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環境農林常任委員会(農政部関係)平成29年10月3日(火曜日)

1.開催日時

平成29年10月3日(火曜日)9時59分開始 13時57分終了

2.開催場所

403委員会室

3.出席委員

委員長:清水真人、副委員長:穂積昌信
委員:久保田順一郎、委員:狩野浩志、委員:中島篤、委員:岸善一郎、委員:臂泰雄、委員:藥丸潔、委員:小川晶、委員:本間惠治

4.欠席委員

なし

5.主な質疑

(1)小規模農村整備の補正予算の内訳について

狩野委員
 小規模農村整備の補正予算11,000千円について、具体的な内容を聞かせていただきたい。

片山農村整備課長
 嬬恋村において、今年度豪雨により破損した農道の復旧工事と、上野村と甘楽町において、特別対策として鳥獣被害対策を実施するものである。

(2)森林総合研究所事業負担金について

岸委員
 森林総合研究所事業負担について、詳細を説明していただきたい。

小茂田畜産課長
 本事業は、平成5年から平成11年にかけて、沼田市、東吾妻町、中之条町、みなかみ町で畜産基地を建設したものである。事業費の負担割合は、国費55パーセント、県費30パーセント、市町村・受益者15パーセントである。償還は、平成12年度から平成31年度までの20年間で行うことになっているが、償還に際して、生産者から残りの期間について繰上償還の申し出があったものである。今回の繰上償還は、東吾妻町の養鶏農家1戸と、みなかみ町の酪農家1戸の計2戸からの申し出に基づき行うものである。

岸委員
 それらの農家は、多く利益が出たため、繰り上げて償還するということか。

小茂田畜産課長
 各農家が経営の戦略上、償還した方がよいと判断したものと思われる。

(3)普及活動と農地整備事業、農地中間管理機構の連携について

久保田委員
 農地貸借・換地をスムーズに推進するためには、農家からの信頼が厚い普及指導員の役割が重要である。今後、普及活動も農地中間管理事業などに重点を置いていくべきと思うが、体制的、人員的にどのように考えているか。

澁谷農政部長
 事業の推進にあたっては、現場に入り込み、農業者の意見によく耳を傾けることが重要である。現在、ソフトを担当する普及指導員と、ハードを担当する農村整備課担当者が一体となって、各地域でプロジェクトを進めている。南牧村では、「天空の花畑」として、耕作放棄地の解消、新規参入者の受け入れ、農地中間管理事業、基盤整備などソフトとハードを組み合わせ、取り組んでいる。なお、こうした優良事例を部内で共有するため、9月20日に事例発表会を開催したところである。

(4)クビアカツヤカミキリの防除対策について

久保田委員
 クビアカツヤカミキリの果樹における防除対策について、ドローンの活用や病害虫防除の農薬開発と合わせて説明していただきたい。

武井生産環境室長
 県内の果樹では、今年6月に東毛地域のモモ、スモモ、ウメで被害が確認されている。現在、農業事務所を中心に発生調査や防除対策を進めており、農業技術センターや他県と連携して生物防除剤の登録も検討している。果樹における被害拡大の防止には、サクラでの防除対策の徹底が不可欠であることから、環境森林部とも連携して対応する。また、無人ヘリやドローンを活用した病害虫防除は、稲、麦、大豆を中心に進められており、果樹や野菜ではほとんど活用されていない。県では、国家戦略特区の提案を行い、ドローンを活用した野菜産地の革新的な省力化技術の開発・普及に取り組んでいるところである。

久保田委員
 サクラにおけるクビアカツヤカミキリの防除対策として、細かいネットを樹木に巻き付ける方法があるようだが、よりよい方法はないか。

武井生産環境室長
 現在使用できる農薬は樹幹注入するものが主流である。他県と連携して環境に優しい生物農薬の登録を現在進めているところである。

久保田委員
 クビアカツヤカミキリは、他県でも発生しているのか。

武井生産環境室長
 徳島県や近県では栃木県でも発生している。

久保田委員
 クビアカツヤカミキリは、リンゴにも発生するのか。

武井生産環境室長
 県内の果樹では、モモ、スモモ、ウメでの発生しか確認されていない。

(5)農薬の空中散布について

狩野委員
 本県は、農薬の空中散布を全面的に中止したと記憶しているがどうか。

武井生産環境室長
 本県では、平成18年から有機リン系農薬の空中散布に限って、使用自粛を関係団体に要請している。

狩野委員
 有機リン系農薬以外は、空中散布に使用してよいのか。

武井生産環境室長
 有機リン系農薬以外は、使用自粛を要請していない。

狩野委員
 有機リン系農薬も含めて、国家戦略特区においてドローンによる空中散布を進めていくということでよいか。

武井生産環境室長
 有機リン系農薬は、引き続き使用自粛をお願いすることになる。

(6)認定農業者への支援について

狩野委員
 本県の農業の維持発展に認定農業者の存在は欠かせないと思っている。認定農業者になることに見合ったメリットが必要であると指摘してきているが、どのように考えているか。

