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環境農林常任委員会(環境森林部関係:平成29年度)平成29年3月13日(月曜日)

1.開催日時

平成29年3月13日(月曜日)10時04分開始 16時16分終了

2.開催場所

403委員会室

3.出席委員

委員長:金井康夫、副委員長:高橋正
委員:関根圀男、委員:黒沢孝行、委員:須藤昭男、委員:新井雅博、委員:星名建市、委員:伊藤祐司、委員:金子渡、委員:井田泰彦

4.欠席委員

なし

5.主な質疑

(1)環境森林行政と平成29年度当初予算について

関根委員
 平成29年度の予算づくりにかけた思いはどうか。

井田環境森林部長
 群馬県の強みである、または強みとなるべき環境と森林の2つの分野についてしっかりと予算をつけ、施策展開をしながら群馬県を支援していく思いで編成した。

関根委員
 入庁してから退職までの37年間を振り返った感想、今後の群馬県の環境森林行政はどうあるべきか伺いたい。

井田環境森林部長
 37年間は主に森林林業の行政分野に携わったが、今ほど森林がクローズアップされている時代はなかった。その理由としては、地球温暖化の問題があり、CO2の吸収源として、また水を育む森林として、その他多面的な機能を発揮する森林を維持していかなければならないという皆さんの思いをひしひしと感じているからである。

 ただし、それだけでは、今の時代、健全な形で森林を維持していくことは困難であると思う。森林と林業の両輪をしっかりと前に進ませるように林業の成長産業化を実現していくことが必要である。林業の成長産業化というと、森林資源がある山間地域の地域振興、人口減少対策として、林業が生業として成り立つ仕組みを作らなければならないと思う。

 そういった思いで今年度予算も来年度予算も編成した。スタートラインはしっかりと切れるはずだと確信している。

(2)人口減少対策としての林業の成長産業化に向けた取組について

関根委員
 「森林県ぐんま」から「林業県ぐんま」に向けて、平成31年には素材生産量40万立米達成の目標があるので、もっとメリハリのある予算になっているかと思っていた。人口減少社会への対応や林業の成長産業化が予算議案の中で具体的にどこに反映されているか伺いたい。

井田環境森林部長
 林業の成長産業化は人口減少社会にあって、山間地域の振興を図る上では成し遂げなければならないものである。

 そのためには、林業だけではグローバルな商品としての木材の競争力は、国際的な水準からみると賃金が高い日本においては、林業としての内部経済が成り立たない状況にある。その部分をしっかりと森林のための公益的な機能、多面的な機能を含めた形で内部経済化する、外部不経済にならないような形でしっかりと取り込んでいくことが必要である。

 効率化やICTを活用した木材需要に沿った形での安定供給体制の構築、安定供給体制から供給される木材が木材需要に応じた供給ができるような体制を創ることがこれから求められている。

 これらは、一朝一夕にできるものではないが、今回の予算の随所にその種を蒔かせてもらった。

金井田林政課長
 群馬県森林・林業基本計画では、8本の柱を立てて、目標年度を31年度までと1年前倒しして取り組んでいる。

 8本のうち特に力を入れているのが、「持続経営可能な森林づくり」で、集約化専門官が中心となり森林経営計画のカバー率を高め、森林離れした森林所有者に持続的な経営に取り組んでもらうものである。現在、集約化専門官が地域に入り込んで魅力的な森林経営を提案して、できるだけ森林所有者に経営に参入してもらえるように取り組んでいる。

 2本目の柱として、効率的かつ安定的な素材生産量の整備を掲げている。これは林道作業道の開設、利用間伐の推進のための予算で必要な額を確保している。利用間伐の推進については、平成28年度は1,200ヘクタール分の予算を措置したが、29年度はさらに上乗せして1,400ヘクタール分の予算を確保した。

 さらに、ICTを活用した情報共有システムを創って、プロダクトアウトからマーケットインにしていく。これは、東京大学が中心となって進めている「スマート林業」を実現するもので、群馬県も一員となって研究開発を進めている。これも将来への布石として積極的に取り組んでいく。

山崎林業振興課長
 基本計画の達成と林業の成長産業化に向けて、林業振興課が参加している木材関係については、安定供給体制の構築と供給・需要両面からのサプライチェーンをしっかり作ることが重要である。

 安定供給体制の構築については、現在は山元が市場に材木を出して市場では買いたい材を買っていく形になっているが、今後は山元と製材工場との協定取引により、毎月500立米出荷するというように山元からの直送という取引方法を広めていくための予算を計上している。

 サプライチェーン関係では、木材利用の中でプレカット工場の占める割合が非常に高くなっている。木造軸組工法では90%以上がプレカット工場を通っているため、今年度の補正予算ではあったが、プレカット工場の支援をしている。

 また、平成29年度予算では、県内で建てた木造住宅の中で4分の1はツーバイフォー工法になっており、これまで県産材がほとんど供給されていなかったため、関係者が連携して部材を売るための体制を作っていくための予算を計上している。

ICT=Information and Communication Technology(インフォメーション アンド コミュニケーション テクノロジー)の略語

(3)尾瀬学校について

黒沢委員
 尾瀬学校に取り組んでいる割合が高い地域と低い地域があり、地理的な条件だと思うが、吾妻郡や東毛地域の館林・邑楽郡が非常に低いので、まずはこのへんの状況について伺いたい。

堀越尾瀬保全推進室長
 尾瀬学校の未実施校については、西毛地域の一部、東毛地域、吾妻地域に多くある。平成27年度に尾瀬学校の未実施校に対してアンケート調査を実施したところ、その理由としては尾瀬が遠方であること、地元で環境学習を行っていること、学校行事が多くて時間が確保できないことなどが挙げられている。

