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森林環境税導入に関する特別委員会(平成24年10月12日)

1.開催日時

 平成24年10月12日(金曜日)10時00分~14時35分

2.開催場所

 403委員会室

3.出席委員

 委員長:関根圀男、副委員長:狩野浩志
 委員:織田沢俊幸、委員:井田泉、委員:笹川博義、委員:あべともよ、委員:後藤克己、委員:臂泰雄、委員:高田勝浩、委員:金井康夫、委員:清水真人、委員:藥丸潔

4.欠席委員

 なし

5.主な質疑

(1)森林環境の保全について

質問:税で想定する森林環境や水環境が保全されている状況とはどのようなものか。

答弁:森林環境については、手入れがされていない森林や放置されている森林がなくなり公益的機能が発揮されている状況、水環境については、汚水処理人口普及率が県目標を達成すること、水質環境基準を達成することと考えている。

質問:5年や10年でそのような状況ができると考えているのか。

答弁:5年間で全て達成することは難しい。まずは、現状を改善しなければならない。既存の財源で対応できるのかを考えたとき、新たな一歩として税が必要と考えた。

質問:配付資料には5年間で何ができるかは書いてあるが、大きな目標に対し、どこまでできるかは書いていない。どこまでの道のりが達成できると考えているのか。

答弁:森林については、民有林の人工林11万1千ヘクタールのうち、木材生産で収益をあげることを目標とする森林が8万2千ヘクタール、高齢級で手入れの不要な森林が9千ヘクタールとして、残りの2万ヘクタールを税の対象森林と推定した。この2万ヘクタールを10から15年に一度間伐等を行うとしたとき毎年1,400ヘクタールの森林整備が必要になるが、税では半分の700ヘクタールを見込んでいる。

質問:経営対象森林の8万2千ヘクタールをどのようにして確認しているのか。

答弁:8万2千ヘクタールは、地球温暖化防止森林吸収源対策の検討において国が示した林業経営が行われている森林の率から算出した。

質問:生産条件不利な森林であるか否かは、現地に行かないとわからないのではないか。推計の2万ヘクタールが正しいのかも疑問である。森林の公益的機能が発揮できるよう、これまでに取り組んできたのに、そのようにならなかったのはなぜか。

答弁:原因として、木材価格の低下がある。しかし、手入れのできていない森林があることも事実である。手入れを行った森林でも林業経営はできていない。林業経営ができるよう、既存の予算で努力している。生産条件不利な森林の面積は2万ヘクタールでは少ないかもしれないが、これ以外の森林は既存事業で何とか対応しようとしている。

質問:森林境界の確定もできない中で、全ての森林を整備することは難しいのではないか。

答弁:不在村森林所有者や所有している森林の所在地のわからない人が増加している中、現実的に整備できる面積は半分程度と考えている。

質問:税事業で整備ができなかった残りの半分の森林はどうなるのか。

答弁:時間を要するが全ての森林について整備していく方針である。なお当面は緊急性の高いところから手を入れていく。

質問:人工林と天然林では、手入れをするための費用、手間はどう違うのか。

答弁:人工林の方が手がかかる。人工林では、植栽本数を多くし、それを減らしながら良い木を生産している。一方、天然林は、自然条件にあった形で存在しており、手入れが少なくすむ。しかし、それぞれの良さがあり、多様性を確保することにより、公益的機能が高度に発揮される。

質問:放置された人工林があれば天然林化すべきである。人工林として守るところと、天然林にするところを分け、今後は手入れのかからないように天然林化するよう積極的に取り組んでいくべきではないか。

答弁:そのとおりと考えている。なお、市町村森林整備計画では森林の機能別にゾーニングしている。

質問:広葉樹林化など、ゾーニングごとに森林の機能をはっきりさせていくのであれば、税は有効であるので考えてはどうか。また、税で森林を整備するためには、現状を把握しなければならないが、地籍調査や境界の明確化が進んでいないのではないか。

答弁:天然林化ばかりではなく針広混交林化も考えている。1990年以降の森林施業履歴調査については確度を有しており、施業履歴で手入れを行っていない森林は把握することができる。

質問:境界のわからない森林が森林整備の障害となっている。境界調査が進むような制度となるよう、国への働きかけや支援が必要ではないか。

答弁:地籍調査では山の奥まで1筆毎に測量しているが、費用や手間がかかることからあまり進んでいない。このほか境界明確化事業もある。現在でも収入を伴う施業の場合、境界を確定する必要があり、収入に関係ない状況であっても森林組合等の意見を聞きながら境界明確化を進めている。

