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【INTERVIEW04】地域の“移動”を変える─福祉×ビジネスの新しい形 ソーシャルムーバー株式会社 北嶋史誉さん
更新日:2025年12月8日
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ソーシャルムーバー株式会社 北嶋史誉さん
「すべての人が、いつでも、いつまでも自由に移動できる社会へ」─そんなビジョンを掲げるソーシャルムーバー株式会社の代表を務めるのが、北嶋史誉さんです。
「介護業界にイノベーションを」という思いから、介護業界で深刻化する人材不足や移動弱者の課題を解決する新たなビジネスモデルに取り組んでいます。
今回は、起業に至った背景から今後の展望まで、その裏側にある北嶋さんの熱い思いを伺いました。
「介護業界にイノベーションを」という思いから、介護業界で深刻化する人材不足や移動弱者の課題を解決する新たなビジネスモデルに取り組んでいます。
今回は、起業に至った背景から今後の展望まで、その裏側にある北嶋さんの熱い思いを伺いました。
医療ソーシャルワーカーとしてのスタート
私のスタートは、最初から福祉を志していたわけではありません。もともとは法学部を志望していましたが受験に失敗し、東北福祉大学の二次募集に合格したことがきっかけでした。
大学には児童・教育など複数のコースがあり、私はオーソドックスな福祉コースを選択しました。そこで、福祉六法を使って患者さんの相談支援ができる仕事に魅力を感じ、医療ソーシャルワーカーを志しました。
卒業後、1992年に医療法人社団日高会日高病院へ入職。医療ソーシャルワーカーとして働く傍ら、ケアマネジャーの資格も取得し、業界での経験を積んでいきました。
その後、介護保険事業の立ち上げにあわせて声を掛けられ、1998年に有限会社メディカルウェルフェアサポート日高へ移籍。覚悟を持って退路を断つ意味でも、出向ではなく移籍を決断しました。
大学には児童・教育など複数のコースがあり、私はオーソドックスな福祉コースを選択しました。そこで、福祉六法を使って患者さんの相談支援ができる仕事に魅力を感じ、医療ソーシャルワーカーを志しました。
卒業後、1992年に医療法人社団日高会日高病院へ入職。医療ソーシャルワーカーとして働く傍ら、ケアマネジャーの資格も取得し、業界での経験を積んでいきました。
その後、介護保険事業の立ち上げにあわせて声を掛けられ、1998年に有限会社メディカルウェルフェアサポート日高へ移籍。覚悟を持って退路を断つ意味でも、出向ではなく移籍を決断しました。
事業立ち上げのきっかけ ー GIAとイノベーションの目覚め

最初に取り組んだのは、訪問入浴サービスでした。車1台からスタートし、競合がほとんどいない中で順調に事業を拡大。市町村からの委託も受けながら、8台体制まで成長しました。その後は、貯めた資金を使って通所系のリハビリテーション中心のデイサービスへと展開しました。
デイサービス事業に取り組む中で、利用者のリアルな声を拾う機会が多くありました。当時はデイサービス自体が「年寄りの幼稚園」というイメージもあり、「家族のために仕方なく我慢して通っている」というネガティブな声もあったのです。
そうした声に触れる中で、「自ら行きたくなるデイサービスをつくろう」という想いが芽生え、次世代型デイサービス事業を立ち上げました。2013年には、群馬イノベーションアワード(GIA)の初代グランプリを受賞しました。
この受賞を通じて、福祉をよりビジネスとして捉える視点を得ました。「事業として福祉に取り組まなければならない時代だ」と強く感じたのです。受賞者向けのシリコンバレー研修にも参加し、世界のビジネススピードやテクノロジー活用に触れる中で、「介護業界にイノベーションを」という思いがさらに固まりました。
デイサービス事業に取り組む中で、利用者のリアルな声を拾う機会が多くありました。当時はデイサービス自体が「年寄りの幼稚園」というイメージもあり、「家族のために仕方なく我慢して通っている」というネガティブな声もあったのです。
そうした声に触れる中で、「自ら行きたくなるデイサービスをつくろう」という想いが芽生え、次世代型デイサービス事業を立ち上げました。2013年には、群馬イノベーションアワード(GIA)の初代グランプリを受賞しました。
この受賞を通じて、福祉をよりビジネスとして捉える視点を得ました。「事業として福祉に取り組まなければならない時代だ」と強く感じたのです。受賞者向けのシリコンバレー研修にも参加し、世界のビジネススピードやテクノロジー活用に触れる中で、「介護業界にイノベーションを」という思いがさらに固まりました。
現在取り組む事業 ー ケアドライブ

