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文教警察常任委員会・専門家からの意見聴取 講演録

開催日時

 平成23年11月24日(木) 午後1時から午後3時

開催場所

 群馬県議会庁舎2階 203会議室

内容

 暴力団排除の取り組みについて

専門家

 弁護士 小暮 清人 氏

講演録

 ご紹介いただきました小暮でございます。伊勢崎で弁護士をやっております。私が弁護士になりたての頃は、イソ弁といいまして、お給料を貰って先輩の弁護士のところに勤めたわけですけれど、最初の出会いが、前橋市南町の山岡正明弁護士のところでございました。
 山岡弁護士は群馬の民暴の草分的存在でございまして、日本弁護士連合会の民暴委員長までやった先生でございます。反社会的勢力に対しては怯まず、堂々と正面から受け止め、そういった事件を断らずに受けていた事務所でした。残念なことに山岡先生は、55才で食道癌を罹って、57才でお亡くなりになってしまいました。それからもう9年くらい経ちますか、山岡先生のお導きもあってか、門下生がみんな民事介入暴力については熱心に取り組んでおる、そういった系統の事務所、そういった流れを汲んでいる者の一人でございます。
 本日、テーマをいただいたのが、弁護士から見た暴力団排除対策ということでございます。議員の先生方のおかげで、今年4月1日から群馬県も暴力団排除条例が無事施行されまして、全国に遅れることなく、我が県でも暴力団排除の意気は非常に高い、ということでございます。これからの運用いかんで、如何に群馬県が暴力団の居ない住みよい社会を実現できるかということが決まってくるわけですので、条例制定以後も引き続き先生方のお力添えを頂きたいと思います。
 最初に、暴力団対策、暴力団排除の話を何で弁護士がするんだ、ということをお話し致します。私も弁護士になって、何で暴力団の問題を扱うのか、初めは、戸惑いもありました。しかし、(資料を示して)資料をご覧いただきたいんですけれど、何で弁護士が暴力団問題に関わるようになったのかというと、ここに昭和55年の日弁連の大会決議があるとおり、当時、暴力団が倒産整理とか、債権取り立て、交通事故の示談などで、民事紛争に非常に深く関わってきて資金を得るようになってきたという社会的な由々しき問題が出てきたんです。当時は暴力団に対抗するのは警察の仕事だろうということで、弁護士はどちらかというと債権取り立てなんかに手を貸している者も恥ずかしながら居たようでございます。それから倒産整理なんかも、会社が傾いてくると、暴力団等が介入して、「俺が面倒見てやろう。」ということで、倒産しかかった会社に、総務部長代理とかいう名刺を作らせて組織の中に入り込んで、債権者との交渉をやっているように見せかけて、実は、本当にやっていることは残った在庫商品を全部売っ払って代金を独り占めにして、借金は全部踏み倒して、会社の美味しいところを全部とって逃げちゃう、倒産整理屋ってやつですね。そういった輩が蔓延していたわけです。そういった社会的な背景があって、民事事件に暴力団が介入している以上、弁護士は、暴力団員等に泣かされている被害者の味方をしなくてはいかんのではないかということを強く意識しまして、ここに日弁連の民暴対策に対する決議を満場一致で可決したわけなんです。
 当時はまだ、警察も民事不介入の原則という言葉がいわれまして、刑事事件であれば犯罪を犯した奴は警察で徹底的に取り締まる。だけども例えば、占有屋ってのがいるんですけれど、倒産しかかった会社に、白紙委任状を何枚も取っちゃって(全く真っ白の紙に代表者の判子をもらっちゃうわけです。)、それを何々の委任状とかにして、例えば会社の商品を全部を譲り渡しますっていう譲渡担保の契約をしちゃったりする。そういった白紙に名前をとって、印鑑をとって、それでもっていろんな契約書をつくって会社に乗り込んでいって、製品を堂々と持ち去ってしまったり。後で、弁護士が受任したときには、めぼしい物は何も残っていないと言うようなこともあります。弁護士が初めから委任を受けた場合は、「この会社については小暮弁護士が一切管理しますので何かあったら電話してください。」って紙を貼るわけですよ。それでも、もの凄く乱暴なところは巨大なクレーンを持ってきて会社の屋根を壊して2トン3トンあるプラスチック成型機やプレス機等を吊って、大型のトラックに積んで持って行っちゃう。白昼堂々そういった、窃盗罪にあたる行為がまかり通っていたような時期だったんですね。私がそういった現場にたまたま出くわしたことがあって、警察に連絡して来てもらったことがありましたが、機械等を持ち出そうとしている連中は、この工場の中の工作機械は全部うちが譲渡担保で貰ってますよ、という内容の証書を持っていたり、この建物・工場は全部、代理人の誰々(暴力団の組長の名前が書いてありましたが)、そういった者に全部管理を任せるとか、書類が次から次へと出てきて、警察官が駆けつけてきてくれても、警察官に対し、俺たちはちゃんと権限を持ってるんだと、犯罪じゃないんだと、俺の物を俺が持ち出してどこが悪いということを主張して、物の持ち出し等を阻止できなかった時代がありました。
 ただ、民事介入暴力に対しては弁護士だけが熱心なわけではなくて、警察官のなかにも、刑事2課暴力団担当の刑事さんなんかは、かなり民事介入暴力対策について熱心に勉強し取り組んでいる方々がおいでになりました。とにかく現場引き分けだけはやるんだという、気概の高い警察官が現場に来ると、暴力団員から何を言われても引き下がらなかったですね。占有屋から、「なんで警察が出しゃばるんだ、出番じゃないから帰れ。」って言われても、「いや、弁護士が怪我しちゃうと刑事事件になるしね、弁護士が帰るまで俺も帰らないんだよ」てね。とにかくお前ら帰れ、引き下がれ、ということで、マル暴係の警察官が出てきたときには現場分けはきちんとしていただきましたね。少なくとも現場から物を持ち去らせなかった、という経験があります。マル暴関係の警察官は、ここはなんとか現場分けは最低限しなくちゃいけない場面だっていう感覚を持っていた警察官が多かったように思います。そんなことで、暴力団員等が民事に絡んで、非常に多くの国民を泣かせているという事態は放っておけないということでございまして、弁護士会が、暴力団の民事介入暴力については毅然とした態度でキチッと対応しようというふうなことを決議したのが(資料を示して)この資料でございます。
