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議第3号議案(平成25年3月19日)

公共工事設計労務単価等の改善に関する意見書

 地域建設業は、住宅・社会資本の整備を担い、地域経済を支える基幹産業であるだけではなく、災害や特定家畜伝染病発生時の応急対策になくてはならない社会的機能を有している。こうした社会的役割や、持続可能な産業のあり方を考えたとき、建設業界が健全に維持・発展していくことは重要であるが、そのためには業界を支える業務従事者が適正な収入を得て、必要な人数が確保されることが至上命題である。
 労務賃金の低下により結婚や子どもの教育など人生設計に明るい見通しを立てることが困難になれば、優秀な作業員や若年者の建設業離れが加速する。その結果、業界の技術力が低下し、技能伝承が困難になり、ひいては品質の確保にも悪影響を及ぼすことが懸念される。
 こうした状況の中、公共工事の予定価格積算の基礎となる「公共工事設計労務単価」について、群馬県の平成24年度単価を11年度と比べると、比較可能な全ての職種で単価が下落している。例えば、「特殊作業員」の単価は27.1%のマイナス、「普通作業員」では23.4%のマイナスとなっている。
 建設業者が公共工事を請け負うには、設計労務単価の下落に合わせ、実労働賃金を安く設定せざるを得ない。さらに、下落の結果が次年度の労務費調査に反映され、さらなる設計労務単価の低下に繋がるという、負の連鎖が起こっている。
 以上のことから、公共工事設計労務単価等の改善について、下記事項を強く要望するものである。

  1. 公共事業労務費調査の抜本的見直し
    調査対象者の経験や能力、雇用形態や雇用企業の規模を調査対象に加えて賃金支払実態を反映させること。また、今日の土木工事においては複数の職種に対応できる“多能工”の養成が求められていることから、同職種を採用するなど、建設現場の実態にあった職種区分とすること。これらを踏まえ、公共事業労務費調査を抜本的に見直すこと。
  2. 労務単価の設定について
    労務単価は、公共事業労務費調査結果に地域に応じた実労働時間を加味するとともに、他の賃金統計データも勘案して設定すること。
  3. 労務費高騰時の即応について
    落札後、請負工事期間中に労務費が高騰すると請負工事の採算性が急激に悪化するので、こうした事態に即応する機動的な制度を新設すること。
  4. 公共工事標準歩掛の見直し
    公共工事の積算に用いる公共工事標準歩掛についても、幅広い工事工種を調査し、工事現場の実態に合わせること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成25年3月19日

群馬県議会議長 松本 耕司

 衆議院議長
 参議院議長
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 国土交通大臣
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