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環境農林常任委員会(農政部関係:平成29年度)平成29年3月14日(火曜日)

1.開催日時

平成29年3月14日(火曜日)9時59分開始 16時46分終了

2.開催場所

403委員会室

3.出席委員

委員長:金井康夫、副委員長:高橋正
委員:関根圀男、委員:黒沢孝行、委員:須藤昭男、委員:新井雅博、委員:星名建市、委員:伊藤祐司、委員:金子渡、委員:井田泰彦

4.欠席委員

なし

5.主な質疑

(1)平成29年度予算等に係る部長の考えについて

関根委員
 平成29年度予算編成について、農政部長が予算編成へ込めた想い、退職にあたっての所感、今後の県農政についての考えはどうか。

宮崎農政部長
 平成29年度予算では、群馬県総合計画及び群馬県農業農村振興計画の目標を達成するため、各計画の重点事項の施策展開を進めた。厳しい財政状況の中、最低限必要な予算は確保できたと思っている。地域の実情を踏まえ、より実効性の高い執行に努め、計画の目標達成に近づけていきたい。農業については、諸外国からの要求、冷害・大雪・BSE・放射能などの大きな災害等、大きな課題が連続して起こり、国の政策が度重なって変更された。こうした中、県として、どのように農業振興を図っていくかということに努力してきた。今後の農業については、本県農業の体質を強化し、販売力を高め、農村に活力を取り戻すといった基本的な政策を重視し、群馬県農業農村振興計画に基づく施策展開に努めていくべきと考えている。本県農業は、担い手の減少と耕作放棄地の増加という厳しい状況が続いているが、積極的な経営展開を図る農業者や地域が以前に比べ目立ってきた。前向きな動きを適切に支援することで、本県農業全体の振興に繋げていく必要がある。また、県、市町村、農業者の段階で、まだまだやるべきことはあると思う。補正予算による試験研究機関の施設整備等は、将来に向けた投資として捉えており、先を見据えた取組を進めていく必要があると考えている。

(2)農畜産物の輸出促進について

関根委員
 農畜産物の輸出促進について、具体的な内容はどうか。

真下ぐんまブランド推進課長
 平成27年度にミラノ万博に出展し、上州和牛やこんにゃくを中心にPRを実施した。平成28年度は、欧州プロモーションとして、イタリアの星付きシェフに上州和牛やこんにゃくを利用したレシピの開発を依頼するなどの取組を行った。平成29年度は、イタリアミラノで10年以上続き、著名なシェフが集まるイベントである「イデンティタ・ゴローゼ」に出展し、上州和牛やこんにゃくをさらにPRしていきたいと考えている。

関根委員
 「イデンティタ・ゴローゼ」の規模、参加人数、時期はどうか。また、知事や執行部は同行するのか。

真下ぐんまブランド推進課長
 「イデンティタ・ゴローゼ」は3日間のイベントで、マスコミを含め、1万人を超える人が集まる。食に関する様々な関係者が参加し、訴求力の高いイベントだと認識している。本県の出展は、日本の自治体初の出展であり、積極的にPRしたい。開催時期は、例年2月上旬または3月上旬だが、来年の開催日程が決まるのは夏頃である。県職員は同行する予定であるが、知事の同行は、現時点で白紙である。

関根委員
 農畜産物の輸出目標は、平成31年度で10億円ということであるが、牛肉の輸出は、平成27年度は約6億円となっている。平成29年度には目標が達成できると思うが、どうか。

真下ぐんまブランド推進課長
 和牛の輸出については、平成26年に群馬県食肉卸売市場から日本で初めてEUに輸出され、順調に輸出額を伸ばしている。群馬県の牛肉の品質が評価されているものと認識している。現在、高級部位の輸出が中心となっているが、肩ロースの普及が進めば、さらに輸出が伸びると考えている。輸出額について、平成28年度は前年度を上回る数値で推移し、今年度を若干上回ると予測している。平成29年度は、肩ロース等の輸出が増え、目標を上回る数字となれば望ましいと思っている。

関根委員
 シンガポールやマレーシアに対して、どのような品目を中心にテスト販売をするのか。

真下ぐんまブランド推進課長
 平成28年度、シンガポール等においては、フルーツトマトやミニトマトの人気が高く、定着化させることができた。平成29年度は、やまといもや白菜について、テスト販売に取り組み、実績につながるよう推進していきたい。

関根委員
 ベトナムに対しては、どのような品目を中心に販売促進を進めていくのか。

真下ぐんまブランド推進課長
 今年度、ベトナムではアンテナショップを出店した。ベトナムは、日本から青果物は輸出できない状況であり、こんにゃくの加工品を持って行ったが、こんにゃくゼリーの人気が高かった。こんにゃくゼリー等を中心に機会があれば、積極的に取り組んでいきたい。

(3)水産振興について

新井委員
 水産振興費の中で、カワウ駆除の予算はどうか。

吉野蚕糸園芸課長
 カワウの駆除について、シャープシューティングは、鳥獣被害対策支援センターが行っている。蚕糸園芸課のカワウ対策としては、カワウの捕獲、生育状況調査、胃内容物調査に約200万円を計上している。

新井委員
 水産振興費は、各漁業組合の活動に対する支援等に力を入れてもらいたいが、どうか。

吉野蚕糸園芸課長
 水産振興費については、ここ数年、約2千万円の金額で推移し、概ね前年度と同様な事業を実施することとしている。放流事業への支援も行っており、水産振興については、県漁連、漁協と連携して進めている。

新井委員
 水産試験場費について、水産試験場を視察したが、職員がエサを育成して与えているという話を聞いた。水産試験場の状況について、現場の声はどうか。

重田水産試験場長
 水産試験場では、アユ稚魚のエサとなるワムシの培養をしており、上手くいっている。優良な種苗の生産に向け、職員が一丸となり取り組んでいる。

新井委員
 群馬の水産振興、観光をトータルに進めるため、水産試験場にある程度の予算と人員を配置し、水産振興費を増額し各漁協と連携した事業を行い、群馬の河川に多くの人に訪れてもらうことが必要だと思う。部長の考えはどうか。

