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人口減少対策特別委員会(平成26年12月10日)

1.開催日時

平成26年12月10日(水曜日)10時01分開始 13時58分終了

2.開催場所

301委員会室

3.出席議員

委員長:久保田順一郎、副委員長:新井雅博
委員:中村紀雄、委員:腰塚 誠、委員:角倉邦良、委員:あべともよ、委員:水野俊雄、委員:桂川孝子、委員:酒井宏明、委員:安孫子 哲、委員:高橋 正

4.欠席委員

なし

5.主な質疑

(1)総合戦略について

中村委員
 地方版総合戦略がどういうものになるのか分からないということだが、骨子として危機感をもって臨まなければならないのは分かるが、地方版総合戦略を策定するには、受け身の姿勢ではなく積極的な姿勢で準備をして検討する必要がある。国が作ったものを待っているのでは、魂のこもったものができないと考えるが、どうか。

塚越企画課長
 人口減少対策は国と地方が総力を挙げ、一体となって取組まなければいけない課題だと考えている。地方だけではできない部分があり、国と力をあわせて取組む必要があると考えている。意見交換のために各市町村を訪問して話を伺ってきて、非常に頑張っている市町村が多いことが分かった。国からすれば優良事例といえるような取組もある。人口減少が止まらない状況があり、再度、地方から積極的に取組んで、国の支援を受け、取組むことが大事だと思っている。そういった意味で、県、市町村が連携をして総合戦略の策定にしっかりと取組む必要があると考えている。

中村委員
 国への提言について、総力を結集するためには危機感をもたなければいけないと考える。先ほど説明を受けた中に、無数の細かい政策が盛り込まれていて、行政のあらゆる部門につながり、また県と市町村がつながっているが、それぞれの施策、政策は何のためかという理念を立てることが非常に大切だと思う。健康な社会をつくるため、一人ひとりが幸せな人生を築くために、家庭が非常に大切で、健全な家庭を作る必要があることを、提言や戦略に入れる必要があると考える。説明の中に「家庭」というキーワードが見られなかったが、どうか。

塚越企画課長
 委員ご指摘のとおり、総合戦略は理念を据えて策定することが大事である。現行の総合計画にも理念から施策までが明記されている。来年は次期総合計画策定の年でもあるので、人口減少対策を土台に据えて、しっかりと検討していきたい。家庭というキーワードがないということだが、群馬の未来創生本部ではワーキンググループとして「家族の理想を実現」という表現をしている。その中で、近居や多世帯同居等についても議論しており、大事な視点だと捉えている。子どもを親だけで育てるのは、難しい社会であり、今後の家族のあり方や社会のあり方をしっかりと踏まえて、検討していきたい。

中村委員
 私の言う「家庭」は「家族」ということである。しっかりと検討をお願いしたい。

(2)エンゼル表彰について

高橋委員
 吉岡町では、4人以上の子どもを養育する親を表彰する「エンゼル表彰」制度があり、県も4人以上の子どもを育てる親に、知事から感謝状を贈るような制度を検討してはどうか。また、群馬県内で4人以上の子どもがいる家庭はどのくらいあるのか。

五十嵐少子化対策・青少年課長
 平成25年の人口動態統計によると、群馬県で生まれた14,732人のうち、第4子として生まれた子どもは378人で2.5パーセント程度、第5子以降として生まれた子どもは112人である。
 次に、表彰制度であるが、子育ては不安や負担を感じることがあったとしても、それに勝る喜びをもたらすものであり、子どもとともに親自身も成長できる尊い営みであると考えている。特に、多くの子どもを育てることは、より多くの困難とともに喜びを伴うものであり、社会全体で敬意を表するに値すると考えている。一方で、養育する子どもの数により表彰制度を設けることについては様々な意見があると考えられるので、県として制度を作ることは慎重な対応が必要だと考えている。
 なお、表彰制度の趣旨である、多くの子どもを養育される方を社会全体で応援する機運を高めていくことは重要であり、今後の少子化対策を進めていく上で参考としたい。

(3)施策総点検や若年女性の意識調査について

あべ委員
 前回の委員会で、群馬の未来創生本部で、補正予算が成立したらなるべく早い時期に、これまでの施策の総点検や若年女性の意識調査を実施すると説明を受けたが、進捗状況はいかがか。

塚越企画課長
 施策の総点検については第1回幹事会にて各部局に依頼した。当初予算の編成作業と並行して進めてもらっている。また、国の総合戦略も示されるので、それと併せて来年度の総合戦略策定に向けて、さらに検討を重ねていく。
 若年女性の意識調査については、現在準備をしているところである。県外の女性もターゲットとしており、その手法や質問項目について検討している。