質問:林業経営できないところの公有林化が必要ではないか。間伐等にかける予算があれば、森林が買えるのではないか。公有林化すれば森林が管理しやすくなる。

答弁:公有林化については、税の事業計画にあげている。ただし、公有林化後の管理費用もかかるので、それも勘案しながら進めたい。

(2)水環境の保全について

質問:浄化槽の市町村設置型の場合は、個人設置型と比べて市町村の費用負担が大きいため、転換が進まないとのことだが、集合処理の方が市町村の負担が大きいのではないか。

答弁:汚水処理は効率面、経済面から比較を行い、人家が多いところは集合処理で、人家が分散しているところは個別処理にエリアを分けて事業を執行している。このため、浄化槽は、集合処理と比較できない。

質問:なぜ合併浄化槽への転換が進まないのか。

答弁:浄化槽の整備は個人の意向に左右されるものである。すでに単独浄化槽を入れている家では、水洗化の恩恵を受けており、合併浄化槽に転換するためには、再投資が必要になることから進んでいない。

質問:合併浄化槽対策として、今までどのような施策を行ってきたのか。

答弁:合併浄化槽への転換を進めるため、平成21年度からステップアッププランにより、補助率を1/5から1/3に嵩上げしている。また平成23年度から追加対策としてエコ補助金を行った。平成23年度限りだったが、効果があったため今年度も実施中である。なお平成23年度の転換実績は過去2年間の平均に比べて約3倍に増加している。

質問:合併浄化槽のエコ補助金は今後も継続されるのか。

答弁:市町村からの要望、今後の実施状況等を見ながら検討していきたい。

質問:平成23年度は予算を全部使い切るくらい要望があったのか。

答弁:2,000基を予定していたが、1,189基である。

質問:エコ補助金については、水環境の改善に役立つことから、今後も事業を継続してもらいたい。

答弁:汚水処理人口普及率の向上が県としての目標であり、最も効果的・効率的な方法で事業を行っていく必要があり、エコ補助金も一つの手法として今後も検討していきたい。

質問:「地域協議会」の考え方をもう少し詳しく説明してほしい。

答弁:水質環境基準が未達成であったり、達成率が向上しないにもかかわらず、汚水処理施設整備の従来の施策対象から外れてしまうような地域に対して、地域を限って市町村の協力を得て地域協議会を設立し、その地域の実態に即した住民参加型の事業を推進することで、水質改善を図っていくものである。

質問:新税による取り組みは、エコ補助金と別だての事業として使うのか。

答弁:地域協議会が進める事業は、地域の活動への助成などを想定しているが、ハード事業について、今後具体的に効果的な方法を検討していきたい。

質問:住民参加型生活排水対策事業は効果が見えにくく、単独浄化槽から合併浄化槽への転換などの実効性が確保できるのか。

答弁:地域の合意を得て転換を図ることにより実効性を確保していきたい。

質問:新税で補助する合併浄化槽には、条例等により法定検査を義務づけ、水質を確保させるなど、実効性のある制度にしていく考えはあるか。

答弁:市町村設置型での推進を考えており設置・維持管理は市町村が実施するので水質は確保される。

質問:水質について規制をきちんとする、自然環境の保護条例をつくるなど法制面をきちんと整備する必要がある。群馬の環境を守るという意気込みが必要と考えるがどうか。

答弁:環境をしっかり守っていくため、県の姿勢をしっかり打ち出していく必要がある。水源地域の保全については、水源地域保全条例を制定したところである。

質問:汚水処理については森林環境税に関係なく、行政が責任を持ってやらなければならないと思うが、執行部の考え方はどうか。

答弁:汚水処理の推進は今までどおり責任を持って実施していく。

質問:水環境保全に関する取組方針について、事業の対象地域と対象期間を限定することはできるか。

答弁:地域を限定することは想定している。期間を限定することについては今後検討したい。

(3)森林ボランティアについて

質問:森林・林業基本計画のボランティアの目標値と森林環境税導入後の目標値が同じであるが、ボランティアの数はもっと増えるのではないか。
答弁:森林環境税で実施を検討している事業としては、新しくボランティア活動を行いたい人に窓口を設け、活動しているボランティア団体の情報の提供、ボランティア活動の支援等を総合的に実施するボランティアセンターの設置を考えている。森林ボランティア数は平成22年は3,800人、10年後の目標は4,200人としているが、今後、森林ボランティアの参加者を増やしていきたい。

質問:他県の使途を見ると、ソフト事業、特にボランティア支援に力を入れているが、県の提案では、額も少額であり、力が入っていない。もう少し支援策を検討した方がよいのではないか。

