本文
令和4年度 病害虫発生予察情報 第4号(7月予報)
更新日:2022年7月6日
印刷ページ表示
令和4年度 病害虫発生予察情報 第4号(7月予報)(PDFファイル:229KB)
予報の概要
作物名 | 病害虫名 | 対象地域名 | 発生時期 | 発生量 |
---|---|---|---|---|
イネ | 葉いもち | 早期栽培地域 | 並 | |
早植栽培地域 | 並 | 並 | ||
普通期栽培地域 | 並 | 並 | ||
紋枯病 | 早期・早植栽培地域 | 並 | やや多 | |
縞葉枯病 | 感受性品種栽培地域 | 並 | ||
イチモンジセセリ第2世代幼虫(イネツトムシ) | 栽培地帯全域 | 並 | ||
ツマグロヨコバイ | 栽培地帯全域 | 並 | ||
フタオビコヤガ(イネアオムシ) | 栽培地帯全域 | 並 | ||
果樹全般 | カメムシ類 (チャバネアオカメムシ) |
栽培地域全域 | やや多 | |
ハダニ類 | 栽培地域全域 | 並 | ||
リンゴ | 斑点落葉病 | 栽培地帯全域 | 並 | |
炭疽病 | 栽培地帯全域 | 並 | 並 | |
ナシ | 黒星病 | 栽培地帯全域 | 並 | |
ナシヒメシンクイ | 栽培地帯全域 | やや多 | ||
ダイズ野菜類 花き類 |
ハスモンヨトウ | 平坦地域 | 並 | |
野菜類花き類 | オオタバコガ | 栽培地帯全域 | 並 | |
野菜類 | 軟腐病 | 栽培地帯全域 | 並 | |
キャベツ | コナガ | 高冷地栽培地帯 | やや多 | |
タマナギンウワバ | 高冷地栽培地帯 | 並 | ||
夏秋ナス | ハダニ類 | 栽培地帯全域 | 並 | |
アザミウマ類 | 栽培地帯全域 | 並 | ||
ネギ | ネギアザミウマ | 栽培地帯全域 | 並 | |
シロイチモジヨトウ | 栽培地帯全域 | 並 |
※発生時期の空欄は連続発生
主な病害虫の発生予報
1 イネ
発生地域 | 発生時期 | 発生量 |
---|---|---|
早期栽培地域 | 並 | |
早植栽培地域 | 並 | 並 |
普通期栽培地域 | 並 | 並 |
1 予報の根拠
- 現在までの発生量は平年並である。
- BLASTAM(ブラスタム 3ページ コラム参照)の結果、6月1日~30日までの感染好適日の出現日数の合計は平年並である(表1)。
- 向こう1か月の気象予報(6月30日発表)によると、期間の前半は、平年に比べ曇りや雨の日が少なく、期間の後半は、平年と同様に晴れの日が多い見込みである。平均気温は高い確率50%、降水量は平年並または少ない確率ともに40%である。
《発生しやすい条件:平均気温19~25度で、降雨頻度が高く、多湿である場合。夜間の風が弱く、朝露の乾きが遅い場合。イネが軟弱徒長気味で葉色が濃い場合。》
2 防除上注意すべき事項
- BLASTAMの感染好適日の約1週間後が、葉いもちが発生する危険性が高まるので、その時期を中心にほ場を観察する。※注「BLASTAM」の結果は、病害虫発生予察情報一覧にて更新予定です。
- 7月4日前橋地方気象台発表の週間天気予報によると、今後、曇雨天が予報されている。
- 近年いもち病の発生量が多く、菌密度が高まっている可能性がある。特に前年多発したほ場やイネの葉色の濃い場所、水口など発生しやすい箇所をよく観察し、早期発見に努める。
- 発生を認めたら、ただちに薬剤散布を行う。
- 補植用等の取り置き苗は発生源になりやすいので速やかに処分する。
沼田 | 中之条 | 前橋 | 桐生 | 上里見 | 伊勢崎 | 西野牧 | 館林 | 神流 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
本年値 | 0 | 0 | 3.5日 | 2日 | 1日 | 1.5日 | 2日 | 2日 | 2日 |
平年値 | 2.3日 | 1.3日 | 3日 | 3日 | 5日 | 2.3日 | 3.3日 | 3.3日 | 0.3日 |
※注 BLASTAMは、アメダスデータから葉いもちに感染しやすい日(感染好適条件日)を予測するシステムである。平年値は直近3ヵ年の平均値。
発生地域 | 発生時期 | 発生量 |
---|---|---|
早期・早植栽培地域 | 並 | やや多 |
1 予報の根拠
- 前年の発生量は平年並であったが、一部地域でやや多かった。
- 向こう1か月の気象予報(6月30日発表)によると、期間の前半は、平年に比べ曇りや雨の日が少なく、期間の後半は、平年と同様に晴れの日が多い見込みである。平均気温は高い確率50%、降水量は平年並または少ない確率ともに40%である。