宮崎農政部長
 水産については、水産振興だけでなく観光にも役立つものであり、両方の観点から取組を進めていく必要がある。水産関係予算は、厳しい財政状況の中、総額を確保する努力をしている。また、他課においてPRや漁業資源保護の取組を行うなど、総合的な取組を進めている。水産試験場については、地方創生拠点整備交付金を活用した施設整備を予定している。様々な取組を水産振興につなげていきたい。

須藤(昭)委員
 漁場としての河川管理は1河川1漁協が全国的に普通と思うが、県内の状況はどうか。

吉野蚕糸園芸課長
 基本的に、1河川1漁協あるいは河川の中で境界を設けてそれぞれの漁協が漁場を管理することが基本であるが、渡良瀬川については、同一区間を2つの漁協が管理している。全国的に多くない事例だと思う。

須藤(昭)委員
 渡良瀬川を2つの漁協が管理していることについて、どう考えているか。

吉野蚕糸園芸課長
 渡良瀬川では、群馬漁協と両毛漁協の2つの漁協が管理している。両毛漁協については、渡良瀬川のみ遊漁券を販売でき、群馬漁協では利根川の一部区間と渡良瀬川について販売できるのが現状である。過去において、両漁協の話し合いにより、渡良瀬川を2つの漁協が管理することについて合意していると聞いている。現在もその流れで管理が行われていると考えている。

須藤(昭)委員
 現状で課題はないのか。

吉野蚕糸園芸課長
 両毛漁協は放流に力を入れており、その部分を群馬漁協の遊漁券で釣りができることについての意見は出ている。ただし、その件については過去に合意済みと考えており、県として対応することは考えていない。

金子委員
 今後のハコスチに係る水産試験場の取組はどうか。

重田水産試験場長
 今後、ハコスチの放流数を増やしていきたいと考えており、養鱒組合と協力して、供給体制を整えていきたい。飼育管理については、種苗の安定供給を目指し、研究を進めているが、種苗を短期間で大きくし、効率よく養鱒業者に供給していくためには、箱島養鱒センターで飼育していくことが効果的であると考えている。このため、平成29年度は、地方創生拠点整備交付金を活用し、箱島養鱒センターの養魚池を整備することとした。水量豊富な箱島湧水を活用して、引きや体型等の特色をさらに向上させる試験も計画している。ハコスチは、内水面漁業の振興、ひいては県外の釣り愛好者を本県に誘客するなど、地域活性化の一躍にも繋がるものと考えており、期待に応えられるよう取り組んでいきたい。

(4)「ぐんまのすき焼き」の推進について

須藤(昭)委員
 すき焼きの日制定後1年が経過するが、現段階での成果はどうか。

真下ぐんまブランド推進課長
 取組の賛同企業等は217社となった。これら企業と連携し、すき焼きの日も含めた様々なキャンペーン等の取組をしている。また、賛同企業以外で、独自にすき焼き食材セットの販売や弁当の販売などを行っている業者もいる。今年は「ぐんま・すき焼き弁当コンテスト」を実施し、機運醸成に向けた取組を行った。取組が徐々に広がっていくことで、すき焼きも広がっていくと考えており、少し長い目で見ていきたい。

須藤(昭)委員
 群馬県は、牛肉、豚肉、鳥肉の生産量は全国トップクラスだが、消費については、下位である。県民に肉を食べてもらえるような施策も重要と思うが、どうか。

真下ぐんまブランド推進課長
 総務省の家計調査でそのような結果が出ていることは承知している。家庭で肉を食べてもらいたいという思いも込めて、取組を進めている。すき焼きの日に絡む取組の中で、量販店等にも協力してもらい、すき焼きコーナーの設置やキャンペーン等を実施してきた。家庭で肉を食べてもらえるよう、いろいろなアイディアを出し、努力していきたい。

須藤(昭)委員
 県内ですき焼きを定着させるためには、地産地消や食育などの取組が必要であり、教育委員会など、全庁を挙げた取組が必要になると思うが、どうか。

真下ぐんまブランド推進課長
 農政部だけでなく、教育委員会を含め、どんな取組ができるか、今後検討する中で、可能性を探っていきたい。

須藤(昭)委員
 すき焼きの他、しゃぶしゃぶを推進してはどうか。

真下ぐんまブランド推進課長
 好みもあるが、鍋料理で人気の高いのは、すき焼きと言われている。しゃぶしゃぶでも県産の野菜が食べられるが、こんにゃくということでは、すき焼きの方が適している。県産の高品質の素材を一つの鍋で食べるにはすき焼きということで取り組んでいる。

須藤(昭)委員
 ぐんまのすき焼きをPRするCMはどこが制作し、どこで放映されたのか。

真下ぐんまブランド推進課長
 平成28年度に農政部で制作したCMである。すき焼きのシーズンに合わせて、テレビ朝日と群馬テレビで1月末まで放映した。また、BS朝日の上泉伊勢守のドラマで、特別に放映してもらった。

須藤(昭)委員
 今後の放映についてはどうか。

真下ぐんまブランド推進課長
 高崎駅のデジタルサイネージでは、3月末まで放映している。また、インターネットで見ることができる。平成29年度も、すき焼きのシーズンに合わせCMを放映したいと考えている。

(5)碓氷製糸の株式会社化について

伊藤(祐)委員
 碓氷製糸の株式会社化後の人材確保等の見通しと運営について、どう考えているか。

岡野絹主監
 碓氷製糸は、本県蚕糸業を維持継承するうえで非常に大切な役割を担っている。人材については、大日本蚕糸会の関係者、県、富岡市、安中市の出資者から役員を出す予定である。生糸製造については、大日本蚕糸会の研究所が開発した繰糸機を導入し、世界最高品質の生糸を製造する。高い生糸を販売し、収益を上げ、絹製品の販売強化を図るという考え方で進めている。

