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【6月19日】平成29年(不)第1号・平成29年(不)第2号・平成29年(不)第4号株式会社群馬バス不当労働行為救済申立併合事件命令書の交付について(労働委員会事務局)

 群馬県労働委員会は、令和元年6月18日、標記事件に関する一部救済を内容とする命令書を下記のとおり当事者に交付しました。

1 当事者

(1)申立人

 群馬合同労働組合(高崎市柴崎町)(以下「組合」という。)

(2)被申立人

 株式会社群馬バス(高崎市緑町)(以下「会社」という。)

2 事案の概要

 本件は、会社が行ったとされる行為が、次の(1)から(7)までのとおり、労働組合法第7条第1号から第3号までに該当する不当労働行為であるとして、平成29年5月9日、同年9月29日、同年12月26日に組合から救済申立てがあったものです。
 なお、当委員会は、これらの各申立てを併合しました。

(1)会社の路線バス運転業務に従事する組合員Aを、始業前の呼気アルコール検査においてアルコールが検出され、かつ、勤務開始時刻前8時間以内に飲酒をしたとして、平成29年3月15日付けで解雇したが、これは、Aが組合分会の分会長であるがゆえの不利益処分であること。

(2)会社の路線バス運転業務に従事する組合員Bの所属する営業所では、法定外休日に勤務を指定するという慣例があったにもかかわらず、Bに対して平成29年4月27日から同年9月14日までの間のうち12日間について、法定外休日に勤務の指定をしない措置をとったが、これはBが組合員であるがゆえの不利益処分であること。

(3)運転する路線バスの運行経路を誤り、苦情を生じさせ、かつ、携帯電話を使用しつつバスを運転したとして、Bに対して平成29年6月23日付けで停職7日間の懲戒処分を行ったが、これは組合員であるがゆえの不利益処分であること。

(4)平成29年4月以降に従業員と締結した雇用契約書に、次の2項目の誓約事項(以下「本件誓約事項」という。)を追加したが、これは組合運営に対する支配介入に該当するものであること。
ア 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他団体を結成し、又はこれに加入いたしません。
イ 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他団体の傘下、下部組織又は影響下にある組織に加入いたしません。またそれら組織の構成員又は支持者と契約行為はもとより、関与、接触いたしません。

(5)団体交渉に際し、組合が要求した就業規則等の資料の交付を拒否したが、これは誠実交渉義務に反するものであること。

(6)上記(2)のBに対する不利益取扱いを議題とした組合からの団体交渉の開催要求に応じないのは、団体交渉の拒否に当たるものであること。

(7)組合からの平成29年9月28日付け要求書に対して、回答をしていないことは、団体交渉の拒否に当たるものであること。

3 判断の要旨

(1)Aの解雇【棄却】
 会社がAを解雇した決定的な動機は、Aが、就業規則等に反し勤務開始時刻前8時間以内に飲酒し酒気を帯びて出勤したことによるものと判断できる。
 したがって、労働組合法第7条第1号の不当労働行為には該当しない。

(2)Bに対して法定外休日に勤務の指定をしないこと【一部救済】
 会社は、団体交渉において、法定外休日に勤務を指定してほしくないというBの意向を踏まえた措置だと主張するが、同団体交渉において、労使間にそのような合意は成立していなかった。
 また、両当事者は激しい対立関係にあったことが窺われ、このような状況下で、Bに法定外休日の勤務を指定せずに給与を減額させることにより、組合の活動を牽制しようとしたものと判断することができる。
 したがって、労働組合法第7条第1号の不当労働行為に該当する。会社は、10日間の給与相当額をBに支払わなければならない。

(3)Bの停職処分【棄却】
 組合は、処分はBが組合員であるために行われた差別的なものであった旨主張するが、会社における過去の処分例等との比較をしても、停職処分が差別的な処分であったとまでは認められない。
 したがって、労働組合法第7条第1号の不当労働行為には該当しない。

(4)従業員と締結した雇用契約書に誓約事項を追加したこと【全部救済】
 会社は、テロ対策として本件誓約事項を雇用契約書に追加したと主張するが、国等からのテロ対策に関する通知は乗客への対応を念頭に置いており、従業員を対象とするものではない。これに対し本件誓約事項は、専ら従業員の行為を規律しようとするものであるから、テロ対策が合理的根拠と認められない。
 本件誓約事項は、会社が新入社員らが組合に加入することを躊躇させ、組合の組織拡大を阻止し、組合の影響力を削ごうとする意図を持って、又は、このような効果を視野に入れて追加したものと推認される。
 したがって、労働組合法第7条第3号の不当労働行為に該当する。

