその個別に対応する必要があります。それは県同士での連携が必要なのか、それとも県が音頭を取って、或いはそこに関わる市町村が中心になって広域協議会のようなものをやっていくのかですね、それは個別具体の問題だと思いますが、ただとにかく原則としては、隣接した自治体との連携っていうのは欠かせないと思います。ですからそれはあまり単純化することはむしろ危険だと思います。例えばここに、三国の国境がありますよね。例えば熊なんかはもしかしたら簡単に越えちゃってるのかもしれないですけれど、例えばおおよそ鹿とか猪がここを越えるとは思いませんので、猿もここは越えないと思いますけど、そういうようなその具体的な動物によってですね、連携する相手は変わると思います。

Q.今日は本当に貴重なお話をありがとうございました。あの、私ども議員がですね、拝聴しても大変参考になったんですけれども、やっぱり県庁の職員の皆さん、ぜひ聞いてですね、実践をぜひしていただくようですね、まずお願いをしておきたいと思います。
 それぞれにおいて、野生外来動物については根絶をするということなんですけれども、群馬においてもですね、もう猪・鹿対策をですね、遅きに失している感がいたしまして、もう本当に拡大をし続けて、被害もですね、増えているわけなんですけれども、あの科学的根拠に基づいたやはり捕獲というのが重要だということはよく分かりましたけれども、そういった猪、鹿、群馬県の場合においてもですね、この早期発見の集中捕獲がですね、やはり私は有効だというふうに考えておるんですけれども、もう群馬県でこれをやったとしてですね、やっぱりそれは効果が上がるかどうか、その辺はどう考えていけばいいんでしょうか。

A.何れにしてもですね、こんなに大きな県なんですね。全部動物がいるので、だから、やはりメリハリが必要だと思います。ですからそのためには、何処は動物がいて良い場所、何処はいちゃいけない場所、これ明確に決めないと、むやみに捕ればいいって話では決してないんですよね。ですからやはりそこを、ビジョンとして打ち出す必要があります。先程から申し上げているマスタープランというのは、やはりその地域ごとにですね、要するに人間はどうしたいのか、だけど無限に人間の都合は、聞いて勝手なことをやってたら、生態系も壊れちゃうかもしれませんので、ですから自然の都合と人間の都合をどう調和させるのか、それは地域地域でやっぱり考えていかなきゃいけないと思うんですね。それがあったら、その原則が明確になれば、もうあとは言い方が悪いかもしれませんけど容赦なく捕り続けるしかないので、そこはまず方針を明確にすることだと思います。

Q.こっちは群馬県が悪いんですけれど、いるのは分かって、捕り続けなくちゃならないんですけど、なかなかですね、そういったやっぱり対応がですね、やっぱり縦割りの弊害があったりして、やっぱり自然環境課は保護、農政部の方がですね、捕獲ということで、あとですね、今年からセンターがお陰様で設置されて、少しは進んできているんかなと思うんですけれども、ぜひ先生にもですね、やっぱり早く大学の方をですね、こっちに、地方に、群馬の方に、早く誘致というか、群馬県も一生懸命やりますので、やっぱり対策にですね、本格的に取り組まないと、もうちょっと遅きに失しているなという感じもいたしてるんですけれども、もうどうにもならないところまで群馬県もきているという、私は危機感を持っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 群馬県もこれから、先生がきて、色んなことをやればこの被害は減るという、まあ自信と言うんですかね、見込みはありますでしょうか。

A.冒頭でお話ししたようにですね、必要なのはお医者さんなわけですね。だからスーパードクターみたいなのが1人いて、みんなが治るわけでは決してないので、やっぱり地域にそういう技術を持った方が配置されないと難しいですよね。ですからそういう意味では、お医者さんをつくることに関してはですよ、それは我々は商売ですから頑張りますけど、お医者さんをちゃんと配置していただくのが行政のお仕事だと思います。

Q.そういう意味で人材育成もしっかりしていかなくちゃならないし、やっぱり先立つもの、予算もしっかりなければ出来ないわけですよね。そういう意味で今日は県の執行部の方もいますので、本当に参考になりましたので、しっかり、ぜひ、後ろを向いていますけど、取り組んでいただきたいと思いますけれど、決議をお願いします。