黒沢委員
 県内には渡良瀬遊水地や芳ヶ平湿地群もあり、3つの湿地がラムサール条約に登録されている。それらと尾瀬学校をどのように調和していくかは、学校にしてみれば色々な思いがあると思うので、尾瀬に対する思いと環境教育の調整を図る必要がある。

 まったく取り組んでいない自治体があるので、それらの市町村としっかりと意見交換をしてやっていくということも非常に重要だと思っている。平成29年度はそのへんをどのように考えているか伺いたい。

堀越尾瀬保全推進室長
 未実施地域を対象とした校長会へのPRや平成28年度から行っている未実施校への直接の訪問等の取組をさらに強化するとともに、平成29年度からは学習教育の均質化を図るためのガイド用のハンドブックの作成を進める予定である。

 併せて、尾瀬学校の素晴らしさを深く学校の先生や校長に理解してもらうことが必要であるので、PR映像等の制作に取り組むなど、引き続き教育委員会と連携を図りながら未実施校の解消に向けて取り組みたい。

黒沢委員
 渡良瀬遊水地や芳ヶ平湿地群があるため、近いところで環境教育をしたい学校もあると思う。特に吾妻地域は物理的な問題も含めて。私は必ず尾瀬で環境教育をしなければならないとは思わないが、そのへんの柔軟な考えはあるのか。

松下自然環境課長
 まずは尾瀬学校に行ってほしいというのが県の思いである。ただし、芳ヶ平湿地群や渡良瀬遊水地もあり、自然環境に恵まれた地域であるので、そこでの環境学習もできると思う。

 現在芳ヶ平湿地群にはガイドがいないためガイドの育成を進めており、そういったことも含め全体的に環境学習が進んで、群馬県の素晴らしさを子どもを含めたくさんの人に知ってもらうことが重要である。

 今後も尾瀬学校を始めそれぞれの地域で環境学習が進むように取り組みたい。

(4)竹林整備について

黒沢委員
 耕作放棄地、特に中山間地では非常に竹が生えてきていると思う。竹林はこの10年間でどのくらい増えているのか。

金井田林政課長
 地域森林計画のもととなる森林簿によると、この10年間で竹林は2.3%の増となっている。ただし、地域森林計画の編成にあたっては、空中写真から人の目によって森林を判別しているので、小さい竹林や竹林そのものの見分けが難しく、正確にとらえられない。竹林は森林にどんどん侵入しているが、侵入した竹林の面積も空中写真からでは分からないのが現状である。

 県全域の調査ではないが、平成26年度に西毛の典型的な里山地域で実施された調査研究があり、その報告によると平成13年度から平成25年度の12年間になるが、その地域内の竹林が30ヘクタールから57ヘクタールに増え、面積で1.9倍になっている。

黒沢委員
 竹林整備は平成29年度から力を入れていかなければならないと思うが、それに対する基本的な方針を教えてほしい。

金井田林政課長
 ぐんま緑の県民基金事業では、市町村提案型事業の荒廃した里山・平地林の整備事業の中で竹林の整備に支援をしている。平成28年度当初に市町村提案型事業で採択した事業は2億8千万円で、約7割が竹林整備に係る予算となっている。

 平成29年度であるが、同じく2億8千万円を確保している。現在35市町村から約300事業が提案されている。300事業の中には竹林整備がかなり含まれているので、平成29年度においても竹林整備を重点的に進めることになる。

 これまでの実績であるが、平成26年度から28年度までの3年間で見込みを含め、竹林整備面積は約100ヘクタールとなっている。事業を実施した結果、道路わきの竹林が整備され見通しが良くなったとか、畑のわきの竹林の整備が進み野生動物被害が減少したとの評価を受けており、引き続き竹林整備に取り組みたい。

黒沢委員
 群馬県で森林・山村多面的機能発揮対策交付金を活用して活動している団体等を含めどのような取組をしているのか、そしてそのことが竹林を減少させているか把握しているか。

高橋緑化推進課長
 林野庁から各都道府県に設けられた協議会に補助金がきて、協議会からNPOあるいは自治会、林業団体等に交付金が交付される仕組みになっている。

 この事業については、侵入竹の整備・除去が主な事業となっている。群馬県では、約11団体が交付金事業を行っている。平成28年度の整備面積については6.7ヘクタールで、交付金の金額は250万円程度になっている。県内の状況は把握していないが、静岡県内では堆肥、肥料化して使用していると聞いている。

(5)花粉症対策としての少花粉苗の生産について

黒沢委員
 スギとヒノキの花粉は、例年5月連休明けまで多く飛散している。県では花粉の少ないスギの研究をしているとのことで、少花粉の苗を徐々に広めていっていると思うが、即効とはいかないためその苗が20年、30年たって成長し、花粉が多い木が伐採されないと飛散する花粉が少なくなった実感がわかないと思う。そこで、少花粉の苗がどの程度普及しているのか、また研究の方向性について教えてほしい。

根岸林業試験場長
 林木育種については、林業種苗法が施行されたことを踏まえ、本県においても林木育種場を整備しスギ、ヒノキ等の育種にとりかかった。国の林木育種センターや他県とも連携し、群馬県に合う品種、または他県にある品種を勘案しながら、林木育種場に導入できる品種を育種している。

 材の質まで考えると、検定するまでに1年生の作物と違い何十年もかかるため、平成15年に全国に先駆け「ミニチュア方式」の採取園を造成した。少花粉のスギは、一般のスギに比べ1%以下の花粉の量となっている。スギについては平成18年からすべて花粉症対象の種子となっており、県内の苗木の生産者に林木育種の種子を配布している。

 試験研究では、現在花粉症対策の品種、クローンがあるが、その成長等をみながら、採種園の改良に取り組んでいる。

 ヒノキでは、平成27年の末までに全国で56品種の少花粉ヒノキが開発されており、本県では平成23年に最終の採種園の造成をして、少花粉の種子が採れるようになった段階である。