(5)就業規則等の交付を拒否していること【2号:全部救済、3号:棄却】
 組合が団体交渉に際して求めた就業規則等は、組合員の労働条件の改善要求及び確認等のために必要な資料であることから、組合の求めに応じ提供すべき資料であったことは明らかである。
 したがって、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。
 なお、組合は、就業規則等を交付しないことが、他の労働組合との取扱いに比べ差別的である旨を主張するが、会社が他の労働組合に就業規則を含む書類を提供していることについて、そのような事実は認められないこと等から、労働組合法第7条第3号の不当労働行為には該当しない。

(6)Bに対する不利益取扱いを議題とした団体交渉を拒否していること【全部救済】
 会社は、組合から平成29年5月に団体交渉の開催を要求された後、同年9月に団体交渉を開催しているものの、その開催までに約4か月の期間が空いている。さらに、会社は同年6月に「団体交渉に応じられない」及び「開催する必要性が乏しい」旨を組合に回答していることから、会社が団体交渉を拒否していないとは認められない。
 また、会社は、書面による回答をしていること及び組合の不誠実な態度が団体交渉の拒否の正当な理由となる旨を主張するが、正当化するまでの理由にはならない。
 したがって、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。

(7)組合からの要求書に回答していないこと【棄却】
 組合の要求書では、組合員の配置転換や各種の情報開示について文書による回答を求めているものの、団体交渉の開催の要求等をしていない。
 したがって、要求書への回答を行わないことのみをもって団体交渉を拒否したとはいえず、労働組合法第7条第2号の不当労働行為には該当しない。

4 主文の内容(要旨)

(1)会社は、Bに対し、平成29年4月27日から同年9月14日までの間に、現に勤務をした日以外に、法定外休日に10日間勤務したものとして取り扱い、賃金相当額及びこれに年6%を加算した額の金員を支払うこと。

(2)会社は、本命令書受領の日以降、従業員との間で本件誓約事項の内容を含む雇用契約を締結しないこと。また、会社は、既に従業員との間で締結した雇用契約について、本件誓約事項の内容をなかったものとして扱うこと。

(3)会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、上記(2)のことを記載した文書を会社の全ての事業場の従業員が見やすい場所に、10日間掲示すること。

(4)会社は、組合から組合員の労働条件又は未払賃金の確認をするための団体交渉の申入れがあったときは、就業規則、三六協定等の当該団体交渉に必要な資料を交付するなどした上で、これに誠実に応じること。

(5)会社は、不当労働行為と認定された行為について、今後同様の行為を繰り返さない旨を内容とする文書を組合に交付すること。

(6)その余の申立て(「2 事案の概要」(1)、(3)及び(7)等)は、棄却する。

(参考)

1 不当労働行為とは

 不当労働行為救済制度は、憲法で保障された団結権等の実効性を確保するために、労働組合法に定められている制度である。労働組合法第7条では、使用者の労働組合や労働者に対する次のような行為を「不当労働行為」として禁止している。

〔不当労働行為として禁止される行為〕
(1)組合員であることを理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止(第1号)
 ア 労働者が、

  • 労働組合の組合員であること、
  • 労働組合に加入しようとしたこと、
  • 労働組合を結成しようとしたこと、
  • 労働組合の正当な行為をしたこと、

 を理由に、労働者を解雇したり、その他の不利益な取扱いをすること。

 イ 労働者が労働組合に加入せず、又は労働組合から脱退することを雇用条件とすること。

(2)正当な理由のない団体交渉の拒否の禁止(第2号)
 使用者が、雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを、正当な理由なく拒むこと。
※ 使用者が形式的に団体交渉に応じても、実質的に誠実な交渉を行わないこと(「不誠実団交」)も、これに含まれる。

(3)労働組合の運営等に対する支配介入及び経費援助の禁止(第3号)
 ア 労働者が労働組合を結成し、又は運営することを支配し、又はこれに介入すること。
 イ 労働組合の運営のための経費の支払いにつき経理上の援助を与えること。

(4)労働委員会への申立て等を理由とする不利益取扱いの禁止(第4号)

2 再審査の申立て期間

 命令書が交付された日の翌日から起算して15日以内に中央労働委員会に再審査の申立てができる。

3 取消訴訟の出訴期間

(1)使用者の場合 命令書が交付された日の翌日から起算して30日以内
(2)組合の場合 命令書が交付された日の翌日から起算して6か月以内

このページについてのお問い合わせ

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