《発生しやすい条件:前年の発生量が多い場合。高温(適温28~32度)、多湿、多肥栽培で生育が旺盛な場合。》
2 防除上注意すべき事項
- 薬剤防除は株元まで到達するように散布する。
- 今後発生しやすい気象が予報されているため、早期発見、適期防除に努める。
- 特に昨年発生が多かったほ場では、前年のイネで形成された菌核がほ場にとどまり、次作の伝染源となるため注意する。
【コラム】-いもち病(葉いもち)とBLASTAM
BLASTAM(ブラスタム)は、アメダスデータから葉いもちに感染しやすい日(以下、感染好適日)を予測する発生予察モデルです。
葉いもちは感染してから発病(目に見える)まで約1週間かかります。そのため、BLASTAMで予測された感染好適日の約1週間後が、葉いもちが発病したり増加したりする危険性が高まる時期になります。その時期にほ場の見回りを行い、早期発見に努めましょう。感染好適日が多かったり、連続したりすると葉いもちの発生が多くなることがあるので、特に注意が必要です。
ただし、実際の葉いもちの発生は以下の要因などが関与しています。
- 菌の量
- イネの品種
- 薬剤防除の状況
- ほ場条件
そのため、BLASTAMの結果は、「感染好適日の約1週間後が危ないぞ」という、葉いもち警戒の参考の1つとして活用します。
2 果樹類全般
発生地域 | 発生時期 | 発生量 |
---|---|---|
栽培地帯全域 | やや多 |
1 予報の根拠
- 1月に実施した越冬量調査では、本年の越冬量は平年より多い。
- 県内に設置したフェロモントラップへの誘殺数は6月中旬から増加し、6月の総誘殺数は7地点中4地点で平年を上回った。
- 向こう1か月の気象予報(6月30日発表)によると、平年に比べて期間の前半は曇りや雨の日が少なく、後半は平年と同様に晴れの日が多い見込みである。平均気温は、高い確率50%、降水量は平年並または少ない確率ともに40%である
《発生しやすい条件:越冬量が多い年は、果樹園への飛来が多くなる可能性が高い。》
2 防除上注意すべき事項
- 果樹カメムシ類の飛来状況は園によって差があるので、園内をこまめに見回り早期発見に努め、飛来を認めたら早急に防除を行う。特に、夜間の最低気温が高くなると飛来する可能性が高くなるので特に注意する。
- カメムシ類は夜行性であるため、活動の鈍い早朝に薬剤散布を行うと効果的である。
3 ナシ
発生地域 | 発生時期 | 発生量 |
---|---|---|
栽培地帯全域 | やや多 |
1 予報の根拠
- 現在までの発生量は平年並である。
- 県内4地点に設置したフェロモントラップについて、第1世代の誘殺は西部の2地点で平年よりやや多い。
- 向こう1か月の気象予報(6月30日発表)によると、平年に比べて期間の前半は曇りや雨の日が少なく、後半は平年と同様に晴れの日が多い見込みである。平均気温は、高い確率50%、降水量は平年並または少ない確率ともに40%である。
《発生しやすい条件:気温が高いと世代間が短縮し発生回数が多くなり、被害が多くなる。》
2 防除上注意すべき事項
- 薬剤散布は丁寧に行い、ほ場の周縁部など薬液のかかりにくい部分に対しては、手散布などにより補正散布を行う。
- 世代間が短縮すると、防除適期が早まるので注意する。
4 野菜類・花き類
発生地域 | 発生時期 | 発生量 |
---|---|---|
栽培地帯全域 | 並 |
1 予報の根拠
- 現在までの発生量は平年並である。
- 県内のフェロモントラップ調査では、第1世代成虫は早い時期から誘殺数の増加がみられる。
- 向こう1か月の気象予報(6月30日発表)によると、平年に比べて平均気温は高い確率50%、降水量は、平年並または少ない確率ともに40%である。
《発生しやすい条件:高温、乾燥条件で多発する傾向があり、梅雨期に降雨が少ない年には発生が多くなる。》
2 防除上注意すべき事項
- 幼虫は生長点付近の茎葉・蕾・花・幼果に食入する。組織内に入り込まれてからでは防除が困難になるため、ほ場をよく見回り、幼虫は見つけしだい捕殺する。薬剤防除を行う場合は、発生初期に実施する。
- 施設開口部は防虫ネットで被覆し、成虫の侵入を防ぐ。
- 薬剤抵抗性の発達を防ぐため、同一系統薬剤の連続散布を避ける。
- 第1世代成虫の発生が早まっているため、防除時期に注意する。
5 野菜類
発生地域 | 発生時期 | 発生量 |
---|---|---|
