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環境農林常任委員会(農政部関係)(平成25年12月6日)

1.開催日時

 平成25年12月6日(金曜日)14時12分~16時57分

2.開催場所

 403委員会室

3.出席委員

 委員長:舘野英一、副委員長:安孫子哲
 委員:関根圀男、委員:塚原仁、委員:狩野浩志、委員:茂木英子、委員:水野俊雄、委員:桂川孝子、委員:酒井宏明

4.欠席委員

 委員:田所三千男

5.主な質疑

(1)米政策の見直しについて

関根委員
 農家の不安や想定される影響、課題、今後の方向性についてはどうか。

勅使河原蚕糸園芸課長
 主食用米の価格は、飼料用米等への転換が進めば安定していくとの考えがある一方で、今後の産地情勢による変動要素が大きく、見極めは難しい。中小規模農家については、米の直接支払交付金の5年後廃止が予定されているなど、高齢農家は米づくりから離れていくことが想定されることから、農地集積等による規模拡大が進み、生産コストの削減に繋がっていくことも想定される。産地間競争が進む事も予想されるが、国の制度を最大限活用し、麦との二毛作や飼料用米の導入による高効率経営と高付加価値米の生産が、さらに進んでいくものと考えている。

関根委員
 今後も安心して米づくりを続けたい農家も多いが、県では今後、どのように支援していく考えなのか。

勅使河原蚕糸園芸課長
 平坦地域については、中心的な担い手となる認定農業者や集落営農組織・法人へ農地集積を図り、規模拡大を一層推進する必要がある。一方、中山間地域では川場村の「雪ほたか」に代表される高付加価値米の生産が広がっており、本県としては、農業者や農業団体、市町村等多方面からの意見を聞きながら具体的な対応をしっかり検討して参りたい。

関根委員
 大規模経営体でも米価下落や生産コストの上昇懸念、また、集落営農から脱退した農業者、規模拡大をしても利益に繋がらない等の問題に対し、どう考えるか。

勅使河原蚕糸園芸課長
 来年度設置予定の農地中間管理機構等を活用し、市町村や関係団体等と密接に連携をとりながら農地集積等による効率的な米づくりを推進していきたい。また、脱退した農業者については、地域の話し合いを進め、国の制度を活用していくしかない。大規模化については、筆数だけでなく、流動化と集約化を進めることにより効率を高められると考える。

関根委員
 今回の見直しは農政の大転換ともいえるが、本県の農家をどう守っていくのか、見解を伺う。

茂木農政部長
 市町村や関係団体と十分連携し、現場の理解と合意を得るなど、丁寧な手順を踏んだ上で施策を推進していくことが重要と考えている。現場主義を原点にしっかり取り組んで参りたい。

酒井委員
 農家の不安の声に、県としてどう応えるのか。

宮崎農政課長
 水田作については、大規模農家だけでなく中小規模の農家が水管理等を含め大きな役割を担っており、地域全体で取り組まなければ水田農業は維持できない。新たな米政策は、大規模農家に集約化を図る一方で、日本型直接支払により地域全体の取り組みを支援するような施策体系となっており、地域全体として農業が継続されるような取り組みを進めることとしている。

酒井委員
 もっと米が作れるよう、ミニマムアクセス米輸入の廃止や、備蓄米の十分な確保などについて県として政府へ働きかけてはどうか。

藤井農政部副部長
 ミニマムアクセス米77万トンのうち、10万トンが主食用に回されているが、これについては、WTO交渉での決定事項であり、県としての対応は難しい。現在、需要に対して供給が上回っており、また、民間在庫も積み上がっているという状況もあるので、飼料用米の作付け拡大による水田農業の振興が必要であると考えている。

(2)攻めの農林水産業のための農政の改革方向について

水野委員
 「農業を成長産業化する」とは、どういうイメージか。

藤井農政部副部長
 国は、6次産業化や輸出を中心に進めていきたいと考えており、規模拡大、構造改革及び低コスト化を推進し、強い農業を実現していくということで、県としても、関係団体とも協力しながら体制づくりに取り組んでいる。

水野委員
 6次産業化や輸出は、米政策に応用できるのか。

藤井農政部副部長
 野菜や果樹に比べると難しい要素があるが、「雪ほたか」のように、ブランド化や有機米など、付加価値を付ける工夫により6次産業化や輸出の可能性はあると考えている。