 当初は、弁護士会の中でもいろいろと議論がありまして、警察と弁護士というのは水と油の関係だと言われた時代もありました。今から考えてみると隔世の感がありますが、民暴をやっている弁護士というのは利権だ、警察から仕事をもらって、権力に対して弱腰の弁護士だと批判された時期もありました。警察に日和って、なかなか権力に対して対峙しない。弁護士としてあるまじき、という批判を受けたり、弁護士会の民事介入暴力の対策委員会の中に、民暴委員会を暴走させないために警察との連携に批判的な人が入ってきたり、或いは、民暴に非常に熱心な弁護士を民暴委員のメンバーから外したりとか、いろんな動きがあった様に思います。
 今日では、警察対暴力団ということではく、社会対暴力団ということで、安藤長官以来、全国民が、社会全体として暴力団に対峙しなければ、警察がいくら暴力団を捕まえてもイタチごっこになってしまうということが、認識されつつあります。暴力団に金を払わないでくれ、恐れないでくれ、少なくとも暴力団を利用することだけは止めてくれという、3ない運動というのを長いこと展開してきた効果もあって、ついに社会全体として暴力団に対峙しない限りは暴力団壊滅は不可能だという全国民的な共通認識が形成されつつあるというところまで来ているように思います。先生方にもご理解いただいて群馬県でも暴力団排除条例を制定していただいたわけです。今日に至るまでの少し歴史的な話にもなりますけれど、そういった暴力団に対する対策が、ついには群馬県暴力団排除条例の制定にいたり、今後は、先生方にもお力添えをいただいて、各市町村にも暴力団排除条例を是非制定していただこうという段階に至っております。
 暴力団の事件で群馬で忘れることが出来ないのが、前橋の三俣事件です。平成15年、もうかれこれ8年9年経過しますが、暴力団史上希に見る大事件だったので記憶に新しいと思います。もし、そんなのあったかなという先生がおいでになるとすれば、(資料を示して)新聞の記事を付けておきました。まさか群馬でこんな事件が起こるとは、誰もが思ってもみなかったと思うんですね。平成15年の1月25日に、前橋市三俣町のスナックの写真が出てますけれど、小さなスナックに、指定暴力団員である住吉会系の暴力団員2人がけん銃をそれぞれ2丁携えて押し込み、前橋の稲川会系の元組長を狙って、拳銃を乱射した事件です。ターゲットである元組長が、このスナックに飲みに来ているという情報をもらったヒットマンが、スナックに乗り込んで、元組長本人を確かめずに、動いた人を手当たり次第けん銃を発射して撃ち殺した。写真が載っていますけれど、お亡くなりになった3人、中には女性もいるわけですよね。痛ましいといいますか、暴力団犯罪史上まれに見る悲惨な事件を起こしたわけです。この事件の内容をつぶさにお話しする時間はありませんけれど、暴力団の本質を理解していただくためには、もの凄く教材になる事件なんです。彼らは、自分たちは任侠団体であって、けっして暴力団とは違うんだという主張をするわけなんですけれど、暴力団の本質というのは、盃事で親と子、犠牲的な親子関係を築いて、暴力的な背景をもとに一般の人々から金を奪い取る、基本的にはそういった団体なわけです。なにが暴力団にとって一番重要かというと、暴力団の威力であり威信です。要するに、暴力団は怖い、何々組は怖い、というイメージですね。それが何よりも一番重要なわけなんです。前橋で何で、稲川会系の元総長ないしは元組長が狙われたかといいますと、その2年前、平成13年8月18日に、東京足立区白鳥にある四ツ木斎場で、住吉会の会葬、会が執り行うお通夜が行われたんです。その時のお通夜というのは、指定暴力団住吉会の大幹部の関係者が亡くなった通夜の式を住吉会が執り行っていたわけです。そこに前橋の稲川会系の組員が、拳銃を携えて住吉の組員を装って通夜の式場に入り込み、住吉会の幹部2人を殺してしまったという事件が起きていたので、その報復ではないかと言われています。通夜とか葬儀というのは、暴力団関係者の間では義理場と言います(義理は義理人情の義理、場は場所の場と書きます)。義理場には、けん銃や刀を持ち込んではいかんという、暴力団の世界の掟があるんです。その掟をつくったのが稲川会の最高幹部でした。関東の暴力団には、関西の山口組に対抗する組織として関東二十日会(山口組が箱根の山を越えて関東に進出してこないように、関東の暴力団が結集した団体で、毎月20日に定例会を開くということで、関東二十日会と命名)というのがありますが、関東二十日会の掟の一つとして義理場にけん銃や刃物を持ち込んではならないということが定められています。正確な情報かどうか判りませんけれど、四ツ木斎場事件の現場に、稲川会の元組長が見届け人として行っていた、という情報もあったんですね。この四ツ木斎場事件があって、実行犯2人は直ぐに住吉会組員に押さえられたけれど、結局は警視庁から犯人を出せということで、警察の指示に従って犯人を引き渡したんです。その場で殺しはしなかったんですね。それ以来、住吉会は前橋の稲川会系の元総長を何度か狙って、何回か襲撃をかけているんですね。火炎瓶を投げ込んだり、襲撃事件が何回かあったようです。しかし、元総長は、外出をしないし籠もったきりで、なかなか元総長の命がとれないということで、住吉会はターゲットを元総長から、四ツ木斎場事件の見届け人として居たという情報のある元組長にターゲットを変えました。元組長は、飲みに出歩いたり、ゴルフに行ったりして、出歩くことが多かった。そういう意味では非常に狙いやすいということが理由でした。最初に元組長が襲われたのは、ゴルフ場の帰り道。帰り道に盗難車を用意して、元組長の車が来たときに前後を塞いで、挟み撃ちにして、けん銃で殺してしまおうという計画を立て、帰り道を狙われたんですね。元組長も虫の知らせがあったのか、一緒にゴルフやった堅気の1人を助手席に乗せてゴルフ場から帰ってきました。助手席には、ゴルフをやった一般の人が乗っていたんですね。元組長は、けん銃で狙われたけれど、肩を打ち抜かれただけで何とか逃げきり、一命は取り留めたんですね。隣に乗ってた人は生きた心地がしなかったと思います。暴力団員とつきあうと得なことはない、そうやって盾に利用される場合もあるということです。