伊藤(祐)委員
 経営については、大日本蚕糸会の関係者、また県等から人材を出し、集団で運営していくという考え方なのか。

岡野絹主監
 大日本蚕糸会と地元自治体が連携し、経営安定に努めていきたい。

伊藤(祐)委員
 今後、碓氷製糸をどのように発展させ、また、どのような役割を担っていくべきと考えているか。

岡野絹主監
 「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録によって、群馬県の繭や生糸に全国から注目が集まり、碓氷製糸の生糸製造工場の見学者が増えている。高品質な生糸の製造・販売、絹製品の販売強化によるぐんまシルクのPR、より多くの来訪者の取り込みなどにより、製糸工場として、群馬県だけでなく、全国の碓氷製糸となるよう進めていきたいと考えている。

伊藤(祐)委員
 株式会社化により、建物の耐震化や老朽化対策に対する支援が難しくなるのではないかと思うが、どうか。

岡野絹主監
 碓氷製糸の建物は、操業して以来、ほとんど手を加えていない状況であると思う。今後、整備等が必要となった場合には、碓氷製糸や大日本蚕糸会と協議し、進めていきたい。

伊藤(祐)委員
 繭生産の新規参入者も徐々に増えていると聞いている。繭生産のノウハウをどのように伝えていこうと考えているのか。

岡野絹主監
 養蚕参入希望者を対象に、28年度から「ぐんま養蚕学校」を開講し、蚕糸技術センターでの研修を開始した。1、2年以内の参入希望者には、農家で体験するプログラムを組んでいる。平成26年から28年には9者が養蚕を開始し、29年には8者の参入が見込まれている。技術指導については、「ぐんま養蚕学校」と併せて、蚕糸技術者をコーディネーターとして配置し、現場指導を行うこととしている。こうした取組により、新規養蚕参入者の技術修得や定着を図っていきたい。

伊藤(祐)委員
 新規参入者は、建物や養蚕機材の確保が難しいと思うが、どう考えているか。

岡野絹主監
 大日本蚕糸会では、収繭毛羽取機を再生・販売する事業を行っている。回転蔟などについては、新しい機材を製造する会社はなく、休止農家にある機材を新規参入者に提供するような手配をしている。

伊藤(祐)委員
 新規参入者の立ち上げ資金については、建物も必要となるが、どの程度必要となるのか。

岡野絹主監
 建物について、養蚕農家ではアルミシートで覆ったパイプハウスを使用している。パイプハウスの導入を含め、初期経費として100万円程度を見込んでいる。県は、新規参入者への支援として、初期経費の2分の1、上限50万円を助成している。

伊藤(祐)委員
 新規参入者にとって、地域のつながりが重要だと思うが、グループでの交流会や仲間づくりについては、どう考えているか。

岡野絹主監
 地域のつながりについては、JAの蚕業技術員や地元農家が相談に乗っている。また、新規参入者同士がグループ化して自主的な活動を始めている。

(6)県産農畜産物ブランド力強化対策について

井田(泰)委員
 県産農畜産物ブランド力強化対策について、コーディネートの実施、女子会の視点を取り入れた商品開発及びPR、戦略的な広報PRとして広告代理店を活用した戦略的な広報活動や百貨店との連携、すき焼きアクションのCM放送について、今までの実績と平成29年度の取組はどうか。

真下ぐんまブランド推進課長
 コーディネートについては、県産食材を提供している首都圏の飲食店を販売協力店に指定し、「ぐんまの食材お試し便」や「食彩フェア」を実施するなど、県産農畜産物を首都圏に向けてPRする取組を行っている。
 県産農畜産物のブランド化を考える女子会については、民間企業とのコラボ商品の開発などを行うなど、女性の視点から群馬県の農産物をPRする取組である。セブンイレブンと連携し、おっきりこみを販売したが、販売期間が延長されるなど、ヒット商品となった。本日からは、やよいひめショコラサンドも発売されている。
すき焼きのCMについては、すき焼きの日に関連して、県内外でCMを放映した。また、高崎駅構内のデジタルサイネージでの放映をしている。
 戦略的な広報PRについては、県産農産物の首都圏のイベントでのPRや新しい取組をマスコミに記事にしてもらうなど、パブリシティ活動を中心に取組をしている。トシ・ヨロイズカと組んだやよいひめのスイーツや老舗すき焼き店とのタイアップなどを行い、県産農畜産物のPRに積極的に取り組んでいる。

井田(泰)委員
 部長等は統一ロゴマークのピンバッジをつけているが、統一ロゴマークの活用については、どうか。

真下ぐんまブランド推進課長
 統一ロゴマークについては、出荷する箱やFG袋などにマークを使用したい。また、ポスターやチラシ、職員の名刺や名札にもマークを入れたい。ピンバッジは、まとまった数が3月末に納品となる。議員にもピンバッジをつけてもらうようお願いしたい。

(7)農産振興について

高橋副委員長
 農産振興について、「ぐんまの米「特A」獲得プロジェクト」及び「強い群馬の麦づくり対策」の内容はどうか。また、飼料用米として「月の光」を推進する理由は何か。

吉野蚕糸園芸課長
 「ぐんまの米「特A」獲得プロジェクト」については、北毛地域では、良食味米が採れるが、地域としての知名度は低い状況であるため、北毛地域の米で、穀物検定協会の食味ランキングの「特A」を獲得する取組を進める。具体的には、良食味米の生産技術実証の研修会や良食味米を判断するための研修を行う。また、北毛地域の米のPRも行う。
 「強い群馬の麦づくり対策」については、本県育成の「さとのそら」をしっかり販売するため、ソフト事業を支援する。具体的には、実需者である製粉会社に現地視察をしてもらい意見交換をする中で、販売していきたいと考えている。
 「月の光」については、飼料用米の多収性品種として国の認定を得た。飼料用米については、専用品種の場合、交付金が上乗せとなることから、「月の光」の普及促進を図る。

高橋副委員長
 飼料用米専用品種が主食用米に混入した場合、主食用米の出荷ができなくなる。主食用品種を飼料用米として推奨したほうが良いのではないか。県としては「月の光」を推進するのか。

吉野蚕糸園芸課長
 「月の光」を飼料用米専用品種として推進する。主食用品種を飼料用米として栽培する場合、交付金の上乗せ部分が支給されない。国も飼料用米専用品種への移行を進めている。ライスセンター等での混入の問題については、主食用米と飼料用米を分けて収穫、乾燥調製ができるよう対応していきたい。