水野委員
 飼料用米の生産拡大のための課題は何か。

藤井農政部副部長
 飼料用米については、専用品種の種子の確保や、主食用米とは異なる栽培技術の習得、混入防止等の点から、専用の流通・保管の検討、確実な需要先の確保等の課題があり、今後解決していく必要がある。

水野委員
 飼料用米の生産は、交付金の増額により、主食用米並の収益が確保されるのか。

藤井農政部副部長
 飼料用米については、生産数量に応じた交付金の支払方法が導入されることにより、地域の平均収量を3割以上上回れば、10アールあたり105,000円が交付され、国の試算では、上限額の交付金を得た場合、主食用米を若干上回る収益を上げられる。

水野委員
 飼料米生産について、具体的な経営イメージを群馬県なりに作成する必要があるのではないか。

藤井農政部副部長
 今後、設置される協議の場で具体的な対策を検討していく予定であり、この中で取り組んで行きたい。

茂木委員
 「攻めの農林水産業」の目指す方向性はどのようなものか。

藤井農政部副部長
 構造改革により、農地を担い手へ集積し、6次産業化や輸出に取り組むなど、将来の日本の農業を担う力強い経営体を育成することであると考えている。

茂木委員
 「美しく活力のある農山村」とはどのようなものか。

藤井農政部副部長
 生産条件の厳しい中山間地域等については、効率性だけではなく、農業・農村の持つ多面的機能や、地域コミュニティなどの集落機能に目を向けることが必要であると考えている。日本型直接支払制度も、地域全体での多面的機能や集落機能の維持・発揮を図ることにより、美しく活力のある農山村に寄与するものと考えている。

茂木委員
 今後は、飼料用米への転換が重要とのことだが、飼料用米の需要はあるのか。

勅使河原蚕糸園芸課長
 畜産サイドからの要望はかなりあると聞いているが、流通・保管など色々課題もあるため、今後、農業団体等と連携して、しっかり検討していきたい。

茂木委員
 飼料用米の需要はどうか。

糸井畜産課長
 飼料用米はトウモロコシの代替として利用できるが、量によっては畜産物の味や色が変わるため、全てを置き換えるのは難しい。

茂木委員
 飼料用米の利用に向けた研究はどういう状況か。

小材畜産試験場長
 飼料としては、乳牛で55パーセント、肉用牛で20パーセント、採卵鶏・肉用鶏で全量をトウモロコシの代替として利用しても生産性には問題ないという研究成果が出ている。

(3)県産農産物の輸出について

水野委員
 OICT(太田国際貨物ターミナル)を活用する具体的なメリットは何か。

真下ぐんまブランド推進室長
 関税手続きの迅速化により、輸送期間を短縮でき、鮮度の高い野菜の輸出ができるなどのメリットがある。

水野委員
 今後、具体的にどのような産品の輸出を考えているのか。

真下ぐんまブランド推進室長
 例えば、台湾の商社からはキャベツの輸出を要望されており、台湾向けの植物検疫などの対策を検討している。対応策ができれば、その後は、トマト、いちご、果樹などについても検討したい。

(4)農地中間管理機構について

水野委員
 農地中間管理機構として、県農業公社が予定されているようだが、現在の組織や人員体制では厳しいと思われる。今後、県としてどう対応するのか伺う。

小林構造政策室長
 国の日本再興戦略の目標では、今後10年間で担い手へ農地の8割を集積することが掲げられており、本県では毎年数千ヘクタールの農地を集積しなければならず、現在の人員体制では厳しい状況であると認識している。来年度に向けて十分な活動ができるよう、人員や組織等を含めた運営体制の見直しを検討しているところである。

(5)新しい農業への取組事例について

狩野委員
 上毛新聞に掲載された「お達者ファーム」のような取り組みは、農業振興にも高齢者福祉にもなり、県としても支援して、新しい農業のシステムとして広めていくことが重要と思うがどうか。

真下ぐんまブランド推進室長
 担い手としても期待しており、ネギの栽培のみにとどまらず、将来的に6次産業化に取り組む考えがあれば、県が運営するサポートセンターと連携を図りながら、支援していきたい。

