ページの先頭です。
現在の位置 議会トップページ > 委員会活動 > 平成24年5月25日~平成25年5月24日特別委員会記録 > 放射能対策特別委員会(平成24年12月11日)

本文

放射能対策特別委員会(平成24年12月11日)

1.開催日時

 平成24年12月11日(火曜日) 10時00分~12時20分

2.開催場所

 301委員会室

3.出席委員

 委員長:田所三千男、副委員長:福重隆浩
 委員:中村紀雄、委員:萩原渉、委員:大林俊一、委員:角倉邦良、委員:岸善一郎、委員:井下泰伸、委員:酒井宏明、委員:金子渡、委員:小川晶

4.欠席委員

 委員:村岡隆村

5.主な質疑

(1)東京電力との覚書締結について

質問:東電との間で覚書を締結して、そこで得られた情報の開示の仕方、県民への情報提供をどのように考えているか

答弁:通報があった場合は原則として、市町村を通じて県民にすべて提供したいと考えている。ただ、そのまま情報を出しても県民の方がどう対応していいのかわからないとかえって混乱を招く場合もあるので、屋内退避や次の詳細情報を得てから行動を起こすことなど、県としてのコメントを付して情報提供していかなければならないと考えている。

質問:県民の立場を考えて、配慮しながら情報を提供することは必要だが、その行政の姿勢に対して不審の念を抱かれるのは避けなくてはならない。県の取組み姿勢として、情報提供についての基準を早急に示すべきと考えるがどうか。

答弁:県は専門的な知識がないので、国の判断基準等を参考にしながら、群馬県としての基準を検討していきたい。

質問:通報内容については、原子力発電所の立地県と同様の内容が提供されるのか。

答弁:基本的に法に定められたものは同じように提供されるが、距離が離れているため本県に影響のないものは報告という形でくる。

質問:国と東京電力の情報に齟齬があった場合はどのように対処するのか。

答弁:両者の内容に齟齬があった場合には、双方によく確認したい。

質問:今回の覚書を今後の地域防災計画でどのように活かしていくかが問われてくると思うがどうか。

答弁:昨年度、地域防災計画を見直し、県外で原子力発電所事故が発生した場合の対応について、新たに規定を盛り込んだところであるが、県は専門的な知識がないため、国が示す指針を参考にしながら、今後、避難等の項目について活かせるよう検討していきたい。

(2)食の安全について

質問:市場に出回っている食品に含まれる放射性物質の検査はどのように行っているのか。

答弁:出荷前の段階では農政部・環境森林部で検査をしている。出回っている食品については流通食品の検査計画により実施している。

質問:山林に落ちた放射性物質は除染しきれず、多くが残っており、河川や海に流れ出し、魚や野菜を汚染する。消費者は、この大きな循環の中で市場に出回る食物に不安を感じているが、県はどのような体制で対応しているのか。

答弁:通常の出荷前検査に加え、乾燥しいたけ・野生鳥獣肉・魚など数値の高いものは出荷自粛措置をしており、安全なものしか流通しないと認識している。

(3)森林の放射能汚染について

質問:山林に対する危険性を認識してもらうよう県民への周知が必要だと思うがどうか。

答弁:県内の一部河川のイワナ、ヤマメで基準値を超える放射性セシウムが検出され、国から出荷制限が指示されたが、その後の継続的な検査により解除された水域もある。解除された水域についても、国の指示に基づき安全性を確認する検査を継続して実施していく予定である。
 山林から発生する野生きのこや山菜については、不定期に発生するため時期が定めづらい。今後も発生したら検査を行い、結果については報道機関等に情報提供や県ホームページにより公表し、県民に対し注意喚起をしていきたい。

質問:野生のきのこ等で放射能汚染が問題となっているなかで、人が森林に入っても大丈夫なのか、川で遊んで大丈夫なのかと子どもを持つ親は心配しているが問題ないということでよいのか。

答弁:国が示した1時間当たり0.23マイクロシーベルトの基準は、そこで1年中生活するということである。そういった森林の中で生活するということでなく、ハイキング、森林作業等で森林に入っても危険なレベルではないと考えている。

質問:基本的には、放射能の数値が出ているようなきのこ類は取らないように注意をすれば問題はないということか。

答弁:シカ、イノシシ、クマは県全域で出荷制限がかかっており、このことについて県ホームページに掲載するほか、市町村や猟友会へ周知している。

(4)牧草の検査結果と対応について

質問:牧草の許容値超過点数が681点中141点と、20%もあるのはなぜか。

答弁:当初利用可能であった牧草が2月から利用できなくなるため、1月から字単位やほ場単位での詳細な検査を行った。141点の内訳は、23年産が131点、24年産が10点と、今年は昨年に比べ大幅に減少している。