あべ委員
 施策の総点検は、国の動向を見ながら、取り組んでいくということだが、その結果については、方針の決定前に委員会に報告をしてもらいたい。執行部で点検して方針を決めた後では、委員会の意見を反映させるのが難しいのではないか。

塚越企画課長
 施策の総点検のタイミングと施策に活かすタイミングについてであるが、従来から行っている事業評価との兼ね合いもあり、時期やタイミングについては、今後検討が必要であり、すぐに公表するというのは難しい。今後、総合計画の策定があるが、これも同じことだと考える。総合計画策定と総合戦略策定を一体的に進めていく必要があると思うので、その点も踏まえて検討していきたい。

あべ委員
 途中であっても総点検の進捗状況について委員会に示してもらいたい。また、若年女性の意識調査についても項目を検討中ということなので、意識調査の実施後ではなく、調査を実施する前に調査の内容について、委員会の資料として入っていれば、委員会の意見を聞いてもらえると思う。次回の特別委員会では遅いので、その前に状況を示してもらい、意見交換させてほしい。

(4)人工妊娠中絶の現状について

あべ議員
 生まれてくる子ども達が、途中で命を落とすことを防ぐことも大切なことである。「家族の理想を実現していく」ことも大切なことであるが、その理想を実現できない中で、大変な思いをして子ども達を育てようとしている人達に対する支援も大切だと思う。人工妊娠中絶の現状について、群馬県の状況はどうか。

津久井保健予防課長
 人工妊娠中絶の状況についてであるが、平成25年衛生行政報告例によれば、県内の人工妊娠中絶の件数は2,715件である。件数としては年々減少傾向である。

あべ委員
 中絶の理由はどのようなものが多いのか。

津久井保健予防課長
 人工妊娠中絶は、母体保護法の規定により行われる。同法第14条第1項第1号の「妊娠の継続又は分娩が身体的経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」という理由である。

あべ委員
 身体的理由と経済的理由の内訳は分かるのか。

津久井保健予防課長
 統計上は、身体的理由と経済的理由に分かれていない。両方合わせた件数である。

あべ委員
 現在、調査を行っていないということだが、妊娠を継続するかどうかは、母性の権利として守られるべきと思う。一方で、経済的な環境を整えることにより人工中絶を選択しなくてもよい場合も考えられる。どういった理由で人工中絶を選択しているかの調査はできるか。

津久井保健予防課長
 人工妊娠中絶については、母子家庭や、父親不明等含めて色々な理由があると考えられる。プライバシーに関わることでもあり、調査に協力していただけるか、正確に回答していただけるか課題があり、調査は簡単にはできないと考えている。

あべ委員
 人工中絶を選択せざる得なかった人達を支援する体制を整えることも必要だと思う。妊娠が分かってから人工中絶、出産を選択するまでの間に色々と悩んだ結果の選択であると思うが、その間の相談支援の体制はどのようになっているか。

津久井保健予防課長
 一般的に医療機関で妊娠が判明し、市町村保健センターで妊娠届を受け付けており、そこで福祉的な相談を含めた様々な相談を受けている。県としては市町村とも連携するほか、専門的相談として「女性健康支援センター」電話相談事業を今年度から実施している。また、「女性健康支援センター」のカード型の啓発資料を作成し、高校3年の女子生徒に配付した。何かの時には相談していただいて、できれば「望まない妊娠」に至らないようにという考え方である。

あべ委員
 愛知県等では、子育てへの不安から出産を悩む親に対し、里親制度を含めて支援に応じている。子どもを親が育てられなくとも、社会で育てていくような支援体制が必要ではないか。

吉田子育て支援課長
 里親、養子縁組についての話だが、本県においても児童相談所で対応している。年輩女性からの相談はほとんど無いが、10代の妊娠の場合は里親への委託を行っているケースもある。今後も、児童相談所と市町村が連携して対応していきたい。

あべ委員
 徐々に、相談体制も整ってきたと思うが、妊娠の多くは医療機関で分かることが多いと思うので、医療機関と児童相談所が連携して、相談機関の周知が必要だと思うが、どうか。

吉田子育て支援課長
 相談機関の周知は重要と考える。各市町村の保健師がまず相談を受けるが、経済的支援や養育の支援が必要な場合に、市町村の児童福祉担当課や児童相談所が連携して個別の相談に応じる体制をとっている。

(5)保育所への途中入所のサポートについて

あべ委員
 群馬県においては、待機児童問題は、それほどないと聞いているが、子どもが生まれる時期も様々である。4月から保育所に入る場合は、比較的間口が広いと思うが、途中入所の場合は希望通りにいかない場合が多いと聞いている。保育所の年度途中の入所の状況はどうか。