(6)遺伝子組換えカイコについて

狩野委員
 産業政策としての成長も期待される遺伝子組換えカイコの現状と今後の見通しはどうか。

毛利絹主監
 今年の前橋遺伝子組換えカイコ飼育組合の飼育量は7~8万頭で、今後、稚蚕共同飼育所での飼育が開始される計画であり、また、免疫生物研究所でも、新たな遺伝子組換えカイコの開発を計画しており、それらが農家委託され規模拡大が図れることを期待している。遺伝子組換えカイコは裾野が広く、県全体の課題として他の部局とも連携しながら対応して参りたい。

(7)蚕糸業振興について

酒井委員
 養蚕農家が激減し、ここ2~3年が勝負と聞いている。碓氷製糸農業協同組合も存続に向けて頑張っている中、県としてどのような支援を考えているのか。

毛利絹主監
 平成20年から開始された蚕糸・絹業提携システム事業は、平成25年度が最終年となり、提携グループの活動継続に不安の声が寄せられていることから、平成26年度から大日本蚕糸会による支援が行われる。県としても蚕糸業の維持存続の観点から養蚕農家の繭代確保や碓氷製糸への支援策について、検討し議論を深めていきたい。

酒井委員
 大日本蚕糸会の支援は、繭1キロ当たり1,200円であり、これまでの交付単価1,500円より減額となる。この差額や農家の繭代向上のため、県として支援の上乗せはできないか。

毛利絹主監
 蚕糸・絹業提携システムの支援は、繭単価助成ではなく、提携グループの活動支援である。現行では、2,200円の繭単価が確保されているが、引き続きこの繭単価が養蚕農家に支払われるよう、県としても支援策を検討していきたい。

酒井委員
 養蚕農家を単独事業で支援している市町村に対して、県として支援してはどうか。

毛利絹主監
 市町村による養蚕農家への支援は、それぞれの市が独自に地域の実情に応じた支援を行っているものであり、県としては、全体的な課題である蚕糸・絹業提携グループの活動に対する支援を検討したい。

(8)すき焼きの推進について

狩野委員
 全ての食材が県産農畜産物でまかなえる「すき焼き」について、群馬県を代表する料理の一つとして推進してはどうか。

真下ぐんまブランド推進室長
 来年度のブランド力強化対策の推進方針等において検討し、また、和食の世界無形文化遺産登録なども切り口に、しっかりとPRして参りたい。

(9)農業者育成対策について

塚原委員
 農業農村リーダー等活動促進事業の取組状況はどうか。

澁谷技術支援課長
 農業経営士と農村生活アドバイザーをトップリーダーとして認定し、地域農業の振興と若い担い手の確保・育成に取り組んでいただき、研修会等も開催している。また、農業青年育成のため、プロジェクト活動やクラブ活動、意見発表を行う実績発表会の開催や上毛新聞社との共催による優良農業青年表彰を行っている。

塚原委員
 農業経営士や農村生活アドバイザー認定の目標数値や、現在の人数についてはどうか。

澁谷技術支援課長
 現在、農業経営士は150名、農村生活アドバイザーは145名が認定されており、それぞれ150名前後で地域のバランスを考慮している。人員的には、現状で適当であると考えており、地域の実態に応じ、適任者がいれば定数にこだわらず計画的に認定をしている。

塚原委員
 女性農業者の活動支援や成果については、どうか。

澁谷技術支援課長
 関係機関と連携し、女性農業者の経営管理能力・雇用管理能力の向上、女性農業者同士の交流支援を行うとともに、起業活動やネットワークづくりの支援に力を入れ、女性リーダーの育成を図っている。成果については、家族経営協定締結数が平成24年度末で1,917件で全国9位、女性農業委員の割合は9.2%で、全国第3位、女性起業数は301と、ここ10年で90増加し、直売所を中心に活発に活動している。

塚原委員
 農村女性の起業の背景及び現在の状況はどうか。

澁谷技術支援課長
 農家が自分で作った農産物の加工に始まり、それを直売所で販売することで活動が活発となり、弁当製造や農家レストランを始めるなど、徐々に経営発展を図り、法人化する起業も現れている。多くの場合は、地域における農産物直売所が活動のフィールドとなっている。

(10)畜産業の臭気対策について

塚原委員
 苦情の状況はどうか。

糸井畜産課長
 畜産経営に起因する苦情は毎年100件を超えていたが、平成23年は99件、24年は92件で、そのうち約7割が悪臭関連である。件数は年々減少傾向にある。