石坂農業構造政策課長
 認定農業者は地域農業の維持発展を支える最も重要な担い手であると認識している。国の支援措置としては各種補助事業をはじめ様々な支援制度がある。また、県単独の支援措置として、「はばたけ『ぐんまの担い手』支援事業」や「『野菜王国・ぐんま』総合対策」のハード事業や総合農政推進資金での利子補給の上乗せ措置がある。さらに、農用地利用集積促進事業でも県独自の支援をしているところであるが、周知が不足していると感じていることから、認定農業者がメリットを感じられるよう周知徹底を図って参りたい。

(7)中山間地域における所得向上対策について

狩野委員
 中山間地域における所得向上対策について、特色ある取組は何か。

澁谷農政部長
 群馬県の中山間地域は、生産条件が不利な状況にある一方、首都圏に近く観光地や直売所も多いこと、高速道路網が整備されていることなど、マーケットとしても優位な立地条件にあり、地域ごとに特色ある多彩な農畜産物が生産されている。品目を絞った担い手の受入の事例として、中之条町六合地区の山野草の取組などがある。中山間地域の所得水準は平坦地に比べると若干低くはなるが、やりがいや生きがい、自然の中での活動に価値を見出している方々も増えていることから、特色ある品目やマーケットを活かすための支援、若い人の受入支援を進め、地域が元気になるような取組を推進して参りたい。

(8)鳥獣被害対策について

狩野委員
 鳥獣害被害について、被害金額は減少しているが、何とかしてほしいとの要望が寄せられている。また、鳥獣に食べられないような品種改良など、農業分野における対策や、有害鳥獣の捕獲について人材育成をしっかり行ってほしいなどの要望が寄せられているが、これらについてどう取り組むのか。

土屋鳥獣被害対策担当参事
 鳥獣の被害を受けにくい作物については、いろいろな視点からの研究が必要である。捕獲従事者の育成は喫緊の課題と認識しており、現在行っているわな猟免許取得者向けの研修に加え、ライフル射撃場も整備されることから、今後は銃猟免許取得者向けの研修についても検討して参りたい。

狩野委員
 ライフル射撃場の整備について、自然環境課に任せるだけでなく、鳥獣被害防止総合対策交付金の活用も踏まえ、農政部からも取組を促すべきと考えるがどうか。

澁谷農政部長
 農政部としても、捕獲の担い手確保・育成は重要と考えていることから、施設整備の窓口である自然環境課とともに、農林水産省との事前ヒアリングを行うなど協力しているところである。今後も円滑に施設整備が図れるよう、農政部としても環境森林部と連携していきたい。

(9)すき焼きの推進について

狩野委員
 群馬ならではのすき焼きのブランド化について、考えがあれば伺いたい。

新井ぐんまブランド推進課長
 ブランドは、品目ごとの場合もあれば、農産物全体や県全体のブランドもある。すき焼きについては、応援県宣言から3年経ったが、これまでおもてなし料理として推進するとともに、多彩で高品質な県産農畜産物の象徴として、すき焼きのブランド化に取り組んでいるところである。更に、ブランド力強化を図るため、すき焼きの付加価値を高めること、県民に受け入れられること、県外へ情報発信することに努めて参りたい。

小川委員
 応援県宣言から3年経つが、3年間の成果と今後の取組について伺いたい。

新井ぐんまブランド推進課長
 「すき焼き応援県宣言」以降、「ぐんま・すき焼きの日」の制定、CMや「ぐんま・すき焼きマップ」の作成などに取り組んできた。多くの企業・団体からも応援をいただいており、賛同企業・団体は、平成26年度末の134から、今年9月末現在で376まで増えており、様々なところですき焼きが話題となっていることに手応えを感じている。すき焼きに関するアイデア募集のほか、県民の方にすき焼きを楽しんでいただく「オールぐんまdeすき焼きまつり」を11月26日に観音山ファミリーパークで開催する予定である。また、都内では、11月29日にぐんまちゃん家ですき焼きを提供するとともに、老舗すき焼き店で県産100パーセントのすき焼きを1月中旬から2週間程度販売していただくこととしている。引き続き、民間の力もお借りしながら、県民の皆様も巻き込んで推進していきたい。