(6)ぐんま緑の県民基金事業の効果検証に係る調査分析について

黒沢委員
 ぐんま緑の県民基金事業の効果検証のために、118万7千円が計上されているが、効果検証はどのように行うのか伺いたい。

根岸林業試験場長
 県民基金事業の「水源地域等の森林整備事業」により、林業試験場が実施している間伐事業の効果検証について行っている。具体的には間伐を実施する前、間伐した後の光の環境、真っ暗な状態で下草も生えないような林からどのように回復しているか、植生も含め、その状況をモニタンリングするものである。

 県内を4地域に分け各地域から5林ずつ計20林を固定調査種として、間伐前後の変化を継続調査している。照度、被植率、植物の種類等を毎年調査し、植物の乾燥度も調べており、調査結果については緑の県民税評価検証委員会に報告している。

(7)林地台帳について

須藤(昭)委員
 昨年5月に森林法等が改正になって、森林の土地の所有者、林地の境界に関する情報等を整備、公表する林地台帳の制度が新たに創設された。林地台帳は市町村が整備することになっているが、県の役割をあらためて確認したい。

金井田林政課長
 森林の情報は地域森林計画を樹立するため、森林簿として森林GIS上に色々と登録している。そのGISの情報は林地台帳のもとになるが、それに加え、今年度は法務局から森林の土地登記簿と公図のデータの提供を受け、それらの情報を来年度に統合して林地台帳の原案を作成し、市町村に提供することが県の役割になっている。

須藤(昭)委員
 県の役割としては、GIS情報、あるいは法務局の公図等の情報を整理して台帳として市町村に提供するということであるが、市町村の受入体制はどうのような状況になっているのか。

 また、市町村に対する具体的な支援方策、例えば補助金は難しいと思うが、どのように支援をしていくのか、現時点で考えがあれば聞かせてほしい。

金井田林政課長
 林地台帳を作成したり、公表したりするための体制整備はこれからだと思っている。市町村の間で温度差があり積極的に問い合せたり、準備を進めているところもある。

 林地台帳は、情報としては欠落した部分が多く、登記簿上でも森林簿上でも精度が低いところがあるので、これからどのように高めていくかが一番の焦点になるかと考えている。精度向上への取組が今後必要になるため、ある程度市町村においても精度向上への取組が図られるように県として支援しなければならないと考えている。

金井田林政課長
 現時点では林地台帳を整備するための予算については、総務省から普通交付税として措置されている。

土屋森づくり主監
 普通交付税についっては、森林面積や林業従事者数が基準財政需要額に算定されている。

GIS=地理情報システム(Geographic Information Systems)の略称

(8)群馬県独自の森林施策について

須藤(昭)委員
 前回の委員会でもイノベーションを起こす必要があるのではないかと指摘したが、林地台帳も国の森林法の改正によって創設されたわけだし、「林業県ぐんま」を目指すと言っておきながら、群馬県独自の森林施策が見えてこない。

 群馬県らしさを出していくことが、私は良いと思っているが、群馬県らしさについてはどう思っているのか。

井田環境森林部長
 以前は間伐をする際には負担金を払って間伐をしてもらい、間伐した木を売っても負担金を回収できない赤字の状態であった。しかし、現在はすべてではないが、間伐をすることによって、補助金を含めてだが間伐収入を森林所有者が得られるようになった。

 渋川県産材センターの役割が非常に大きく、同センターではA材からB材、C材、場合によってはD材まで受け入れている。そうしたことで、今までA材、B材しか出てこなかったものが、C材、D材まで山から出てきて、付加価値が得られるものは所有者に返っていくスキームができるようになった。これは、群馬県が全国に誇るべき成果であると考えている。林地台帳も平成31年までに整備しなければならないが、国では平成31年から精度の高いものが整備されるとは考えておらず、整備した後に徐々に精度を上げていくと言っている。

 今後は、所有山林に資産価値があることをしっかりと所有者に分かってもらえるように間伐を進める、木材の利用を進めるためのサプライチェーンを整備したい。

(9)小水力発電について

星名委員
 小水力発電の導入促進であるが、農業用水路における有望地点の調査公表ということであるが、どの程度の規模を予定しているのか。

中田環境エネルギー課長
 土地改良区を中心とした農業用水を対象に考えている。件数としては4、5件程度で検討している。

星名委員
 県内で小水力発電はどのくらいあるのか。

中田環境エネルギー課長
 39箇所である。

(10)新エネルギー特別会計について

伊藤(祐)委員
 太陽光発電はたった4箇所の維持管理だけをやるとのことであるが、新規の設置は考えていないのか。

中田環境エネルギー課長
 滞留金が新たな太陽光発電を設置するまでになっていないので、ある程度資金が貯まったら検討していきたいと考えている。

伊藤(祐)委員
 県の環境白書をみると太陽光発電を平成26年度から平成31年度にかけて2倍にするとの目標になっている。事業用だけをみても2倍以上の規模にするとある。そうであれば、わずか4か所の太陽光発電の売電により新エネルギー特別会計に資金が貯まっていくことを待っているのではらちがあかないと思う。

中田環境エネルギー課長
 県としても設置していかなければならないと考えている。財源がないと新規の設置は難しい状況にあるが、できる限り増えるようにやってきたいと考えている。

伊藤(祐)委員
 会計の中でしか考えていないのでは、いつまでたっても前に進まない。今求めれられていることは急いで再生可能エネルギーを増やしていくことである。太陽光発電を設置可能な県有施設はどの程度あるのか。

中田環境エネルギー課長
 昨年終了した再生可能エネルギー等導入推進基金事業で、太陽光発電の利用可能な庁舎の調査を実施したところ、屋根や屋上に太陽光発電施設を設置したときに建物が耐えられないものがかなりあった。今ある庁舎すべてに設置することは難しい状況にある。