 暴力団の世界では、命を奪うことを「タマをとる」といいますが、住吉会としては、元総長のタマがとれなくて、元組長にターゲットを変えたけれども、元組長のタマを取ることもできなかったので、これでは住吉会の威力威信の回復にはならないわけです。それで更に、元組長を付け狙っていたわけです。驚くことに、元組長の動きを監視していたのは、事もあろうに前橋の稲川会系暴力団の者で、組内の人間が、密偵となって、元組長の動きを逐次監視報告していたんですね。どこで元組長が飲んでいるとか、何処で飲んだ後に何処へ動いてどうだとかですね。密偵達は、三俣のスナックによく元組長が出入りするという情報を得て、このスナックの近くのアパートを借りていたんです。元組長がこの店に入るというのを監視していて、住吉会も、群馬県内にアジトを用意し、元組長を殺るためにけん銃の扱いの上手い組員を住まわせておいて、けん銃を4丁持たせて、下見も済ませた上で、指令があったら直ぐに出ていくという体制をとっていたんですね。
 平成15年1月25日の夜、密偵から、元組長がスナックに入ったという情報があって、住吉会の下部団体の組長から命令を受けたヒットマン2人が現場に行くわけです。現場に行くと元組長のベンツが止まっていて、運転手が車の中にいたのです。他にも車があるし、店の中には元組長以外の客が何人かいることを確認したので、ヒットマンの2人は、「他にも客がいるようですから止めましょう」と殺害計画の中止を進言したところ、住吉会系の組長は、「中にいるのはみんなボディガードだ、やらなきゃお前らが殺られるぞ、なんとしても行け。」ということで、計画を中止してもらえなかったんですね。それで腹を決めた。何で腹を決めたかというと、もしここで自分たちが実行しないと、自分がやられるし家族にも危害が及ぶというんですね。俺が元組長を殺らなければ、自分が殺られる。殺らざるを得ないというふうに判断したようです。そこで元組長のベンツから降りてきたボディガードを射殺して、店の中に入り、組長の顔をよく知っていたかどうかは分かりませんけれど、それらしき、或いはちょっと動いた人に対しても、みんなけん銃を持ってて、撃たなきゃ自分がやられると思い、店にいた人を十数発けん銃を発射して殺した。肝心の元組長の被害はどうだったかというと、手の指を撃たれたくらいで大したことはなかった。一緒に飲んでいた店の中のお客さん、堅気の3人が殺されて、もう1人の客が何発か銃弾を受けて重傷を負ったという事件です。新聞には誰が何処に座っていて、亡くなったのはどの位置に居た人かというのが図で示されていますので、かなり生々しい事件であったことは推測に難くないと思います。
 問題は、住吉会は前橋のスナックでけん銃を乱射して、一般市民3人を含む4人を射殺して、これで首尾は上手くいったのかということですが、狙った元組長のタマはとれず、元組長は指を怪我しただけだから、結局は失敗に終わったんじゃないかというふうに思われる先生方もおいでになるかもしれません。しかし、住吉会というのはメンツを潰されたら、ここまでのことをやる組織なんだ。暴力団犯罪史上まれに見るような凶悪な事件でも、躊躇しないでやれる組織なんだ。俺達ナメたら怖いぞ、というイメージを全国にアピールすることができたのです。実際に元組長のタマは取れなかったとしても、住吉会といったら、みんな群馬の人間はこの事件を思い出しますよね。暴力団が、個別に金を要求するのに、いちいち脅し文句を言わなくても住吉会のバッチを付けているだけで楽にしのぎ(やくざの間では金を稼ぐこと、稼ぎをすることを「しのぎ」と言いますけれど)、ができる、しのぎがしやすくなる、こういうことなんです。ですから前橋事件というのは結局、大成功、住吉会は怖いという印象を全国に印象づけるには大成功だった。
 群馬では、三俣事件だけではなく、他の暴力団抗争事件もいくつか起きているのに、暴力団排除の声があがらない、暴力団排除運動がなかなか大きくならない様に思います。群馬県警が用意してくださった冊子を見ますと、群馬県内に暴力団が1290人いると、把握しております。前橋署管内では175、前橋東署管内で35、伊勢崎で65、高崎で325、依然かなりの勢力があるんですね。先生方にも興味を持っていただきたいのは、何処にどんな組があって、どんな勢力を持っているのかということを、この機会にご認識をいただければと思います。暴力団は、我々の目に見えない縄張りというのを決めて、何処から何処までが自分達が稼ぎをしていい利権があるんだというふうに、勝手に場所決めをしているんです。縄張りという言葉が何処からきているのかよく分かりませんけれど、だるま市なんかを見ていると、本当に縄を張って、何処から何処までがお前のとこの店で、何処から何処までがあんたの店の売り場だ、ということで、縄を張って場所決めをやっているのを見たことがあります。そういったところから縄張りというのがきているのかもしれません。