高橋副委員長
 産地交付金の二毛作助成は、平成29年産から助成金が減額されるとのことである。また、水田でソバを作る場合、ソバと小麦の二毛作はできなくなっている。さらに、平成30年には米の直接支払交付金が廃止される。県として、国に対し様々な施策の実施を要望していかなくてはならないと思うがどうか。

吉野蚕糸園芸課長
 平成29年産から、二毛作助成は、取組に対する定額交付ではなく、産地交付金に含めた中での交付となり、国からは交付金全体が約7割に減額されることが示されている。JAや市町村との意見交換を行い、理解を求めているが、農家への影響は大きいと考えている。示された交付金額は、国が2割留保した金額となっており、留保されている交付金の早期解除を国に要望したい。平成30年産からの産地交付金についても、しっかりと要望したい。
 米の直接支払交付金は、平成30年度に廃止されることになっているが、対応については、これまでどおり、飼料用米等の取組を進め、需給調整を図ることが基本である。転作に係る助成金の確保が重要な課題であり、国に対して要望していきたい。
 ソバと小麦の二毛作については、小麦にソバが混入すると、品質評価で問題となり小麦の引き取りを拒否されてしまう。水田でソバを作ることも方法の一つではあるが、小麦の品質を確保する面から対応を考えていく必要がある。

高橋副委員長
 平成30年に農家が困らないよう、施策を検討しておいてもらいたいが、どうか。

吉野蚕糸園芸課長
 平成30年から仕組みが大きく変わる中で、農家の営農に支障があることのないよう、県として、しっかり取り組んでいきたい。

伊藤(祐)委員
 10アールあたり1万5千円の戸別所得補償について、今は米の直接支払交付金として10アールあたり7,500円となっている。このことについて、影響は出ているか。

吉野蚕糸園芸課長
 平成22年から1万5千円というものが始まり、平成26年から7,500円となった。基本的には、米価に農家の気持ちが左右される部分が大きいと考えている。群馬県はここ2年連続して生産数量目標を達成している状況である。全国的にも飼料用米へのシフトが進み、米価も上昇傾向である。米価が上がったということで、直接支払交付金の半減について、今のところ農家に大きな影響はないと考えている。

伊藤(祐)委員
 平成30年に米の直接支払交付金が廃止されるが、国で代替の対策が講じられない場合、どのような影響があると考えているか。

吉野蚕糸園芸課長
 主食用米の需給調整がしっかりできるということが大事であると考えている。そのためには、国において、主食用から新規需要米への転換を支援する水田活用の直接支払交付金を確保することが重要であると思う。

(8)牧草地における放射性物質の除染について

黒沢委員
 県内の主な牧場の除染状況はどうか。

小茂田畜産課長
 個人の牧草地については、24年度から26年度にかけて61戸、199ヘクタールの除染を行った。除染後に放射性物質検査を行い、全て利用が可能となっている。除染後も肥培管理が不十分な場合、再び放射性物質濃度が高くなる可能性があることから、除染後3年を経過した牧草地について効果確認検査を実施している。公共牧場については、浅間家畜育成牧場及びたかやま高原牧場は平成24年度に除染を実施した。根利牧場は26年度から28年度に除染を実施した。平成29年度には、牧草の放射性物質検査を実施し、利用の可否を判断する予定である。

黒沢委員
 東電との補償交渉はどうなっているか。

小茂田畜産課長
 東電賠償について、個人農家は、東電との補償マニュアルを作成し、補償は全て終了している。根利牧場については、除染終了後、東電に請求し支払いを受けることになっている。事前交渉は終了しており、請求すれば支払われることになっている。

黒沢委員
 根利牧場の補償について、一部意見の相違があると聞いているが、どうか。

小茂田畜産課長
 東電の支払いについては、東毛酪農が直接交渉をしており、意見の相違もあるようであるが、協議をしながら進めている。解決可能であると思う。

(9)農薬適正使用について

黒沢委員
 先日、残留農薬が検出されたとの報道があったが、残留農薬の検査体制はどうか。

田村生産環境室長
 県では、農薬適正使用条例に基づき、健康福祉部と連携を図りながら、県産農産物の安全性確保を3重のチェック体制で推進しており、生産者による農薬適正使用と生産履歴の記帳徹底。JA等団体での自主検査の実施。県による出荷段階での検査や流通段階での保健所等の収去検査を実施している。

黒沢委員
 今回の残留農薬の検出は、県の検査とは別に検出されたのか。

田村生産環境室長
 農政部で2月にイチゴを検査したが、サンプリングした10検体のうちの1検体が今回の事案につながった。

黒沢委員
 検査をすりぬけて流通することもあるのか。

田村生産環境室長
 県産農産物の全てを検査することはできない。サンプリングしながら検査を行い、安全確認をしている。

黒沢委員
 農薬の使用履歴等をしっかりと記載することが、消費者へのアピールという点で重要であると思っている。農家に対する指導体制はどうなっているのか。

田村生産環境室長
 県では、普及指導員が中心となり、農薬使用基準の遵守や使用履歴の記帳徹底を指導している。また、農薬適正使用推進員という制度を設け、地域における適正な農薬使用や記帳の実践を推進している。

黒沢委員
 農薬適正使用推進員という話があったが、農薬適正使用推進員は農業事務所単位で設置されているのか。また、農薬をJAから買った場合でも民間の販売店から買った場合でも、使用履歴の記帳をすることが大事であると思うが、どうか。

田村生産環境室長
 農薬適正使用推進員は、農薬適正使用の中心となる農家を募集し、農薬に関する勉強をしてもらい、資格を取ってもらっている。農薬の購入場所はJAであっても民間の販売店であっても、普及指導員は、農家に対して変わりなく農薬適正使用を指導している。

(10)県内のと畜場について

黒沢委員
 県内にと畜場は何か所あるのか。

小茂田畜産課長
 県内には4か所のと畜場がある。そのうち2か所が牛と豚を処理し、残りの2か所が豚のみを処理している。

黒沢委員
 県内で生産されている牛・豚の頭数及び県内と畜場の処理状況はどうか。

小茂田畜産課長
 県内産として出荷されている頭数は、年間で牛が約3万2千頭、豚が約111万7千頭である。県内でと畜されている頭数は、牛が約1万3,700頭、豚が約66万5千頭となっている。県内でと畜されている割合は、牛が約43パーセント、豚が約59.5パーセントと推計される。