小川委員
 外国人観光客の反応について、分かれば教えていただきたい。

新井ぐんまブランド推進課長
 外国人観光客の反応は直接把握していないが、フランスから富岡市に国際交流員の方が来ており、日本に来たお客様にすき焼きを召し上がっていただき、とても美味しいとの評価であったと聞いている。

小川委員
 外国の中には文化的に生卵を食べない国があるが、日本では安全に生卵を食べられることをPRしてはどうか。

新井ぐんまブランド推進課長
 すき焼きを生卵ではなく、外国人向けに半熟で提供している店や太田市ではやまといもで食べていただく店もあり、ひめラボ考案の「夏すき」も、やまといもで食べていただくことを提案している。また、卵については、生食可能な新鮮さもPRしていきたい。

(10)協同集荷場等の建て替えについて

狩野委員
 老朽化したライスセンターやカントリーエレベーター、共同集荷場等の建て替えについて、国頼みの部分が大きいと思うが、県として今後どのように取り組んでいくのか。

石坂農業構造政策課長
 共同利用施設の再編整備については、地域の要望を踏まえて、国庫事業である「強い農業づくり交付金」で対応して参りたい。

狩野委員
 補助率はどのくらいか。

石坂農業構造政策課長
 補助率は2分の1以内である。

狩野委員
 国庫事業から漏れる場合もあるので、必要なものは県単独事業ですることも考慮していただきたいがどうか。

石坂農業構造政策課長
 まずは、国庫事業で採択されるよう最大限の支援を行っていきたい。

狩野委員
 小規模施設のうち、国庫事業から外れたもので、真に必要なものは県単独事業で支援してもらいたいがどうか。

石坂農業構造政策課長
 小規模施設については、国庫事業及び県単独事業の複数の事業にエントリーすることにより、施設の整備を支援して参りたい。

(11)全国食肉学校について

岸委員
 全国食肉学校について、卒業生のうち、本県出身者はどのくらいいるのか。

小茂田畜産課長
 全国食肉学校では、修学期間が異なる課程が3コースあり、1年の総合養成科、6か月の総合養成科前期コース及び3か月の食肉販売科となっている。今年度の入学者は、総合養成科で13名、同前期コースで10名、食肉販売科で26名であり、このうち食肉販売科に本県出身者2名がいるのみで、それ以外の課程では本県出身者はいない。

(12)農地集積の成果と現状について

岸委員
 農地集積の成果と現状はどうか。

石坂農業構造政策課長
 平成29年3月末時点の本県の担い手への農地集積率は32パーセントで、農地中間管理事業が発足した平成26年度の28.9パーセントから徐々に上昇しており、農地中間管理事業実施市町村数も28市町村にまで拡大している。しかしながら、昭和村や嬬恋村といった集積率が7割を超える市町村もあれば、1割に満たない市町村もあるなど、地域によって集積状況は様々である。農地中間管理機構の転貸面積は、今年度1,000ヘクタールを越える見込みであるが、今後、関係機関と連携して農地集積を加速して参りたい。

岸委員
 農地の状況は地域によって様々であるが、どのように対応していく考えか。

石坂農業構造政策課長
 広い区画の農地をまとめて、集落営農組織等の法人に集積したり、区画が小さく集約が困難な中山間地域の農地は、農業委員等の意見を聞きながら、できるところから集積を進めるなど、関係機関が連携し、地域の実情に合わせた農地集積を進めて参りたい。