 暴力団というのは、この縄張りを死守り(生き死にの死)するというんですね。要するに守場所といいまして、命掛けてその縄張りを守るということです。縄張りに他の組が手を出してくると言うことは、他人の米びつに手を突っ込むということですからこれは断固として反撃をします。ただ、何処から何処までが何処の組の縄張りだなんていうのを、地元の区長さんや県議の先生に相談があったことはまずないと思うんですよね。彼らが勝手に決めているだけなんです。ここは俺の縄張りだ。俺の縄張りに黙って店出して、タダで済むと思ってんのか、俺が面倒見てやるからというので、支払わされているのがみかじめ料という名目のお金です。暴力団員が、毎月、バッジ(代紋)を付けて、あるいは顔が知れていればバッジ付けなくても、毎月集金に行きさえすれば黙って金が出るという仕組みになっているため、暴力団にとって、みかじめ料収入は安定した大切な資金源であるといえます。みかじめ料のことを、用心棒代、場所によってはエンソという言葉を使う場合もあります。暴力団は、そういった金で、組事務所を維持し、いざ事があった時にはけん銃等を用意する資金源にしているということであります。こういった団体を任侠団体であるとか、地元の堅気の人には悪いことはしないんだとか、喧嘩は暴力団同士だけでするものだとか、義理が破られたときにだけ抗争が起きるのだ等と思っていたら大間違いです。威力を背景として、暴力的に金銭等の利益を得ている団体こそが暴力団の実態であります。ここで改めて暴力団の実態をキチッと認識をしていただきたいと思います。
 それから(資料を示して)暴力団の資金獲得活動の変容と書いてありますが、昔、暴力団員の資金獲得活動と言えば、博打であるとか、覚醒剤や大麻等、違法薬物の販売、ノミ行為。それから、かつあげ(恐喝)、これが暴力団の資金源。伝統的にはこういったものだけだったんですけれど、それが昭和の後半から、先程お話しした民事介入暴力、企業対象暴力(企業を恐喝したりして、或いはスキャンダル等のネタを元にしてゆすったり、そして会社から金を取るということ)、行政対象暴力(行政に対して機関誌を売りつけたり、場合によっては行政のミスにつけ込んで何らかの金銭を脅し取る等、不当な要求をすること)など広範囲に広まってきています。最近の暴力団はどんな犯罪でもやる。要するに上納金を納めるためにはどんなことでもやる。泥棒をやってでも金を持ってこいと兄貴に言われれば、或いは親父に言われれば、金を取ってくる。暴力団の上層部としては事実上、下部組織の組員がどんなシノギをしても見て見ぬ振りをしている状況です。それから最近は、暴力団関係企業といわれる企業が、一般企業と同様に経済活動を行っています。古くは山口組の神戸芸能社は有名でございますし、港湾荷役の仕事を束ねていたという歴史もご存じのことと思います。最近では、人材派遣、下請け参入、株や不動産取引まで手を出しているということでございます。平成19年にテレビのドキュメンタリーで共生者という番組があったんですけれど、これは、やくざが莫大な資金源を元にしてトレーディングルームをつくって、証券会社を辞めた連中を引き抜いて、トレーディングルームで株の取引をさせる。何億もの取引をやらせて儲けるとかですね。そういった暴力団と共に生きる、生きて利益を分かち合うというふうな人間がいる。共に生きる者、共生者と呼ぶわけです。やくざマネーを利用して自分の株取引のノウハウを使って、やくざと一緒に合法的に金を儲けるというふうな連中もいるという番組がありました。それから先程もお話したみかじめですよね。後は、暴力団の組員が収める上納金、会費であったりします。暴力団対策は、基本的には金と人と物という視点からそれぞれの対策が講じられておりますので、こういった暴力団の資金獲得活動が変わるにつれて国の暴力団対策、立法政策も、それにつれて変わってきたということです。
 最初は暴力団対策法、これはご存知の通り、平成4年に制定をされました。そのあとの対策として公共工事等からの暴力団排除が推進され、その後には、マネーローンダリング(違法な金を洗って綺麗な金にして、資金にするということ)の対策。それから企業暴排への対策が取られました。これは有名な平成19年の犯罪対策閣僚会議でもって、国が各企業に対してコンプライアンスの問題として暴力団との一切の関係を遮断しなさい、裏取引はしてはいけません、平素から警察や弁護士会等と連携を取り、問題が起こった時には、毅然とした態度で事件化することを恐れないという原則を謳ったものです。それから最近は、公共用地取得からの暴排ということで、国土交通省と日弁連と警察のご支援もいただいて、道路等を造るのに公共用地を取得する業務からも不当要求を排除しようということで、暴力団排除の勉強会が去年から行われるようになりました。かつて問題となった公共用地取得の場合、実際には存在しない物に対して補償金を支払うなどの不正支出は断固として止めよう、相手が誰であったもキチッとした対応をとるということでもって、不当要求があった場合には警察と弁護士が連携して、そういった要求を断固はねつけ、拒否するというふうな体制をとるようになっています。 それから先生方もご存知の通り、相撲協会ですよね。枡席といいますか、正面に暴力団の組長がどんと座って、テレビに映る。相撲は刑務所の中で囚人が観られる番組らしくて、組長が相撲番組のテレビの中で映し出され、元気にやっている姿を受刑中の組員に見せる、というようなことが問題となり、相撲協会と暴力団との深い癒着が指摘されました。それから極々最近は、暴力団との深い関わりがあったということを認めて、大物芸能人の引退があったということです。今は、各放送局が、出演する芸能人に対し、自分は暴力団と反社会的勢力には属しておらないということと、そういった人と密接な関係・交際をしていないんだということを、誓約書をとっているようです。ですから、いろんな週刊誌の見出しで見ると、今年の紅白では誰が当落とか、マル暴との関係で誰々が危ないとか、いろいろ噂されたことがございました。今後は、各局とも、黒い関係がある人については出演お断りという基本的な姿勢をとるようです。
 それから更に7番目、復興暴排とありますけれど、これは3月11日に発生した東日本大震災、この復興には十数兆円規模の費用が見込まれるわけです。それを暴力団が黙って見過ごすはずはないんですね。公共工事ですと下請けは三次までと決まっているようですけれど、実際には四次下請け、五次下請け、六次下請けで、労働者を暴力団が派遣するというふうな実態があって、下請けの労働者の賃金をピンハネするという実態が起きているようです。最近、宮城・岩手・福島の3県の県警では、復興暴排についての組織が出来上がっており、そういった人たちを下請けの強要で逮捕した等のニュースも報じられています。