伊藤(祐)委員
 環境白書にも県の再生可能エネルギーへの姿勢が示されている。県として再生可能エネルギーの増設計画をこの特別会計でやると決めたのだから、滞留金が貯まるまで待つというはおかしいと思う。政策的に繰り入れをして設置を進めていくことが必要ではないのか。

井田環境森林部長
 再生可能エネルギーについては県有施設についてだけでなく総合的な見地から推進すべきものと考えている。

(11)県境稜線トレイル活用について

伊藤(祐)委員
 稜線トレイルについて伺いたい。登山道を整備するとあるが、登山道の現状はどうなっているのか。安全面について整備することになると思うが、どのような整備をするのか。

松下自然環境課長
 既存の登山道については約100キロあるが、そのうち8区間で20キロ程度がアクセス道も含め群馬県が管理する登山道になっている。来年度の予算では、まずは観光客が良く利用する場所、例えば谷川岳等の荒れている箇所を補修したり、必要に応じて木道を設置、撤去したりする等、現地の状況に合わせた整備をしていきたいと思っている。

伊藤(祐)委員
 稜線部は標高が高く、天候が急変しやすい場所になる。天候が急変した場合、登山道の整備だけでは対応できない。避難場所を確保しなければならないし、場所によっては避難小屋等を整備する必要があると思う。今後、そのような対応について、他部局と連携して検討する方針でいるのか。

松下自然環境課長
 山の天候は急変しやすいので、安全面を重視することは重要なことだと思っている。登山道の整備のほか、避難小屋等については関係者とよく協議して検討したい。

(12)県有模範林施設費特別会計予算について

伊藤(祐)委員
 県有模範林施設費特別会計についてだが、素材の売払に消費税が上乗せされているのか。

高橋緑化推進課長
 県有林については特別会計で処理しており、消費税は含まれている。

(13)平成29年度の組織体制について

井田(泰)委員
 「林業県ぐんま」を目指して知事が大きく旗を振り、県政で最もスポットライトが当たっているのは環境森林部だと思う。環境分野にしても、森林分野にしてもやることがたくさんあるが、人員体制は大丈夫なのか。

須藤環境政策課長
 環境森林部の事業を推進するにあたっての職員体制の質問であるが、平成28年度から29年度にかけて職員数の変更はない。現体制でもって必要なところに人員を厚くして対応していきたい。

井田(泰)委員
 人数が変わらない中でやりくりをするということなので、作業効率を上げたり業務の取捨選択をしたりせざるを得ないと思うが、それについて来年度の方針があれば伺いたい。

須藤環境政策課長
 県全体として行政改革大綱があるので、住民に対しどういうサービスを効率的にするかとの観点で事業を見直し、メリハリをつけてやっていきたい。

(14)循環型社会づくり推進及び一般廃棄物対策に係る平成29年度当初予算について

井田(泰)委員
 循環型社会づくり推進と一般廃棄物対策の予算額が減額になっている。説明の中では計画を策定し実行していくという大切な時期になるかと思うが、問題はないのか。

岩瀬廃棄物・リサイクル課長
 平成28年度予算が1,400万円で平成29年度予算案が990万円であるが、これは2年間にわたり災害廃棄物処理計画を作るための委託事業が平成28年度で終了するため、その部分が減少している。

 一般廃棄物対策であるが、県では一般廃棄物の処理の広域化の計画を作っている。これをマスタープランと呼んでいるが、マスタープランを改定するため、循環型社会づくり推進と同様に委託事業を2年間にわたり実施している。その事業が平成28年度で終了するため、大幅に減少しているように見える。

(15)コンテナ苗木について

高橋副委員長
 群馬県では11名が苗木生産をしていて、私の地元では3名が生産しているが、高齢化で体力的にコンテナ苗でなければやっていけないし、面積的にも4分の1ですむのでコンテナ苗を促進しているが、資機材やハウスについても補助金が出るのか。

土屋森づくり主監
 平成26年度からコンテナ苗の支援を始めており、内容としては、育苗ハウス、コンテナ箱への支援となっている。

高橋副委員長
 コンテナ苗は気候の影響を受けやすいので、沼田市では寒くてハウスで育った苗が枯れるなどしてしまうが、関西は暖かいので苗が非常に流通している。群馬県では全県的にコンテナ苗を導入できるのか。

土屋森づくり主監
 群馬県は気象条件が厳しいので、寒風被害を念頭に置かなければならない。本県特有の気象条件下でどのような植栽方法、育苗方法にすれば良いのか試験研究をしている。また、寒風被害についても実際に植栽してデータを収集している。

 コンテナ苗は、今までは国有林が主体であったが、徐々に民有林でも使用する動きが出てきている。

高橋副委員長
 コンテナ苗は成長が早くて、普通の苗木であれば4、5年で下刈りをしなければならないが、3年程度で下刈りが不要になるとのことである。

 苗木生産者は県下で11人しかいないので大事にしてもらって、群馬県でも間伐でなく全伐の時代が来ると思うので、その時には十分な苗を供給できるように施策をしてほしいが、林業試験場長の意見を伺いたい。

根岸林業試験場長
 コンテナ苗については、林業試験場だけでなく全国レベルでも色々なデータを森林総合研究所で収集している。成長については、コンテナ苗を裸苗と比較すると根元径が細く、植えてすぐは成長が良くないものがあるとのデータがある。根の量が裸苗よりも少ないので、1年目の植えた当初の成長が良くない。林業試験場のデータでもそうであるが、2、3年目になると裸苗と同等の成長になると研究で明らかになっている。

(16)災害廃棄物処理における県の役割について

新井委員
 大きな災害を目にしている私たちからすると、当然に県がすべてを負うだろうと想像するので、そのようなマニュアル作りにおいては県は調整するだけでなく、自ら乗り出してやるとの思いで臨んでほしいと思っている。

 そういった中で、少なくとも市町村に施設の強靭化をお願いしたり、がれきの仮置場の設置箇所のリストアップをすると思うので、群馬県におけるがれきのリスト化はどのような状況になっているのか。

