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平成29年度地域別市町村懇談会の開催結果(前橋・伊勢崎・玉村地域)
<前橋・伊勢崎・玉村地域市町村長懇談会>意見交換等(要旨)
開催日 平成29年7月24日(月曜日)
場所 ニューいづみ
1 県提案テーマ 人口減少社会における地域づくり ~子どもの居場所づくりと生活・学習支援ついて~
<企画部長>
本県の人口は、平成72年には、120万から160万人程まで減少するという推計が出ています。この人口減少への対策として、出生率の回復と社会移動の改善の2つが非常に重要になってきます。また同時に、一定の人口減少を盛り込みつつ安全・安心な暮らしや経済社会活動の基盤を守っていく取り組みも進めていくことも重要であり、県では、群馬県版総合戦略を策定して各種施策に取り組んでいます。また、市町村においても、それぞれの総合戦略を策定し取り組まれていると考えていますが、地域に共通する課題については、市町村と県、あるいは、市町村同士が互いに連携して、一緒に取り組んでいくことが重要と思っています。
前橋・伊勢崎・玉村地域は、交通や医療、教育といったインフラが非常に充実している地域です。一方で、都市部ということで、核家族化の進展や地域コミュニティの希薄化などが進展しており、子育て環境や子どもの居場所づくりのさらなる充実が求められている地域であるとも考えています。これについて、こども未来部長から子どもの居場所づくりと生活学習支援について説明し、意見交換をさせていただきたいと思います。
<こども未来部長>
今回の意見交換のテーマは、子どもの少ない時代にあって、子どもが貧困など親の事情で将来の可能性を奪われることを防ぐという観点から提案するものです。子どもを貧困から救うには、一人前の社会人として自立できるように育てることに尽きると思っています。そのためには学校の卒業や資格の取得だけではなく、人間としての成長が不可欠ですが、これは本来、家庭や地域の人間関係の中で培われる力です。
昨年度、県で実施した子どもの生活実態調査によると、生活困窮世帯では、親が適切に子どもに関われていないことから学力や生活力が不足しがちな傾向があらわれましたが、親以外の大人から愛情や思いやりを受けたことが自立に結びついていく事例も多数報告されています。一人親や親の病気など課題を抱えた家庭は増えておりますが、親以外の大人と関われる居場所が地域にあることで子どもの自立の可能性は変わってくるのではないかと推測されます。そして、こうした居場所は、行政が一方的に開くものではなく、地元や民間団体の方々のきめ細やかな取り組みが必要であると感じています。
子どもの居場所づくりについては、現状でも、すでに各地で子ども食堂や無料学習塾の活動が始まっており、子ども食堂は前橋1カ所、無料学習塾は前橋4カ所、伊勢崎2カ所、玉村2カ所で実施されていますが、子どもの通いを考えると十分ではないと思われます。また、実態調査によると、事業への取組に意欲を持つ民間団体やNPO、社会福祉法人が多くありましたが、資金や人材、場所の確保、困っている子どもの把握や周知方法に不安を抱いているという声があります。市町村からも、事業に取り組みたいが、地元の民間団体等の有無や始め方がわからないという声が寄せられました。県では、今年度の県単事業で新たな居場所事業の立ち上げの経費を上限20万円まで補助する制度を始めたところです。また、学習支援ボランティアなどを登録する人材バンクの構築などを行うとともに、関心のある方々がネットワークを作れるように、7月2日にフォーラムを開催しました。今後の課題としては、子ども食堂などに独自に取り組んでいる民間団体と行政との連携、利用したい家庭への周知、事業を継続的に運営するための資金や活動場所の確保などの支援等があげられます。