答弁:ボランティアとの連携は検討している。たとえば、竹林の整備などでは、1年目は業者に整備してもらい、2年目以降は地域のボランティアで管理してもらう手法なども考えている。活動の中心となるのがボランティアセンターである。他県の事例も参考にしながら、企業からの支援を含め、具体的な手法について検討を進めていきたい。

(4)森林環境税導入の必要性について

質問:埼玉県では、新税を導入することなく、自動車税の一部を森林整備事業に充当している。本県でも、既存の県税をやりくりして、森林関係に充当することは可能か。

答弁:予算編成においては様々な行政需要を調整している。その中で、例えば奥山の整備などはこれまで優先順位が低くなってしまっていたが、今後県として森林の保全に積極的に取り組む必要があるということで、新税の導入について現在御議論をいただいている。

質問:群馬県は森林県であり水源県である。水を守ることも大切である。そのような中、下流都県に森林や水環境を守る経費について負担してもらうことも必要ではないか。

答弁:森林や水からの受益は県民に広く及ぶことから、まずは県民から負担いただくこととしたいが、こうした取組を進めることは、下流都県にも利益が及ぶことになる。水源県としてしっかり森林整備をし、水環境を保全しながら、引き続き下流都県に働きかけていきたい。

質問:森林環境税に関する有識者会議の第4回において、森林環境税の導入が認められたというのは確かか。

答弁:そのとおりである。

質問:執行部として有識者会議の結論を尊重するのは結構であるが、議会も特別委員会を設置して、森林環境税を導入するという強い意思で取り組んできたので、議会の考えも尊重してほしい。

答弁:ごもっともである。県民の代表である議員で構成される特別委員会の意見もしっかり踏まえなければならないと考えている。

質問:事業計画の策定に当たり、財政課はどのような関わり方をしているか。

答弁:事業内容について、環境森林部と話し合いながら、案を作成している。

質問:財政課には、予算編成において既存の森林整備事業を減額しないようお願いする。

答弁:県民には森林環境税の使途、効果を分かりやすく示す必要があることから、既存事業と別経理を行うため、既存事業に影響を与えることはない。

(5)二酸化炭素の認証制度について

質問:高知県などでは、税事業として二酸化炭素の認証制度の推進を行い民間からの支援を得ている。
 本県でも使途に加えるべきと思うがどうか。

答弁:制度の具体的な中身については今後よく検討していきたい。県民や企業の方々から理解を得ながら、支援、協力をいただきたいと考えている。

(6)森林環境税の取扱いについて

質問:森林環境税は全額一般財源として扱うそうだが、その取扱いについて既存事業との差異はあるか。

答弁:新たに県民に個人県民税の超過課税として負担をお願いするとした場合、使途を分かりやすく県民にお示しするには、基金を設置することも一つの手法と考えている。

(7)新聞報道における論調について

質問:新聞報道では森林環境税について議論が尽くされていないなど厳しい論調があるが、どのように考えるか。

答弁:森林環境税の導入に関し、平成24年2月定例県議会で知事が答弁したとおり、円高や消費税の増税等厳しい社会経済状況にあり、県民の目が厳しいのは承知している。しかし、森林や水環境を取り巻く現在の窮状をそのままにはできないので、森林環境税の目的や目標を明確に示して、厳しい論調に対してはしっかり説明したいと考えている。

(8)収納対策等について

質問:消費税の増税や個人住民税の復興増税に加え、更に森林環境税が導入されれば、市町村の滞納が増えることが懸念される。収納対策にも十分配慮する必要があると考えるが、その点はどうか。

答弁:増税の時期が重なるため、徴収環境は、益々厳しくなると考えている。現在においても、個人県民税対策として市町村と連携した取り組みを行っている。具体的には、市町村の税務担当課長等が構成員となっている地方税対策会議やその下部組織である地方税徴収対策推進会議の中で、市町村の個別滞納案件の処理方針について議論している。その他、合同滞納整理、不動産合同公売、共同催告などの取り組みを行っている。今後、森林環境税が導入された場合には、更に市町村との連携を深め、積極的な滞納整理に取り組んでいきたい。

質問:森林環境税が個人県民税均等割の超過課税方式として導入された場合、市町村も徴収体制を強化しなければならないと考えるが、市町村への支援体制はあるか。

答弁:地方税徴収対策推進会議では、市町村の徴収体制やマネジメント強化などについて、意見交換を行っている。県からも徴収体制強化の取り組み状況の紹介を行っているが、最近では、先駆的な取り組みを行っている市町村がリーダーシップを取り、市町村相互の連携も進んでいる。今後とも、市町村と連携した収納対策を継続していきたい。

質問:森林環境税を市町村が徴収するのであれば、何らかのインセンティブが必要と考えるが、現状で徴収取扱費はどうなっているか。また、市町村にインセンティブを与える余地はあるか。