 以上のお話しのとおりでございまして、暴力団対策は、暴力団がどんなところから、どんな方法で資金源を得ているのか、暴力団の活動に対応して、国が対策を取ってきた経緯歴史がご理解頂けたとお思います。
 次に、暴力団排除対策の基本ということですが、人・物・金という要素の中の人に着目すれば、基本的には暴力団の構成員が居なくなるということがまず排除対策のひとつの視点になるわけです。犯罪行為については徹底的な取締りを警察にやってもらうということで対応すべきです。その為には市民が暴力団を怖がらずにきちっと被害届を出してもらうということが重要であります。市民に泣き寝入りをされたのでは犯罪が警察に発覚しませんので、なかなか捜査が始まらないということなので、ここはまず被害を受けた場合には被害届なり、キチッとした告訴告発を徹底してもらうということが重要です。それから情報提供もお願いしたいところです。例えば、暴力団とは違いますけれど、暴力団の予備軍みたいな暴走族がいるとしますけれど、よく市民の間から暴走行為を夜中に爆音を上げて走り回っていて、うるさい、何とかしろと言って電話が警察には行くんですけれど、じゃあ近所でマフラーを短く切ってたり、ハンドルが高かったり背もたれが高かったりするバイクがあった場合には、近所にあんなバイクが、何処何処にあるという情報も一緒に警察に提供してもらわないと、夜中に走り回っている連中のところにパトカーは出るんですけれど、それを最後まで追っかけ回して何処の家に行ったかというところまではなかなか難しいわけでして、一般市民の方からの情報提供というのは、そういった捜査を遂げる上で非常に重要なんですね。群馬県二百万県民の情報を警察にキチッと提供していただくということが非常に捜査の効率を上げるうえで重要だということです。先生方にお作りいただいた暴力団排除条例においても、県民・事業者は警察に情報提供をするという努力義務が謳われていますので、是非、その辺も強調していただけたら有り難いと思います。
 それから暴力団への加入の阻止ですけれど、これは、暴走族の頭をやっていたような連中は、かなりの確率で暴力団の組員に入っていくという割合が高いです。暴力団も、要するに人にこき使われてたような、ぼーっとしたような奴はなかなか使えないということもありまして、やっぱり頭張ってるようなやつは、暴走族の面倒を見ている暴力団員(「けつもち」という)に見込まれて、俺んとこに遊びに来い等と誘われて、暴走族にいる時から組事務所に出入りするようになり、兄貴分から僅かの小遣いを貰ったりしているうちに、組事務所に名札が掛けられちゃうというようなことも得てしてございます。青少年のうちから、こういった暴力団に入らないようにという教育を徹底してやってもらいたい。何れにしても子供ですから、暴力団かっこいいとか、ちょっと奢ってもらったり、いい車を貸してもらったり、見てくれのいい女性を連れて歩いたりということに憧れる年齢でありますので、非常に未熟な連中が暴力団組織に入ることのないように、青少年教育について、この視点を徹底してもらいたいと思います。これも暴力団排除条例の中に、14条でしたか、排除条例の細かいところは資料に添えてありませんが、教育関係者は青少年がそういった暴力団に入らないような教育をキチッとしてくださいというふうなことを謳っていただいておりますので、教育関係者に対しては、こういったことの努力義務をより一層推進していただきたいと思います。 それから、入ってる奴をとっ捕まえ、入るやつは阻止して、最後は、自分から出てきたやつは社会で受入れてあげないと行き場がないということもありますので、非常に難しい問題でありますけれど、いろんな組織等、企業の方達に働き掛けをしていただいて、脱退者の受け皿を確保していただく必要があろうかと思います。
 それから暴力団事務所があるから連中はいつも寄り添って、そこで悪巧みを日夜やっているわけですので、組事務所を立ち退け、退去しろという住民運動を是非活発化してもらいたいと思います。これは暴力団排除条例では、新たに組事務所をつくるときには学校等の教育機関から200メートル近づいたところに組事務所をつくってはいけないと言ってあるんですけれど、既にあるものについてはこの条例で「出て行け」と言えないことになってますので、やはりこういった、今までお話させていただいた、けしからん暴力団が集まって、「絵を描く」と言いますけれど、どうやって人をはめて金を取ろうかということを日夜画策しているところの拠点は排除していただくような運動が活発になれば有り難い。それについては群馬弁護士会は全力を挙げて支援させていただくつもりでおりますので、これもまた住民の方、暴力団が怖いという思いもあるでしょうけれど、近所でドンパチやられて黙っていられるかという、ぜひ勇気を持っていただける方が居たとすれば、ご支援をお願いしたいと思います。
 次に、お金の問題ですけれど、これは3ない運動、暴力団に金を出さない。これを徹底していただくということです。(資料を示して)これは日本証券業協会といったところで、暴力団に対しては株取引を一切お断り、株は売りません、株を扱う会社もやらせません、ということを徹底的に暴力団排除した規則を制定した資料です。この証券業界の取組みというのが、いろんな業界の中で一番早くて、警察の信頼も非常に厚い業界です。ここで株取引にまつわる暴力団関与事例を紹介します。暴力団にはかなり資金を持っているところがありますので、いわゆる株付けをして、上場企業にでも役員を送り込んで、暴力団関係企業に不正融資を行う。例えば10億なら10億の金を貸し付けて、投資した株の金を回収した後、株価を操作してその株を全部売り逃げして、その会社を潰してしまうという非常に悪辣なと言いますか、豊富な資金を利用しての株取引を舞台にしたぼろ儲けという事例も実際にはあります。そういった株の取引は、一般投資家に対して非常に害を及ぼすので、暴力団に対して株の取引をやらせない、株を扱う会社もやらせないということでして、暴力団であるかどうかという情報は警察が徹底的に情報を出すので、そういった取引は一切させない、お断りするというのを規定したのが、日本証券業協会のこの規則です。