健康福祉部所管の子どもの生活・学習支援については、県では町村部の生活困窮世帯の主に中学生を対象にNPOに委託して居場所の提供や学習などを行っています。対象となる世帯に対して、生活保護世帯へはケースワーカーを通じて、就学支援受給世帯やひとり親世帯へは教育委員会や児童扶養手当担当課を通じて、チラシなどを配付して周知しており、玉村を含む19の町村を対象に8の会場で実施しています。また、市部でも前橋、伊勢崎をはじめ、同様の取り組みが進められていると聞いています。この事業の課題は、特に町村部で、会場への送迎ができないなど保護者の都合により通えない子どもがいることや、学習支援に参加する子どもには不登校や障害など福祉的な課題を抱えている子どもも多いなかで、支援員の質や量をどう確保するかがあげられます。
こうした子どもの居場所づくりと生活・学習支援への取り組みを進めていく上で、より県民に近い、市長さん、町長さんの考え方、また市町村としての対応が最も重要になると考えております。子どもの問題については市町村と県とで同じ方向性をもって助け合ってしっかり取り組んでいく必要があると考えていますので忌憚のない御意見をいただければと思います。
<前橋市長>
前橋では、現在、生活保護世帯、生活困窮世帯の子どもたちに対する学習支援「Mチェンジ」を、地域における元教員や学生ボランティア等の方々に応援していただき、市内6カ所で行っております。また、生活困窮者以外の居場所として「前橋寺子屋事業」を市内10カ所の市の施設あるいは学校等で実施しています。これは、子どもたちが自主勉強しながら、わからないところを元教員や学生ボランティアが教える方法で進めております。課題は、現在補習の応援というかたちで取り組んでいますが、どこまで教えていいのか、学習要綱づくりまで進んでいいのか悩ましいところです。幸いにして手を上げてくれる方々がたくさんいますので、そういうことを進めながら、学習支援、居場所づくりについて動き出しているところです。
また、フードバンクについては、館林のNPO三松会にお願いして動かしていますが、まだまだ周知が不足しています。地域において貧困食堂をしたい方にも、お配りできるようになっていますので、少しずつ拡大できればと思っております。前橋は、御存じのようにデリカ産業がたくさんありますので、例えば、伊勢崎や玉村の広域のフードバンクと連携することもできるかもしれません。前橋におけるフードバンク事業はまだスタートしたばかりですので、今後、県の指導や近隣市町村との連携の中で拡大していければと思っております。
<伊勢崎市長>
伊勢崎の生活保護受給率は、平成29年度4月末現在0.76%です。群馬県全体の0.77%とほぼ同じような状況であり、全国の1.68%と比較しても低い状況で、本市における貧困世帯数は高い率ではないと考えております。
子どもの居場所づくりに関して、今伊勢崎で一番大きな課題は、放課後児童クラブです。2年前の子ども・子育て支援新制度により預け入れの対象が小学校3年生までから小学校6年生までに拡大し希望者が急増しました。平成27年に赤堀支所を改修して公設公営で40人定員の児童クラブを1ヶ所増設しましたが、今は満杯です。また、昨年、三郷小学校で私立の児童クラブを経営されていた方から体調不良で事業が続けられないと申出があり、今年4月に、三郷小学校の校庭に定数80人の二階建て施設を約7,500万円かけて建設しましたが、定員一杯になっています。赤堀地区では、市の清掃センターがあった場所を改修し、来年4月の開校に向けて進めております。これまでは民設民営が中心でしたが、保護者の皆さんの御要望になんとかお答えするためには、公設公営でやらざる得ない状況になってきています。
子ども食堂については、現状を見ると、居場所づくりと貧困対策との線引きが難しい状況かと思っています。漠然と食事を提供するだけという事例も聞きますので、対象者の選定や食品の衛生の衛生管理、最近特に増えている子どもたちのアレルギー対策といった課題を解消する必要があるのではないかと考えています。
無料学習塾の関係ですが、7,8年前から市内のNPO法人「ジェイコミニュケーション」が、外国籍児童に対して日本語教育を無料で教えています。これまでの民間企業からの運営支援が打ち切られたため、昨年から伊勢崎市の委託事業でお願いをしています。伊勢崎は外国籍の子どもが非常に多く、言葉が通じないために学校が嫌になることがあります。各学校でも対策は取っていますが、そういった子どもたちにまずしっかり日本語から勉強してもらうために、年間で41回、毎週土曜日、市内の民間施設を借りてやっていただいています。