黒沢委員
 県外でと畜される理由は何か。

小茂田畜産課長
 JA系統の農家については、ほぼ群馬県食肉卸売市場に出荷していると考えている。県外のと畜場を利用する理由は様々あると思うが、販売先が大手量販店や大手ハム会社である場合や相場が高い市場に出荷していることなどが考えられる。

黒沢委員
 県内のと畜場で処理してもらうため、と畜場にインセンティブを与えるような施策があってもいいと思うがどうか。

小茂田畜産課長
 群馬県食肉卸売市場は、衛生管理が非常に優れ、豚処理施設はSQF認証を受け、牛処理施設はHACCP手法により輸出認定施設となっている。これらの優位性を広くPRすることにより、販売力を高め、生産者にとっても魅力あると畜場としていきたい。

黒沢委員
 株式会社群馬県食肉卸売市場の現状について、平成28年の牛・豚の取扱量はどうか。

小茂田畜産課長
 平成28年1月から12月までの総と畜頭数は、豚が約47万8千頭、牛が約1万4,235頭である。

黒沢委員
 群馬県食肉卸売市場では、生産者の経営の安定のため、相対取引が増えていると聞いているが、セリと相対取引の割合はどうか。

小茂田畜産課長
 平成28年1月から12月までの取引割合は、牛では相対取引が22パーセント、セリが78パーセント、豚では相対取引が68パーセント、セリが32パーセントとなっている。

黒沢委員
 群馬県食肉卸売市場は、農水省の定める地方指定市場ということであるが、地方指定市場について説明してほしい。

小茂田畜産課長
 全国には、中央卸売市場と地方卸売市場があり、群馬県食肉卸売市場は地方卸売市場となっている。地方卸売市場のうち食肉の価格安定のために調整保管等ができる市場として、国が中央卸売市場に準ずる市場として指定した市場が地方指定市場である。

黒沢委員
 農業新聞に掲載されている価格は、群馬県食肉卸売市場のセリの価格なのか。

小茂田畜産課長
 新聞紙上には、相対取引を含めて掲載されている。市場の中での価格表示は、セリと相対取引の価格が表示されている。

(11)鳥獣被害対策について

黒沢委員
 鳥獣被害対策について、イノシシとシカの平成28年度の捕獲実績はどうか。

須川鳥獣被害対策担当参事
 平成28年度の捕獲実績について、4月から12月までの有害鳥獣捕獲の数字は出ているが、狩猟による捕獲は、シカ、イノシシの狩猟期間が2月末までであり、まだ数字が出ていない。4月から12月までの有害鳥獣捕獲の実績は、シカ2,640頭、イノシシ2,822頭であり、前年同時期と比べ、シカ138パーセント、イノシシ165パーセントとなっている。

黒沢委員
 平成29年度、捕獲目標を拡大したが、目標達成のための具体的な施策はどうか。

須川鳥獣被害対策担当参事
 目標達成に向けた具体的な施策について、制度の見直し、担い手確保、捕獲技術の向上・効率化、県の捕獲事業の拡大の4つの側面から考えている。制度面では狩猟期間の更なる延長や前倒し、有害鳥獣捕獲の一般猟野での実施を検討したい。国では規則を改正し、狩猟におけるシカの捕獲上限頭数を撤廃する予定である。さらに、鳥獣保護区でシカ、イノシシの捕獲ができる「狩猟鳥獣捕獲禁止区域(シカ、イノシシを除く)」の拡大を検討したい。担い手確保としては、わな猟免許取得を実際の捕獲に結びつけるためのフォローを行うため、新たな施策を考えたい。さらに、高度な技術を持つ捕獲専門技術者の育成も必要であり、カワウやシカの捕獲実証事業の中で、進めていきたい。捕獲技術の向上・効率化として、シカについて、組織的な捕獲体制を整えるとともに、生息密度の高い場所で捕獲する実証事業を行う。県の捕獲事業の拡大については、県直営の捕獲事業の拡大が必要と思っており、検討したい。

黒沢委員
 捕獲後の処理指針作成の予算が計上されているが、指針はいつまでに作成するのか。

今井技術支援課長
 時期については、できるだけ早くと考えている。内容については、捕獲後の処理から利活用まで、幅広い分野の手引書を考えている。来年度早々から、各部局の内容集約、執筆、また、現地確認を含め、進めていきたい。

黒沢委員
 早期ということであるが、夏頃と考えて良いか。

今井技術支援課長
 4月の段階で、すぐに会議を開く体制を取りたい。早々ということで考えていきたい。

須藤(昭)委員
 イノシシの目撃情報があった場合、初期の対応はどうか。

須川鳥獣被害対策担当参事
 目撃されるとまず、市民から警察または消防署に連絡が行くことが多いと聞いている。それから市町村に連絡が行き、現状把握や住民の安全確保を行った上で、県に連絡が来る流れとなっている。現在、初期対応の対策指針を作成しており、今月中には関係者に周知していきたいと考えている。

須藤(昭)委員
 イノシシの捕獲奨励金は捕獲時に支給されるが、わなを仕掛けた場合に、人件費等として支給することについて、どう考えるか。

須川鳥獣被害対策担当参事
 捕獲奨励金は一頭あたりで支給され、市町村が上乗せをしている状況であり、全国的にも同様である。日当で支払いをしている例は聞いていないが、労力やモチベーション、捕獲者の減少など、いろいろ勘案した場合、日当という考え方もあると思う。県として、協議をするということもあると考えている。

須藤(昭)委員
 野生鳥獣肉の加工処理施設について、あがしし君工房の現状はどうなっているのか。

須川鳥獣被害対策担当参事
 あがしし君工房は、獣肉の加工施設として、平成18年度に中之条町が設置し、平成19年度からJAあがつまが運営をしていた。東日本大震災の東電事故があり、平成24年度に在庫の処理をし、平成24年10月に運営を休止した。先日、3月9日に県と中之条町の関係者等で現地調査を行った。施設内部はきれいに整っており、詳細な備品までは確認できなかったが、大型冷蔵庫等は残っており、備品は概ね残っているのではないかと思う。ただし、電気や排水等については調べていない。所有権等について、書類等は確認できなかったが、施錠等の管理は中之条町で行っているとのことである。