A.さっき仰られた、その保護か捕獲かっていう二項対立の発想はもう終わりだと思うんですね。やはり今回テーマに挙げさせていただいたように、やっぱりこれからは管理の時代。希少動物なんかはね、或いは希少の植物なんかは、あれしちゃいけない、これしちゃいけない、それは有りだと思うんですけど、いわゆる許認可の世界でもいいと思うんですけど、だけどもやはりこれから、こういう問題になっているような動物は、やはりこれは管理、まさに経営者が必要なんです。ですからそのためのマネジメントが出来るマネージャーをどう確保し配置するか、ということなので、そこはぜひ御検討いただきたいところです。
 大体、日本以外の先進国で、普通そういった大体この都道府県単位、州政府レベルとかですね、大体数十人規模の管理者がいるっていうのが普通です。或いはヨーロッパなんかでもいわゆるガバメントハンターって言われる、政府に雇用されて捕獲を専門に行う技術者っていうのは、大体各州に数十人くらいいます。ですから、やはりそういう方々が、地域の狩猟者を指導したりとかですね、或いは自らが銃を持つとか、そういう時代がもう常識的だと思いますので、日本は非常識な国ですので、やはりそこにお金がやっぱり必要なんだろうと。

Q.それと先生、そこに鹿の管理と、森林の管理、これはもう一体にすべきだという話がありました。また、神奈川県では環境税を導入して38億円ですか、年間その対策に充てているということなんですけども、この環境税導入はやはり科学的根拠等を県民に示して、すんなりいったんですかね。

A.当然これ、県民税上乗せなんで増税に当たるわけですよね。だから賛成する議員さんなんか普通はいないんです。だけど、当時の知事の強い意向もあったんですが、やはり危機感としてね、もう将来自分たちの飲み水が無くなるかもしれないっていう、これの打ち出しは相当僕らもやりました。つまり、この禿げ山からね、我々水が飲めるようになるんですか そういうことは繰り返しお話ししたし、当然それに対してバックデータを持ってますから、そこは最終的には納得していただきました。ただ、最初は実は年間100億くらいのものを想定していたんですけど、さすがにそれは認めていただけなくて、なんとか小さく生んで大きく育てようという、そういうことで今のとこスタートしています。

Q.今日は本当に先生のお話を伺って、やっぱりその被害が出たから捕ればいいと、私も考えていたもんですから、なるほどと思いました。先生のお話によれば、やっぱり総合的な自然、土壌の管理からその森林の管理から、そういったものも含めて、その計画を立ててやっていくということで、その計画の中にまたそれぞれ今仰ったように動物もそれぞれ性質等が違うわけですから、まず全体的な計画を立てた中に、その中にそれぞれの個別の具体的な計画が入ってくるというようなことになるのかなというふうに思ったんですけども、それでよろしいですか。

A.はい、仰るとおりだと思います。

Q.そうするとですね、やっぱり時間的にはかなり掛かってきちゃうんじゃないかなというふうに思うんですよね。当然それだけの計画をつくるということになれば、その人材も沢山必要ですし、今先生も仰ったように、そもそもその人材の育成から始めなければいけないということになると、その最終的にそれをその良い形で解決するには、かなりな時間が掛かるだろうというふうに思うんですね。でもその最終的にはそれを勿論目指すわけなんですけれども、やっぱりその病気で今苦しんでいる人がいた時に、お医者さんをまず育成してからって言ってたら、やっぱりその人はどうなっちゃうのかっていうこともありますので、そうするとその対処療法的なところもせざるを得ない部分ていうのも当然あると思うんですよね。その辺のその兼ね合いっていうのを、どうしたらいいのかっていうことと、あともう一つ、奥沢地区ですか、群馬県の奥沢地区の方で住民の人たちを巻き込んだ形でやったということなんですけど、そこのその成果っていう部分ですね。それから色んなその計画を立てたりそういう対処をしていくのに、そのコスト的に、お金が必要だということだったんですけども、大体どのくらい、そのざっとでいいんですけど、コストっていうのは掛かるものなのかっていうことについてお伺いしたいんですが。

