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本文

議第2号議案(平成25年2月定例会)

群馬県歯科口腔保健の推進に関する条例

(目的)
第一条 この条例は、口腔の健康づくりが県民の全身における健康の維持増進及び回復に果たす役割の重要性に鑑み、歯科口腔保健の推進に関する法律(平成二十三年法律第九十五号。以下「法」という。)に基づき、歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持(以下「歯科口腔保健」という。)の推進に関する基本理念を定め、県の責務並びに県民及び歯科口腔保健の推進に係る保健、医療、社会福祉、労働衛生、教育等に関わる者の役割を明らかにするとともに、歯科口腔保健の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、当該施策を総合的かつ計画的に推進し、もって県民の生涯にわたる健康で質の高い生活の確保に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 一 歯科医療等業務従事者 歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士その他の歯科医療又は保健指導に係る業務に従事する者をいう。
 二 保健医療福祉関係者 保健、医療又は社会福祉に係る業務に従事する者であって、歯科口腔保健に関する活動、指導、助言又は医療行為を行うもの(歯科医療等業務従事者及び教育保育関係者を除く。)をいう。
 三 教育保育関係者 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する学校又は専修学校において幼児、児童、生徒又は学生の歯科口腔保健に関する指導を行う者及び児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)に規定する保育所その他の保育を目的とする施設において乳幼児の歯科口腔保健に関する指導を行う者をいう。
 四 医療保険者 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第七条第七項に規定する医療保険者をいう。
(基本理念)
第三条 歯科口腔保健の推進に関する施策は、次に掲げる事項を基本として行われなければならない。
 一 県民の口腔機能の獲得、低下の軽減及び維持向上を図るため、胎生期から高齢期までのそれぞれの時期における口腔及びその機能の状態並びに歯科疾患の特性に応じて適切かつ効果的に歯科口腔保健に関する施策を推進すること。
 二 県民が自ら生涯にわたり日常生活において歯科疾患の予防に向けた取組を行うとともに、歯科疾患を早期に発見し、早期に治療を受けることを促進すること。
 三 保健、医療、社会福祉、労働衛生及び教育に係る施策その他関連施策の有機的な連携を図りつつ、関係者の協力を得て、総合的かつ計画的に歯科口腔保健を推進すること。
(県の責務)
第四条 県は、前条の基本理念に基づき、歯科口腔保健に関する知識の普及啓発に努めるとともに、市町村と連携を図り、地域の状況に応じた歯科口腔保健に関する施策を策定し、総合的かつ計画的に実施するものとする。
2 県は、歯科医療等業務従事者、保健医療福祉関係者、教育保育関係者、事業者及び医療保険者(以下「歯科口腔保健関係者」という。)と連携し、歯科口腔保健に関する必要な施策を講ずるものとする。
3 県は、事業者、医療保険者その他の歯科口腔保健に関する取組を推進する者(以下「事業者等」という。)が行う歯科口腔保健に関する取組の効果的な推進を図るため、歯科口腔保健に関する情報の提供、助言その他の必要な措置を講ずるものとする。
(県民の役割)
第五条 県民は、次に掲げる事項に取り組むよう努めるものとする。
 一 歯科口腔保健に関する知識及び理解を深め、歯科疾患の予防に向けた取組を行うこと。
 二 県、市町村又は事業者等が行う歯科口腔保健の推進に関する取組に積極的に参加すること。
 三 定期的に歯科医師による歯科検診(健康診査及び健康診断において実施する歯科に関する検診を含む。以下同じ。)及び歯科医師又は歯科衛生士による歯科保健指導を受けることにより、口腔の健康を保持すること。