岸委員
 県内における所有者不明農地の状況はどうか。

石坂農業構造政策課長
 平成28年に国が実施した相続未登記農地の調査によると、県内の相続未登記農地は8,082ヘクタールである。

岸委員
 県内の相続未登記農地の農地面積に占める割合はどのくらいか。

石坂農業構造政策課長
 農地面積に占める割合は9.3パーセントとなっている。

岸委員
 国において議論が始まっているようだが、県においても国に提言していただきたいがどうか。

澁谷農政部長
 特区提案において、所有者不明農地を含めた手続の簡素化を提案している。県としては現場の声を国につなげ、農地利用の最適化の促進に取り組みたい。

(13)農業分野における外国人技能実習生の受入について

岸委員
 外国人技能実習制度について、県内の農業分野における実習生の受入状況はどうか。

高橋農政課長
 県内の農業分野における技能実習生の受入人数は、農林水産省や国際研修協力機構の調べによると、平成27年で約900人である。国籍別では、中国やインドネシア、ベトナム、フィリピンなどからの受入が多い。

岸委員
 外国人技能実習制度の仕組みはどうなっているか。

高橋農政課長
 外国人技能実習制度の仕組みは、監理団体が相手国の送り出し機関から技能実習生を受け入れ、農家等において技能実習を実施するものである。

岸委員
 高崎市群馬商工会や藤岡市鬼石商工会が過去に技能実習生を受け入れていた時に、フィリピンからの技能実習生に逃げられてしまったことがある。このようなことがないようにお願いしたいがどうか。

高橋農政課長
 国では、本年11月に制度改正を行い、「外国人技能実習機構」の新設による監理団体の許可制など指導監督体制を強化することとしている。県としては、信頼できる送り出し機関の確保、労働基準法等関係法令の遵守、監理団体・実習実施者の義務や責任の明確化とともに、外国人と受入農家の相互理解を深めることが重要であると考えている。また、本年2月には知事がベトナムへ訪問し、農業分野においても、ベトナム人労働者の受入や人材育成について、連携して取り組むこととしている。

小川委員
 農業分野における外国人技能実習生の受入状況について、平成27年は約900人とのことであるが、人数は増えているのか。

高橋農政課長
 農林水産省や国際研修協力機構の調べによると、平成25年は約790人、平成26年は約880人、平成27年は約900人となっている。

小川委員
 外国人技能実習生の受入に関して、県内における不適正事例や課題が分かれば教えていただきたい。

高橋農政課長
 国家戦略特区の外国人技能実習制度は、実習生への技能の移転を図り、その国の経済発展を目的とした国際協力であるが、県内に限らず全国的な問題として、保証金を徴収している不適切な送り出し機関の存在や、実習生が実質的に低賃金労働者として扱われるなどの不適正事例の発生が一部にあると聞いている。

小川委員
 県内の受入農家から話を聞き、どういう課題があり、どういう仕組みにすればよいか、把握していただきたいがどうか。

高橋農政課長
 国において、昨年11月に技能実習法が成立し、本年11月から施行されるが、その中で「外国人技能実習機構」の新設による監理団体の許可制度の導入や、人権侵害行為等に対する罰則規定を設けるなど、関係行政機関による指導監督体制を強化することから、これまで以上に適正な運営がなされるものと考えている。

(14)産地パワーアップ事業について

藥丸委員
 産地パワーアップ事業について、詳細を教えていただきたい。

吉野蚕糸園芸課長
 産地パワーアップ事業は、TPP対策として実施されている国庫事業であり、一部が基金事業となっている。当事業は、産地が戦略的に販売額を1割以上拡大、あるいは生産コストを1割以上削減する取組に対し支援するもので、平成28年度以降、14産地が、野菜、コンニャク、花き等で集出荷場や栽培用施設・機械等の整備を行っている。平成29年度予算額は、8億8,640万8千円で、補助率は2分の1である。

藥丸委員
 産地パワーアップ事業と他の事業との違いを教えていただきたい。

吉野蚕糸園芸課長
 産地パワーアップ事業と関連する事業として、強い農業づくり交付金がある。強い農業づくり交付金は、産地競争力の強化等を目的としているが、採択にあたっては目標達成に応じたポイント制が導入されており、全国でポイント順に採択されている。これに対し、産地パワーアップ事業は、強い農業づくり交付金のような厳しい目標設定が不要で、かつ事業費が大きいことにより、産地において取り組みやすいものとなっていることから、本県では本事業を活用している。平成28年度は14産地で取り組んでおり、JA佐波伊勢崎のなす・きゅうり選果場の整備やJAにったみどりの野菜出荷施設の再整備などを行っている。平成29年度は12産地で計画されており、JA前橋市のきゅうり・なす選果場の整備やJA利根沼田のトマト選果場の整備などを行うことにしている。