須藤(昭)委員
 あがしし君工房が使用できるのであれば、使用しない手はないと思うが、使用するにあたり障害はあるのか。

須川鳥獣被害対策担当参事
 施設等のハード面に関しては、修繕等で対応できると思う。集荷した肉がどの程度利用できるかということや販売先の確保、地元の意向といったソフト面が一番の課題であると考えている。

須藤(昭)委員
 イノシシの一部解除をしている栃木県、茨城県、千葉県でも、シカについては、一部解除をしていない。シカの一部解除ができない理由があるのか。

須川鳥獣被害対策担当参事
 解体処理の歩留まりは、イノシシの場合が4割程度に対して、シカは2割以下と低く、採算面を考えると使用しづらいと考えられる。また、シカの解体については、技術が必要と聞いており、技術的な問題もあると思う。

須藤(昭)委員
 移動式解体処理車を導入するための課題はどうか。

須川鳥獣被害対策担当参事
 移動式解体処理車は、試作車の使い勝手を全国で検証していると聞いている。食品衛生部局に衛生管理の面を確認したところ、非常に難しい問題があり、衛生管理の部分をしっかりとクリアしない限り導入は難しいということである。

須藤(昭)委員
 シャープシューティングの実績はどうか。目標は達成できたのか。

曲沢鳥獣被害対策支援センター所長
 カワウのシャープシューティングについては、春から夏に4回行い、518羽を捕獲した。そして、先週と今週、高津戸と南陽台で実施し、116羽を捕獲した。春から夏と今回の分を合わせ、634羽のカワウを捕獲することができた。高津戸は467羽、南陽台は167羽となる。捕獲数の目標は達成した。

須藤(昭)委員
 今後の課題等はどうか。今後、定期的に続けていくということでよいか。

曲沢鳥獣被害対策支援センター所長
 カワウのシャープシューティングについては、来年度も同様に予定している。担い手確保のため、OJT的な研修を行いながら、実施したい。

須藤(昭)委員
 カワウは他県からも飛来する。近県との連携も重要と思うが、どうか。

須川鳥獣被害対策担当参事
 近県との連携については、従来、獣についてであるが、北関東磐越5県プラス埼玉県の6県で広域対策を検討、協議、情報交換を行ってきた。また、個別にも栃木県、埼玉県、長野県と情報交換等を行っている。これをベースとして、カワウを含めた広域での被害対策に取り組んでいきたい。また、関東の広域対策協議会もあり、この協議会とも連携して進めていきたい。

星名委員
 渋川でグレーチングを使って獣の侵入を防ぐ取組をしているということであるが、詳しく説明してほしい。

片山農村整備課長
 道路側溝用グレーチングを利用した粗目グレーチング横断側溝というもので、防止柵で囲めない道路部分に試験的に設置したものである。シカやイノシシが渡れるかどうかの試験を行っており、ビデオの検証結果では、シカなど349頭のうち294頭が通過しなかったことから、防御率は84パーセントと高い数字となっている。

星名委員
 県では、グレーチングの設置に対して、補助を行っているのか。

片山農村整備課長
 県単の小規模農村整備事業などで設置は可能である。しかし、泥や落葉が堆積するなど管理面の課題がある。

(12)ぐんま名月について

黒沢委員
 青森県産、長野県産のぐんま名月が県内のスーパーで売られていたと聞いたが、どういう経過なのか。

吉野蚕糸園芸課長
 ぐんま名月は、平成3年に品種登録され、平成21年に育成者権が消滅しているため、現在は、苗木の購入や栽培が自由にできる状況となっている。長野県や青森県で栽培が進み、県内のスーパーで販売されているのではないかと考えている。

黒沢委員
 制度上、仕方がないのか。

吉野蚕糸園芸課長
 業者が苗木を増やして、生産者に販売しても問題はない。

黒沢委員
 群馬県として産地形成を図るためには、市場からみて、栽培面積が不足しているのか。

吉野蚕糸園芸課長
 ぐんま名月については、平成3年の品種登録当時、苗木の増殖や新植の支援を進めていたが、市場の評価が厳しく、新植は進まなかった。その後、10年経過した頃から直売での評価が高まり、栽培面積は徐々に増加し、リンゴ全体の栽培面積が減少する中、ぐんま名月の割合は増えてきている。現在、ぐんま名月の割合は10パーセント弱であるが、計画では、10年後に約15パーセント、栽培面積50ヘクタールを目標としている。青森県、長野県は市場出荷が多い県であり、市場出荷されているが、群馬県の場合は直売が多く、当面は、消費者とのつながりを重視し、直売を中心に進めていく考えである。

(13)飼料添加物モネンシンナトリウムについて

黒沢委員
 飼料添加物モネンシンナトリウムの使用状況や県としての方針はどうか。

小茂田畜産課長
 モネンシンナトリウムは、飼料添加物として認められている抗生物質であり、発育が良くなるということで、使用されている。肉用牛飼料では、約21パーセントの銘柄にモネンシンナトリウムが添加されている。また、渋川家畜市場に上場される和牛肥育素牛のうち、約45パーセントの牛にモネンシンナトリウムを添加した飼料が給与されていた。近年、モネンシンナトリウムの添加を急に止めると、牛が死亡してしまう、肉質が低下するなどの風評があったことから、25年度に畜産試験場において給与試験を実施したが、飼料摂取量、発育及び肉質等に影響が見られないことを確認している。しかし、県内ではモネンシンナトリウムの添加を心配する農家も多くなってきていることから、使用する農家の割合は年々減少傾向にある。

(14)上州牛について

須藤(昭)委員
 上州牛とはどのような肉なのか。

小茂田畜産課長
 上州牛とは、その最長飼養地が群馬県であり、株式会社群馬県食肉卸売市場のHACCP認証施設においてと畜処理された黒毛和牛及び交雑種で肉質等級が2等級以上のことを指す。このうち和牛で4等級、5等級については「厳選上州和牛」としている。