吉田子育て支援課長
 保育所では、年度当初から年度末に向けて利用者が増加する傾向にある。年度中途の利用が多い0歳児の平成25年度実績では、年度当初の1,441人に対し、年度末は4,291人と大幅に増加している。

あべ委員
 女性が仕事を続ける上で、保育所に子どもを預けるのは絶対的な条件で、受け入れてくれる保育所が見つからないと職場への復帰が難しくなる。そのため、途中入所のサポートが必要と考えるがどうか。

吉田子育て支援課長
 現状では、各市町村の保育担当窓口において、入所の対応をしている。来年度から始まる新制度において、法定の13事業の1つの利用者支援事業として、ワンストップ的な子育て支援の窓口を提供することとなっている。これにより、各市町村で、色々な相談に乗れるように支援していきたい。

あべ委員
 消費税増税が延期されて、子ども・子育て支援新制度がスタートできるのか不明な点も多いと思う。それについてはどう考えているか。

吉田子育て支援課長
 子ども・子育て支援新制度関係には、消費税増税により0.7兆円が手当てされる予定であったが、消費税増税延期により財源の見通しは立っていない。しかし、新聞等によると、総理は新制度を必ずスタートさせると発言しており、市町村からの相談にも同様に説明している。来年度からスタートできるよう、市町村と連携して準備を進めて参りたい。

あべ委員
 万が一、国がスタートできない状況になった場合でも、対応していただきたいと考えるが、どうか。

吉田子育て支援課長
 新制度がスタートしないことは、想定していないが、色々な要望があるので、各市町村と連携して対応していきたい。

(6)民間団体との連携について

あべ委員
 人口減少対策に取り組む上で、県庁と連携できると考えられる民間団体にはどのようなものがあり、連携のあり方と課題、今後の方向性はどう考えているか。

五十嵐少子化対策・青少年課長
 少子化対策・青少年課では、主に結婚支援事業において民間団体と連携している。「ぐんま縁結びネットワーク」では、地域婦人団体連合会と連携している。事業形態は事業委託の形をとっているが、ほぼボランティアである。婦人会の方が地域密着型のボランティアとして結婚相談やお見合いから成婚までの支援を行っている。また、「ぐんま赤い糸プロジェクト」では、協賛団体として結婚式場や農業団体など様々な企業団体に若者の出会いの場を提供していただいている。結婚支援ではないが、子育て支援である「ぐーちょきパスポート」についても、協賛店舗が5千店を超えている。小売店だけではなく、学習塾、歯科医院等の様々な企業・団体に協賛していただいている。

あべ委員
 県が民間と協力して連携することは、アイディアをいただくことや、ボランティア的なメリットもあるが、県民を巻き込んで一緒に考えていくことが、県庁外部への啓発につながっていくと思う。民間との連携については県庁全体として取組んでいただきたいが、どうか。

塚越企画課長
 民間団体との連携、県民の皆様に人口減少問題に対する危機意識をしっかりもっていただいて、取組んでいただくのは非常に大切だと考える。これまでも、NPOを始めとした様々な民間団体と連携しながら事業を行ってきた。改めて、民間団体との連携をしっかりと検討していきたい。

(7)人口減少対策の柱について

角倉委員
 中山間地域の再生について、小さな町村に対するメッセージとして、県として骨太な方向性を出していただきたい。具体的に「ここを変えていく」というメッセージが欲しい。群馬の未来創生本部において群馬県の基本的な立ち位置を明確にして、県民にメッセ-ジをが届くようにして欲しいがどうか。

塚越企画課長
 中山間の町村を回っていると、人口が減っているところが多く、大変な状況であることが分かる。県としてメッセージが出せればいいが、ワーキンググループにおいてはメッセージを出すというところまで具体的に議論はされていない。群馬県の人口流出の構造や将来人口推計についてもしっかりと分析していく必要がある。
 本部としてではなく、自分なりの意見だが、群馬県は良くも悪くも、東京に近いというのが大きな特徴である。群馬県から出て行くのも非常に簡単に出ていける。いつでも戻って来られるという意識があるので逆に戻って来ないという感じがあり、流出しやすい構造にあると思う。群馬ならではの特徴を打ち出して魅力を見直してもらう取組も必要だと考えている。
 予算も限られている中で、市町村からも国の交付金への期待が高まっている。どの自治体も職員数が削られ、非常に厳しい状況であるが、財政面も含めて考えながらしっかりと議論していきたい。