子どもの学習支援については、平成25年5月から市直営で実施しています。平成27年度からは、生活保護受給者や生活困窮者世帯の小学校5年から中学3年生までを対象に、家庭訪問を中心に実施をしております。具体的には教員OB2人体制で各家庭を訪問し、交換式のノートを活用した添削による学習、また進路相談、生活の相談を行い、さらには、保護者からの相談にも応じる方針です。昨年度は、小学校5年、6年生の対象者19人のうち4人、中学生は対象者40人のうち20人、希望のあった高校生も2人支援し、支援を受けた中学3年生6人全員が高校に進学できました。今後は、学習支援の対象者を一人親世帯、就学援助世帯などの生活にお困りの方までさらに広げていきたいと考えています。
放課後こども教室ですが、子どもたちが安全で安心して育っていただくために、多様な体験、活動を行うことを目的に放課後に算数の補習や工作、調理実習等を地域の方の協力を得て行っています。現在4校区の子どもたちを対象に4ヶ所で実施をしています。
保育環境の整備も子育てで大事なことであると思います。現在、伊勢崎では、保育園40園で、保育、教育活動が行われ、国の定める制度上は待機児童0という状況ですが、地域的な偏りがあります。赤堀、東地区では子どもの数が非常に増えておりますが、すぐに保育所を作る訳にいきませんので、希望する保育所に子どもを入れられない状況が続いています。これからさらに人口を増やしていく方向で考えると、保育施設はさらに充実をさせていくことが大きな課題ではないかと考えています。
<玉村町長>
60周年を迎える玉村町は、この60年で人口が急速に増加しましたが、最近10年間では1千人程減少しており、特に少子化が進んでいます。このような中で「子育てするなら玉村町」というキャッチフレーズを掲げ、2つの幼稚園、5つの保育園を町立で運営して、また、各小学校区に児童館を設置することで、子育て環境の整備に努めてまいりました。
また、人口減少対策としては、現在、文化センター前の宅地造成事業を進めており、来年の春には第一期分譲をしたいと思っています。先ほど、五十嵐伊勢崎市長がお話になりましたように、新しい子どもたちを迎えるにあたっては、対策を講じる必要があると考えています。
子どもの居場所づくりの一環として、玉村町では、3つの取り組みが進められています。1つ目はひとり親世帯を対象とした無料学習支援で、群馬県の母子寡婦福祉協議会が玉村町在住の小学1年生から6年生の母子家庭、父子家庭の児童を対象に玉村町勤労者センターで毎週土曜日に学習支援を行っています。町の母子会NPO法人「ひこばえ」の協力により運営しており、平成28年には13名、平成29年には11名が参加しています。2つ目は貧困など福祉的な支援が必要な世帯の中学生を対象とした生活学習面の支援で、新たな生活困窮者自立支援制度に基づき県が進めている事業で、NPO法人「カシオペイア」による「たまたん学習会」として、中学1年生から3年生を対象にまちなか交流館スマイルにおいて毎週土曜日に開催されています。県立女子大の学生や、役場の職員が講師として活動しており、現在12名の生徒が登録しております。3つ目は無料学習塾で、高崎に本拠地にある学習塾ホープにより経済的に厳しいが学習意欲のある中高生を対象に無料で学習支援を行っていただいています。玉村町勤労者センターで開催されており、現在4名の生徒が在籍しております。町では学習場所の確保や対象児童生徒にPRなどを行っておりますが、今後不登校の児童、生徒、正確困窮世帯や生活保護世帯など子どもの居場所づくりとして支援の輪を広げることができるように、県とも協力してより積極的に広報活動を行ってまいりたいと考えています。
