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人口減少対策特別委員会(平成26年6月11日)

1.開催日時

平成26年6月11日(水曜日)10時00分開始 14時56分終了

2.開催場所

301委員会室

3.出席議員

委員長:久保田順一郎、副委員長:新井雅博
委員:中村紀雄、委員:腰塚 誠、委員:角倉邦良、委員:あべ ともよ、委員:水野俊雄、委員:桂川孝子、委員:酒井宏明、委員:安孫子哲

4.欠席委員

なし

5.主な質疑

(1)人口減少に対する群馬県の考え方

桂川委員
 これまで、様々な少子化対策を行ってきたと思うが、日本創成会議において、女性が減る、そして人口がかなり減るという報告があった。こういった結果を踏まえて、群馬県として今後どういった対応をしていくか、大まかな方向性をどう考えているか。

本多生活文化スポーツ部長
 少子化対策・人口減少に関しては、今まで様々な取組を行ってきている。少子化と人口減少は止まっていないという状況はしっかり受け止めるべきと考えている。
 少子化対策については、ぐんま子育て・若者サポートヴィジョンの次期計画の策定が必要であることから、効果の分析・評価をし、その上で、これからどのように取り組んで行くのかを考えていく必要があると考えている。また、人口減少対策特別委員会の委員の皆様からのご意見を取り入れて参りたいと考えている。ただし、人口減少・少子化対策の成功例として挙げられるフランスや北欧の例を見ても、少子化からの転換点まで20年くらいかかっており、継続した長期間の取組が必要であると考えている。

(2)人口流出について

桂川委員
 財政的な余裕が無い中で、日本創成会議の提言においても、拠点地域づくりをしていくとの考え方も示されている。そういった視点で、今後の人口流出などの対策についてはどのように取り組むのか。

五十嵐地域政策課長
 主に地方の中枢拠点都市に選択と集中という観点から投資をし、人口流出を防止するダム機能を果たすべきとの日本創成会議の提言は、日本全体から見れば、東京一極集中の是正という観点から、一つの考え方ではないかとは思う。しかし、都市部の拠点性の機能強化と過疎山村地域の振興については、バランスを持って取り組む必要があり、まずは、各市町村が地域の実情に合わせて若者の流出の防止、雇用の確保といった社会減対策をしっかり考えていくことが重要である。過疎山村地域も含めてできるだけ上流部から人口を流出させない形で、最後は、中心となる中核都市で堰き止めるという形を取らないと、一挙に東京に流出してしまうことになりかねないので、バランスを見ながら全体で取り組むべき問題と考えている。

桂川委員
 振興局単位で開催される会議で、市町村の実情を踏まえた対策を検討するのだと思うが、これまでの対策とは違う新しいアイデアが出てくる見込みはあるか。

五十嵐地域政策課長
 振興局が地域振興の要の役目を果たすため、議論の場として、地域振興連絡会議を設置した。
 人口減少対策も大きな議論のテーマとなると考えているが。地域の実情、地域の分析、地域の特徴について、議論していく方向で考えている。まずは、企画担当の議論の場としているが、議論が発展していけば関係部局の職員にも加わってもらい議論を深めていく。

桂川委員
 地域振興の視点でいうと各市町村単位で頑張っていただき、実情に合った施策を検討し、地域の課題に対して、県がサポートしながら議論を進めていき、各振興局に合った施策ができるように県が導いていくと理解してよいか。

五十嵐地域政策課長
 地域の実情に明るい職員が地域の身近にいることが振興局の強みである。まずは、地域の現場で考えつくことを、しっかり現場で連携しながら検討していく事を基本にしたいと考えている。

(3)晩婚化と晩産化の進行等について

桂川委員
 晩婚化と晩産化が進むことで少子化が進んでいると考えるが、今後、家族形成の醸成についてどのように考えているか伺いたい。

五十嵐少子化対策・青少年課長
 晩婚化・晩産化については年々進行しており、その対策として、家族形成、意識の醸成等について関係課で行っている。
 当課においては、若者に出会いの場を提供する「赤い糸プロジェクト」や一対一の紹介型である「縁結びネットワーク事業」によるお見合いなどを現在実施している。

(4)ぐんまこどもふれあい大賞について

桂川委員
 子どもたちに、将来の愛情とか子育てのために前向きな気持ちを育むということを狙いに、子どもと赤ちゃんを触れ合わせる、ぐんまこどもふれあい大賞について、どのような効果があると評価しているのか。