角倉委員
 特に中山間地域の再生について、本部の中でしっかりと柱を立て、位置づけを明確にしてもらいたい。県のこれまでの中山間地域の対策は、国の対策をやっていただけで、他県より遅れている。本部の方針については、流動的なところがあるので、中山間地域の位置づけについて明確にしてもらいたいがどうか。

塚越企画課長
 自分も含めて各課の課長が県内市町村を回って市町村の色々な声を聞いてきた。
 特に中山間地域は、頑張っているに関わらず「消滅自治体」というショッキングなレッテルを貼られて非常に迷惑している。「我々は絶対に消滅しない」という強い意志をもって取組んでいる市町村の方が多い。そういった声や、委員の意見を踏まえてしっかりと検討して参りたい。

角倉委員
 日本創成会議の増田レポートは、中核都市を人口流出の防波堤にすると言っているが、非常に不安を感じている。これを国の方針と捉えられると、どうなるのか危惧している。増田レポートを全面的に否定するものではないが、小さな町村、中山間地域の町村を県として支えていくという根幹が崩れてしまう可能性があることを心配している。小さな町村、中山間地域の町村を県として大切に支えていくという大きな柱として目に見える形で報告していただきたい。

(8)空き家対策について

角倉委員
 移住したくても住む場所がなければ移住したくてもできないと思うが、中山間地域における空き家対策について、群馬の未来創生本部においてどのように位置づけ、対策を進めていくのか。

五十嵐地域政策課長
 移住促進ワーキンググループにおいては空き家対策に関して議論していないが、当課としては過疎山村地域における空き家の活用は、移住促進の観点から重要かつ有効な取組であると考えている。しかしながら、所有者の理解と協力を得る必要がある。
 また、移住者の受け入れについては、地域全体の合意形成が不可欠であり、地元自治体の取組が重要となる。このため、南牧村では「南牧山村ぐらし支援協議会」を設立し、地域が一体になって空き家調査や、空き家バンクの運営等に取組んでいるほか、桐生市やみなかみ町などでも同様の取組を行っている。県としては、こうした取組をしっかり支え、他の市町村へも波及させていきたいと考えており、庁内関係課とも連携して取組んで参りたい。

角倉委員
 移住促進ワーキンググループにおいても、今後、空き家対策について議論されるのか。

五十嵐地域政策課長
 検討項目になり得ると考えている。

(9)若年女性の雇用創出について

角倉委員
 若年女性の雇用創出ワーキンググループでの議論における、ジョブカフェの役割拡大についての検討の状況はどうか。

福田女性・若者就職支援主監
 ワーキンググループでは、「就活女性を応援する施策」として、県外に進学した女子大生や県内で就活中の女性をまるごと支援して、群馬に住んで働いてもらおうという事業を検討しており、ジョブカフェをこの拠点として活用したいと考えている。具体的には、企業と女性のマッチング支援の強化として、県内企業にUターン就職した女性社員と女子学生との交流会や、インターンシップ、企業見学会などの体験型の支援、ICTを活用した女性が働きやすい県内企業の情報発信などを検討している。

角倉委員
 ジョブカフェが重要な役割を担っており、来年度の予算は拡大すると考えてよいか。

福田女性・若者就職支援主監
 ジョブカフェ事業については充実の方向で検討していきたい。

(10)県内の高校生や大学生の県内就職の促進について

角倉委員
 県内の高校生、大学生や専門学校の方が県内に就職してもらうことが大事だと考える。学生の県内就職の促進について、群馬の未来創生本部ではどのように位置づけて議論されているのか。

福田女性・若者就職支援主監
 現在、群馬の未来創生本部の移住促進ワーキンググループや若年女性の雇用創出ワーキンググループで議論しているところであり、今後の施策に反映させていきたい。

角倉委員
 労働政策課長に質問するが、高校生、大学生等に対する県内就職促進について、現在の県の具体的な取組はどうか。

石川労働政策課長
 県内外の大学等に進学している学生を、県内で就職してもらうための各種の取組を行っており、主な取組としては、首都圏及び県内の大学約80校を中心に「Gターン倶楽部」というネットワークを作り、大学の就職担当者を通じて、Uターン就職希望の学生に県内企業の情報提供等を行っているほか、首都圏及び県内で合同企業説明会や就職面接会を実施しており、来年度も継続していきたいと考えている。