藥丸委員
 産地パワーアップ事業の今後の見通しについて、分かれば教えていただきたい。

吉野蚕糸園芸課長
 来年度の事業実施については、国の方針が出ていないため未定であるが、基金事業については、本県の予算枠も残っていることから、事業の継続をお願いしているところである。

(15)大久保地区排水整備の状況について

藥丸委員
 太田市藪塚西部地域における排水対策について、大久保地区排水整備の現状はどうか。

片山農村整備課長
 平成28年度から県営事業として着手し、全体事業費4億8,500万円、調整池5か所、排水路8.4キロメートル等の整備を、平成32年度までの5か年で実施する予定としている。平成28年度には、調整池2か所及び排水路1.7キロメートルの測量設計を実施し、本年度は、調整池1か所の用地買収と工事に着手している。今後も計画的な取組により、平成32年度の完成を目指しているところである。

藥丸委員
 整備にあたって地元に説明しているのか。

片山農村整備課長
 地元の推進協議会、及び工事ごとに地域の方に説明している。

(16)群馬県漁業増殖基金協会の当期損益について

臂委員
 公益財団法人群馬県漁業増殖基金協会の平成28年度の当期損益が「-15,333千円」となっているが、このことについて説明していただきたい。

吉野蚕糸園芸課長
 協会で保有しているステップアップコーラブル債が期限前に償還されたことと、その後に買い換えたGSGIコーラブル債の評価額が下がったことによる。

臂委員
 当該債券は基本財産で大きな割合を占めているが、それほど大きなマイナス要因ではないということでよいか。

吉野蚕糸園芸課長
 基本財産については、これまで国債で運用してきたが、国債の利率の低下により、別の債券で運用してきた。これについても期限前に償還することになったため、別の債券に買い換えたが、その債券で評価額が下がったものである。協会としては、リターンの高いもので運用しようと考えているが、昨今の経済状況の中で運用成果が得られなかったものである。

臂委員
 そういう状況はよく分かるが、監査結果が「指摘・意見なし」となっており、書面ではあるが、臨時の理事会や評議員会を繰り返して、この件を議論していることが監査結果に反映されていないと感じるが、県としてどう考えているか。

吉野蚕糸園芸課長
 協会から債券の買い換えについて相談を受けており、具体的にどうするか相談しながら進めているところである。株式の状況は、素人にはなかなか見通せない部分もあることから、今後については、専門家からも意見を聞きながら対応を検討していきたい。

臂委員
 98.3パーセントの出資割合を持つ県が専門性や責任を持って指導・チェックしていかなければならないと思うが、県は資金運用に対して強い指導ができない状況にあるのか。

吉野蚕糸園芸課長
 現状、そこまでの強い指導を行っていないのは事実である。漁業増殖基金は、昭和30年代の利根川の河口堰や利根大堰の建設による漁業補償を漁連から県が預かって基金化したもので、実質的に県は出資していないが、形式的には県が出資していることから、今後、資金の運用等については専門家の意見を聞きながら対応していきたい。

(17)養鯉業の現状と今後の振興について

臂委員
 伊勢崎市でも養鯉業者が少なくなっているが、養鯉業の現状と今後の振興について伺いたい。

吉野蚕糸園芸課長
 養鯉業は県内で様々な形態で行われている。生産量は、平成16年では、全国で3,958トン、このうち本県は922トンで全国2位であったが、平成28年では、全国で3,131トン、このうち本県は165トンで全国5位と大きく減少している。コイヘルペスウイルス病の発生やそれによる風評被害、食の多様化、後継者不足が大きな要因である。今後は防疫対策と飼育管理の徹底により、養鯉業が継続できるように努めて参りたい。

(18)JA佐波伊勢崎なす・きゅうり選果場について

臂委員
 JA佐波伊勢崎のなす・きゅうり選果場が整備されたが、成果と今後の対応について伺いたい。

吉野蚕糸園芸課長
 当施設は、平成28年度の産地パワーアップ事業により整備し、4月から試験稼働、6月から本格稼働している。事業費は8億7,500万円で、うち4億500万円が国庫金である。きゅうりでは、本県初の選果場であり、施設なす、露地なすも併せ、販売額を15パーセント拡大し、約18億円の販売を目指している。JA佐波伊勢崎については、トマトの選果場を整備していることから、今回の整備により、地域の主要な施設野菜である、きゅうり、なす、トマトの選果場の整備が完了したことにより、県内でも先進的な産地づくりが行われている。これまで時間のかかっていた選果作業を省力化し、余剰となった時間を活用することで、栽培面積の拡大や、管理作業の充実による品質や収量の向上を目指している。また、機械選果により生産者間の品質格差を是正し、有利販売につなげるなど、産地の強化を期待している。反面、パートの確保や育成、作業効率の向上などが課題となっていることから、関係機関と連携して解決に向けて対応したい。