質問:所有者が行う除染と搬送費用をどのように補償、補填しているのか。

答弁:除染の支援については、9月補正で貸付金を予算化し、実際に農家が自分で除染するために必要な経費について、畜産協会から払込みができる仕組みを作り、農家に直接の負担はないという形で支援している。汚染牧草は廃棄物として焼却などの処理するため、搬送費用についても東電の賠償となる。汚染牧草は早く処分した方が安全な畜産物を生産できるので、それについては各市町村において焼却、もしくは農地へのすき込みで処理をしている。

質問:これから除染をしなければならない牧草地の面積や費用はどのくらいを見込んでいるか。

答弁:全体の面積は約250ヘクタール、24年で187ヘクタールが終了する予定であり、残りが来年度になる。費用は10アールあたり、80万から90万かかる。

(5)災害廃棄物の広域処理について

質問:県内全体で災害廃棄物広域処理に係る費用はどの程度か。

答弁:環境省から群馬県への要請量が約28,000トンであることと、処理単価が概ね1トンあたり20,000円であることを考慮すると、全体で6億円程度となると見込まれる。

質問:事業費の流れはどのようになっているか。

答弁:吾妻東部衛生施設組合については、岩手県と組合が直接委託契約を締結し、処理費は全額を岩手県が負担することとなっている。桐生市と前橋市については、まず岩手県と群馬県が委託契約を締結し、処理費はまず群馬県に入り、次に群馬県が、桐生市、前橋市と委託契約を締結し、実際に処理を行う両市に処理費を支払うこととなっている。処理費は全額を岩手県が負担することとなっている。なお、岩手県に対しては、国から費用補填があり、最終的には国が負担することとなる。

質問:震災対応の総括の点からも、どういう費用を、震災予算の中で扱ったか明確にしておく必要があると思うがどうか。

答弁:そのとおりと思う。明確にしておく。

(6)放射性物質の拡散について

質問:木の枝等に付着している放射性物質が風で舞ったりして拡散の可能性が見込まれる地域が出てきた場合、拡散しないように何らかの対策をとるべきと思うがどうか。

答弁:セシウムは土に沈着する性質があり水には溶けにくいので、大量に出てくることはないと考えている。拡散については、県では、県衛生環境研究所で空気中の降下物の分析を行っているが、天然核種と比較して人工核種は少なく、健康に影響が出るレベルではないと考えている。

質問:針葉樹には40%の放射性物質が残っていると言われており、それが空気中に舞う可能性が高い地域がある。枝打ちを行うなど、県としてどのような対策ができると考えるか。

答弁:現在国が定めた除染の基本的な考え方に基づき、生活圏から行っている。森林の除染は、生活圏から約20メートルのところまで行うことが基本となっている。森林全体の除染については国において検討中であると聞いている。

(7)乾しいたけの出荷自粛について

質問:乾しいたけの出荷状況についてはどのようになっているか。

答弁:8市町村産の原木栽培の乾しいたけについて、昨年の12月から出荷自粛をお願いしており、現在も継続している。

質問:解除するための基準は何か。

答弁:解除のためには、同じ市町村で1か月以内に3検体が基準値以下であることが条件である。

質問:菌床栽培の乾しいたけについても原木と同じように出荷自粛なのか。

答弁:菌床しいたけについては、生産物については同じだが、原木しいたけの場合は原木で50ベクレル以下のもの、菌床については200ベクレル以下のものを使用し、生産して区別している。

質問:菌床の乾しいたけは出荷できるということを明確にしてほしいがどうか。

答弁:きのこ生産者の方にはきちんと周知している。売る場合に原木と菌床はラベルをきちんと区分しているので混同することはない。

質問:スーパー等の売り場にも菌床と原木の違いの周知は徹底しているのか。

答弁:出荷自粛の際にも、菌床しいたけからの乾しいたけは大丈夫であり、原木しいたけからの乾しいたけが出荷自粛であると文書で周知している。

(8)放射能マップについて

質問:放射線量マップの作成の進捗状況はどうか。

答弁:市町村の協力を得て簡易測定ではあるが、全県下約1000箇所の定点観測結果を目で見て分かるようにしていきたいと考えている。年明けには公表できる予定である。

質問:ホームページの他、印刷物でも県民に周知する予定か。

答弁:全県の地図に1000箇所ポイントを落とすとかなり見にくくなる。今工夫しているのはホームページ上で自分の住んでいる地域をクリックすると定点が見え、そこをさらにクリックすると数値が見えるような形を作っていきたいと思っている。印刷物にどこまで反映できるか、できるだけ自分の所の状況、全県の状況の両方がわかるように、可能な限り工夫して対応したい。