角倉委員
 今後は、多くの高校生に対して県内企業に就職するため取組が大事になってくると考えるが高校生に対しての、県内就職の促進施策はどうか。

遠藤高校教育課次長
 各高校では、地元企業と連携したインターンシップの実施、社会人講師の活用等を通じて、地元企業への理解、関心を高めるための取組を行っている。また、キャリア教育を実施する中で、地元企業の良さを知り、主体的な選択を行う態度を養っている。
 さらに、平成26年度は、労働政策課と連携して「若者のキャリア教育サポート事業」を実施する中で、キャリア教育に関するコンサルティング等を行い、地元中小企業についての情報発信を行っているところである。

角倉委員
 高校生の県内企業への就職状況はどうか。

遠藤高校教育課次長
 平成26年の就職者総数に対する県内就職者の割合は、約9割であった。特に、女子の県内就職者の割合は90数パーセントであり、多くの者が県内に就職している。

(11)国への提言について

桂川委員
 国への提言については、「群馬ならでは」の視点で、本部で検討しているとの説明だったが、どのような項目を検討しているか。

塚越企画課長
 国への提言は、群馬の未来創生本部の第2回会議で議論したところだが、群馬ならではの観点で、新たなものを考えていくという方向で検討している。内容的には群馬だけの提言ということはなく、他県でやっていることと同じような内容もあるかもしれないし、既存の事業の延長になっているものもあると思うが、群馬の特徴を活かして、市町村と一緒になって取組むことができる、現場に合った項目ということで議論を進めている。

桂川委員
 委員会に対しても、検討の経過を説明してもらいたい。

(12)本県への移住について

桂川委員
 群馬の地域特性に合った方に対して、移住のアプローチをする必要があると思うが、移住促進ワーキンググループにおいて、どのような移住者像を考えているのか。

五十嵐地域政策課長
 群馬の特色として東京に近いことが移住に対しても影響を与えると考えている。東京圏との二地域居住も可能である。さらに豊かな自然環境の下、ワークライフバランスのとれた生活も送れるという面が本県の強みだと考えている。市町村と協力し、各地域の特色を、群馬らしい移住提案として情報発信を強化していきたい。

(13)若年女性の雇用及び家族の理想実現ワーキンググループでの議論について

桂川委員
 若年女性の雇用創出ワーキンググループでの議論について、群馬県の就業構造における女性の雇用の現状はどうか。

福田女性・若者就職支援主監
 県外進学者は約6,000人おり、そのうち県内で就職する人は約2,000人である。県内の求人の状況については、平成25年度の全職種での有効求人倍率は0.99倍であるが、女性が多く希望する一般事務職については0.26倍と低い状況となっている。

桂川委員
 女性に関して、どの業種に雇用されているのか。

福田女性・若者就職支援主監
 県内女性が雇用されている主な職業は、介護・福祉、販売等の職種であり、製造業も増えてきているものの、パートが多い状況である。

桂川委員
 県外に進学した女性と県内企業のマッチングについて、どのような議論を行っているか。

福田女性・若者就職支援主監
 ワーキンググループの議論では、そこまで進んでいないが、中小企業へのヒヤリング調査の中では、女性が機械工として活躍している例もあり、そのため、ワーキンググループでは、本県ならではの「ものづくり産業」の特色を活かして、「メカ女」というメカニック系の職種に従事する女性を育成するなど、女性の職域拡大を進める必要があるという議論を行っている。

桂川委員
 家族の理想実現ワーキンググループでは「結婚のメリット」という議論がされていると説明があり、結婚にメリットを考えなければいけない時代なのかと驚いた。結婚のメリットについてどのように議論しているのか。

五十嵐少子化対策・青少年課長
 結婚の理想実現と、子ども数の理想と実現の2つの論点で議論を行っている。結婚の理想実現について、20~39歳の独身男女の約78パーセントが結婚を希望しており、一方、有配偶率はここ30年間で、約66パーセントから約45パーセントまで減っている現状がある。現在、結婚はライフプランにおける選択肢の一つとなっており、結婚制度に対し経済的インセンティブの創出が必要ではないかという議論や、結婚式、住居などの資金面でのハードルがあり、これらを解消する施策が必要だという議論が行われている。
 また、結婚が親の意見に左右されるという状況があり、親の世代と今の世代の結婚観は大きく違うので、親に対する意識啓発の必要性についても議論が出ている。
 このほか、子ども数の理想実現に関しては、妊娠・出産の正しい知識の普及啓発、ライフデザイン教育の必要性、3世代同居や近居による子育て支援の可能性について議論を行っている。

