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【10月18日】重要文化財(建造物)の指定について(文化財保護課)

 国の文化審議会(会長 佐藤 信(さとうまこと))は、令和元年10月18日(金)に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決を経て、9件の建造物(新規6件、追加3件)を重要文化財に指定することを文部科学大臣に答申しました。
 このうち新規指定の重要文化財となる1件は、本県所在の下記の建造物です。この結果、近日中に行われる官報告示を経て、全国の国宝・重要文化財(建造物)は、2,509件、5,122棟(うち国宝227件、290棟を含む)、本県の国宝・重要文化財(建造物)は、26件、80棟(うち国宝1件、3棟を含む)となる予定です。

1 答申が行われた本県所在の重要文化財(建造物)

・新指定
塩原家住宅(しおばらけじゅうたく) 3棟 (所有者:個人)

主屋(おもや) 1棟
裏蔵(うらぐら) 1棟
稲荷社(いなりしゃ) 1棟

附(つけたり)
蚕種保護室(さんしゅほごしつ)1棟、蚕種冷蔵庫(さんしゅれいぞうこ)1棟、変電室(へんでんしつ)1棟、自動車車庫(じどうしゃしゃこ)1棟、前蔵(まえぐら)1棟、味噌蔵(みそぐら)1棟、米つき小屋(こめつきごや)1棟、作業小屋(さぎょうごや)1棟

土地(前橋市田口町地内) 

2 塩原家住宅(前橋市)概要

(1)名称及び員数

名称:塩原家住宅(しおばらけじゅうたく) 3棟 (所有者:個人)

主屋(おもや) 1棟
裏蔵(うらぐら) 1棟
稲荷社(いなりしゃ) 1棟

附(つけたり)
蚕種保護室(さんしゅほごしつ)

1棟、蚕種冷蔵庫(さんしゅれいぞうこ))1棟、変電室(へんでんしつ)1棟、自動車車庫(じどうしゃしゃこ)1棟、前蔵(まえぐら)1棟、味噌蔵(みそぐら)1棟、米つき小屋(こめつきごや)1棟、作業小屋(さぎょうごや)1棟

土地(前橋市田口町地内)

(2)所在地

群馬県前橋市田口町地内
所有者住所:前橋市田口町
※所有者が個人のため、詳細の公表は控えさせて頂きます。

(3)年代

主屋 :大正元(1912)年
裏蔵 :江戸末期(慶応2(1866)年以前の可能性あり)
稲荷社:明治40(1907)年

(4)指定基準について

指定基準「(3)歴史的価値の高いもの」、「(5)流派または地方的特色において顕著なもの」

(5)概要

 塩原家住宅は前橋市北西部の田口町に所在し、利根川の左岸に位置し、旧国道17号と上武道路(国道17号バイパス)が交差する位置の北東にある小高い丘陵地にある。
 明治期から昭和期において中毛地区における蚕種製造を主導した塩原家の蚕種製造への関わりは、初代佐平が、村の有志と明治12(1879)年に共同稚蚕飼育所を設立したことにはじまる。明治14(1881)年には養蚕飼育試験場と改称して、蚕種(カイコの卵)の製造・販売を本格的に開始し、やがて独自の改良種である「塩原亦(又)(しおばらまた)」が県内外に広く販売された。そこで、事業の拡張を図り、明治末期から大正期にかけて、前身の茅葺民家を現存の3階建の主屋(今回、重要文化財となる建物)へと建て替えた。その後は戦後の昭和26年(1951)に蚕種冷蔵室、昭和31(1956)年に自動車車庫を整備するなど施設を整え、昭和32(1957)年に塩原蚕種株式会社を設立するが、昭和40年代に蚕糸業界が全国的に低迷期に入り、昭和54(1979)年に会社を休業し、平成8(1996)年に廃業となった。
 塩原家住宅が所在する敷地は5,000平方メートルを超えており、西側に石垣を築き、主屋は敷地の北寄りに南を正面として建てられている。そして、主屋を囲むように裏蔵、稲荷社、蚕種冷蔵室、米つき小屋、味噌蔵、前蔵などの付属施設が建ち並んでいる。
 塩原家住宅の主屋は、1階を蚕種製造としての使用は限定的で大半を居室空間とし、2階を養蚕作業に、3階を蚕種作業に用いた、国内でも最大級と思われる養蚕農家建築である。この主屋は、群馬県及びその周辺において、幕末から明治期にかけて蚕種飼育法とともに発展してきた蚕種製造民家の集大成として高い価値を有している。また、敷地内には蚕種製造の工程を伝える一連の建物が残り、蚕種に関する文献資料も多く残り、明治から戦後に至るまでの近代蚕種製造民家の様相をよく示すものとして重要である。