玉村町では、高齢者の地域包括ケアシステムの一つとして「ふれあいの居場所づくり」を積極的に進めており、現在の17箇所を35箇所まで広げていきたいと思っています。地域の集会場や公民館等を利用して地域の方々が、居場所づくりをやっており、そこに子どもたちの居場所ができれば、学習支援だけではなく文化の継承や、地域の高齢者との結びつきという面でも有用かと思っています。
さらに別の視点から人口減少社会における子どもの対策としては、玉村町の合計特殊出生率が1.19と群馬県でも低いため、改善を図ることが町の施策として重要であると思っています。
<こども未来部長>
それぞれの市、町の熱心な取り組みを伺い、それぞれの市長さん、町長さんが子どもたち一人一人のことをよくお考えになっていただいていると大変うれしく感じています。待機児童、学童の問題がこれからますます大きくなってくると私どもも思っています。これだけ認定こども園や保育所の整備が進んでいて、その子どもたちが小学校にあがり、しかも6年までということですので、これについては、県としても支えていかなければならないと思っています。
また、玉村町長さんがおっしゃったように、地域の子どもをお年寄りや色々な方と見守っていただくのは、本当に地域づくりとして筋が通ったことだと思います。居場所が必要な子どもは貧困の家庭に限らないというのが現状だと思います。大人の支援が必要な子どもがたくさんいると思いますので、こういった取り組みを通じて次の世代をつくっていければと思っております。ふるさとに面倒をみてくれる人、思い出になる人たちがいる子どもが、地域を愛して、地域に定着すると思っておりますので、こういった思いやりのある方々は宝だと思っております。こういった方々を大事にする行政を皆さんと一緒に作っていければと思っています。
<健康福祉部長>
前橋市、伊勢崎市におかれましては、生活困窮者自立支援法が施行される前から無料学習支援事業に取り組まれており、感謝申し上げます。そして、前橋市さんでは寺子屋事業、伊勢崎市さんでは放課後子ども教室も実施され、きめ細やかな対応をしていただいています。また、玉村地区におきましては、県の委託で生活困窮者世帯を対象に学習支援事業を行っていただいていますが、これには、役場の職員も支援員として参加いただくなど、町に全面的に協力いただいております。その他、ひとり親世帯に対する学習支援や、ボランティアによる無料学習塾の事業を実施されており、感謝申し上げます。この地域は、県内でも、非常に充実した取り組みをされていると思います。まだ取り組みができていない地域もあるので、県としても、県内全体でこの取り組みが進むよう2市1町の皆様と今後しっかりと連携をさせていただきたいと考えています。
<教育長>
前橋、伊勢崎、玉村地域の皆さん方には、子どもたちのために先進的な取り組みをしていただいていると思っております。先日、教育委員さんと秋田へお邪魔しましたが、秋田では、外国人のお子さんの問題はあまり大きくないようなお話しでした。群馬県は子どもに関わる様々な問題が現に顕在化しており、そうした中で市町村の皆さんには、しっかり取り組んでいただいていると思っています。そうした取り組みは県と市町村の皆さん方と連携しながらでないと、課題は見えません。地域全体で、支援が必要なお子さんには必ず手が行き届くよう、学校現場と教育委員会、市町村の福祉の皆さん方との連携づくりが重要であると、今日あらためて感じさせていただきました。様々な課題について、更に意見交換等をしっかりさせていただきながら、できることを皆さんと協力しながら進めさせていただきたいと思います。
2 市町村提案テーマ
(1)上武道路の建設促進について
<前橋市長>
上武道路が無事開通できたので、本当にお礼を申し上げたいと思います。しかしながら、暫定2車線で供用されている区間で渋滞が発生していますので、早期4車線化に向けた取組をお願い申し上げます。
おかげさまで五代工業団地もすぐ売約でき、経済効果が出ています。そういう意味で県全体の交通網に資するものだろうとも思っていますので、よろしくお願いします。
<県土整備部長>