岩瀬廃棄物・リサイクル課長
 災害廃棄物については、一般廃棄物であるため、仮置場は市町村でリストアップをするものと考えている。県は、例えば事務の委託を受けて処理する場合であっても、市町村のリストにある仮置場を使用したいと考えている。県はあくまでも補完的機能を担うと考えている。

新井委員
 被災した市町村では自力で処理することはできないことも想像される。仮置場も焼却施設も破壊され、最終処分場もあるかないかという状況下で、災害復興の一番最初の手立てとしてやるべき災害がれきの撤去、搬送は、群馬県環境資源保全協会からも指摘されていると思うが、群馬県の責任において実施するべきである。また、群馬県で被災したときの災害がれきの仮置場くらいは県の責任で設置する、計画を作る段階で、設置するための行動を起こすことが最低限必要だと思うがどうか。

岩瀬廃棄物・リサイクル課長
 被災した市町村においては、廃棄物処理施設が破壊されてしまう、予定していた仮置場が使用できない場合がある。県の補完的立場として仮置場の候補地等をリストアップしたい。

 ただし、災害時においては仮置場だけでなく、自衛隊の野営地、仮設住宅、避難所等の土地利用も必要になってくるので、必要な土地をすべて集めてどこに候補地があるかリストアップすることを考えている。

(17)県の公共関与によるモデル最終処分場について

新井委員
 桐生市新里地区の最終処分場のモデル事業を約15年積み重ねてきて、通常であれば研究成果と同時に、新たな候補地に群馬県の責任で最終処分場の建設に動き出すべきだと思うが、そのへんについて、モデル研究事業と併せてどの程度進展しているか伺いたい。

岩瀬廃棄物・リサイクル課長
 モデル処分場については、県が公共関与で平成12年に整備し、14年から埋立を開始した。産業廃棄物については、廃棄物処理法では排出事業者の責任で処理をする。また、処理施設も民間事業者が設置することが原則である。

 一方、モデル処分場については、県が公共関与で整備したが、その当時は最終処分場に対する住民の根強い反対があって、最終処分場が逼迫していた。そのような状況を踏まえ、県がモデル処分場を整備したが、現在は産業廃棄物最終処分場の埋立の残余量が平成28年4月1日現在で1年間に埋め立てる産業廃棄物の量を勘案すると今の県内にある最終処分場は16年分ある。

 企業のリサイクルが進んでおり、最終処分量は減少傾向にある。県内の再生利用率は約50%となっている。最終処分量が減少していることを勘案すると、県内の産業廃棄物の処理は直ちに逼迫する状況にないと考えている。

 公共関与の一つとして事前協議制度があるが、事前協議の中で地元市町村、住民とよく協議をして理解を得るよう手続きを定めソフト的な関与をしている。来年度予算でモデル研究事業の検証を予定しているので、検証事業の中で県による公共関与の在り方について検討したい。

新井委員
 民間事業者の中で地域住民から理解を得られ、建設できる適地があるならば、そういったところを一緒になって後押しして新設していくべきだと思うがどうか。

岩瀬廃棄物・リサイクル課長
 最終処分場については、一般廃棄物最終処分場にしろ、産業廃棄物最終処分場にしろ地元の理解を得ることは非常に難しいと思う。そのため、事前協議制度を運用して事業者に汗をかいてもらい施設を整備してもらっている。

 県としても 最終処分場は生活する上でも、経済活動をする上でも欠かすことのできないものであるので、逼迫するような状況が目に見えるようであれば早めに手を打って対応したい。

(18)ライフル射撃場整備について

須藤(昭)委員
 安中市からは射撃音や反射音の半減が感じられるような防音対策を講じること、また、鉛弾については現状の残渣を除去した上で回収が容易な構造に改修すると要望されている。

 音は感覚的な部分もあるかと思うが、数値でどれくらいなのか聞かせてほしい。

松下自然環境課長
 安中市の射撃場の防音対策についてであるが、昨年9月からどのように防音壁を設置したら良いか、崖面をどうしたら良いか専門の業者にシミュレーション調査をしてもらっている。安中市にはデータを示しながら話をしているが、一番大きいところで6割くらい減少し、計画にもあるがこの対策で平均で50%程度音圧が下がるのではないかと説明している。

須藤(昭)委員
 近隣住民は今よりは格段に騒音が下がることを実感できるのか。

松下自然環境課長
 音の問題については、地域住民の生活環境にとって大変なことだと思っているので、住民にも説明したように音を軽減させるように取り組んでいきたい。

須藤(昭)委員
 安中市から要望が出ているのは鉛弾の残渣除去であるが、これまでにどれくらいの残渣があるのか。

松下自然環境課長
 鉛弾については平成14年に回収して以降、現在まで回収されていない。相当の量が溜まっていると思っている。

須藤(昭)委員
 基本設計の予算は287万円であり、これが繰越明許になっている。実際にどの程度設備に関して費用をみているのか現時点で分かれば教えてほしい。

松下自然環境課長
 ライフル射撃場とクレー射撃場の総費用であるが、平成27年12月に群馬県ライフル射撃場整備に係る検討委員会の提言では、約4億円から5億円となっている。ただし、これには鉛弾の回収や防音壁の強化等の予算は盛り込まれていないので、この金額よりは上がるかと思っている。

須藤(昭)委員
 ライフル射撃場は平成31年度には開設する予定であるが、平成29年度が来月から始まるので間に合わせることは結構大変だと思う。

 第2回定例会では具体的にどのような提案をし、どの時点で色々なことを決めていかなければならないか聞かせてほしい。

松下自然環境課長
 現在基本設計について取組を始めており、その結果が7月に出てくる予定である。実施設計のための予算を来年度お願いし、来年度中には実施設計が完了し、翌年度には工事を発注していきたいと思っている。