栽培地帯全域 | 並 |
1 予報の根拠
- 現在までの発生量は平年並である。
- 向こう1か月の気象予報(6月30日発表)によると、平年に比べて期間の前半は、曇りや雨の日が少なく、後半は平年と同様に晴れの日が多い見込みである。平均気温は、高い確率50%、降水量は平年並または少ない確率ともに40%である。
《発生しやすい条件:本病原細菌の生育適温は30度前後、高温多湿条件で発生しやすい。主に風雨等による茎葉のこすれ、害虫による食害痕、摘葉等の管理作業に伴う傷口から病原細菌が侵入・感染する。》
2 防除上注意すべき事項
- 雨水がたまりやすいほ場は排水溝を掘り、ほ場の排水に努める。
- 発病後の防除効果は低いので、予防的な防除を重点に行う。
- 降雨によってはね上がった土の飛沫が作物の傷口に付着することで感染が助長されるため、降雨後は適用薬剤による防除を行う。
- 被害残さは感染源となるため、被害株はすみやかに抜き取り、ほ場の外に持ち出し適切に処分する。
- 耐性菌の発生を防ぐため、同一系統の薬剤を続けて散布しない。
- 7月4日前橋地方気象台発表の週間天気予報によると、今後、曇雨天が予報されている。曇雨天が長引いた場合、その後の気温の上昇とともに発病が拡大するので注意する。
6 キャベツ
発生地域 | 発生時期 | 発生量 |
---|---|---|
高冷地栽培地帯 | やや多 |
1 予報の根拠
- 現在までの発生量は平年並である。
- 嬬恋村でのフェロモントラップによる誘殺数は平年に比べてやや多い。
- 向こう1か月の気象予報(6月30日発表)によると、平年に比べて期間の前半は曇りや雨の日が少なく、後半は平年と同様に晴れの日が多い見込みである。平均気温は、高い確率50%、降水量は平年並または少ない確率ともに40%である。
《発生しやすい条件:少雨条件で発生が助長される。》
2 防除上注意すべき事項
- 天候の回復に伴う気温の上昇により、寄生虫数の増加、被害の拡大が懸念される。
- 生育初期の防除を徹底し、初期密度を下げることにより、生育期中盤の被害拡大を防止するとともに、生育期終盤に発生する次世代の密度低減を図る。
- 薬剤抵抗性の発達を防ぐため、同一系統薬剤の連続散布を避ける。本県ではジアミド系殺虫剤抵抗性を持った個体が確認されているため、薬剤の選択には注意をする。
- アブラナ科雑草にも寄生するので、ほ場周辺の雑草を除去する。
- 収穫残さは増殖源になるので、すみやかに片付ける。
その他の病害虫の発生予報
作物名 | 病害虫名 | 発生時期 | 発生量 | 特記事項 |
---|---|---|---|---|
イネ | 縞葉枯病 | 並 | ヒメトビウンカ越冬世代幼虫のイネ縞葉枯ウイルス保毒虫率は平年よりやや低い。5月4半旬に行った麦類作付けほ場におけるすくい取り調査の結果、ヒメトビウンカの捕獲数は平年並であった。予察灯におけるヒメトビウンカの誘殺数は平年より少ない。 | |
イチモンジセセリ第2世代幼虫(イネツトムシ) | 並 | トラップ調査による誘殺数は平年並。 | ||
ツマグロヨコバイ | 並 | 予察灯による誘殺数は平年よりやや少ない。 | ||
フタオビコヤガ(イネアオムシ) | 並 | フェロモントラップ調査による誘殺数は平年並~やや少ない。予察灯による誘殺数は平年より少ない。 | ||
果樹全般 | ハダニ類 | 並 | 現在までの発生は平年並であるが、一部の地域では増加し始めている。晴天が続くと多発する可能性があるので注意する。 | |
リンゴ | 斑点落葉病 | 並 | 現在までの発生量は平年並。高温多湿条件で発生しやすく、連続した雨などの短期間の気象条件で急増することがあるので注意する。今後曇雨天が続く予報なので注意する。 | |
炭疽病 | 並 | 並 | 現在までの発生量は平年並。高温多湿条件で発生しやすく、特に果実の濡れ時間が長いほど感染しやすいので注意する。今後曇雨天が続く予報なので注意する。 | |
ナシ | 黒星病 | 並 | 現在までの発生量は平年並。 | |
ダイズ野菜類花き類 | ハスモンヨトウ | 並 | 現在までの発生量は平年並。 | |
キャベツ | タマナギンウワバ | 並 | 現在までの発生量は平年並。 | |
夏秋ナス | ハダニ類 | 並 | 現在までの発生量は平年並。 | |
アザミウマ類 | 並 | 現在までの発生量は平年並。 | ||
ネギ | ネギアザミウマ | 並 | 現在までの発生量は平年並。 | |
シロイチモジヨトウ | 並 | 現在までの発生量は平年並。 |