塚原委員
 これまでの取り組みはどうか。

糸井畜産課長
 農業事務所の公害苦情相談員が対応するほか、畜産環境アドバイザーを養成し、環境問題に対する指導・助言を行っている。また、平成12年度から畜産試験場では脱臭装置の開発に取り組み、県内企業が開発した脱臭装置と合わせて2つの技術が開発された。平成21年度に11基をモデル設置し、22年度からは脱臭施設の設置に対する補助事業を開始した。

塚原委員
 苦情がなくならない原因はどこにあるか。

糸井畜産課長
 家畜のふん尿は絶対量が多く、発生箇所が広く、完全に対策を取ることが困難であること、臭気の感受性に個人差があること、また、環境対策の施設は生産に必要な施設でないため、普及が進まないことなどがあげられる。

塚原委員
 脱臭装置の設置費用及び、県の補助の内容はどうなっているのか。

糸井畜産課長
 脱臭装置は大きなもので1基約1,500万円であり、補助率は3分の1を基本とするが、集団で取り組む場合は2分の1の補助となっている。

(11)耕作放棄地などに建設されている太陽光発電について

茂木委員
 農地に太陽光パネルを設置するのに、農地転用は必要か。

小林構造政策室長
 農地に太陽光パネルを設置するには、農地転用許可が必要であり、条件によっては一時転用許可でも可能である。

茂木委員
 空き地や耕作放棄地に、太陽光パネルが設置されているのを見るが、周囲への防除等はどうなっているのか。

小林構造政策室長
 農地転用許可にあたっては、周辺農地への被害防除が十分かどうかも審査されるが、近隣住民への事業の説明義務はなく、隣接地権者の同意書をとる義務もない。

(12)耕作放棄地について

桂川委員
 県内の耕作放棄地を状態別に把握しているか。

小林構造政策室長
 市町村農業委員会による「荒廃農地の発生・解消状況に関する調査」では、荒廃農地を分類し、農地として利用するか否かを農業委員会が判断しており、確定値ではないが、平成24年の調査によると、再生利用が可能な荒廃農地は4,134ヘクタール、53.3パーセント、再生利用が困難と見込まれる荒廃農地は3,617ヘクタール、46.7パーセントとなっている。

桂川委員
 「非農地」判定された農地はどうなるのか。

小林構造政策室長
 農地でないと見なされ、農用地区域内にある場合は、農振計画の達成や周辺農地の農業生産への影響を勘案して、農振区域内に残置するかどうかの判断を市町村が行うこととなる。

(13)低利用地・未利用地について

桂川委員
 面積と管理費はどうか。

宮崎農政課長
 農政部関係の低利用・未利用地は3カ所あり、農業技術センターの旧前橋研究拠点は、環境部門が伊勢崎本所へ移転したため、20.6ヘクタールのうち、本館周辺3.3ヘクタールと西ほ場4.5ヘクタールの計7.8ヘクタールで、維持管理費は除草で年間58万8,000円である。
 旧高崎競馬場は、10.8ヘクタールのうち、貸付けを行っていない面積が0.9ヘクタールで、維持管理費は民有地の借上費用8,700万円のほか、嘱託職員人件費等を含め合計9,700万円である。
 旧境町トレーニングセンターは、28.6ヘクタールのうち、貸付けを行っていない面積が16.5ヘクタールで、維持管理費は民有地等の借上費用6,000万円である。なお、今年度はアパート2棟を解体することとしており、別途2,600万円を見込んでいる。

桂川委員
 農業技術センター旧前橋研究拠点は今後どのように活用していくのか。

宮崎農政課長
 農地部分は農振農用地で国庫補助事業の受益地であるため、農地としての利用を検討している。本館周辺の宅地部分は、活用について県有財産利活用推進会議で全庁的に検討をしている。

(14)小水力発電について

桂川委員
 農業用水を利用した小水力発電の取組状況はどうか。

飯塚農村整備課長
 現在6箇所で検討調査が行われており、本年度から、中之条町が美野原用水を利用した整備を開始している。また、来年度からは、赤城大沼用水、大間々用水を利用した整備も始まる予定となっている。

桂川委員
 今後の予定はどうか。

飯塚農村整備課長
 今後の予定は不明であるが、売電収益は農業用水施設を管理する土地改良区の維持管理費低減につながるなど、電源群馬プロジェクトとあわせ、今後も積極的に推進していきたい。


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