(14)通学路及び身近な公園の整備について

桂川委員
 中・高校生の自転車通学への交通安全対策はどうなっているか。

小此木建設企画課長
 平成25年に、自転車利用者の多い県内4市の駅と学校を結ぶ12地区の路線、約45キロメートルを「自転車通行環境整備の対象地区」に決定し、これらの地区の整備方針を策定するため、今年度、3地区においてモデル事業を実施した。
 これから、モデル事業の検証を踏まえて、今年度中に他の地域の整備方針を定めて中高生の自転車通学にかかる交通安全対策を進めていきたい。

桂川委員
 安心して群馬で育つには、安心して学校に通えることも大事なので、しっかりと対応してもらいたい。
 最後に要望であるが、県立公園の整備はしっかりとしてもらっているが、家の近くにあるような公園が遊びにくくなっているので、安心して遊べるよう検討できないか。

小此木建設企画課長
 市町村の所管であるので、市町村に伝えたい。

酒井委員
 通学路での事故が増えている。国が実施した緊急点検では6万箇所、1校あたり約3箇所で安全対策の必要があり、非常に多くの危険箇所がある。対策が必要だと思うが、今後の取組についてはどうか。

小此木建設企画課長
 平成24年度に実施した「通学路の緊急合同点検」において、県全体で1,284箇所の危険箇所が指摘され、このうち1,111箇所については、平成25年度末までに対策を完了している。引き続き、未対策箇所の対策に取り組むとともに、合同点検を継続しながら、新たな危険箇所の交通安全対策を推進して参りたい。

酒井委員
 現在、優先順位を決めて順次対策を行っていると思うが、優先順位はどのように決定しているか。

小此木建設企画課長
 歩行者数、利用形態、幅員や線形といった道路構造なども含め、総合的に勘案して優先順位を決定している。

(15)子どもの貧困率と貧困対策に係る学習支援について

酒井委員
 3年毎に発表される子どもの貧困率が2012年末で16.3%と過去最悪になった。OECD加盟国の34カ国中ワースト10となり、政府も、昨年の2013年6月に「子どもの貧困対策推進法」を制定した。
これを受けて、国は今年の8月に子どもの貧困対策に関する大綱を閣議決定した。県として、子どもの貧困対策に対しての具体的な対応はどうするのか。

川原健康福祉課長
 国においては今年8月に大綱を制定した。今後、県を含む地方公共団体と国で、子どもの貧困対策を総合的に推進していくことになる。
 特に、大綱においては、地方公共団体の施策として、「教育支援」や「生活支援」、「保護者に対する就労支援」、「経済的支援」などに計画的かつ地域の実情を踏まえて取組んでいくことを方針としていることから、県としては、教育委員会や庁内関係部局等と連携して、対応していきたいと考えている。

酒井委員
 国は調査を行って貧困率を出しているが、県として、貧困の実態調査を行っているか。

川原健康福祉課長
 県としては、独自に貧困の実態調査は行っていない。
 国の調査についても国民生活基礎調査として、全国からサンプリング調査を行っており、都道府県別のデータは有意性がないということで公表していない。
 県としては、今後、関係部局等と連携し今後の対応を検討していく中で、必要性があれば、県独自で調査・研究していくことを検討していきたい。

酒井委員
 義務教育の子どもについては、給食費や学用品費、修学旅行費などを援助する就学援助対象者の割合が、全国の数字で2012年度は15.64パーセントと過去最高となり、17年連続の上昇となったが、群馬県の状況はどうか。

吉澤管理課長
 本県の就学援助対象者の状況は、平成24年度の数値が「要保護児童・生徒」は675人、0.40パーセント、「準要保護児童・生徒」は10,404人、6.22パーセント、「全体」では、11,079人、6.62パーセントとなっている。

酒井委員
 政府は自治体に対して、生活保護基準の引き下げが住民に影響が及ばないようにと通達を出しているが、財政的な援助が必要だと思う。県として保護を必要としている住民が不利益にならないように、どんな支援を行っているか。

吉澤管理課長
 就学援助は市町村の事業であり、財源については、要保護は国庫2分の1、準要保護は三位一体改革により市町村に税源移譲され、一般財源化されている。
県として、市町村への新たな補助は考えていない。

酒井委員
 市町村が就学援助制度に財源を充てていくよう、国庫補助に匹敵するような県独自の財政支援措置を作るべきだと考えるがどうか。

吉澤管理課長
 就学援助制度については、財政措置の枠組みが決まっており、新たな県独自の財政支援措置は考えていない。

酒井委員
 大綱では、学校をプラットホームとした子どもの貧困の総合支援をするとしているが、貧困の連鎖を防止する学習支援についてどう考えるか。

川原健康福祉課長
 貧困の連鎖を断ち切るには、学習支援は非常に重要であると考えている。今回の大綱を受けて、厚生労働省や文部科学省においても来年度の概算要求に様々な学習支援策を盛り込んでいる。大綱の中でも、学校をプラットホームにした学力の向上対策が大きな柱として盛り込まれているが、生活困窮家庭には、ひきこもりや不登校といった事案が多いことから、福祉サイドとしては、学力向上以前の問題として、子どもの学習意欲の向上や保護者の学習への理解を深めることも含めて、訪問型の学習支援の実施を検討している。