A.最後の計画というのは、どのレベルのことを仰っているんでしょうか。奥沢地区の話でしょうか。

Q.はい、分かる範囲で。例えば群馬県全体で、総合的な計画を立ててやっていくにはこのくらいとか、それが、もしちょっと大きすぎて難しければ、奥沢の場合はこうとかっていう形で結構なんですが。

A.たぶん一つ目のご質問とたぶん同じことになると思うんですけど、計画って、作るだけだったらお金掛かんないですよね。データがあった方が良いんですけど。じゃあデータ無かったら、計画つくれないかって言うと、それは計画って言わないんですよね。だから何もないところでもスタートはせざるを得ないんで、ですから今あるものを基に、とにかく計画は必要です。それは当然ゴールがあって、そのゴールに向かって、じゃあどういう方針で、具体的に今できることは何なのか。たぶん問題なのは、それは決して望ましい方法ではないんですよね。だけどやるしかないんです。だったらその次の段階で、例えばそれが3年後か5年後か分かりませんが、その段階で本当にそれで良かったかっていうことを、キチッと評価できるようなデータを採る仕組みをつくることですね。それはそんなにお金が掛かる話ではないし。実際に今関係する、例えば森林の管理とか農地の管理とかって全部合わせたら、相当な額がたぶん群馬県全体で動いていると思います。それぞれに野生動物に掛かる、それぞれの個別事業の例えば1%でも良いから、そのデータ採りにちょっと使うというような発想があればですね、それ程大きな予算の枠取りをしなくても、必要なデータっていうのは十分採れると思います。ですから、お金が必要なんじゃなくて、お金の使い方を変えればいいだけなので、ですからそういう意味では、今からもう、それこそ今年中に、計画をつくろうと思ったら、それは可能だと思います。ただ何れにしてもそれを第三者がキチッと科学的に評価できるという仕組み、これはなかなかつくれないですよね。県民の方も含めて第三者が、要するに納税者の立場でもそれが納得出来るというものをちゃんと県も示せるような仕組みでやっていく必要がありますので、むしろその仕組み作りが重要だと思います。

Q.すみません、ありがとうございます。それで今の話の中にも、色んな、例えばハイキングをする人に山の状況を報告してもらうとか、地域の住民に参加してもらうとか、そういうようなことを事例として説明していただいたんですけども、そういうことはすごく大事だと思うんですが、その参加をしていただくのを促進するというか、やっぱりなかなか協力してくれって言って、みんなが直ぐ協力してくれるっていうものでもないと思うので、その辺がどういうふうにその参加を、みんなでやっていくにはどういうところがポイントになるのかっていうことと、あともう一つは、今色んな被害が出ているわけですよね。その被害を軽減、こういった色んな管理計画を立てて軽減することによって、要するに減らしていくっていうことが出来るんだと思うんですけれども、その効果の方に対する、その具体的なこのくらい金銭的にね、効果がありましたっていうようなことが研究としてあるのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。