(歯科医療等業務従事者の役割)
第六条 歯科医療等業務従事者は、県又は歯科口腔保健関係者(歯科医療等業務従事者を除く。)が実施する歯科口腔保健に関する施策又は取組への協力及び県民に対する歯科口腔保健に関する知識の普及啓発に努めるものとする。
(保健医療福祉関係者の役割)
第七条 保健医療福祉関係者は、その業務において県民の歯科口腔保健の推進及び県の歯科口腔保健の推進に関する施策への協力に努めるものとする。
(教育保育関係者の役割)
第八条 教育保育関係者は、乳幼児、幼児、児童、生徒又は学生(以下「学生等」という。)に対する歯科口腔保健に関する取組の実施並びに学生等及びその保護者に対する歯科口腔保健に関する知識の普及啓発に努めるものとする。
(事業者、労働衛生に携わる者及び医療保険者の役割)
第九条 事業者及び労働衛生に携わる者は、県内の事業所で雇用する従業員が定期的に歯科検診を受けること等の勧奨を行い、保健指導の機会の確保その他の歯科口腔保健に関する取組を推進するよう努めるものとする。
2 医療保険者は、県内の被保険者が定期的に歯科検診を受けること等の勧奨を行い、保健指導の機会の確保その他の歯科口腔保健に関する取組を推進するよう努めるものとする。
(基本的事項の策定等)
第十条 県は、歯科口腔保健の推進に関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、法第十二条の規定により厚生労働大臣が定める基本的事項を勘案して、県民の歯科口腔保健の推進に関する基本的な方針、目標、計画その他の基本的事項を定めるものとする。
2 県は、前項の規定により基本的事項を定めた場合は、おおむね五年ごとに評価を行い、これを見直すものとする。
(基本的な施策)
第十一条 県は、県民の歯科口腔保健を推進するため、次に掲げる施策を実施するものとする。
 一 歯科口腔保健に関する知識及び歯科疾患の予防に向けた取組に関する普及啓発
 二 県民に対する定期的な歯科検診及び必要に応じた保健指導を受けることの勧奨
 三 定期的な歯科検診及び必要に応じた保健指導又は歯科医療を受けることが困難な障害のある者、介護を必要とする者、精神疾患又は認知症を有する者等に対する歯科口腔保健に関する施策
 四 専門家による口腔ケア及び必要により希望者に対して行うフッ化物の使用等科学的根拠に基づく口腔疾患予防のための効果的な施策
 五 新生児期から始まる健康な身体づくりのための歯科口腔保健に関する施策
 六 妊娠期から幼児期における親子の歯科口腔保健の推進及び健全な口腔機能の獲得のための施策
 七 生活習慣病及びがん等の周術期における歯科口腔保健に関する施策
 八 前各号に掲げるもののほか、県民の歯科口腔保健の推進に関し必要な施策
(歯科口腔保健に関する取組への支援)
第十二条 県は、歯科口腔保健の推進を図るため、歯科医療等業務従事者等に対する情報の提供、研修の実施その他の歯科口腔保健に関する取組への支援の充実に努めるものとする。
(歯科口腔保健に関する実態調査)
第十三条 県は、歯科口腔保健に関する施策を推進するため、県民の歯科口腔保健の実態について、おおむね五年ごとに必要な調査を行い、適切な手段により、その結果を県民に公表するものとする。
(歯科口腔保健の知識の普及のための県民運動)
第十四条 県は、歯科口腔保健に関する県民の理解及び関心を深め、積極的に歯科疾患を予防する意欲を高めるため、毎年六月四日から同月十日までの一週間を「歯と口の健康週間」と定めるとともに、別に定める時期に歯科口腔保健に関する大会を開催することにより、歯科口腔保健が県民運動として定着するよう努めるものとする。
(財政上の措置)
第十五条 県は、県民の歯科口腔保健に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるものとする。

附則

(施行期日)

  1. この条例は、平成二十五年四月一日から施行する。

(検討)

  1. 知事は、この条例の施行後五年を経過するごとに、この条例の実施状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な見直しを行うものとする。

提案理由

 群馬県歯科口腔保健の推進に関する条例の制定を行おうとするものである。