 (資料を示して)今年の6月に銀行協会が、銀行取引約款を改正したものです。今までは暴力団には銀行取引はやらせません、銀行口座も開設させませんということにはなっていたんですが、6月の改正で、共生者という話を先程させてもらいましたが、要するに暴力団と密接なお付き合いをしている者、暴力団員が会社の役員になっているような会社、そういった暴力団と共生しているような者の類型があがっています。こういった者とも取引しません。万が一そういう者であることが分かった場合には、銀行口座は解約させていただきます、もし貸してある金があるとすれば直ちに返済してくださいと、要するに暴力団員だけでなく、それと密接関連を有する付き合いをしている者、共生者に対しても枠を拡げて、そういった人達とも取引を断ったというのが改正銀行取引の約款です。
 (資料を示して)重要なので解説します。暴力団と社会的に非難される関係を有する者とは一体どういう関係を言うのか、ということですが、暴力団員と社会的に非難される関係を有する者とは、「暴力団の影響下にある者、暴力団に資金便宜供与等の協力をしている者、暴力団であることを知りながら利用、例えば委託をしたり請け負ったり資材の購入・雇用している者、暴力団と密接な友好関係を有する者を言う。」と説明がありまして、もうひとつには暴力団と密接な関連を有する者とは、「暴力団関係者が参加するパーティーや会合への参加、冠婚葬祭等への参列、共同事業、事務所・自宅へ出入りする関係を言う。」これは宇都宮の管財部のホームページから引っ張ってきたものです。先生方は大変お付き合いが広いと思いますので、万が一冠婚葬祭なんかで暴力団の家族のお葬式にお花なんかを出すと、これは非常にまずい。そういった関係は密接に暴力団と関係してるんだというふうに見られる典型例です。ゴルフなんかを一緒にやってももちろん駄目ですので、この辺については、知らなかった場合はこれはやむを得ないんですけれど、知っていた場合には、大変、反社会的勢力との関係を疑れることになりますので、婆心ながら一言申し添えておきたいと思います。
 それから(資料示して)暴力団排除条例に伴いということで、警視庁のお達しによると、配送業者の中で、暴力団の荷物は取り扱いませんという宣言をした企業がございます。勇気あることと思います。あらゆる業界で暴力団排除が進んでいます。今、全国的にいろんな業界で暴力団排除の取組みをやっていますので、暴排が遅れている業界ほど、暴力団に目を付けられるということになろうかと思います。業種によっては暴力団排除がやりにくいところもあるかなと思います。例えば損害保険の場合、暴力団が乗っているベンツにぶつけられたら対人賠償も対物賠償も何もないのかと言うと、これはちょっと問題があると思います。また、眼鏡屋さんが暴力団員にメガネを売りませんと言えるのか、難しいかも知れません。業界によってはなかなか取組みが進んでいないところもあろうかと思いますが、暴力団は必ず弱いところから狙ってきますので、ぜひいろんな業界で知恵を絞って、暴排の規定なりをキチッと整備していくように推進をしていただくようにご指導していただければ有り難いと思います。
 次に、細かい話をするよりはトピックな話をした方が印象に残ると思うので。たまたま昨日、日弁連のメーリングリストで流れてきたんですが、山口組のトップの篠田建市組長に対する、新聞のインタビュー記事をご紹介します。暴力団排除条例が出来たということで、彼はどんなこと言っているか。「山口組という組織がないと、こういった違法なことを次から次へとやらかす人間を束ねるところがなくなる。彼らを野放しにすると、かえって日本の治安は悪くなる。山口組があるから日本が纏まっているんだ。」「山口組は薬物とか、そういった販売は禁止しているけれど、実際にやっている奴もいることは分かっている。だけどイラン人と違って小学生には売らないとか、一定の紀律をもってる。」等を言ってます。
 篠田組長が幹部組員を10人程引き連れて、北海道の旭川の近くの、とある旅館に2泊で旅行に行ったそうなんです、つい最近。北海道でも当然、暴力団排除条例は出来ているんですが、暴排条例の中で、暴力団等の利益になるようなこと、暴力団等に利するようなことを事業者がやってはいけませんよというふうな規定があるので、北海道警は山口組には北海道の地を踏ませないと言ってたけれど、実際には10人の子分を連れて北海道に来ちゃったそうなんです。条例の規定の仕方に問題があり、今、道警は苦慮しているという情報が入ってきていますので、場合によっては一度制定していただいた条例であっても、場合によっては網の目を潜られる場合も考えられますので、もし暴排条例が使い勝手が悪い場合には、また先生方に事情を説明させていただいて、また改正等あるかもしれませんので、その場合にはひとつお力添えをいただきたいと思います。
 最後に、上州の課題といいますか、上州は国定忠治とか大前田英五郎とか、非常に有名なやくざを輩出してきた歴史がある外、女性が非常に働き者で男が博打にうつつを抜かしているような土地柄だというふうなことを仰る方もいるわけですけれど、決して群馬の男はやくざが好きではないし、それに寛容であるとは思いませんけれど、やはり指定暴力団以外の暴力団組織というのもあるわけでして、場合によっては縁日を取り仕切っていたりとかいった問題についても、ひとつ本日の暴排のお話を機会に考え直す、見直すという視点を持っていただけたら、この上なく嬉しいということでございます。前橋のスナックの事件が起きたときに、暴力団被害者の会の会長が前橋に来たときは、群馬はなんでやくざを放っておくんだと怒られたことがありました。指定暴力団は、今日お配りしたパンフレットに出ているんですけれど、指定を受けていない暴力団組織というのもあります。指定団体だけが暴力団というわけではもちろんございませんし、そういった問題に対する取組みについても先生方のお力をいただけたらより一層ありがたいと思います。