上武道路につきましては、暫定2車線ですでに渋滞が発生しており、前橋地区については、交通量も4割増しという状況となっています。現在、上武道路は、国道50号から北側と利根川に架かる新上武大橋の前後が2車線という状態です。県としましても、地域経済の活性化や、首都圏へのアクセス等を考えますと、早急に4車線化が必要であるということで、今年度も、大澤知事自ら国土交通大臣や国土交通省の幹部に要請活動を行っています。新上武大橋から南側は埼玉県になりますので、埼玉県とも連携いたしまして、今後も引き続き積極的に国に要望を行っていきたいと考えています。
(2)地域周産期母子医療センターの認定について
<伊勢崎市長>
当市においては、年間約1,800人の出生があります。さらに二次保健医療圏である玉村町を含めた伊勢崎保健医療圏では、毎年約2,000人の新しい命が生まれております。これは県全体の14%であり、10圏域に分かれている二次保健医療圏別でも4番目の多さとなります。また、出産のリスクが高くなる35歳以上の方の妊娠も毎年400人以上となっています。こういったことから、リスクの高い妊産婦や胎児、または重篤な症状を持つ新生児に24時間体制で対応をできて、かつ伊勢崎保健医療圏内で完結できる周産期医療の必要性が高まってきています。
現在、伊勢崎市民病院では、年間約600件の分娩に対応しており、地域の周産期医療の中心であるものの、現行の群馬県保健医療計画では周産期における協力医療機関としての位置づけに留まっています。このため、平成30年度計画期間の始期とします第8次群馬県保健医療計画の策定にあたり、是非伊勢崎保健医療圏の周産期医療充実のために、伊勢崎市民病院を地域周産期母子医療センターとして認定していく必要がある旨の計画記載となるように特段の御配慮をお願いしたいと思っています。
出産の体制をしっかりと取っていくことはこれからの人口減少対策にも大変重要であろうと思っており、伊勢崎では、特に妊婦検診については、妊娠から出産まで14回の検診と、3年程前から歯科検診も受けていただいております。歯周病や歯の病気がありますと、流産、早産の危険性が高まることから、無料で必ず1回は早い時期に歯科検診を受けていただいて、出産に臨んでいただこうというような対応を取っているところです。こうしたことが子育てにつながると考えますので、よろしくお願いします。
<健康福祉部長>
県では、周産期医療や小児医療など、限られた医療資源の中で地域医療を守る必要がある事業等ついては、二次医療保険医療圏より広域の二.五次保健医療圏を設けて対応しています。周産期医療については、中部、西部、北部、東部の4圏域において二.五次保健医療圏として連携体制を構築しています。伊勢崎市の属する中部圏域については、前橋、伊勢崎、渋川の3つの二次保健医療圏で構成され、総合周産期母子医療センター1か所、地域周産期母子医療センター3か所、協力医療機関2か所を有しています。伊勢崎市民病院には、協力医療機関として、年間600件以上の分娩を扱っていただいており、地域の周産期医療体制に大きく貢献いただいていることに感謝申し上げます。
県全体の課題でもありますが、県内の周産期母子医療センターの多くが産婦人科医師の派遣を群馬大学に依頼しており、群馬大学でも女性医師の増加などで当直可能な産婦人科医の派遣を継続することが現在困難な状況ともなっています。また、周産期母子医療センターの運営にはNICUが必要で、24時間体制で新生児に対応できる小児科医が必要となっておりますが、小児科医につきましても医師不足が深刻な状況となっています。御提案の件については、今後第8次群馬県保健医療計画の策定に関する各種協議会や同時並行で開催している周産期母子医療センター検討部会において、圏域の分娩数、他の医療機関へのアクセスなど総合的に考慮して、検討してまいりたいと思います。
(3)北関東自動車道前橋南インターチェンジアクセス道路の整備及び利根川への橋梁新設について
<玉村町長>