答弁:徴収取扱費については、地方税法・県税条例の定めにより1人当たり3,000円、23年度には総額で約30億円を交付している。インセンティブについては、仮に均等割の超過課税方式であれば、市町村からも要望が出ており県単独での交付金の必要性も感じている。今後、検討していく必要があると考えている。

(9)有識者会議について

質問:水環境の保全について、「地域単位での合併浄化槽の導入の推進(群馬型推進方式)」とあるが、この「群馬型推進方式」について説明してほしい。

答弁:市町村、自治会等、NPOを交えた地域協議会を設立して、活動エリア内で住民参加型による生活排水対策に取り組み、また、合併浄化槽への転換を集中的に進めるなど、総合的に水環境の再生を図っていくものである。全国的に例がないため、座長提案資料では、「群馬型推進方式」とされている。

質問:地域協議会による水環境保全の取り組みはソフト事業と捉えて、合併浄化槽への転換のような既存のハード事業とは別のものと捉えてよいか。

答弁:水環境は地域の共通の財産であるが、汚濁等によりその価値が損なわれてしまっている。そのため、この事業で本来の価値を取り戻そうとするものである。地域を限って効果的に対策を進める本事業は、新たな考え方に基づき取り組みを進めるもので、既存の事業とは別のものである。

質問:埼玉県方式について、有識者会議でどのような説明をしたのか。

答弁:自動車税収の1.5%、約14億円を森林整備に充てていると説明した。特に意見等は無かった。

(10)県内市町村の意見について

質問:県内市町村長からの税導入に対する意見はどうか。

答弁:6月から8月にかけ、35市町村の長に個別又は会議等で説明を行った。35名の市町村長のうち、反対が2名で、理由はこの時期の増税に反対や下流に負担を求めるべき、保留が1名で、賛否は使途が示されてからということであった。他の32市町村長は、反対しないを含め賛成であった。意見の特徴として、北毛地域は森林環境の保全に重点を、東毛地域は水環境の保全に重点を、という意見が多かった。

(11)課税期間について

質問:課税期間の5年間の根拠はどうか。

答弁:目的をもった税金なので、ある程度の期間で評価を行う必要がある。他県でも期間を5年又は10年としており、10年とした県でも5年で見直しを行っている。

質問:状況によっては5年間で廃止もあるのか。

答弁:その可能性はある。配付資料に他県における更新年の状況をまとめた。最初に導入した高知県は5年後に見直し、3期目に入る。22県が見直しており、全ての県で延長している。

(12)対象事業の絞り込みについて

質問:単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換もよいが、森林だけに特化するという議論もあるがどうか。

答弁:森林環境の保全と水環境の保全の二本柱で進めているが、例えば議会が森林環境の保全だけと言うならば、検討しなければならない。

(13)自然環境の保護・管理について

質問:森林環境税は、森林の保全と水の保全と聞いてきた。本日の説明で尾瀬が出てきたが、当初はなかったのか。

答弁:尾瀬は、優れた自然環境の保護・管理に含まれる。

(14)予算配分の組み直しについて

質問:森林資源や水資源は、群馬だけでなく日本の財産でもある。新税を導入するならば、県全体の予算配分を組み直し、既存事業を見直すことが正しい姿勢だと思うがどうか。

答弁:見直しが必要ならば見直していかなければならないが、少子高齢化が進行する中で先送りできない課題については、新税を導入し、取り組んでいきたいと考えている。

(15)環境教育・森林環境教育について

質問:森林や水の大切さの理解は教育に関わると思うが、教育委員会と連携しているか。

答弁:森林に関しては、学校への森林の専門家の派遣、森の仕事の体験教室、緑の少年団等により、水に関してはエコムーブ号や環境アドバイザーの派遣により勉強をしていただいている。

質問:森林関係のパンフレットを生徒や保護者に配布するなど、県民意識を高める試みを行ったことがあるか。

答弁:森林については直近では例がない。10年ぐらい前に冊子を作成し、配布したことがある。環境については、子ども環境白書を配布している。

(16)外材について

質問:中国の経済発展やロシアの関税引き上げ問題で米材やロシア材が輸入しにくくなっている状況であるが、外材に対する認識はどうか。

答弁:ロシアの関税引き上げにより、合板用丸太は一時的に国産材にシフトしたが、円高・ユーロ安の影響で、欧州材の輸入が増加したり合板用丸太が米材にシフトしつつある。長期的には1立方メートル当たり100ドルの水準が維持されると思うが、中国の木材需要が急増すれば、外材の調達が困難になる可能性もある。


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