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令和4年度 降雪に対する農作物等の技術対策
更新日:2022年12月27日
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気象庁が発表した「向こう3か月の天候の見通し(1~3月:関東甲信越地方)」では、1月は冬型の気圧配置が強く、低気圧や前線の影響を受けにくいため、気温は平年並みか低く、降水量は、平年並か少ない予報となっています。
2月、3月も平年と同様に晴れの日が多い予報となっていますが、気象情報には常に注意を払い、雪害の恐れがある場合には、以下の対策を講じてください。
【 施設園芸等 】
- 積雪によるハウスへの負荷を軽減し、雪害を防止するため、ハウスの被覆資材の破れや隙間の点検、取り付け金具の調整、抑えひもの固定などを行う。また、必要に応じて応急補強用の中柱や筋かいなどで補強する。
- 降雪が予想される場合は、ハウスの屋根被覆資材の表面に雪の滑落を妨げる物(遮光資材等)がないかを点検する。また、暖房機の燃油残量を確認するとともに正常に機能するか確認を行う。
- 加温設備のあるハウスでは、積雪前に内張り保温カーテンを開放した上で暖房を行い、融雪対策に努める。加温設備のないハウスでは、内部を密閉して気密性を高めることで、地熱により室温を上昇させ、内張り被覆を開放して屋根雪を滑落しやすくする。
- 最新の気象情報による積雪深がハウスの耐雪強度を大きく上回る場合は、被覆資材を切断除去することで施設に対する積雪を防ぐ。
- 積雪量が多い場合は、除雪、融雪により大量の融雪水が発生するので、事前に排水路の整備、清掃等の対策を講じておく。
- 停電発生時には、予備電源の作動を行い、暖房機等の起動を行う。また、養液栽培等で作物の萎れが予想される場合、あらかじめ貯水しておいた水を用いて速やかに手動によるかん水を実施する。停電復旧後は、天窓やカーテン等が正常に作動するか確認する。
- 基本的には降雪が収まり、施設の安全が確認された時点で点検、除雪作業等を行う。
- 降雪による施設の被害が発生したときは、安全には十分配慮した上で、できる限り早期に施設の破損、倒壊状況等の点検を行うともに、修復が可能な場合は、早急な修復により室温の確保に努め、低温による栽培作物の生育障害・枯死等の被害を防止する。
- 屋根、軒下ハウス間の積雪は、施設倒壊のおそれがなくなった後、次回の降雪に備えて直ちに除雪する。
- 被覆年数が長い古いビニールがかかっているパイプハウスは注意する。
- トンネル栽培で雪が積もった場合は、速やかに雪下ろしを行う。
【 果樹 】
- 雪で裂ける恐れのある枝は、支柱を添えて、針金やボルト等で補強する。
- 果樹棚は、倒壊を防ぐため中柱を追加する。
- 降雪の都度、樹上(棚上)の雪を払い落とす。
- 損傷を受けた枝は、支柱を添えて、針金やボルトなどで早めに止めて接合を図る。
- 損傷部分の傷口は、塗布剤を塗って保護に努める。
【 畜産(ビニールハウス利用堆肥化施設)・普通作物(水稲育苗施設) 】
- あらかじめ施設の点検を行って、積雪による倒壊の恐れがある場合は、補強材を利用して中央部に中柱を立てる。積雪量によっては中柱を多めに設置する。
- 降雪時にはビニールハウスをよく巡視し、屋根に積雪した場合は早めに雪降ろしを行う。
【 園芸施設共済への加入 】
パイプハウス等園芸施設が倒壊等の被害を受けた場合、自力の再建は経営に大きな負担となります。
特に、平成26年2月の大雪被害で補助事業により再建した施設については、被害を受けた場合は復旧が要件となっていますので、経営リスクの軽減を図るためにも、園芸施設共済等に加入しましょう。
ハウスの降雪前・降雪後のチェックを行いましょう
<事前対策>
- 最新の気象情報、警報、注意報を常にチェックしていますか。
- ビニールフィルム等被覆資材の取り付け金具の調整、抑えひもの固定、破損部分の補修はできていますか。
- ハウス屋根の外側に設置した、遮光資材等、雪の滑落を妨げる物は除去しましたか。
- 倒壊防止のための中柱は準備できていますか。
- 暖房機用の燃料は十分確保できていますか。
<降雪時>
・暖房機が設置されている施設は、可能な範囲で施設内の温度を高めるとともに、カーテンを開けて、屋根面の融雪を促しましょう。
<降雪後>
・多湿条件下では病害が発生しやすいので、適宜換気を行うとともに、天候回復後に防除を行いましょう。
人命第一
- 降雪中や降雪後にハウス内へ入ることは、ハウス倒壊の恐れがあるので大変危険です。
- また、農業用施設で雪下ろし作業等を行う場合は、転落等の危険があるため複数で作業するとともに、充分注意を払いましょう。