(19)農地への太陽光発電設備の設置について

臂委員
 農地でも太陽光発電設備が設置されるようになってきたが、設置状況と設置に対する県の考え方について伺いたい。

石坂農業構造政策課長
 太陽光発電設備については、優良農地での農地転用は認められていないが、平成25年から適切な営農継続を前提に、支柱部分の一時転用による優良農地への設置が認められた。転用実績は、永久転用が、平成27年は904件、141ヘクタール、平成28年は748件、約128ヘクタール、営農継続型が、平成27年は27件、0.1ヘクタール、平成28年は52件、0.1ヘクタールとなっている。営農継続型の転用面積が少ないのは、支柱部分のみが対象となっていることによるものである。

臂委員
 農地への太陽光発電設備の設置により、周辺の用排水路等の農業施設に影響を及ぼす可能性があると思うが、その場合、県において指導する等の対応は可能か。

石坂農業構造政策課長
 太陽光発電設備に限らず、周辺農地等への被害防除措置については、法令による許可基準に従い、審査している。営農継続型の場合は、通常の審査に加え、パネルの下部農地での営農状況、周辺農地への支障の有無等により、一時転用期限である3年毎に再審査を行っている。

(20)遺伝子組換えカイコについて

臂委員
 遺伝子組換えカイコについて、薬品の製造等、発展性があると思うが、どう考えているか。

須関蚕糸技術センター所長
 遺伝子組換えカイコについては、2000年に国の試験研究機関によって開発に成功し、現在、有用物質生産・高機能シルクなど様々なタンパク質の生産が可能となり、関係者の期待は高まっている。

(21)認定農業者について

小川委員
 認定農業者数は増えているのか。

田島担い手対策主監
 認定農業者数の推移は、平成28年3月末で4,847経営体、平成29年3月末で4,809経営体で、概ね横ばいで推移している。

小川委員
 認定農業者の数値目標はあるのか。

田島担い手対策主監
 平成31年度末で5,200経営体としている。

小川委員
 認定農業者が順調に増えていかない理由は何か。

石坂農業構造政策課長
 認定農業者数は横ばいの状況であるが、主業農家数に占める認定農業者の割合では、平成27年度は7割程度であったが、平成28年度は78パーセントと増加している。

小川委員
 全体として規模は増えているものの、農家数は減っているとのことだが、高齢者がどんどんやめてしまう一方で、新規就農者がなかなか増えていないということか。

石坂農業構造政策課長
 新規就農者数は毎年200名前後で推移しているが、比較的小規模の農家が多くやめていることが原因であると考えている。

小川委員
 認定農業者・新規就農者の所得目標と支援内容について伺いたい。

田島担い手対策主監
 農業経営基盤強化法に基づき、認定農業者、認定新規就農者の所得目標を示している。市町村により異なるが、認定農業者については1経営体当たり500~730万円、認定新規就農者については1経営体当たり325~360万円を所得目標としている。また、支援内容としては、機械や施設整備に対する補助、経営セミナーや経営相談の開催等、ハード・ソフト両面から支援している。

(22)蚕糸振興について

小川委員
 県内の桑畑の状況について伺いたい。

岡野絹主監
 JA蚕業技術員による調査では、昨年7月末現在の使用桑園面積は142ヘクタールである。

小川委員
 「使用している」ということは、使用していない桑畑もかなりあるということか。

岡野絹主監
 未使用桑園面積は175ヘクタールである。

小川委員
 桑苗の需要と供給はどうなっているか。また、新規に養蚕を始めた方が桑苗を入手する際に、困っていることはあるか。

岡野絹主監
 県内の桑苗生産者は1戸で、4万本生産している。そのうち県内の需要は14,800本、その他は県外に販売している。県内の需要に対して優先的に供給している。なお、県外の需要は主に桑茶である。桑園は成園になるまで約3年かかるので、ぐんま養蚕学校の研修先農家や休止農家の桑園をJA蚕業技術員から斡旋してもらい使用している。


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