北関東自動車道前橋南インターチェンジ周辺につきましては、インターチェンジを核とした企業や商業の立地、あるいは観光の振興などの活性化が見られ、また同インターチェンジ北部では、前橋赤十字病院の新病院の整備が開始されており、住民生活の安全、安心が格段に向上することが期待されています。県道前橋玉村線は、県道高崎駒形線から南下して現道の前橋玉村線までの区間が県道に昇格し、北関東自動車道前橋南インターチェンジのアクセス道路として、また4車線の幹線道路として整備されました。さらに前橋都市計画道路の江田天川大島線から南にのびて、整備中の日赤病院の西側を通る高崎駒形線までの区間についても、県道昇格して日赤へのアクセス道路として拡幅事業が着手されています。
前橋玉村線以南につきましても、同バイパスとして延伸、整備を進めていただくことで、東毛広幹道との南北連携ができて、前橋、高崎、伊勢崎及び太田方面を中心に工業団地等の拠点連携及び物流の効率化が図られるとともに、医療分野においても県内広域医療の更なる連携が進むと考えております。また、高崎競馬場跡地に予定されている群馬県のコンベンション施設への前橋方面からのアクセスが拡充されるほか、災害時には防災拠点の役割を担うコンベンション施設と日赤とのアクセス強化も期待されます。
このことから、今年度玉村町では新橋建設による渋滞緩和や走行時間の短縮、走行経費や交通事故の減少、そのほか県央南部地域における地域連携の強化や物流効率の向上による経済効果、救急医療機関へのアクセス強化による県民の安全、安心の向上など、多方面にわたる貨幣価値では換算できない効果などを分析する目的で、予算を取りまして、8月には発注する予定です。また、年明けにはこれを基に住民を対象とした新橋建設に係る説明会も予定しています。このような状況ですので、是非前橋玉村以南につきましても、県道への昇格を御検討いただき、利根川新橋の建設促進をお願いいたします。
<県土整備部長>
今回御要望の区間の橋梁等が整備されますと、東毛広幹道から前橋南インターを通じて日赤病院まで通じるルートになることは承知しております。現在、東毛広域幹線道路が平成28年7月に全線4車線で開通したことにより、玉村町北部の道路の交通渋滞が現時点では緩和されている状況です。また、現在建設中の前橋赤十字病院のアクセス道路として県道前橋玉村線バイパス朝倉工区の整備を行っているところです。これらを踏まえまして、今後玉村町、前橋市、県等の役割分担等を含めて、引き続き検討してまいりたいと考えております。
各市町村議会議長・各市町村教育長・群馬県議会議員からの要望・意見等
<前橋市議会議長>
上武道路の整備については、市議会からも是非よろしくお願いします。前橋も第7次総合計画を策定しているところであり、立地適正化計画や地域交通網形成計画等の検討も始まっております。新しい町づくりが始まる中、上武道路の道の駅、日赤跡地のCCRC構想、本町二丁目の五叉路の整備等様々な課題について、県と連携して推進したいと思いますので、よろしくお願いします。
<伊勢崎市議会議長>
近年、人口減少や少子高齢化の進行が社会全体にとって大きな問題となっています。特に次代を担う子供たちを地域全体で健やかに育み、支えていくことは重要な課題の一つだと思っています。議会としても県や関係機関と連携協力を図りながら、課題解決に向けて検討し尽くしてまいりたいと考えています。
次に、地域周産期母子医療センターの認定ですが、妊産婦や胎児、新生児に対して、万が一の場合に備えて、高度で専門的な医療に対応できる体制を備えておくことは必要不可欠であると考えております。また、こうしたセンターが整備されることによって、本市だけでなく地域全体のためにつながることと思いますので、伊勢崎保健医療圏における周産期医療の充実について、特段の御配慮をお願いします。
<玉村町議会議長>
東毛広域幹線道路の開通により、高崎玉村スマートインターから東毛へのアクセスが非常に良くなっています。こうした状況の中で、郡部の農振除外の問題が非常に足かせになって、玉村町のインター周辺の開発や人口を呼び寄せるための開発が滞っております。文化センター周辺には200戸の住宅ができますが、その沿線に商業施設等がなかなか進出しづらいようですので、玉村町議会では、交通のアクセスが便利になった地域の商業集積や工業団地等の要望を県にお願いします。