その後、私が注目したのは、介護の送迎車に多くの空席が存在していることです。ここにテクノロジーを活用し、移動弱者問題を解決できるのではないかと考えました。それが現在の事業の原点です。
2023年にソーシャルムーバー株式会社を設立。デイサービス送迎のアウトソーシングと移動弱者支援を掛け合わせた「ケアドライブ事業」に取り組んでいます。
デイサービスでは、業務の約3割が送迎に割かれ、事故リスクや人材不足が大きな課題となっています。そこで、送迎業務を二種免許を持つ介護タクシーのプロに委託する仕組みを構築しました。車の管理や点検などもプロに任せられるため、施設側は介護職員を本来のケア業務に集中させることができ、結果としてケアの質向上にもつながります。
介護タクシー事業者にとっても、収入が安定しないことが大きな課題ですが、毎日あるデイサービス送迎を受託することで安定収入を得られます。
さらに、送迎の空き時間やデイサービスを利用しない日の買い物・通院の際にも、なじみのドライバーを指名する利用者が多く、利用者や家族との関係性も深まります。「お願いできて助かった」「安心して頼める」といった声も多くいただいています。
このように、介護施設・介護タクシー事業者・利用者の三方よしの新たなモデルとなっています。
2023年にソーシャルムーバー株式会社を設立。デイサービス送迎のアウトソーシングと移動弱者支援を掛け合わせた「ケアドライブ事業」に取り組んでいます。
デイサービスでは、業務の約3割が送迎に割かれ、事故リスクや人材不足が大きな課題となっています。そこで、送迎業務を二種免許を持つ介護タクシーのプロに委託する仕組みを構築しました。車の管理や点検などもプロに任せられるため、施設側は介護職員を本来のケア業務に集中させることができ、結果としてケアの質向上にもつながります。
介護タクシー事業者にとっても、収入が安定しないことが大きな課題ですが、毎日あるデイサービス送迎を受託することで安定収入を得られます。
さらに、送迎の空き時間やデイサービスを利用しない日の買い物・通院の際にも、なじみのドライバーを指名する利用者が多く、利用者や家族との関係性も深まります。「お願いできて助かった」「安心して頼める」といった声も多くいただいています。
このように、介護施設・介護タクシー事業者・利用者の三方よしの新たなモデルとなっています。
前橋でチャレンジする理由

現在の拠点は、住居のある高崎ではなくホテル1-2-3前橋マーキュリーに決めました。
前橋は「起業のまち」だと感じています。群馬イノベーションアワードにも関わるジンズの田中仁さんの存在も大きいですが、民間を含め起業家を応援する文化が根付いています。
前橋マーキュリーの存在も非常に大きいです。ホテルの部屋を改装したオフィスが提供されており、掃除や設備管理などの雑務から解放され、ビジネスに全集中できる環境に助けられています。
さらに、人数に応じて部屋の広さが選べるため、従業員が増えた際には大きな部屋へ移ることも可能で、住所が変わらないため登記変更も不要です。スタートアップにとって、最適な環境だと感じています。
前橋は「起業のまち」だと感じています。群馬イノベーションアワードにも関わるジンズの田中仁さんの存在も大きいですが、民間を含め起業家を応援する文化が根付いています。
前橋マーキュリーの存在も非常に大きいです。ホテルの部屋を改装したオフィスが提供されており、掃除や設備管理などの雑務から解放され、ビジネスに全集中できる環境に助けられています。
さらに、人数に応じて部屋の広さが選べるため、従業員が増えた際には大きな部屋へ移ることも可能で、住所が変わらないため登記変更も不要です。スタートアップにとって、最適な環境だと感じています。
群馬発のモデルで全国展開を
まずは群馬県でPMF(プロダクトマーケットフィット)を確立します。その後、成功例をもって他県─まずは新潟などの隣接県や東北地域へ展開していきたいと考えています。
今年3月には、プレシリーズAラウンドでの資金調達を完了しました。資金調達は以前から目指しており、2022年には群馬県が実施する「ぐんまスタートアップアクセラレーションプログラム」に参加し、調達に向けた伴走支援も受けました。
プログラム期間中の調達は叶いませんでしたが、最終的に資金調達が実現した背景には、にこの支援のおかげもあると思っています。今後は、全国展開に向けて、さらなる資金調達を目指していきます。
介護の人材不足などは、今やどの地域でも共通の課題です。「ケアドライブ事業」を群馬発のモデルとして全国に展開できれば、大きな価値を生み出せると感じています。
今年3月には、プレシリーズAラウンドでの資金調達を完了しました。資金調達は以前から目指しており、2022年には群馬県が実施する「ぐんまスタートアップアクセラレーションプログラム」に参加し、調達に向けた伴走支援も受けました。
プログラム期間中の調達は叶いませんでしたが、最終的に資金調達が実現した背景には、にこの支援のおかげもあると思っています。今後は、全国展開に向けて、さらなる資金調達を目指していきます。
介護の人材不足などは、今やどの地域でも共通の課題です。「ケアドライブ事業」を群馬発のモデルとして全国に展開できれば、大きな価値を生み出せると感じています。
まずは小さなチャレンジから

ビジネスは、小さなものを大きく育てるつもりで、どんどん失敗しながら修正していくくらいがちょうど良いと思っています。起業することも、今はそこまで怖いことでも、大それたことでもありません。
介護タクシー事業者を例にとれば、車両をリースして二種免許を取得すれば個人事業主として始められるため、そこまでリスクも費用も大きくありません。今は若い方が介護タクシーを始めるケースも増えています。
これから起業する方には、まずは小さなことからどんどんチャレンジしてほしい。今の前橋、そして群馬県にはチャレンジを助けてくれる人も環境も整っています。ぜひ、一歩を踏み出してみてください。
介護タクシー事業者を例にとれば、車両をリースして二種免許を取得すれば個人事業主として始められるため、そこまでリスクも費用も大きくありません。今は若い方が介護タクシーを始めるケースも増えています。
これから起業する方には、まずは小さなことからどんどんチャレンジしてほしい。今の前橋、そして群馬県にはチャレンジを助けてくれる人も環境も整っています。ぜひ、一歩を踏み出してみてください。