酒井委員
 給付制の奨学金を作っていく必要がある。大学進学率も高校進学率も、一般家庭に比べて低所得世帯は低い。低所得世帯の進学率向上のために県として向き合っていくべきだと考えるがどうか。

吉澤管理課長
 高校生に対しては、今年度から低所得世帯に対する給付型奨学金(奨学のための給付金)が創設され、負担軽減について一歩前進したと考えており、学習環境の充実にも役立つものと考えている。

水野委員
 生活困窮者自立支援事業において、今年行っている学習支援のモデル事業の状況についてお聞きしたい。

川原健康福祉課長
 来年4月から施行される生活困窮者自立支援のモデル事業として行っているのは相談事業であるが、その中において、各町村を回り学習支援の需要についても把握を行っているところである。今年度、前橋市と伊勢崎市では学習支援事業を独自に行っている。

(16)学びと仕事の両立について

水野委員
 学びと仕事の連携について、今までも高校の現場と労働政策課と連携していただきたいと要望してきたUターン対策について、現状はどのように検討が進んでいるのか。

福田女性・若者就職支援主監
 高校卒業生及びその保護者に向けて、将来Uターン就職する上で必要な就職に関する情報発信や就職活動をサポートする拠点としてジョブカフェがあることを、高校教育課と連名で年度内に文書を発出したいと考えている。あわせて、その際に配布するチラシの内容について、検討を進めているところである。

水野委員
 チラシを配布するだけなのか、大学進学後に連絡する仕掛けはどのように考えているのか。

福田女性・若者就職支援主監
 チラシにより高校卒業時にジョブカフェのメールマガジンに登録してもらう予定だが、登録を忘れたとしても、主に首都圏の大学を構成員とする「Gターン倶楽部」を通じてジョブカフェの情報を県内出身学生に発信し、再度ジョブカフェへの登録を促すという二段構えの仕組みを検討している。

水野委員
 学びと仕事の連携について、大学や高校の現場では先生方がどのくらい現状について理解を進め、人生設計においてその必要性を説けるかが重要であるが、現状はどうか。

遠藤高校教育課次長
 労働政策課と連携し、学校現場でも対応可能な事業を、キャリア教育と絡めて実施している。

水野委員
 高校の現場におけるインターンシップの取組について、実業高校だけではなく、普通高校でも取組んでいるという説明だったが、実施状況はどうか。

遠藤高校教育課次長
 インターンシップ事業については、専門学科が主体であったが、平成25年度には短期で延べ82校、4,590人が参加し、実施率は学校単位で88パーセントとなり、全国順位で19番目となっている。また、今年度からは普通科でも試行的に実施している。

水野委員
 一校で学生一人が一回実施しても、実施数は1となると思うが、どの程度の日数で実施しているのか、また体験は含まれているのか。

遠藤高校教育課次長
 長期と短期のインターンシップがあり、長期は2週間程度、短期は5日間以内で実施している。インターンシップ実施率とは、在学3年間のどこかで体験した学生の割合を表している。

水野委員
 県内私立大学についても、県内就職をしてもらいたいと思う。大学と地域の連携等、県からの働きかけや支援を行っているか。

中村学事法制課長
 大学は文部科学省直轄のため、情報を有していない。

水野委員
 先ほどの高等学校の件とあわせてだが、福井県において、日常的に地域の企業と連携していく事によって、県内就職率が高まり、就職後3年での離職率が下がる傾向が出ていると聞いている。具体的に現場で働いている方々の課題や、現場の方とのやりとりを高校生のキャリア形成に役立てるという事業があると聞いている。
 私立大学であっても、県が仲介して地域事業と連携を図る取組を展開していけば、学生も就労を意識し、就職後の定着につながっていくと思う。高等学校も同じことで、単なるインターンだけではなく、授業の枠組みを工夫して地域を意識して行くことが必要ではないか。

中村学事法制課長
 私立学校の個別の教育内容については、自主性を尊重し任せているが、実体験に欠けている若者は就職しても長続きしないという状況もあり、各学校で実習やボランティアにも取組んでいると聞いている。専門学校は県が所管しているが、職業実践専門課程という国の制度が創設され、企業と密接に連携して学ぶ取組を文部科学大臣が認定している。
 企業と連携して、エンジニアに来てもらって実習・演習を行ったり、教育課程の編成委員会に企業として参加してもらったり、現場で役立つノウハウを身につける教員研修を実施している。
現在、18校、33学科が認定を受けており、このような取組もあり県内就職率が高い。