 そのために国の予算を利用する考えであり、国とは現在話をしており、条件やどのように進めていくかも協議をしている。平成30年度には工事ができるように色々な作業を進めている。

須藤(昭)委員
 射撃場の整備は狩猟者の確保等に大きな役割を果たすと思うが、基本構想の中にも示されているとおり狩猟免許の所有者は年を経るごとに減少している。

 群馬県での登録者のピークは昭和45年で18,947人だったが、平成25年には3,585人とピーク時の18.9%まで減少している。登録者の減少の歯止めはかかっているのか。

松下自然環境課長
 狩猟免許取得者数は、昭和56年の9,756人がピークで、平成27年が3,913人で約6割の減少となっている。第1種狩猟免許取得者数のピークは昭和56年の9,022人で、現在が1,868人で約8割の減少となっている。

 有害鳥獣対策をしていくためには、捕獲者の育成が必要である。わな猟の育成もそうだが、銃器についても少しづつではあるが増加している。何百人も増える状況には至っていないが、例えば漫画で「山賊ダイアリー」というものがあり、銃猟をやってみたいという若者が女性を含め増えている。

 このような流れを受けて、またライフル射撃場も整備するので、捕獲者の育成をしっかりやっていくべきである。

須藤(昭)委員
 ライフル射撃場を整備するので、どのように第1種免許取得者を増やしていくかがアウトカムになる。

 アウトプットはいくらでもできるが、そこに効果を表すための方策が大事だと思うが、第1種免許取得者をどのように増やしていこうと考えているか。

松下自然環境課長
 アウトカムは難しい問題だと思っている。わな猟は自ら取得している農家も多いかと思うが、銃器については家庭の問題等があるため難しい面があると思う。

 しかし、少しづつでも増やしていくために現在取り組んでいることは、職員が林業団体や農業団体に訪問し出前講座等により狩猟について説明をして、免許を取得してもらえるよう啓発を行っている。

(19)野生鳥獣肉の出荷制限の解除について

須藤(昭)委員
 現時点で県が保有する放射性物質の測定装置であるゲルマニウム半導体検出器とシンチレーション式の当時の稼働率、また、本日現在の稼働率はどうなっているのか教えてほしい。

根岸環境保全課長
 県が保有するゲルマニウム半導体検出器は6台あり、シンチレーション式が教育事務所を入れると10台ある。稼働率は不明であるが、年間の稼働日数で調べると教育事務所では使用されていないところがあるが、それ以外のところではおおむね80日から240、250日となっている。分析機械としては稼働率が高い部類に属する。

須藤(昭)委員
 空間放射線量率は震災前とほぼ同じになっているので、測定器の役割は果たしつつあるかと思っている。数千万円もするゲルマニウム半導体検出器等の今後の利活用の課題として今どのようなことを考えているのか。

根岸環境保全課長
 導入している施設によって検査目的が違うので、今後どうなるか一概に話すことは難しいと思っている。ゲルマニウム半導体検出器でいうと農業技術センターでは非常に稼働率が高いので、今後も一定期間は同様の状況が続くかと思っている。

 水質検査センターでは水道の関係を検査しているが、ここもしばらくは検査体制は現状のままかと思う。環境衛生研究所に2台あり主に環境中の放射性物質量の測定をしており、これについてもすぐに減少することはないと思う。少なくてもあと数年は今の状態が続くかと考えている。

須藤(昭)委員
 放射性物質については平成23年からずっと調査しているが、基準値を超える獣種も出荷制限の一部解除に向けて動き出すべきだと思うがいかがか。

松下自然環境課長
 県としては全県下のモニタリング調査を実施しており、全県下で指定解除ができるよう地域の状況を把握しているところである。

 出荷制限の一部解除については、食肉加工施設をどこに設置するかによって採取する範囲が決まるが、食肉加工施設で全頭検査を実施できれば流通が可能になると思っている。

 環境森林部では全県下を網羅できるようにイノシシ、シカ等の検査を引き続き実施し、一部解除ができるようにしていきたいと考えている。

須藤(昭)委員
 一部解除にあたっては、原子力災害対策本部が解除をするが、委員会にはどこが申請をするのか。

松下自然環境課長
 原子力対策本部に申請する部署は自然環境課や農政部、健康福祉部で、国の窓口は農林水産省となっている。

(20)小水力発電について

星名委員
 マイクロ水力発電が以前ブームになっていたが、現在は県内に設置されているのか。

中田環境エネルギー課長
 マイクロの定義は100キロワット以下であるが、39箇所のうち26箇所が100キロワット以下となっている。そのうち10キロワット以下が17箇所であり、100ワットクラスがいくつかある。

星名委員
 39箇所のうち26箇所がマイクロ水力発電ということであるが、マイクロ水力発電をどのように活用しているのか。

中田環境エネルギー課長
 基本的には発電量が少ないので、多くの場合は発電所近くの電灯などに使用している。

星名委員
 平成21年の地域新エネルギー詳細ビジョンではバイオマスとマイクロ水力発電が大きく取り上げられていたが、今後県としてはマイクロ水力発電には力を入れていかないのか。

中田環境エネルギー課長
 平成24年度からFIT制度が始まり、小水力発電でも200キロワット未満は非常に高い金額で買い取ってもらえることもあり、FITを活用したものにできないかという流れになっている状況にある。

 マイクロ発電を推奨するにあたっては地域おこしの面もあったが、FITの導入によって環境が変わってしまった。

星名委員
 私の地元の小野池地区には里山や堤、小川があって、そこにNPOがサクラを植えたり、ガイドになって案内したりする活動をしている。そのせせらぎに現在の発電量を表示する程度の小水力発電を設置した。