五十嵐少子化対策・青少年課長
 ぐんまこどもふれあい大賞は、中高生を対象に、身近な子どもたちとのふれあいを通して感じたことなどを作文として応募してもらい、表彰する事業である。中高生の時から、家族形成について考えてもらうものである。平成19年度から行っており、昨年度は、中学・高校合わせて48校から600名の応募があった。

(5)子育てに対する教育について

桂川委員
 結婚すること、子を持つこと、子を育てることの素晴らしさを、学校でも授業で触れていると思うが、どのような形で子供たちに伝えているのか。実態を教えてもらいたい。

野村義務教育課長
 中学校の家庭科で、具体的には、自分が産まれた時の体重や様子、子どもの頃の様子を調べたり、幼児の心や身体、言葉の発達の様子について調べたりしている。さらに、幼稚園や保育園に行き、子供たちを観察したり、一緒に遊んだりする触れあい活動を行っている。このような活動を通して、幼児への関心を深めるとともに、幼児にふさわしい生活を整えるという家庭の役割に気付かせている。

遠藤高校教育課次長
 高校では、家庭科が平成6年度から男女必履修となっている。家庭科の授業を2単位もしくは4単位行っている。この中で、将来の人生設計等を子供たちに考えさせる時間は、年間12~18時間程度行っている。子育てをするには男女が協力し合うことの大切さも扱っている。また、保育実習を行っている高校は17校ある。

桂川委員
 最近、出産の適正年齢があるという報道を聞いたが、「身体の健康と出産」といった授業をしているのか。

野村義務教育課長
 義務教育では、そのような授業はしていない。

(6)人口減少に係る取組の方向性について

水野委員
 県土の発展のあり方、人口減少ということについて、どう取り組んでいくかの基本的な考え方、方向性を皆さんで共有されているものはあるのか。振興局単位で考えていくという話があったが、県庁としては、考え方は共有されているものなのか。県庁として議論する場があったほうがいいと感じた。

五十嵐地域政策課長
 地域政策課は、過疎対策を所管している観点から、過疎地域の人口減少に取り組んでおり、過疎地域等活性化庁内連絡会議を設けて、庁内関係課との情報共有を図るとともに、過疎計画を策定する際に意見調整や検討を行うなどの対応をしている。
 日本創成会議の報告書に対しては、まだ全庁的な情報共有は進んでいない。

水野委員
 日本創成会議の提言についての情報共有という話だけではなく、現象として起きていることに対して、どう取り組むかということなので、もう一度捉え直してもらいたい。県職員と社会保障について議論していく中で、地域づくりと人口減少と具体的にどんな関係があるのかという話をしたところ、人口減少というのは過疎地域だけの話だけではなく、例えば前橋市の街なかでも、地域を支える力というのは失われつつある。起きている現象は同じなのではないかという話もあった。県全体の問題として捉え直してもらう必要があると考えているが、部長の見解はどうか。

本多生活文化スポーツ部長
 県庁内で共通認識を持つことは非常に大事であり、「少子化対策・子ども若者育成支援推進本部」のワーキンググループに過疎関係課も加えて情報共有していきたいと考えているが、人口減少という枠組みでの本部等の立ち上げまでは議論が至っていない。

(7)ジョブカフェぐんまの取組について

水野委員
 ハローワークと連携を進めているジョブカフェぐんまについて、10年目を迎えるということで、成果も上げていただいており、またスキルも積み上げていただいているということで感謝している。国の主導の事業で始まったにも関わらず、国が予算を引き上げつつある中で、県が財政的にも応援していることに敬意を表したい。また、ジョブカフェ・マザーズの開設、ハローワークとの連携を果たしたという点について、現状及び今後の見通しはどうか。

福田女性・若者就職支援主監
 開設から10年が経過したジョブカフェぐんまは、カウンセリングから職業紹介、定着支援まで一貫した就職支援を行っており、平成25年度にはジョブカフェぐんまを利用して1,047人が就職することができた。しかし、正社員の求人開拓に限界がある中で、正社員での就職に繋がらない例もあったが、本年5月には正社員就職を支援するわかものハローワーク(通称:わかハロ)を高崎センター内に併設して機能強化を図ったところであり、利用者も増加している。また、ジョブカフェ・マザーズにおいては、平成25年度に60人が就職し、順調な滑り出しとなっている。
 今後も利用に向けた周知を行い、一人でも多くの女性・若者の就職支援に取り組んでまいりたい。