<知事>
今、7つの交通軸構想を進めて10年経過したところで、主要幹線道路が段々と全線開通や一部開通し、県内の皆さんから非常に高い評価をいただいています。その反面、その沿線についての開発に対して非常に関心も高まっているところですので、県としても十分検討した中でしっかりと対応させていただきたいと考えております。
<伊勢崎市教育長>
群馬少人数プロジェクトは大きな成果を上げており、全国的にも群馬県は学力が高く、保護者の皆様からも大変高い評価を得ています。特別支援教育の充実についても、地域の保護者の念願である伊勢崎特別支援学校の県立移管、高等特別支援学校の設置に、知事が率先して取り組まれ、大変感謝されております。また、スクールカウンセラーの全校配置についても、学校現場から大変感謝をされています。また、本年度からの小学校へのEAT(英語教育アドバイザー教員)の設置も、先を見越した大変素晴らしい事業であり、感謝を申し上げたいと思います。
子どもたちへの学習支援において一番大変なことは、指導者を確保するための財政的な基盤が弱いということです。是非、市町村が充実した学校外の学習支援ができるように、県からも御援助いただければ、大変ありがたいと思っています。
また、高い質の教育を提供していくことが、群馬県やこの地域の未来にとって非常に大事だと考えていますので、EATの更なる増員や英語検定の導入等、小学校における英語教育の更なる充実に県全体で取り組んでいただければ、大変ありがたいと思います。群馬県の教育が日本でナンバーワンになるということを示すことが、指導者を多く養成していくことになると考えておりますので、御支援をいただければ、大変ありがたいと思っています。
<県教育長>
学習支援の関係ですが、学校内だけではなく、それぞれの地域の皆様と協力しながら、必要な子が漏れなく支援を受けられるような体制づくりが必要であると思っています。そのために、教員OB等を指導者としてうまく活用できる仕組み作りを市町村の教育委員会の皆様と進めたいと思っています。財政的な支援については、予算等の措置が必要になりますので、県の中でしっかりと議論させていただきたいと思っています。いずれにしても、必要な子どもたちが必要な支援を受けられるための取り組みをしていきたいと思っています。
小学校の英語教育については、平成32年度の教科化に向けた小学校教員の指導力の向上が、県教育委員会として大きな課題であると認識しています。子どもが小学校の段階で英語嫌いにならないよう、教育委員会をあげてしっかり対応していかなければいけないという思いで、EATを全国に先駆けて、10名という限られた人数ですが、配置いたしました。EATには、配置された学校だけでなく、むしろ、配置されていない学校の先生方への指導、助言など、いわば指導主事と学校の先生の間のような立場の活躍を期待しています。増員については、県単ですので、その成果等をしっかり検証しながら、今後どうしていくのかを、市町村の教育委員会の皆様方としっかり意見交換しながら、考えていきたいと思います。また、英語の学力検査については、秋田県のように全国学力学習状況調査の分析を非常に細かく行う方法も参考になるかと思います。早い段階で検定を実施し、子どもたちの学習成果を比較するやり方もあると思いますが、一方で、教員の多忙化や子どもたちの負担増という問題もあるかと思います。色々な形の課題を考えながら、子どもたちが県内のどこの小学校に通っていてもしっかり勉強できるような体制づくりに、市町村の教育委員会の皆様と意見交換しながら取り組みたいと思っています。
<知事>
前橋、伊勢崎、玉村ともに学校外での学習支援に素晴らしい努力をされていると強く感じました。学校外での学習支援は、取組みが難しいと聞いており、県がどのように携わっていくのか、色々な課題もあろうかと思います。
少人数学級については、子どもたちの教育環境をしっかりと整備できるよう取り組んでおり、色々な地域の皆様からも評価していただいていますので、県としても引き続きできるだけ少人数で教育環境が整備できるように取り組んでいきたいと思っております。