A.前半の部分ですけども、基本的には繰り返し繰り返し働きかける以外ないんですよね。大事なのは話し合いの場を作るっていうことだと思います。要するに自分、最初は無茶苦茶なことを言う人が多いと思いますけれど、何れにしてもでも意見が言える場があるっていうことがまずスタートで、その中からしか、たぶん次のアクションは生まれてこないと思うんですね。ですから丹沢でやった経験で言いますと、もうとにかく県主催であったり民間主催であったり、頻繁にそういう情報を提供し、或いは話し合いをする場を持つというね、この繰り返しの中で段々人を、参加者を増やしていく。そういう経緯がありますので、これは始めない限りは終わりがないので、一刻も早く始めるということだと思いますね。
 それから、実際にその費用対効果についての研究っていうのは、残念ながらそうはないんですね。つまり効果って何かって言って、勿論今まで全滅してたところが今年は収穫がこんだけあったってね、それは一つの大きな効果なんですけど、だけどもっと大きな視野で見たら、例えばある集落を全部フェンスで囲ったら、被害なんて殆どなくなっちゃうわけですね。だけど、そこに出てた猿とか鹿が、隣の集落に行くだけの話で、地域全体で考えたら被害額ってそんなに変わらない。ですから、やはりどういう視点でものを評価するか、なかなかまだまだ難しくて、そういう定量的な研究というのは殆どないと思いますね。ただ何れにしても、何処か全面的にね、県全域で同時に一気に対策を進めるなんてことは出来っこないので、ですからやはりモデル的に一個一個潰していくしかないんですよね。それはある程度、ビジョンを地域に示す必要があると思います。その上で、例えばこの奥沢なんかの場合、15ページに地図があると思うんですけれど、これは住民の方が参加して作った対策地図なんですね。右側に総延長3.8キロのフェンスがあるんですけど、実際にこれ県が用意した予算では、せいぜい700メーターとかしか、そんなもんしか、業者委託した場合ですよ、出来ないような予算だったんですけど、やっぱり地元のニーズとしては、やっぱりこのくらい張りたいと。そのギャップをどう埋めるかですよね。人によって、何にも話し合いの場がなければ、何で県はもっと予算取らないんだとかって話になったかもしれないんですけど、やはり繰り返し話し合いを持った結果ですね、じゃあ今この予算を最も有効に使うにはどうするかって言ったら、みんな、その県の予算を業者さんに委託するんじゃなくて、自分たちが張ればいいんじゃないか。自分たちが張れば3.8キロ張れる。そういうふうな意識の転換に繋がったっていうのは、やはりこの手法を取り入れたからだと思うんですね。そういう意味では費用対効果としては、むしろ直近では、そういうところに出るんじゃないかなという気がします。それから実際これ今年、設置をした後ですね、フォローアップの調査を住民の方と今計画してますけど、去年はこの赤い点々の所、集落のほぼ全域と言っていい程のですね、猪が出てたんですね。だけども、これたぶん、今年調べたら、全部とは言いませんけど、でもまあ半分くらいは少なくとも無くなっているはずです。つまり、このことによって、はっきり言って100%の成果っていうのは出ないと思います。住民の方は期待してると思いますけど。だけど出ない。出ないけども、やった結果は必ず目で見えるんです。問題は、あと何処か、今年出ている場所に対して、じゃあ次どういう対策を打つかっていうことで、最終的にゼロになれば良いんですから。そういう進め方がたぶん一番、限られた予算を有効に使う方法じゃないかなと思います。

Q.今日はどうもありがとうございました。先生の仰っているその保護と駆除というもの、二項対立ではなくて、それを統合した形のマネジメントが必要だということについては、非常に、しかもそれを科学的にやっていく、そして地域的にモデルをつくってビジョンを示していく、非常によく分かりました。法律の方は、一方では鳥獣保護法という古い法律なんですけれど、神奈川のご経験からも、そういう古い法律の枠組みの中でも、自治体の努力でマスタープランを作って、そして自治行政として展開していけるのかどうか、その辺について教えていただければと思います。

A.逆に古い法律であるためにですね、非常にあの何というか、ぐずぐずっていうんですかね、アバウトな法律ですね、ですから、逆に地域が主体的にやろうと思ったら、すごく使いやすい法律だと思います。ですから、そういう意味ではむしろ、地域主導でやり得る分野じゃないかなと思ってますし、実際に、先程神奈川の例を紹介しましたけれど、そうやって主体的にやっている自治体は段々増えてくると思ってます。

Q.ありがとうございました。そういう意味では法律の制約ではなくて、地域の努力で克服していける課題だと思いますか。

A.特にね、やっぱり多くのところから意見として出るのはね、もっともっと捕獲の規制を緩和すべきだという意見なんですけど、捕獲の規制の緩和は自治事務ですから、知事が決断したら出来るんです。ただ、その決断、その時に、法律の制約として唯一あるのは、キチッとした計画を作ってください、科学的に絶滅もさせないけど、ちゃんと被害もなくなるよっていうね、そういうものをつくってください。そうすれば、もうあとは県の裁量ですよ。これが鳥獣保護法の精神ですから。それをやらないで、規制緩和とか特区とかそんな話ばかりが先行してるのは、ちょっと僕は異常だと思います。