水野委員
 是非ともさらに女性の皆様にとって利用しやすいジョブカフェぐんまの機能としていただきたい。また、コミュニケーション能力の醸成というのが非常に重要になってくると思う。現在、ジョブカフェぐんまでも様々なセミナー等を行っているかと思うが、こういった点についての取組はどうか。

福田女性・若者就職支援主監
 ジョブカフェぐんまでは、個人個人のカウンセリングを行い、その人に必要なセミナーの受講を勧めている。その中には、履歴書の書き方から面接の受け方まで細かく指導している。また、大学生の就職活動において、早期に内定を獲得する学生と、内定獲得が進まない学生とに二極化していると聞いており、コミュニケーションが苦手なために出遅れているという者もいるようなので、学生のうちから早期にキャリア教育を行う必要があると考えている。

(8)キャリア教育について

水野委員
 高校教育の現場では、キャリア教育の歴史は浅いと思うが、現在の取組はどうか。

遠藤高校教育課次長
 各高校におけるキャリア教育については、各教科・科目、総合的な学習の時間、特別活動、地域や企業との連携等、様々な形で行われている。また、県教育委員会として、各高校に対してのキャリア教育に係る支援として、夢実現・進路プラン、ぐんまトライワーク推進、高大連携、次代を担う職業人材の育成等の諸事業を展開しているところである。

水野委員
 キャリア教育については、実業系の高等学校については就職を意識して取り組んでいると思うが、普通科については進学が様々な評価の指標になっているのではないかと思っている。普通科の高等学校に対してのキャリア教育の充実が話題になってくると考えるが、現在の取り組みはどうか。

遠藤高校教育課次長
 普通科においても、キャリア教育として実施しているインターンシップについては、重要であると認識している。平成26年度からは、新規事業として普通科のある42校で実施する予定である。

(9)生活困窮者自立支援事業の学習支援について

水野委員
 生活困窮者自立支援法が施行されるが、どのような対応をしているか。

川原健康福祉課長
 生活困窮者自立支援法は、来年、平成27年4月1日から施行されることから、今年度、県では本格施行に向けて、町村部を対象として、群馬県社会福祉協議会に委託しモデル事業を実施している。町村部に出向いて相談窓口を設置し、地域の関係機関と連携して自立相談支援事業を行っていく予定である。

水野委員
 生活困窮者自立支援事業において任意事業と位置付けられている学習支援について、どのように取り組むのか。

川原健康福祉課長
 学習支援については任意事業であるが、今年度、自立相談支援事業の中で社会福祉協議会が行っている生活福祉資金の貸付、あるいは福祉事務所が行っている住宅支援給付事業など、様々な事業を通じて情報収集を図っていく予定である。なお、町村部では、対象件数が少ない上、広い面積になることから、モデル事業の中で「どのくらいの需要があるのか」、「どのような支援が必要なのか」といったニーズを把握した上で、来年度の実施に向けて前向きに検討したいと考えている。

水野委員
 学習支援を行っていく上で、生活保護世帯の子どもの高校への進学率を把握することは大切であるが、中退率の把握も重要である。卒業率を把握する必要があると思うがどうか。

川原健康福祉課長
 平成25年度の高校進学率の実績は、県全体では98.4パーセント、生活保護世帯の子どもの進学率は84.5パーセントで13.9ポイントの差がある。全国的に見ても10ポイント程度の差があると言われている。しっかりと取り組む必要があると考えている。

 生活保護世帯の子どもの高校中退率については、追跡調査をしないとわからないが、文科省が発表している全体の中退率は1.5パーセントとなっている。埼玉県の調査では、生活保護家庭の子どもの中退率は全体の中退率の倍を超える率になっている。子どもの貧困対策の推進に関する法律においては、生活保護家庭の子どもの進学率・中退率を調べ、公表することになっていることから、しっかり把握していきたいと考えている。

水野委員
 進路はプライベートなことなので、難しい面があると思うが、具体的な数値の把握に努めていただきたい。

(10)人口減少社会の課題について

あべ委員
 人口減少対策特別委員会を設置して、この問題の取組にあたって、県として人口減少という問題の原因は何だと考えているか。また、人口減少の課題は何だと県はとらえているのか。