質疑

質問:大変に貴重なお話をいただきました。具体的に、例えば先程、市民の方々にご協力いただけたらとの言い方がありましたけれども、それこそ三俣の事件は事件としてあったんですが、それ以降、市民生活の中で直接に接点がなかったり影響がなかったりすると薄れがち、意識は下がりがちかなというふうに思います。今、現状、群馬として、群馬の中で取り組みを強化するといった場合に、どういったところが見えないのか、ひとつお願いします。

回答:現在、実際に取り組みを始めているものとして、一つには、まず暴力団には絶対に金を出さない。要するに資金源を断ち切ろうということでもって、今、群馬県の社交飲食業組合の方が、先日新聞やテレビにも出たと思うんですけれど、警察連絡協議会というのを17日に立ち上げました。もし、警察連絡協議会会員の店に、暴力団員が飲みに来たりして迷惑だという場合には警察に連絡があれば、警察官が現場で、暴力団員を排除するということと、みかじめですね。俺のシマで店やってんだから毎月5万なら5万払えという要求があった場合には直ぐに警察に連絡してくれ。警察が直ちにみかじめ料の要求行為を止めさせるということです。徹底的に群馬県の飲食業会から暴力団を排除しようという協議会が立ち上がりました。しかし、協議会会員にはなっているけれども、全くみかじめを払っていないかというと疑問なところもございます。暴力団に金が流れないようにするために、勇気ある人達を集めて、縁切り同盟を結成してみかじめ料の不払いを徹底していきたいと思います。縁切り同盟は、高知県が先例になっているんですが、要するに暴力団に一切金を出しません、暴力団と縁を切るという同盟を組んで、そのメンバーになった店を全部、県警のホームページに掲載して、弁護士会と警察とで連携を組んで、地元の全部の暴力団組長に対し、以下のお店はあなた方暴力団には一切みかじめ料等払いません、それを宣言いたしますという内容の郵便を送ったんですね。万が一、組員がみかじめ料とか何か請求した場合には、我々弁護士が組長であるあなたに損害賠償請求しますよという内容証明を送りました。暴力団には一切金を出さないという俗称「縁切同盟」が、全国に広がりつつあります。

質問:あともう一点、叩けば叩く程アングラ化してくるというのはあると思うんですけれど、そういったことについてはどうお感じですか。

回答:これは非常に難しい問題でして、篠田建市組長は、山口組は地下に潜らないと言うんですけれど、徹底的にやるとマフィア化していくんだと仰る学者先生もいると思います。ただその先読みについては何とも分からない状況ですね。要するに、徹底的に追いつめたら、やっぱり表看板出せないわけですから、非合法化、暴力団自体が非合法化。組事務所の看板を掛けた段階であんた違法だよということでやっちゃうと潜らざるを得ないんだろうと思います。日弁連は暴力団を非合法化しろと一生懸命運動しているんですけれど、現状ではそこまではやっていない状況ですね。

質問:ひとつは暴力団の非合法化は憲法上出来ないものですか。でも日弁連が言ってるのだから出来るんじゃないかと思うんですけれど、その辺のことをひとつ。ふたつめは、夏祭りやなんとか祭りの時に、いわゆる的屋さんというんでしょうか、そういう方々が、うちの地域なんかでも毎年毎年少なくなってきているんです。それは祭りが縮小されてきているからというのもあるんですけれど、あの種のものは、みんなやくざ屋、やくざの人達がやられているものなのか、或いはそういうお祭りの時に出てくる人達は、どういうふうな話し合いでどういうふうにしてお店を出しているのかちょっとよく分かりませんけれど、それなりに地元の中で話し合いをしてきているのか、生態そのものがちょっと理解出来ないところがあるんですけれど、その2点について。

回答:暴力団の非合法化は憲法違反ではないと確信を持って言えると思います。あとは地元の街商組合といいますか、そういったものが、やくざなのか、れっきとした企業人なのかという色分けについては、何とも弁護士サイドでは判定が付かないということなんです。暴力団組織というのはいわゆる博打打ちの流れを汲む博徒系と的屋系(露天商、高市といって、いろんな所にいって売をする、商売をやらせてもらう)二つの系統があると言われています。全部の的屋さんがやくざかというとそうではないし、その辺の認定については警察の御判断ということになるんでしょうね。東京なんかでも東京都街商組合というのがありますし、警察にキチッと露天の使用許可を取って商売をやっているということなので、イコールやくざではないわけです。ただ地元の警察なんかでも、何処の組織を排除しようというふうな具体的な指針を決めてやるので、その辺は警察から情報をいただけたらよろしいかと思います。お祭り暴排に関連するので、又聞きの話ですが。長野の諏訪大社の御柱ですが、柱を市内で曳くときにも、暴力団員が柱の上に乗りたがるんだそうです。町内の人が柱を曳くんだけれど、暴力団員が上に乗ると町の人達は曳くのを止めちゃうんだそうです。そうすると町の中にでっかい柱が置きっ放しになってしまうので、仕方がないから夜中に警察官が柱を引っ張ってるんだそうですよ。そういう苦労話を聞いたことがあります。やっぱり祭りとやくざは、なかなか縁が切れないところもあるんですけれど、そんな関係もあって、なかなか色分けが難しいところがあるみたいです。

