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群馬の放射能対策についての提言

 平成23年3月の東日本大震災により、福島第一原子力発電所で重大な事故が起きたことで、放射能汚染による風評被害を含め、本県も多大な被害を受けた。
 ほぼすべての国民が経験したことのないことであるとともに、放射能が目に見えないこと、放射能に対する知識が乏しいことなどから、より一層大きな不安を抱えている。
 県内では、除染作業が進み、農畜産物や流通食品などの検査体制も整備されてきていることなどから、落ち着きを取り戻しつつあるものの、出荷自粛や風評被害など農業や観光などの産業、さらに、ホットスポット等健康被害に対する不安など、引き続ききめ細かな対応を進めることが重要である。
 また、冷温停止中とはいえ、福島、新潟、茨城など、本県の周囲には原子力発電所があり、その原子力発電所の使用済み核燃料プールには多くの使用済み核燃料が保管されていることも事実であることから、他県からの原発依存の低減を目指すべく再生可能エネルギーや新エネルギー導入に向けて積極的に取り組み、さらに、首都圏直下型や南海トラフなど、巨大地震発生の可能性も叫ばれる中、万が一への対応について検討を進めておくことも課題である。
 こうしたことから、県民の不安を払拭するための事業の継続と危機管理的な見地に立った検討を進める等、次の事項に配慮されるよう強く要望する。

  1. 国等の調査結果を踏まえ、本県での健康調査の必要性、また、本県により大きな影響が生じるような事態が発生した場合に備え、健康調査の実施方法や調査項目等の検討を行うこと。またさらに、県内医療機関や研究機関等の協力体制の推進を図ること。
  2. 森林の除染について、現在検討中とされている国の検討結果を踏まえ、群馬県の生態系の維持のため、適切な取り組みが行えるよう情報収集に努めること。
  3. 放射性物質汚染廃棄物(指定廃棄物)の管理強化をさらに進めるとともに、除染による除去土壌、焼却灰、浄水発生土、下水汚泥などが大量に発生した場合でも、安全な保管・管理の方法や大規模な仮置き場など、万一の事故やより大規模な被害を想定した検討を進めること。
  4. すべての県民に対して、的確な情報を、遅滞なく、かつ、積極的に提供するための体制を整えること。また、専門知識のない人にもわかりやすい情報の発信に心掛けて取り組むこと。特に隣県・隣国の原発トラブルや核の脅威に関する情報にも注意を払うこと。
  5. 農畜産物をはじめ食品や水道水等々の安全性の確認・確保など、放射性物質に関する対応は長期にわたるものであるため、当分の間、現在の人員や検査体制などを維持すること。また、県民目線で、丁寧な対応を続けていくこと。
  6. 福島第一原子力発電所事故との因果関係が認められる被害が、全て補償の対象とされ、早急に全額が支払われるよう、東京電力(株)に対し働きかけを行うこと。

 以上、提言する。

 平成25年3月13日

群馬県議会放射能対策特別委員会

 群馬県知事 大澤 正明様