五十嵐少子化対策・青少年課長
 人口減少の大きな要因は少子化であり、少子化の原因は、未婚化・晩婚化、それに伴う晩産化である。さらに、第1子を出産した方が第2子、第3子を持ちにくいことである。

(11)未婚化・晩婚化の原因と対応策について

あべ委員
 未婚化・晩婚化の原因は何だととらえているのか。

五十嵐少子化対策・青少年課長
 県民アンケートを実施した結果を見ると、未婚化の原因としては、異性との出会いの減少や経済的不安定が挙げられる。晩産化の原因としては、経済的不安、子育ての大変さ・両立の難しさへの不安が挙げられる。子育て中の方の理想の子どもの数よりも予定の子どもの数が少ない原因は、子育てにお金がかかること、仕事への差し支えなどが挙げられている。

あべ委員
 県としては、先ほどのように課題をとらえているということだが、その課題をどのように解決していこうと取り組んでいるのか。

五十嵐少子化対策・青少年課長
 未婚化・晩婚化については、異性との出会いが減少していることが挙げられているので、「ぐんま赤い糸プロジェクト」、「ぐんま縁結びネットワーク事業」を実施している。経済的な不安定さについては「ジョブカフェぐんま」などで就業支援を行っている。

あべ委員
 晩産化については、経済的な不安や出産・子育てに対する不安が挙げられるということだが、県としては、その課題をどのように取り除いて行こうと考えているのか。

五十嵐少子化対策・青少年課長
 晩産化については、具体的な支援がなかった。子育てに関する不安については子育支援の方でしっかりやってきているので、引き続き支援の部分をやっていく。妊娠、出産についての情報提供とか、不安や悩みの解決、相談については、国の交付金で始める事業において、どんな形がいいのか考えていきたい。

あべ委員
 子育て中の方へのアンケートで、理想の子どもの数よりも予定の子どもの数が少ない原因は、子育てにお金がかかること、仕事への差し支え、高齢で産むのが難しいことなどが挙げられて、少子化の改善のためには経済的な負担の軽減であるとか、ワークライフバランスの達成であるとか、経済的不安定の除去などが効果があるのではないかということだが、これについては県としてどのように取り組んでいるのか。

五十嵐少子化対策・青少年課長
 ワークライフバランスの達成についても、現在のヴィジョンの中で関係課と連携しながらやっているところである。経済的不安の軽減については、学校の教育の問題、保育料の問題などが大きな問題だと考えているので、県がやっていくというより国の対応が必要であると考える。国で、多子世帯への経済的支援を手厚くしていこうという動きがあるので、国の対策についても要望をしていくことが必要だと考えている。

(12)これまでの少子化対策の評価について

あべ委員
 人口減少について、特に自然減に歯止めをかけたいということで、色々な取組をしてきているが、これまでやってきた取組について、どのような評価をしているのか。

五十嵐少子化対策・青少年課長
 これまで、次世代育成法の計画に基づいて「ぐんま子育てヴィジョン2005」を前期計画で、「ぐんま子育て・若者サポートヴィジョン2010」を後期計画として実施してきた。これから、新たな計画を策定するにあたって、現計画の取組を評価しながら、新計画を策定していくように考えている。

あべ委員
 新計画の策定にあたって評価を行いながら策定していくということだが、現段階では評価は行っていないということか。

五十嵐少子化対策・青少年課長
 計画の進捗状況の評価については、毎年度、評価を行っている。平成24年度までは評価済みであり、平成25年度分の評価については、これからである。

あべ委員
 どのような評価になっているのか。

五十嵐少子化対策・青少年課長
 評価について、平成26年度までの目標値を定めているが、平成24年度までで達成できている主な項目は、保育については、「ファミリーサポートセンターの実施市町村数」の目標値を14市町村としていたが、平成24年度で達成した。また、「ぐーちょきパスポートの協賛登録店舗数」の目標値を5,000店としており、まだ途中であるが平成24年度に4,700店となっている。「男女共同参画推進員の設置事業所数」については、目標値が500事業所、平成24年度現在で408事業所となっており、現在推進しているところである。県民アンケートの割合についても、目標値を定めている。例えば「結婚しにくい社会と考える理由」について、「若者が経済的に不安定」を挙げる人の割合を、平成26年度に40パーセント以内にすることを目標にしているが、平成24年度で55パーセントとなっている。以上のような評価になっている。

