本文
審査委員長 茂木一司
地方の時代と言われて久しい。デザインの領域でも地域性が問われはじめたのは随分前のことです。中央集権から地方分権へと同様に、モダンデザインのインターナショナルスタイル(スタンダード化)は地域資源の発見・見直しから地域ブランディング(個性化)へと発展していきました。今年度の申請書に「地域性」という項目を追加しました。出品された方で気づいた方はいましたか?残念ながら、絹製品やだるまなどの群馬を明示するもの以外には「地域性」の項目に着目した申請書はありませんでした。
結論から申し上げますと、真の群馬のデザイン振興を考えれば、「グッドデザインぐんま」事業も含めて、ものづくり・ことづくりを問わず、「ぐんまデザイン」に変えていく必要があると考えています。「ぐんまデザイン」とは、絹製品やだるま、焼きまんじゅうの見栄えのデザインではありません。「新しく群馬でつくられ、群馬から日本や世界に発信でき、受容されるデザイン」のことをいいます。それが絹製品などの地場産業であることはむろん大歓迎ですし、むしろそうあってほしいと思います。つまり、群馬で生まれて世界に広がっていけば、それが「ぐんまデザイン」になるという意味です。
戦後の日本のデザインは東京オリピックで大きく発展したことはご存じだと思います。2020年のオリンピックに「ぐんまデザイン」は何ができるでしょうか?「グローカルなもの・ことづくり」としての「ぐんまデザイン」をみんなで考える時代が来ています。
茂木 一司 (群馬大学 教育学部 教授)
折田 峰子 (株式会社ほんやら堂 マーケティングディレクター)
高橋 綾 (群馬県立女子大学 美学美術史学科 准教授)
辻 瑞生 (アーツ前橋 学芸員)
畠山 陽子 (センバタヤ テキスタイルデザイナー)
中村 希望 (羽鳥国際特許商標事務所 弁理士)
笛田 浩行 (公益財団法人 群馬県産業支援機構 専務理事)
石井 富雄 (特定非営利活動法人 北関東産官学研究会 成長産業支援コーディネーター)
宮崎 信雄 (ぐんま総合情報センター 所長)
鬼形 尚道 (群馬県産業経済部工業振興課 課長)