(6)構造・形式及び特徴

1 本指定 

○主屋:木造、建築面積434.47平方メートル、3階建、桟瓦葺
 主屋は文献資料等から大正元(1912)年の建設と考えられる。南東部や西側の増築部以外の本体は3階建であり、外壁は土壁である。屋根上には「総櫓」と呼ばれる換気のための越屋根(屋根上に付けられた小さな屋根)をもつ。
 1階は住居と事務室、台所として使用されており、蚕種業に関わることとしては、東側にある土間の地下に桑貯蔵庫があったほか、その西側のチャノマで作業を行っていた。
 養蚕及び蚕種に関連して使われた2・3階は約28.2メートル×10.8メートルの広大な屋内空間がある。南北の外壁はすべて窓となっており、2階と3階の間にも換気口が設置されるなど通気を重視していたことがわかる。
 2階は、全体を養蚕作業に使っていた。南北の窓沿いと中央の階段部分を通路としたほかは4室に分けて蚕室としていた。
 3階は、全体を蚕種作業に使っていた。2階のような間仕切りは無かったものの部屋番号を記した木札が残ることから、区分けして使用していたことがわかる。中央北側に梯子がかけられ、屋根上の「総櫓」へと登れるようになっている。

○裏蔵:土蔵造、建築面積32.85平方メートル、2階建、桟瓦葺
 建築年代は明らかではないが、内部には炭化した建築材が残っていることから、慶応2(1866)年に強盗が入り、火を付けられた蔵の1つと考えられる。内部の仕上げは厚い横板を用いて丁寧に造られており、大きな文庫蔵(書物等の保管の蔵)と考えられている。

○稲荷社:木造、一間社流造、銅板葺
 社に至る石段の石柱に「明治四拾年四月吉辰」とあることから明治40(1907)年の建立である。主屋の背面(北側)の西隅に安置されている屋敷神であり、盛り土の上に立てられている。屋敷神の本殿としては本格的な造りであり、当時の塩原家の勢いを示すものと思われる。

※国宝及び重要文化財指定基準(建造物の部)
(昭和26年5月10日文化財保護委員会告示第2号、改正・平成8年10月28日文部省告示第185号)
重要文化財
建築物、土木構造物及びその他の工作物のうち、次の各号の一に該当し、かつ、各時代又は類型の典型となるもの。
(1) 意匠的に優秀なもの
(2) 技術的に優秀なものもの
(3) 歴史的価値の高いもの 
(4) 学術的価値の高いもの
(5) 流派的又は地方的特色において顕著なもの
国宝
重要文化財のうち極めて優秀で、かつ、文化史的意義の特に深いもの

(7)写真(写真はすべて前橋市教育委員会提供)

塩原家住宅主屋の写真
塩原家住宅 主屋
塩原家住宅裏蔵の写真
塩原家住宅 裏蔵
塩原家住宅稲荷社の写真
塩原家住宅 稲荷社

このページについてのお問い合わせ

地域創生部文化財保護課
〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
電話 027-226-4684
FAX 027-243-7785
E-mail bunkaho@pref.gunma.lg.jp
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