あべ委員
 県ができることに限界があって、経済的な負担に関しては国にやってもらうしかないという話もあった。確かに国に対して要望する必要があるものは多いと思うので、しっかり国に要望してもらうとして、県でできる政策の中で、例えば子育てに関する不安を軽減する方向に働いている政策はどんなものがあって、それが目的に対してどれくらい効果があるのかを、一つひとつ丁寧に見ていくということが必要だと考える。

五十嵐少子化対策・青少年課長
 未婚化、晩婚化がなぜここまで進んできたかということを分析していきたい。結婚したい、子供を持ちたいという希望をもっているのに希望を叶えられないというところまできていると思うので、これからの施策、対策を検討していきたい。

(13)人口減少への対策と現状認識について

角倉委員
 群馬県が厳しい現実に置かれている中で、人口減少にストップをかける対策本部の設置が必要だと思うが、部長の考えはどうか。

本多生活文化スポーツ部長
 現在、少子化対策についての推進本部はあるが、人口減少対策についてはない。しかし、政策の中で少子化対策というのは非常に大きな分野なので、推進本部の下に関係課長で構成する幹事会やワーキンググループがあるので、それらを活用し人口減少対策について部局横断的に研究したい。

角倉委員
 県として今まで行ってきた施策に結果がついてこないということを踏まえた上で、持続的かつ緊張感を持った新たな提案が必要だと思うが、部長の考えはどうか。

本多生活文化スポーツ部長
 私も危機感を持ってやっていくべきと考えている。これまで実施してきた施策を評価・分析し、何ができて何ができていないのかを明らかにすることから始めたい。

(14)過疎対策について

角倉委員
 過疎化の問題で、今年度から過疎化に対応して振興局を設置したとのことだが、局というと何か新しいことをやりそうだが、実際には中山間地の各事務所に担当職員が一人増員されたという程度で、振興局の具体的な展開については、よくわからないところがある。どのように展開していくのか。

五十嵐地域政策課長
 県民局の見直しは総務部で所管していたが、基本的な考え方としては、中核市など実力のある自治体以外の市町村に対して、より現場に近く、身近で小さな単位で対応していくこととした。当課も併せて係を再編し、過疎地域と振興局をサポートしていきたいと考えている。職員が一人増えただけということにならないようにしていきたいと考えている。

角倉委員
 今まで県は、「地域の頑張りがなければ県がいくら支援しても」という受け身のスタンスにとどまっていた。県は受け身の姿勢を続けてきた。その結果、過疎対策については結果が出なかったという認識に立ってもらいたいがどうか。

五十嵐地域政策課長
 今までの過疎対策においては、過疎法によりハードに対しては手厚い支援がなされてきた。また、平成22年の過疎法の改正によりソフト事業に対しても過疎債が充当できるようになるとともに、いわゆる限界集落の問題が注目を浴びたこともあり、集落支援員の配置を始めとして、集落支援施策も充実してきた。地域の活性化については、その時々の状況を踏まえつつ、地域を支えてきたと考えている。

角倉委員
 県として現場に入ってもらい、現場を掌握した上で施策を進めていってほしい。

五十嵐地域政策課長
 委員のおっしゃる趣旨は日頃から心掛けており、現在も事業の実施にあたっては、現場に入りフォローしていくという形は取っているが、今後は振興局も含めて連携して取り組んでいきたい。

角倉委員
 新たに振興局ができ、現場に入って行くということなので、その活動を担保するための新たな予算は考えていくのか。

五十嵐地域政策課長
 当課で所管する地域振興調整費を活用できるよう考えていきたい。

角倉委員
 県が、中山間地域の問題について緊張感をもって取り組んできたのかと考えると、不十分だったということを認識してもらって、振興局の取組を進めてもらいたい。

(15)少子化対策推進県民会議について

酒井委員
 少子化問題は根が深い、世界的な問題だと感じている。群馬県では平成21年から少子化対策推進県民会議を開いているということだが、そこでの議論の特徴と成果についてどうなっているか。

五十嵐少子化対策・青少年課長
 少子化対策推進県民会議では「ぐんま子育て・若者サポートヴィジョン」に基づいて実施された各取組の状況や少子化対策の現状について、意見を伺った。家族形成については「職場や地域でもっと出会いがあればいい」、子育て分野では「多子家庭への支援が必要」、「人と人との関係が希薄になっている」、両立分野では「子育て支援をしっかりやっている企業を、県が積極的にPRしたらどうか」、「職場で休暇が取れるよう啓発をお願いしたい」など様々な意見をいただいている。いただいた意見は、今後策定する少子化対策基本計画の参考とし、反映していきたい。