特別支援学校の未設置地域の解消には、特別支援の教員の確保も大きな課題となっておりますが、やはり、まずは障害があろうがなかろうが、その地域で学べるように教育環境をしっかり整備することが大事なことだと思っています。今まで県としてなかなか目が行き届かなかったことが、大きな問題であったと思い、反省もしています。まずは、特別支援学校の教育環境の整備に力を入れて、それと併せて、この貧困、弱者の対策の教育支援というものを改めてもう一度しっかりと取り組んでいきたいと思っております。教育長のみなさま方には大変な御苦労もあろうかと思いますが、是非、群馬の子どもたちのために、なお一層の活躍を御期待申し上げます。
<中沢県議会議員>
それぞれの代表のみなさんから話を伺って、日頃の活躍に敬意と感謝を表させていただく次第であります。是非、県の当局に置かれましても、要望が出てきた事柄は極めて重要な案件でありますので、しっかりと受け止めていただきたいと思います。
圏央道が開通したことにより、それぞれの産業の振興や人事の交流が深まるのではないかと思っております。大澤知事のリーダーシップの下で、7つ交通軸が進められたことで、産業振興を含めて雇用機会がさらに増え、群馬の活力がさらに高まるということを考えますと、今日お集まりの首長さんは、県央の中核であるという認識をさらに深めさせていただきました。
高崎は高崎なりに新幹線等公共交通々の利便性やコンベンションを活かして発展していくかと思いますが、この地域も本当に陸路として地の利を得ております。人口減少問題も解消できる地域ですので、是非、提案された事柄を推進、事業化していただきますようお願いをさせていただきます。
<臂県議会議員>
大澤知事さんには伊勢崎のコーセーさんを視察していただき、伊勢崎市の元気を見ていただいたと思います。特別支援学校の県立移管について、大変感謝を申し上げます。ただ、特別支援学校も、建設から35年が経っており、当初、90名程度の定員でしたが、今、小学部、中等部含めて150名程度の児童がいるということです。また、境高校の跡地を、高等特別支援学校として、耐震や一部バリアフリー、第二体育館の補修などの環境整備をしていただいているのですが、やはり、本来の受け入れの子どもたちのための施設ではないというところでもあると思います。前から、中高一貫特別支援学校のお願いをしているところです。知事さんのこれまでの思いを含めて、是非、伊勢崎の特別支援学校、高等特別支援学校の施設整備を、この後もしっかりやっていただくことをお願いしたいと思います。
<井田県議会議員>
東毛広域幹線道路の開通と高崎玉村スマートインターチェンジの設置により、玉村町の将来は明るいものと期待しておりますが、やはり、少子化が進むことで、今後、県内外で人口の奪い合いのようなことが問題になるのではないかと思います。そのためにも、前橋市との間にもう一本橋を架けていただき、2020年のコンベンション施設の完成に備えていただきたいと思います。また、日赤病院にも直結できる素晴らしい道ですので、玉村だけでなく、前橋も伊勢崎も高崎もこの橋によって活性化してくることは間違いないと思いますので、是非とも、また踏み込んで御検討していただきたいと思います。
また、高崎から伊勢玉大橋まで、ガソリンスタンドはおろか、コンビニも一つもできておらず、玉村は通過するだけの町と言われております。町でもプランを作っていただいて、一日も早く、何かしらの商業施設等を作れるようにしていただければありがたいと思います。
また、玉村は、交番が不在になってしまう状況が多々あるようですので、できれば、警察官が常駐している交番にしていただければ、町民も大変喜ぶと思います。また、道路標示や横断歩道が非常に見づらいという話もあるので、県土整備部と警察におかれては、是非とも町の担当課の方から連絡があれば、迅速に対応していただければありがたいと思います。
<大澤知事>
限られた時間ではありましたけれども、活発な意見交換ができましたことに感謝申し上げます。本当に御協力ありがとうございました。