(9)きのこ原木について

質問:本来だったら切り出されなければならない木がそのまま残っているということは、山の保全にとって悪い影響を与えていく。山林保護の面からの対策を何か検討されているか。

答弁:9月補正による新規事業で、しいたけ原木について検証している。しいたけ原木を伐採して、萌芽したものに放射性物質がどれだけ移行するのかを検証している。

質問:きのこの原木検査の結果から作成したマップで緑の50ベクレル以下のところは原木は出荷されているのか。

答弁:380箇所を検査してマップにしているが、50ベクレル以下の緑の所でも検査して超えていないものを利用している。

(10)指定廃棄物の最終処分場について

質問:群馬県として、地元の合意抜きに最終処分場を建設することがあってはならないということを、環境省との交渉の場あるいは知事の公式な立場として明確にしていただきたいと思うがどうか。

答弁:指定廃棄物の最終処分場については、地元市町村と住民の理解が極めて大切であると思っている。知事も、選定基準や施設の安全性等について、しっかりとした説明、丁寧で具体的な説明をしてほしいと言っているので、それを今後の国との協議の場で、しっかり伝えていきたい。

質問:前橋市をはじめ、各施設に下水汚泥、浄水発生土など8,000ベクレルを超える廃棄物が仮保管されており、シートで覆われたりしている。最終処分場ができるまで補修しながら管理していくのだろうが、県はどのように考えているのか。

答弁:現在保管されている物については、あくまで仮保管であり、国が最終処分場を作るまでの一時的なものであるが、当面、周辺環境に支障をきたさないよう厳重に保管をお願いしている。もし設備が老朽化した場合は、当然補修の必要が出てくると思うが、あくまで最終処分場が出来るまでの仮保管である。

(11)原発事故に伴う医療費無料化について

質問:警戒区域からの避難者は原則窓口負担が無料ということであるが、平成25年2月末で終了する予定である。国に延長を要望する声が県にも届いていると思うがどうか。

答弁:被災県のうち岩手県・宮城県は、本年9月末で終了となったが、福島県の警戒区域からの避難者は平成25年2月まで延長されているところである。
 具体的な延長の要望は来ていない。この問題の対応については、地元福島県と連携し、また県内避難者の情報を得ながら働きかけていきたい。また、延長するかどうかの国の状況は、平成25年度当初予算編成の中で検討となっており、その状況も見守っていきたい。

質問:今後、無料化の延長を国に求めていきたいと思うが、これまで要望したことはあるのか。

答弁:関連ではあるが、関東ブロック民生主管部長会議で、国に、減免の場合の財源補てんについて要望をしている。避難した人の中には、住所が福島県のままの人が多く、その場合は福島県対応なので、いずれにしても福島県と連携していきたい。

質問:薬局によっては3割を一旦窓口で支払い、後から償還払いという所もあり、対応が統一していないようだが、その辺の認識はあるか。

答弁:医療費の自己負担分の減免についての取り扱いについては、県民の方、避難している方からこれまで具体的な情報はいただいていない。

質問:県の指導で是正できないか。

答弁:不都合であれば、是非、地元の市町村や県に問い合わせをしていただければと考えている。

(12)県民の健康調査について

質問:栃木県那須町では健康調査に係る費用の助成を行っているほか、簡易型のホールボディカウンタを設置し町民に対して無料で、それ以外は1人1,000円で検査を行っており、非常に希望が多いということである。群馬県でもそういう意味で取り組んでいく必要があると思うがどうか。

答弁:福島県は、県民健康管理調査の一環として、18才以下と妊婦の方について、ホールボディカウンタによる内部被ばく調査を9月30日現在で81,119人に対して実施している。その結果は、99.97%が1ミリシーベルト未満であり、全員が健康に影響を及ぼす数値ではないとしている。これらのことから、本県においてホールボディカウンタによる検査は必要ないと考えている。

質問:栃木県那須町のNPO法人が子ども健康手帳を作成し無料で配布している。自宅や学校での被ばく線量、体内被ばくを測定できるホールボディカウンタの数値、甲状腺や尿検査結果を記録できるようになっている。県内でも高い線量のところはあり、群馬県でもやるべきと思うがどうか。

答弁:健康調査のうち甲状腺検査については、国が福島県以外の3県について福島県と同様の調査を開始すると聞いているので、その結果を見守りたい。


現在の位置 議会トップページ > 委員会活動 > 平成24年5月25日~平成25年5月24日特別委員会記録 > 放射能対策特別委員会(平成24年12月11日)