酒井委員
 少子化の原因は、未婚化、晩婚化が進んでいるという話だったが、それは現象面の話なので、その大元に何があるのかを掴んでいく必要があると思う。なぜ、少子化がこれだけ進んでしまったのか、その原因を伺いたい。

五十嵐少子化対策・青少年課長
 県としては今年度、県民がピアサポーターとして参加し、自身の経験を活かし、結婚、妊娠・出産、育児を支援する事業を実施する予定である。

酒井委員
 日本が先進国の中で出生率が低い状況で推移している一方で、フランス、イギリス、スウェーデンは徐々に出生率が回復しているとある。これは、それらの国が施策を行った結果だと思う。日本と、これらの国に差が出てきた理由はどう考えるか。

五十嵐少子化対策・青少年課長
 出生率を上げている諸外国の施策も参考としたいが、国が取り組むべきものと県として対応できるものがあるので、今後検討して参りたい。

(16)長時間労働や非正規労働、低賃金などが少子化に及ぼす影響について

酒井委員
 サービス残業の根絶と、残業時間の上限規制により、長時間労働を改善することによって、男性も女性も子育てにゆとりを持って取り組めるようにする改善が求められていると考える。背景には、低賃金、不安定な働かせ方が背景にあると思う。現在の雇用環境と少子化の関係について、どのような認識をもっているか。

石川労働政策課長
 子育てと仕事を両立できるような働き方や育児休業の取得しやすさなど、働きやすい雇用環境を整備することは、少子化対策にとっても重要であると認識している。

酒井委員
 非正規雇用の拡大が進んでいるが、その流れを転換して正規雇用があたりまえの社会を作っていく事が、求められていると思う。これは国の仕事だと思うが、県としてこの点の改善にむけてどのような取組を行っているか。また、ジョブカフェぐんまの成果はどうか。

石川労働政策課長
 正社員の雇用については、労働者の経済的安定や家族形成、自立した生活に資するものであると認識している。また、企業においても、競争力やサービスの向上、将来を担う人材の育成という意味で重要であり、今後の社会経済の維持・発展、あるいは少子化対策にとっても、正規雇用の総数を増やすことが重要と考えている。具体的には、企業誘致、次世代産業の振興、サービス業の成長促進等により、安定した雇用の場の拡大を図っている。また、ジョブカフェぐんまでは、年間1,000人強の就職者のうち、6割強が正社員として就職している。

酒井委員
 ジョブカフェぐんまの取組を、設置されている3か所以外にも拡大できないか。

福田女性・若者就職支援主監
 今年度から出張ジョブカフェを行う予定である。ジョブカフェぐんまの知名度を上げて、更に利用していただけるようにしていきたい。

(17)女性の離職の状況について

酒井委員
 働く女性の約半数が出産を機に仕事を辞めていると言われている。これは20年も改善されていない。県内で、出産・育児により退職している女性の割合は把握しているか。

福田女性・若者就職支援主監
 国の調査で、約6割の女性が出産・育児により退職をしているという数字は把握しているが、県の数字はない。

酒井委員
 厚生労働省の雇用均等室には、結婚や妊娠、出産による解雇であるとか、嫌がらせなどの不利益な取り扱いに関する相談が3千件以上寄せられている。不利益な取り扱いをした企業名を公表して行くことが必要だと思うが、公表は行っているのか。

福田女性・若者就職支援主監
 昨年度、群馬労働局雇用均等室で取り扱った相談のうち、妊娠・出産等不利益な取扱いに関するものが67件あった。「妊娠を理由に契約の更新を拒否された」「出産し、育児休業を取得したことでリストラの対象とされた」などの事例が例示されているが、企業名の公表は行っていない。

(18)男性の育児休業取得促進について

酒井委員
 男性の育児休業の取得を促進するために、県ではどのような取組を行っているか。

福田女性・若者就職支援主監
 国の平成24年度調査によると、男性の育児休業取得者割合は1.89パーセントとなっている。県としては、育児休業制度の充実・利用促進に先進的に取り組んでいる企業を応援するため、「育児いきいき参加企業認定制度」に取り組んでいる。現在までに、1,109事業所を認定しており、より多くの企業で育児休業制度等が整備されるよう推進している。また、経営者や上司に対して、男性の育児参加の理解を深めるために「ぐんまのイクメン・イクボス養成塾」を実施しており、群馬労働局や市町村、商工団体とも連携しながら、育児休業の取得を促進している。