質問:今の暴力団を非合法化するために、日弁連が宣言していることだとすると。

回答:これが、やろうとしているんですけれど、なかなか賛否両論なんです。

質問:やっぱり人権と何とかという、そういう問題ということですか。

回答:あるとは思います。あとは政策的な問題で先程の、地下に潜るとか。イタリアなんかはマフィアは完全に非合法ですから、イタリアのマフィアの裁判は凄い金網の中でやって、実際にやった裁判長なんかが車に爆弾仕掛けられて殺されたりとか、やくざの問題はものすごく深刻な問題が出ています。イタリアは完全に非合法化している。日本ではまだ議論があるということです。

質問:日弁連の中では、法律体系については案として基本的なこういうものはつくられているのですか。

回答:まだですね。非常にそれに熱心なところと、そんなことしなくても良いじゃないか、もうちょっと別の角度からフォローした方がいいんじゃないかとか、議論はまだまだ途に就いたところといいますか、それが固まっているようなものでは全然ないです。千葉県弁護士会なんかは非合法化に熱心だと思います。

質問:最後です。僕らも、やくざといえば「仁義なき戦い」とか「ゴッドファーザー」とか、そういうので映画の世界で観て、現実的に今の前橋の事件じゃないですけれど、とんでもない悲惨なこういう状況も起きる。もちろん仁義なき戦いの中でも一般市民が巻き込まれて殺されちゃったということについては映画に出てるんですけれど、なんとなく「水清きところに魚住まず」みたいな、そういう要素が何となく消えないというか、それはある程度、法律の問題もそうかもしれませんけれど線引きをどこでするかやっぱり難しい、その辺のところですか。

回答:私の認識ですと、現状では甘過ぎると思いますので、もっと徹底してやろうというふうな認識でおります。新聞の社説にもありましたが、我が国にはやくざを容認する風土があるという指摘もあります、やくざに対する何となく漠然とした憧れがあるという指摘もございます。しかし、現実の暴力団は、それとは全く違う実態を有しているんだということをきちんと認識していただきたい。現状では徹底的に厳しく取り締まっていただきたいし、徹底的に排除という基本姿勢を強めるという社会的な認識でいてもらいたいということです。先生方におつくりいただいた暴力団排除条例1条でも、暴力団を、社会悪とキチッと認識した上で暴力団対策に取り組みましょうと規定していただいたのは、その趣旨なんですね。やはり社会揺れ動き、押してはまた引き戻す波のような動きがあるところで、現状では厳しい態度で臨んでたいただきたいというのが私のお願いです。

質問:ちなみに、群馬県の条例よりも厳しい条例は、他の都道府県にはあるんですか。

回答:動きはあります。先生方は佐賀に研修に行ってこられたということですが、福岡県では既に暴排条例を改正しようと、より厳しいものにしようという動きがありますし、国会レベルでも暴力団対策法の改正議論が今、実際には審議会を開いてやっているところですが、中身についてはまだ公にはできない時期でございます。先生のご質問から推察すると、やはり福岡の現状は由々しき状況でして、指定暴力団の中でも、より過激なところはより厳しい制限をしようと、そういう動きの改正が進んでいるところです。先生方はもうご存知だと思います。

質問:資料の方にも暴力団排除対策の基本のところで、今の団員を検挙して減らす、加入を阻止する、また脱退者の受入ということで、今お話をいただいたんですけれど、脱退者の受入というところで県でも暴追協とか暴追センターとか、そういうところで相談を受けたりとかの事業をやっていると伺ったんですけれど、実際にはそこに対する相談みたいなものも非常に少ないと、社会復帰の取り組みまで繋げられるような事例が非常に少ないということなんですが、それは脱退する人が少ないからなのか、或いは脱退者の受入れに対してもうちょっと実行があるような支援の仕方があるのか、その辺についてはどうでしょう。

回答:なかなか私はそういった方面で活動しておりませんので、推測の域は出ないんですけれど、やはり暴追センターの専務理事さんとか事務次長さんなんかが、ご自分の知り合いの工場の社長とか、そういたったところに結構足を運んで、お宅でちょっと雇ってくれないかとか、いろいろ努力なさってて、私が関与した会社でも、彼は実は元やくざだったんだという人がいて、黙って静かに働いてたりするんですけれど、基本的には先生の問題視されている二つの問題点があります。暴力団員を辞めても、勤勉で実直という人が少ないので、単純労働を長いこと我慢してやって、一定の給金を貰って生活をすることに慣れていない、馴染めない。やっぱり享楽的な生活をやりたいという者が多いので、なかなか受け入れる側でも、お前もうちょっと我慢しなけりゃ駄目だろうと言われると、そんなら辞めてやるということになってしまうのか。社会の中でどれだけ我慢できるかという問題と、やっぱり元暴力団員は、という評価があると、なかなか暴追センターの努力にも拘わらず、実際には企業の側では受け入れがたい状況があるようには思います。ただ本当に組を辞めるんだという人は、やはり何らかの働きがないと食っていけませんし、そうでなければ生活保護ということになりますよね。それをみんな抱えて国民の税金でやっていかなければいけないのかという、非常に難しい問題であると思います。ただ、若い連中、暴力団に入って日の浅い者の中には、今時やくざなんかやってらんねえという人も確かに増えていることは増えていると思います。これだけ暴対法や排除条例で、いろんな業界から、やくざといえば銀行口座はつくれない、彼女に宅急便でプレゼントも贈れないということになると、やくざなんかやってられねえということで、組抜けといいますか、逃げ出している若者がかなりいるように思います。結局、憧れて入っても事務所当番だったり、寝てても起きてても同じような体操着というか、ジャージを着て、オイと呼ばれて車の運転なんかやらされていると、やっぱりある程度のレベルの人間だと割に合わないと感じるのも無理がない話なので、堅気に戻って真面目に社会生活を送りたいと真剣に考えている者がいれば、お手伝いしていただきたいと思います。


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