須藤(昭)委員
 群馬県で生産される牛肉のうち、上州牛はどのくらいか。

小茂田畜産課長
 群馬県食肉卸売市場でと畜される県産牛は約1万1,900頭であるが、肉質が2等級に満たないものはほぼないことから、そのほとんどが上州牛といえる。

須藤(昭)委員
 上州牛の短いセールストークが必要と思うが、上州牛にはどのような特徴があるのか。

小茂田畜産課長
 本県の豊かな自然環境の中で育ち、衛生水準の高い処理施設で処理された安全・安心な牛肉であると言える。

須藤(昭)委員
 県外でと畜される群馬県産の肉はどのようなブランドになるのか。

小茂田畜産課長
 群馬県産の牛肉の銘柄としては、赤城牛、五穀牛、群馬牛などがある。これらの肉については、県内で処理されても県外で処理されても、それぞれの銘柄で販売されている。

須藤(昭)委員
 神戸牛などになることはないということでよいか。

小茂田畜産課長
 肉牛については、最長の肥育期間の場所が基準となり、そこが産地となる。

(15)農林水産業関係機関成果発表会について

星名委員
 農林水産業関係機関成果発表会について説明してもらいたい。

金谷技術調整室長
 成果発表会は、農業・蚕業・水産・畜産・林業の5分野の合同した発表会である。各分野の出席者は約900名、重複を除いて約700名が参加した。県民ホールでは、パネル展示のほか、開発品の展示や加工品の試食の実施、研究員と直接話ができる機会等も設けた。また、研究連携の一環として、新潟県、埼玉県、栃木県の試験場からも関連する研究成果を発表してもらい、研究員間の交流も行った。

星名委員
 参加者は関係者だと思うが、一般にも周知をしているのか。

金谷技術調整室長
 テレビ、ラジオでの広報を行った。農家には、機関誌等を通じて周知した。また、成果発表会とは異なるが、各試験場は場公開を行っており、10月の県民の日を中心とした日に開催している。毎年多くの人が訪れており、試験場の成果を周知している。

星名委員
 展示会場でアシストスーツを試着させてもらったが、アシストスーツは民間で開発しているのか。

金谷技術調整室長
 アシストスーツについては、国の研究機関である農研機構が腕上げ補助装置の開発を行っている。また、モーターや圧縮空気を使って重たいものをあげるもの、ゴムや張力を利用して腰等をサポートし、重労働を軽減するもの等が市販されている。今年度は、研修会等の機会を利用し、農家や試験場の研究員に装置の紹介を行った。また、国の研究担当者を招き、アシストスーツの特徴や使用の留意点、評価方法を学んだところである。今後、さらに検討を深めていくこととしている。

(16)農地中間管理事業について

伊藤(祐)委員
 農業公社が行っている農地中間管理事業が始まって3年が経過した。3年間の貸付希望と借受希望、貸付実績はどうか。

小林農業構造政策課長
 事業開始以来3年間で貸し付けた面積は、26年度が80ヘクタール、27年度が373ヘクタール、今年度は2月末現在495ヘクタールであり、3月末までには516ヘクタールになる見込みである。過去3年の貸付希望の合計は1,157ヘクタール、借受希望の合計は3,664ヘクタールである。

伊藤(祐)委員
 貸付希望に対して借受希望が多いということについては、当初から考えられていたことなのか、また、本県における特徴のようなものがあるのか。

小林農業構造政策課長
 借受希望が多い傾向は全国的なものであり、群馬県だけの状況ではない。当初は、これほど差があるとの予測はしていなかったが、現状はこのような状況である。群馬県の場合、畑と田の割合を見ると、畑の割合が田より高く62.3パーセントである。農地集積には機械化が進み省力化が図られている田の方が集積をしやすいという現状がある。実際に集積が進んでいるのは、東北や新潟等の水田の割合が高い地域である。田と畑の割合から見ると、群馬県は農地集積に厳しい状況がある。

伊藤(祐)委員
 今後の取組の方向をどう考えているのか。

小林農業構造政策課長
 例えば、畑でのこんにゃくなどのローテーションへの対応について、今年度、機構を通して、連名で借り受けるということが認められた。来年度以降、このような取組を産地に提案するなど、中山間地域の畑地帯で集積が少しでも進むよう対応していきたい。

伊藤(祐)委員
 農地中間管理事業について、農業公社に相談したところ、杉林のようになっている農地を含め、全て耕作する必要があると言われたという話を聞いた。農地を持っている場合、全てを耕作しないといけないという決まりがあるのか。

小林農業構造政策課長
 農地については、「全部効率利用要件」というものがある。所有あるいは利用権を持っている農地について、全てを耕作していないと、新たに農地を手当てすることは難しい。ただし、耕作ができないやむを得ない事情がある場合は、農業委員会が斟酌することができるという判断基準があり、絶対に全部耕作しなくてはならないというものではない。

伊藤(祐)委員
 杉林のようになっているということであり、農業公社が相談を受けた段階で、現地を確認して対応を説明するなどの方法があったと思うが、どうか。

小林農業構造政策課長
 委員からの話は、農業公社からも聞いている。担当者は、可能性として、全部効率利用要件があるので、土地の手当ては難しい場合があるという説明をしたが、意図した内容が伝わらなかったということである。農業公社が農地中間管理機構として、業務を行うにあたっては、農業者等の信頼が大事であり、より丁寧な対応をしていく必要があると思う。県としても、支援、指導をしていきたい。

伊藤(祐)委員
 耕作放棄地で林のようになっている土地は、自らの責任で農地に戻す以外に、方法はないのか。木を処分するための支援はないのか。

小林農業構造政策課長
 毎年、農業委員会が農地の状況を調査しているが、通常の復元作業で農地に復元できない土地については、農業委員会が非農地判断をし、農地から外す手続きを進めている。耕作放棄地解消のための補助事業はあるが、樹齢何十年という木が繁茂している場合、費用をかけて農地に戻すことが適切かどうかという問題が出てくると思う。