(19)育児休業給付金の上乗せ給付について

酒井委員
 4月から育児休業給付金の支給率が引き上げられたが、給付期間が1年と短いので県独自で上乗せ給付はできないか。

福田女性・若者就職支援主監
 国が雇用保険制度の中で支給しており、県としては検討していない。

(20)就学援助制度について

酒井委員
 太田市が就学援助(準要保護児童生徒就学援助)対象世帯を拡大すると報道されたが、就学援助制度を拡大する市町村に対する県としての支援を考えているか。

吉澤(教)管理課長
 就学援助(準要保護児童生徒就学援助)事業は、平成17年度から市町村単独事業として一般財源化されたものであり、地方交付税による財源措置が講じられている。このような取組の情報を収集して、他の市町村へフィードバックしていきたい。

酒井委員
 財政支援ではなく、情報提供という形の支援か。

吉澤(教)管理課長
 今のところは、そのように考えている。

(21)学校給食の無料化について

酒井委員
 学校給食費の無償化について、学校給食費を無償化する動きが各市町村で出てきている。食育の一環として、また子育て支援策として、県には、市町村の無償化を支援し、イニシアチブを発揮してもらいたいと考えるがどうか。

吉澤(教)管理課長
 学校給食費の無償化については、所管の健康体育課にご質問の趣旨を伝えたい。

酒井委員
 県全体の問題として、学校給食の無償化に取り組んでほしい。
 少子化対策については、公共交通の問題、住宅の問題等、様々なインフラの問題の解決も必要であり、全庁あげた対策が求められていると思う。

(22)赤い糸プロジェクトの推進について

安孫子委員
 この委員会で人口流出の話、東京の大学にいってそのまま戻って来ないという話もあったが、群馬県内の大学も多くの県外出身者がいる。では県外出身の大学生を県内にとどめておくということを行政がやれるのかというと限界があると思う。だから、民間の方と連携をして、県内の大学に来ている県外の学生に、模擬結婚式にどんどん出てもらって、群馬県で就職してもらうようにしてもらいたい。そのためには、民間と真剣に連携してもらいたい。

本多生活文化スポーツ部長
 民間の力を借りてというご提案だが、そのとおり民間の力を借りてやっていきたい。赤い糸プロジェクトも民間の力を借りてやっている事業である。これからも民間の力を借りてやっていきたい。また、民間から新たに提案あれば、県として研究していきたいと思っている。

安孫子委員
 結婚式場のプロを集めたプロジェクトチームに意見徴収をして企画を出してもらい、特別委員会ができたのだから年間100組の成婚を目指してもらいたい。

本多生活文化スポーツ部長
 赤い糸プロジェクトは出会いの場を作る事業なので、成婚数を目標にしていない。何を成果としていくのかは奥が深い問題であり、出生数も目標数値としていないので、検討していきたいが、個人の問題ということもあり、成婚数を目標にしてよいのか、とも考える。引き続き民間と連携しながら、新たな施策についての検討を進めていきたい。

(23)助産施設について

安孫子委員
 他県では、助産施設の設置について見直そうという、その背景には、虐待だとかDVだとかを含めて、母子センターと言うものを、国と話し合って新たに設置したという経緯がある。今後、助産施設についてどのように考えているのか。

吉田子育て支援課長
 本県にも、かつては桐生に東洋助産所という助産施設があったが、現在は設置されていない。助産師はいるが、現行では、助産師単独では出産をすることができず、医療機関との連携が必要となっている。医務課とも協議して検討するが、助産院を開設している助産師は高齢化しており、現状としては難しい。

安孫子委員
 助産施設の代わりになるような施設はあるのか。

川原健康福祉課長
 県内には生活困窮者のため、無料又は低額な料金で診療等を行う「無料低額診療事業等」を実施する医療機関が17施設あり、この中には診療科目に産科を標榜している医療機関もあることから、対応できるケースもあると考えている。