 渋川工業高校や近くの学校の児童・生徒がそこに行って発電量を調べたり、渋川市の町なかのイルミネーションのためにイルカ型の水力発電を作ったりしている。

 売電の大きな流れが変わったことからマイクロ水力発電がそちらの方向に向かってしまったが、教育の部分についても良い材料であると思うので、教育委員会と連携して教育面でマイクロ水力発電を活用しても良いかと思うがどうか。

中田環境エネルギー課長
 地球温暖化の問題について学校で取り上げてほしいと相談はしているが、カリキュラムの空きがない現状にある。引き続き学校に環境教育を取り上げてもらえるよう働きかけたいと考えている。

(21)検察官による不起訴処分について

伊藤(祐)委員
 大同特殊鋼の鉄鋼スラグの問題であるが、前回議会が終わった後の12月22日に前橋地検が県の告発、警察の送致を不起訴にした。私は非常に驚いたが、不起訴について県はどのように受けとめたのか。

岩瀬廃棄物・リサイクル課長
 県は十分な調査に基づき告発したので意外であった。

伊藤(祐)委員
 県も1年以上かけて、鉄鋼スラグについては廃棄物であると自信をもってやったと思うが、どこで崩されてしまったと思うか。

岩瀬廃棄物・リサイクル課長
 県は告発をしたので、刑事訴訟法に基づき不起訴処分の理由の告知を受けることができる。そこで、県から請求したところ、不起訴処分の理由は嫌疑不十分との通知を受け取った。

伊藤(祐)委員
 ただ一言で嫌疑不十分はないだろうと思う。県はこのまま引き下がるのか。私たちはこれまでの県の努力や今後、群馬県が廃棄物から県土を守るために胸を張って毅然とした態度をとる上でも、検察審査会に申し立てるべきだと思うがどうか。

岩瀬廃棄物・リサイクル課長
 検察審査会への申立てについては慎重に検討している。

(22)鉄鋼スラグ問題について

伊藤(祐)委員
 渋川市、国土交通省、県土整備部の三者が有害鉄鋼スラグの処理方針を決めて進めているが、現在確認されている337箇所の処理方法はどのようになっているのか。

岩瀬廃棄物・リサイクル課長
 撤去が24箇所、被覆は当初から被覆されているところも含め206箇所となっている。土壌含有量基準が超過している鉄鋼スラグが露出している箇所は52か所で立入禁止としており、残り55箇所の一部に土壌含有量基準を超過しているところがあるが、そこは工事実施中である。残りについては、土壌含有量基準や溶出量基準を超過していないため、そのままになっているところもある。

伊藤(祐)委員
 有害鉄鋼スラグは産業廃棄物として処理する場合、どのような機能を持った処分場でどのように処理されるのか。

岩瀬廃棄物・リサイクル課長
 鉄鋼メーカーから出た段階では鉱さいとなるため、管理型最終処分場で処理されている。ただし、道路等で使用された材料で掘り出したものは、がれきとして処理されるので安定型の廃棄物とされるが、大同の鉄鋼スラグは県で使用箇所をリスト化しているように土壌汚染の可能性があるため、管理型最終処分場に埋立処分するよう指導している。

伊藤(祐)委員
 鉄鋼スラグについては、撤去したところは24箇所、206箇所が被覆、さらに立入禁止が52箇所、放置が55箇所となっていて、処理方針と全く違うがどうか。

岩瀬廃棄物・リサイクル課長
 廃棄物処理法では生活環境の保全を図ることが一つの目的であるため、生活環境の保全上支障が生じれば撤去等の措置を命じることができるが、鉄鋼スラグの使用を確認した箇所の調査では地下水への影響は認められなかったことから、直ちに撤去の必要はないと考える。

伊藤(祐)委員
 鉄鋼スラグを放置しているところは55箇所で基準値を下回っていると答弁したが、どのような検査をしたのか。

根岸環境保全課長
 環境調査については、工事実施主体が実施している。この環境調査の一般的なやり方は調査区間の中で5箇所のサンプリングを行い、それらを混合して試料として分析を行っている。

伊藤(祐)委員
 他の石材等と混同してOKと言って公共事業に使用したが、その方法は廃棄物・リサイクル課で不可と言っている。混合で分析してOKとすれば大同特殊鋼の犯罪を容認しているのと同じではないか。

 有害鉄鋼スラグを大同特殊鋼が混ぜて放置したのだから、数か所で一定量の土砂を採ってそこから鉄鋼スラグを取り出して、基準値を満たしているかどうか、有害なのか否かを測らなければいけないのではないか。

根岸環境保全課長
 今の環境調査の方法については、土壌対策汚染法を適用するかどうか判断するに当たっては適当であると考えている。

伊藤(祐)委員
 有害鉄鋼スラグが使用されている337箇所はどのように調べたのか。

岩瀬廃棄物・リサイクル課長
 出荷記録があるのでそれを基に各公共事業実施主体に調査を依頼して調べた。

伊藤(祐)委員
 有害な鉱さいを産業廃棄物として処理する場合は、管理型処分場でなければ処理できないと思うが、管理型処分場における地下水の監視はどのように行うのか。

岩瀬廃棄物・リサイクル課長
 産業廃棄物最終処分場の地下水の検査については、浸透水によってシートの下が汚れていないか調べることが環境省令で技術上の基準として定められており、周辺の地下水の影響の有無を判断できる場所から採取した地下水を検査することになっている。

伊藤(祐)委員
 地下水監視については、直近の場所を掘って地下水を採取するのではなく、既存の井戸で確認している。数百メートル離れた井戸しかない場合もあると思うが、その方法で地下水に汚染が浸透していることを確認できると思うか。

根岸環境保全課長
 地下水の調査等については、基準を超えた場合は県が調査を行っている。土壌汚染対策法の目的は汚染による人の健康への被害防止となっている。こうした観点から飲用井戸の調査を行うことが重要であり、それに基づき地下水汚染の問題の対策を実施している。