遠藤高校教育課次長
 県立高校では、地元企業と連携したインターンシップだけでなく、社会人講師の活用も行っている。専門学科では昨年度18校で560時間、総合学科では11校で293時間にわたって社会人講師による授業を実施している。様々な職業人からの講義を受けることで、地元企業への関心・理解を深めている。

(17)子ども医療費無料化について

水野委員
 県として独自に子どもの医療費無料化に取組んでいるが、そのために国からペナルティを受けていると聞いている。国から受けているペナルティの状況はいかがか。

相澤国保援護課長
 国は、昭和59年10月から、地方単独で本人の一部負担金の引き下げ等を行っている保険者に対して、医療費の増加に拍車をかけるものとして、国庫負担金等を削減している。これが、福祉ペナルティである。
 県と市町村の福祉医療全体では平成25年度実績で12億4,300万円ほど、このうち、子ども医療費は2億3,900万円ほど削減されている。

水野委員
 ペナルティに対して、国への働きかけの状況はどうか。

相澤国保援護課長
 県では、政策要求として、国に対して、国による福祉医療制度の創設とペナルティ措置の廃止を毎年度要求している。

水野委員
 衆議院本会議における「まち・ひと・しごと創生法案」の議論の中で、医療費の助成制度など地方が独自で行う事業に対して、国の制度が阻害していないかという質問に対して、総理から、必要な検証を行う、と答弁があったと聞いている。今後の働きかけについては、地域のサービスの差別化という観点から、日本一優れていると認識している群馬県独自の施策である子ども医療費の無料化について、県の優位性を踏まえた働きかけをしていただきたいと考えるが、いかがか。

相澤国保援護課長
 委員ご指摘の点を踏まえ、今後も引き続き国に対して粘り強く要求していきたい。

(18)議員研修会について

水野委員
 12月4日に議員研修会としてNHK解説主幹の島田氏から話を伺った。参加した部長の感想はどうか。

本多生活文化スポーツ部長
 NHK解説主幹の島田氏による「日本政治の行方~人口減少社会に向き合うために~」との講演であったが、全般的に明確な語りぶりで、非常に分かりやすかった。
印象深かったのは次の3点である。
 1点目は、今までの政治は「利益の分配」であったが、少子高齢化社会においては「不利益の分配」が避けられないため、より生活に踏み込んでいく必要があるという点。
 2点目は、事例紹介の中で、これからの30年は、現在の20~30代の若い世代が自分たちの地域をどうしていくかについて真剣に考える必要があるということ。現在、群馬の未来創生本部で3つのワーキンググループで議論しているが、まさに20~30代の若い職員も加わって自分の実感の中から意見交換をしているところであり、彼らの「当事者としての意見」等を真剣に取り込んでいく必要があると感じたことである。
 3点目は、参加された議員が地域のことを真剣に考えて積極的に質疑されていたことであり、改めて人口減少問題に関する議員の熱心さを実感したことである。

水野委員
 地域政策課長の答弁にもあったが、講演の中で「軽い覚悟で来られるのが群馬県」という言葉が印象的だった。また、二地域居住というような提案もあったが、移住促進ワーキンググループでは具体的にどのような議論が行われているのか。

五十嵐地域政策課長
 本県における移住促進の課題として、これまでは団塊世代を対象とした移住促進を図ってきたが、近年は移住に対するニーズが若い世代にも広がっていることから、若年層に対象を拡げる必要がある。また、群馬は、強い決意をもって移住される場合にも受け皿となり得るほか、軽い気持ちで週末だけ田舎暮らしを体験してみたいという場合にも対応できるというように、様々な暮らしができるという部分での情報発信が少し不足している。こうした課題を踏まえ、様々な手法や媒体を多く用いた効果的な広報・情報発信のあり方や、移住希望者からの様々なニーズや相談に対してしっかり応えていくための機能の充実強化について議論を進めている。

水野委員
 移住促進ワーキンググループでは、まち・ひと・しごと創生会議による「東京在住者の今後の移住に関する意向調査結果」なども踏まえた議論がなされているか。

五十嵐地域政策課長
 国では、東京で暮らすことについてあまり魅力を感じないことから、地方で自己実現を図るという価値観が若い世代に広がりつつあるといった議論がなされていることを前提として、ワーキンググループでは議論を行っている。


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