井田(泰)委員
 農地中間管理事業について、平成29年度は、取組の強化が必要と思うがどうか。

小林農業構造政策課長
 今年度から新しい取組をいくつか始めている。例えば、「人・農地」政策推進会議を県域及び農業事務所単位に設置した。また、機運醸成のため、7月に農地集積加速化推進大会を開催した。さらに、県及び機構幹部職員が市町村を訪問し、協力要請を行った。平成29年度は、このような取組を踏まえ、利用権更新時の機構の利用推進、農地情報公開システムと機構の事業管理システムを活用した事務手続きの簡素化等に取り組み、今年度を大きく上回る実績に繋げていきたい。

(17)集落営農について

伊藤(祐)委員
 集落営農について、野菜等の新しい作物を導入して取り組んでいる集落営農組織の状況はどうか。

田島担い手対策主監
 県では「ぐんま型集落営農」を推進しており、野菜等の新規作物の導入を支援する事業を行ってきた。これまで、31組織が事業に取り組み、このうち23組織が野菜の試験栽培に取り組んだ結果、16組織が野菜を導入している。事業を利用せず、自主的に野菜を導入した組織を含めると、全体で28組織が野菜を導入して取り組んでいるという状況である。

伊藤(祐)委員
 新規作物導入のハードルとなっていることは何か。

田島担い手対策主監
 組織の構成員は高齢化が進んでいる。また、構成員の中には、個人の経営として野菜を行っている者もおり、組織としての導入が進まない状況もある。販路の確保や施設・機械等を整備する場合の採算性を考えると、ハードルが高い部分があると聞いている。

伊藤(祐)委員
 地域を引っ張るリーダーと県の普及指導員の育成が群馬の農業発展に欠かせないと考えている。県としては、どのようなことに力を入れているのか。

田島担い手対策主監
 県では、平成27年に集落営農組織に対して、アンケート調査を実施した。その中では、組織の中心となるリーダーの負担軽減や後継者育成といった要望が出てきている。昨年12月に、集落営農組織の中心的なリーダー等を対象とした研修会を開催した。県としては、リーダー等の集落営農に携わる人の意識向上を図っていきたいと考えている。

伊藤(祐)委員
 来年度の予算では、普及指導員活動、普及指導員研修の予算が増えていないが、大丈夫か。

今井技術支援課長
 予算については、減ってきている部分はある。しかし、普及組織の中で、現場でのOJTにより資質向上を図るという機運が高まり、ノウハウが蓄積されてきている。若い優秀な人材の指導については、人的な面において、ノウハウを教えていくことのできる体制となっている。

(18)施設野菜の環境制御技術研究について

金子委員
 施設野菜の環境制御技術研究への取組について、農業技術センターの取組はどうか。

柏農業技術センター所長
 「野菜王国ぐんま・活力ある野菜産地の実現プロジェクト研究」として、収量50パーセントアップを目標に環境制御技術の確立に向けた研究を行っている。研究の結果、春キュウリと呼ばれる促成作型で29パーセント、秋キュウリと呼ばれる抑制作型では12パーセント収量を増やすことができた。平成29年度は温度管理、土壌養分の管理技術を取り入れ、目標に向け取り組んでいきたい。また、「IoT導入支援事業」により、IoTを導入した温室整備したが、平成29年度は地方創生拠点整備交付金を活用した温室整備を行う予定であり、このような条件整備により、研究成果をあげていきたい。昨年11月には、JA全農ぐんまが園芸作物生産実証農場を設立しており、全農ぐんまと連携し、技術実証を支援していく。農業技術センターでは、研究から実証まで一貫した取組を行うことで、より効率的で効果的な技術開発を進めることができると考えている。地域に根ざしたぐんま型高収益栽培技術を研究することで、本県農業の振興に寄与していきたい。

金子委員
 環境制御技術を普及させていくための取組についてはどうか。

吉野蚕糸園芸課長
 技術の普及については、平成28年度から県単補助事業である「野菜王国・ぐんま」総合対策において、生産者が環境制御技術に取り組むための機械・装置を補助対象としている。また、普及組織による技術指導、国や県の研究成果を基にしたセミナーを開催し、技術支援、情報提供を行っている。県の技術開発と生産者が技術を使いこなすという2つが一体となることで、生産拡大に繋がると考えており、関係機関と連携しながら、生産現場への普及を図りたい。

(19)農地利用について

井田(泰)委員
 農地法に基づく遊休農地に関する措置について、現状はどうか。

小林農業構造政策課長
 農地法に基づく遊休農地に関する措置は、農業委員会が農地の利用状況調査を実施し、遊休農地と判断されたものについては、所有者に対し利用意向調査を実施、一定期間経過後に、意向調査のとおりとなっていない場合、農地中間管理機構との協議の勧告をするということが大まかな流れになっている。県内では、今年2月末現在で、利用状況調査は全ての市町村で終了している。利用意向調査については32市町村が完了し、残る3市町村もまもなく完了する見込みである。機構との協議の勧告については、前橋市及び榛東村が実施済み、22市町村は勧告対象農地なしとのことである。利用意向調査から6か月が経過していない11市町村が未実施である。

井田(泰)委員
 農業委員会について、今年度、改正農業委員会法が施行され、新しい制度となった。大きな変化であると思うが、現状はどうか。

小林農業構造政策課長
 平成27年度の農業委員会法の改正により、制度の見直しが行われ、農地利用の最適化が農業委員会の最重要業務と位置付けられた。この制度を担保する意味で、農地利用最適化推進委員の設置が行われた。県内では、28年度に9市町村が新制度に移行済みである。平成29年度には24市町村、平成30年度に1町が移行し、移行が完了することになっている。移行した農業委員会に対しては、農業会議と連携し、研修会の開催や意見交換会等を実施し、県として、フォローを行っている。

井田(泰)委員
 農地利用最適化推進委員に対するサポートが必要であると思うが、どうか。

小林農業構造政策課長
 今年度、農業会議と連携し、農地利用最適化推進委員の業務内容の研修や意見交換会を開催した。他の農業委員会等にもフィードバックし、業務が円滑に進むように対応していきたい。


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