 これまでに鉄鋼スラグ事案については、スラグ直近の井戸を含め約180の井戸を調査をしたが基準値超過はみられていない。

伊藤(祐)委員
 飲用だけでなく地下水の汚染が広がれば大変である。土壌汚染対策法で対処するからおかしくなる。県が告発したのは廃棄物を有価物と称して公共事業に使用したから問題にしたわけである。そうであれば、廃棄物の有害性は廃棄物の法律で対処しなければおかしいと思う。

 県の環境森林部がそれぞれの場所の鉄鋼スラグについて、このような方法で処理するよう指導すべきである。

岩瀬廃棄物・リサイクル課長
 鉄鋼スラグは使用箇所によって状況が異なるし、使用形態がまちまちであることから統一的な方針は示していない。個々の使用箇所の処理については、工事実施主体から対応案を示してもらって生活環境保全の面から環境森林部で助言をしている。

(23)廃棄物不適正処理の現状と対策について

伊藤(祐)委員
 最近の県に対する不法投棄の告発、特に残土や土砂についての情報提供はどのくらいあり、そのうち摘発できたのは何件あるか教えてほしい。

吉田不法投棄主監
 最近の不法投棄、不適正保管、不法焼却を含めた全体の不適正処理の件数であるが、平成27年度で119件であった。新規の認知件数はここ5年でみると減少傾向にある。

 一方、不適正処理された量では、昨年度に比較して7,079トン増加している。これはメガソーラーの設置工事に伴い、伐採木や木質チップ約5,500トンが不適正保管された事案があったためであるが、本人が撤去していることもあり告発はしていない。

伊藤(祐)委員
 証拠を特定するためには相当なものがないとやりにくいと思う。そのへんが壁になっているのではないかと思うが、不法投棄主監の考えはどうか。

吉田不法投棄主監
 県としては今年度監視カメラを追加導入して機動的な活用をしている。また、土砂条例は全市町村の制定に向けて働きかけている。35市町村中15市町村が制定しているので、全市町村に制定を働きかけていきたいと思う。さらに、県民や企業から通報がもらえるように産廃110番の啓発をしていきたい。

(24)ぐんまの木で家づくり支援事業について

金子委員
 ぐんま家づくり支援事業は、今年度に内容を変更し補助戸数を850戸相当で予算をつけているが、平成28年度の実績はどうなっているのか。

山崎林業振興課長
 平成28年度の実績は構造材で867戸、内装材で61戸になっている。

金子委員
 建売は買主が決まっていない段階で申請することになるが、施主の申請がないので建売業者が県に予算を確保するよう依頼するのか。建売の場合はどのように手続きが進んでいくのか教えてほしい。

山崎林業振興課長
 ぐんまの木で家づくり推進事業では基本的には、建主が上棟の1か月前に補助金の交付申請をし、上棟後に検査をすることになっている。

 ただし、基本的には注文住宅を対象にしているが、建売住宅についても購入者から県産材の要望があるということもあり一部認めている。

 手続きについては通常の注文住宅と同様に、建売の業者がぐんま優良木材品質認証センターに申請をし、上棟の段階で検査をすることになっている。

 今年の建売住宅の状況であるが、構造材補助が867戸と答弁したがそのうちの建売は1割に満たない78戸となっている。

(25)木材の輸出について

関根委員
 木材の中国輸出については、昨年11月に日中議連、自民党林政議連、県森連代表、県木連代表、素材生産事業組合代表と部長と執行部の職員に同行してもらい、上海の原木市場、木材事情について視察調査をしてきた。

 視察の成果を平成29年度に活かしてがんばってほしいが、そのへんについて部長の考えを伺いたい。

井田環境森林部長
 木材の中国輸出についてであるが、中国への輸出に限らずローカルで扱っていた木材をグローバルに流通させていくことが必要と考えている。首都圏、関西圏、韓国、台湾も考えられると思っている。

 一番大事なことは相手がどの値段でどういうものを求めているのか、また、群馬県として何が供給できるのかのマッチング、価格が折り合うかどうかの問題だと思っている。

 そのへんをしっかりと見極めた上で、ローカルからグローバルへ木材の輸出について考えていきたいと思っている。

(26)次世代林業基盤づくり交付金について

関根委員
 次世代林業基盤づくり交付金についてであるが、森林林業基本計画を見直した中で森林整備を加速化するため平成31年に前倒し目標を40万立米に定めた。国の時限立法である森林整備加速化・林業再生基金が廃止になって、そのあとに次世代林業基盤づくり交付金ができた。

 昨年12月に林野庁長官のところに行って、群馬県への交付金についてはしっかりお願いしたいと要望してきた。平成29年度の交付金の現在の状況とどの程度確保できる予定か、また、その交付金によって平成29年度は何をする予定であるのか伺いたい。

土屋森づくり主監
 次世代林業基盤づくり交付金の予算の状況であるが、平成28年度の新規事業として制度化されたのがこの事業である。平成29年度の予算については、対前年比114%の70億円の予算が確保されていると聞いている。

 その中のメニューである次世代木材生産・供給システム構築事業と森林・林業再生基盤づくり交付金はほぼ前年並みで、今年度の新規事業として林業成長産業化地域創出モデル事業が約10億円となっている。この部分が増えている状況になっている。

 平成29年度の県の予算状況であるが、間伐作業道、高性能林業機械、木材加工施設等の予算として4億2千万円を計上している。まだ国から内示がないため明確にどの程度国が付けるかは不明となっている。

関根委員
 林業成長産業化地域創出モデル事業について何か予定しているものはあるか。

土屋森づくり主監
 林業成長産業化地域創出モデル事業については、地域のビジョンの実現に向けて地域が独自に提案するものであり、ソフト事業とハード事業を合わせて重点的に支援するものである。

 これについては、全国で10箇所程度のモデル地域を選出し事業を進めていく内容になっている。群馬県では川場村と神流町の2箇所がモデル地域に立候補している状況である。


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