安孫子委員
 医療現場から上がっている声ということで、唐突に伺って失礼とは思いましたが、そういった声も聞いていただきたい。少子化対策を目的とする、この委員会でも様々な意見が出ると思うが、その意見に応えていただきたいと言うのが、私の思いである。どうか、赤い糸プロジェクト、縁結び事業を前進していただいて、国からお金が来て、民間から力を借りて、これからもっともっと、拡充して、民間が中心となって、県はそれをサポートするという形を作り上げていただきたい。

(24)人口減少対策について

中村委員
 今までの話を聞いていて、人口減少対策、少子化対策がいかに難しいかというのを感じた。
 危機感を持つということが大前提で、こういう大変な危機が近づいている、それに対して何をしたらいいのか、人口減少、少子化に対する対策というのは、教育から農業から全てが関わる。そういうことをしながらも、優先順位をつけて、大切なものからやるという、メリハリをつけた対応が必要である。そのためには、対策会議を本格的に作って、緊急的に取り組むのは何かとか、横断的な組織、対応を考えるべきではないか。

五十嵐少子化対策・青少年課長
 人口減少の主な要因となっている少子化問題については、知事を本部長とした「少子化対策・子ども若者育成支援推進本部」で、全庁的に関係課が連携して推進しているところである。社会減を含めた総合的な人口減少対策については推進本部の幹事会、ワーキンググループにおいて研究していきたい。

中村委員
 色々取り組んでいると思うが、特別委員会が設けられて、その特別委員会でそういう発言が出たということを受け止めていただきたい。今、群馬県が取り組んでいる多くの施策は、ある意味はっきり目標がわからずに、実験的な意味があると思う。検証が難しい問題だと思う。しかし、他の県や地域に、成功例があるに違いない、そういうのは積極的に参考にして、優先順位とかメリハリをつけるのにつなげてもらいたい。

本多生活文化スポーツ部長
 時間がかかる問題なのは確かであるが、緊急の課題という危機意識を持って、できることは待ったなしでやっていきたい。もう一点、他県の例を研究して取り入れるということも必要だと思っているので、その点はやっていきたい。

中村委員
 人口減少、少子化対策の問題で危機という場合には、活力が低下していく、税収が少なくなるということで、社会の危機、国家の危機と言われていると思う。しかし、それは結局、個人の問題に結びつくと思う。3.11以降、結婚する人が少し増えたという報道があり、因果関係の把握は少し難しいと思うが、群馬県でも、そういう数字はあるのか。

五十嵐少子化対策・青少年課長
 3.11後ということであるが、出生数について減少傾向であるが、合計特殊出生率については、年毎の上下があるが、2011年の出生数が、2011年は1.41、2012年が1.39と減り、2013年は1.41と上がって来たが、婚姻数については、2011年は9,147件、2012年が9,246件と増えたが、2013年に増えたというような状況は見られない。

中村委員
 群馬県の合計特殊出生率が低いが、目標は立てにくいという話があった。しかし、何年かの間に群馬県の合計特殊出生率を上げようという、目標と決意を示すべきだと思う。県民に対していかに啓蒙するかという問題と併せて、決意を聞かせてもらいたい。

本多生活文化スポーツ部長
 家族のつながり、家族の大切さであるとかを県民に気づいてもらうことは、大事な事だと感じている。今までも、教育を含めて色々なところでやってきた。子育てをしている人を孤立化させない等の取組についても行っており、今後もしっかりやっていく。これまで、個人の問題と言ってきたのは、例えば結婚を誰とするのか、また結婚をするのかしないのかということまで、行政が踏み込むのはやり過ぎで、個人の問題だと思うが、家族の大切さというのは、しっかり啓蒙していきたい。具体的な数値目標を定めるのには、難しい課題があり、今後、色々と検討が必要であると思う。

中村委員
 この特別委員会で取り組んでいるのは、人口減少にストップをかけ、出生率を上げようということである。それは、全県をあげて、市町村と力をあわせて、群馬県の力を回復していこうということなので、アバウトな意味で良いので、子どもを増やして、全国にも成功した事例のある誇れる県にしようという目標を掲げて、県民に訴えるべきだと思う。

本多生活文化スポーツ部長
 目標を持って少子化対策に取り組んでいくという考え方はしっかりと掲げていきたい。

中村委員
 結婚だとか、出産だとか、それぞれの人生に結びついた問題であるだけに、今日はリアルな発言が出たと思うので、しっかりと受け止めていただきたいと思う。


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