Q.そういう意味では計画づくりが何より肝要だということですね。ありがとうございました。最後に一つ、根本のこういう問題が起きている原因とすれば、やはり農山村が疲弊をして、耕作放棄地が増えて、そして集落機能が崩壊しつつあると、そこが最大の原因なのでしょうか。

A.これは相乗効果だと思うんですよね。ですから社会の構造の変化がまだあるんだと思いますけど、それを言ってもなかなか鳥獣対策っていうのは直結していかないので、ですから、むしろ例えば地域振興とか、或いはもちろん集落づくりとかですね、そういう中の一つのメニューとして鳥獣対策っていうのは位置付けられるべきものであって、なぜ被害が起こっているのか、その原因は何なのかっていうことを、あまりこれを議論しても発展的なものに繋がっていかないのかなと思いますね。どっちにしたって、だけど結果的にはそういったところが今のところ防波堤みたいにして抑えていただいてるわけですよね。ここが決壊したら、一気に都市に入ってきますから。現実、神奈川県なんて、住宅地域の中に猿や鹿が入ってきてますので、それはもう時間の問題です。ですからそういう意味では、もうこれから先、人間と動物はどうやって向き合うかっていう、根源的な話だと思うんですよね。少なくとも江戸時代は平野部に全部鹿がいましたから。その150年前と同じようなね、関係を我々が持てるのかっていう。

Q.なかなか今の都市生活からすると難しいでしょうし、最近また猿の出没が話題になってますから、そういう意味では集落を機能維持するためにも、ひとつずつその鳥獣対策というメニューが必要だ、というふうに考えておられるということですか。

A.そういうことです。

Q.参考までに教えていただければと思います。先程のユニット、大体歩いて1,000ヘクタール位ですか、コミュニティベースのマネジメントをやるということですが、個体数の測定っていうのは、どのくらいそのユニット毎に費用が掛かったんですかね。

A.個体数を調査する経費ということですかね。神奈川県の場合は、まず個別に幾らっていうよりも、結構市民参加もやってますので、ただ、猿と鹿と合わせて、大体年間のモニタリングの予算が1千万から2千万の間です。

Q.群馬県は広いですから、それを全部やろうとすると難しいですけど、ある程度範囲を集約して。

A.逆にですね、小さい場所なので、もともと個体数がそんなにいないので、丁寧に扱わなきゃいけないっていう発想で予算を掛けてます。逆に言えば、うじゃうじゃいるんだったら、もう放っておいたっていいわけですよね、桁が合ってればいいくらいの話ですから。ですからそこはアバウトでいいと思います。要は、その地域ごとにメリハリつけてね、よく調べる場所、それから、どうせ人はここは行かないんだから適当にやればいいだろうっていう場所。そういうのも決めていけば、そんなに大きなコストの変化はないんじゃないですかね。

Q.あと鳥獣害とは関係ない話になるかもしれないんですが、先日家の庭に蝮が出まして、関係ない話かな。或いは蟻に食われて足が長靴くらいに腫れ上がっちゃっているとか、なんとか女郎蜘蛛とか、昆虫や、は虫類の関係でご存知の範囲で結構なんですけど、どんな傾向にあるか教えていただきたいんですけれど。

A.僕は蛇は大嫌いなので、分からないですけど、むしろ今問題というかね、結構注目されているのは蛭ですよね、蛭。結構、各地で今、蛭対策の研究とか対策っていうのは進んでて、それはたぶん放棄地が増えたとか、藪化が進んでいるとか、その影響もあると思うんですけど、結局吸血被害が多発しておりまして、例えば神奈川県の場合もですね、もう民家の中に蛭が普通に侵入するようになって、普通に寝ている人が蛭で血まみれになるっていう。だから放っておくとそこまでいっちゃうっていうんで、ちょっと驚いてるんですけれど。たぶんこれ、全国的な傾向になりかねないなっていうふうに、今思ってます。


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