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厚生文化常任委員会(健康福祉部・病院局関係・平成25年度分)平成25年3月8日

1.開催日時

 平成25年3月8日(金曜日)9時59分~17時36分

2.開催場所

 402委員会室

3.出席委員

 委員長:星名建市、副委員長:岸善一郎
 委員:中沢丈一、委員:田所三千男、委員:塚原仁、委員:橋爪洋介、委員:後藤克己、委員:吉山勇、委員:酒井宏明、委員:安孫子哲

4.欠席委員

 なし

5.主な質疑

(1)第1号議案「平成25年度群馬県一般会計予算」について

岸副委員長
 新年度予算で生活保護費として行旅人費用200万円が計上されているが、過去の県内における状況はいかがか。

塚越健康福祉課長
 該当案件に対応した市町村の経費を負担するものであり、平成23年度の実績では、行旅病人が4人で27万5千円の支出、行旅死亡人は9人で104万9千円の支出であった。

岸副委員長
 過疎地域医療対策と医師確保について、自治医科大学対策について、過去の実績はどうか。

川原医務課長
 自治医科大学には、通常2人、年によって3人が入学している。実績としては、今まで35期生まで卒業し、70数人の卒業生となる。卒業後9年間は県内の公的医療機関に勤務し、そのうち3年間はへき地診療所に勤務することとなっている。

岸副委員長
 医師確保という点では、卒業生は県内に残っていると考えてよいか。

川原医務課長
 一次試験は県内で行っており、受験者は県内高校出身者が主であることから、卒業後はもちろんであるが、その後も多くの卒業生が県内で従事し、地域医療を担っていただいている。

岸副委員長
 中国残留邦人等援護の支援相談員について、どのようになっているのか。

萩原国保援護課長
 県で支援相談員を配置しているが、市福祉事務所を中心に業務に従事してもらっている。

塚原委員
 違法ドラッグについて平成25年度の予算が伸びているが、どのような取組を行うのか。

須野原薬務課長
 来年度は今年度までの取組を強化し、試買検査の拡充を図るとともに、若年層向けに違法ドラッグに特化した啓発資材を作成し、啓発を行うこととしている。なお、国は指定薬物の包括指定制度を導入し、薬物指定を迅速に行ってきており、試買検査においては、これに対応した分析技術の確立を併せて図って行くこととしている。

塚原委員
 試買検査で指定薬物が検出された場合どのような対応がとれるのか。

須野原薬務課長
 対応については県により異なっており、自主回収の措置で対応している県もあるが、本県では警察と連携して取り組み、悪質性がある場合には告発を視野に入れた対応も検討している。

塚原委員
 来年度は啓発を行うとのことだが、印刷物よりも視覚に訴えた啓発が必要ではないか。

須野原薬務課長
 DVDの購入費も予算化してあり、最近は違法ドラッグを題材にしたDVDも販売されてきているので購入していきたい。

(2)第39号議案「群馬県医療費適正化計画の策定」について

酒井委員
 第1期の目標達成状況に関して国から何らかの指導があったか。

塚越健康福祉課長
 第2期計画にあたっても国は目標を定めているが、参酌標準としているため、今期計画では、県の実情に応じた数値目標とした。また、中間評価を平成22年度に行っているが、評価について国から指導を受けたということはない。

酒井委員
 県は平均在院日数も全国平均を下回っており、さらに抑制するということはよくないと思うがどうか。

塚越健康福祉課長
 この計画は「県民の健康の保持」、「医療の効率的な提供」という2つの目標を実現することにより、結果として医療費の伸びを抑制するというものであり、医療費の削減自体を目標としているものではない。また、平均在院日数の短縮を目標として掲げているが、これは早期退院を促すものではなく、県民に対して質の高い医療を提供するために、各医療機関の機能分化を進めるとともに、在宅医療体制や地域包括ケアシステムを構築する取組を進める上での指標ということで設けたものである。

(3)第40号議案「群馬県がん対策推進計画の策定」について

酒井委員
 県内のがん患者の就労問題に関する実態をどの程度把握しているか。

西村がん対策推進室長
 新しいがん対策推進計画の策定に当たって、県内のがん診療連携拠点病院等に対して、就労に関する相談がどの程度寄せられているのかを調査した。その結果を見ると、仕事・就業に関する相談件数は、相談件数全体の約1パーセントと、それほど多くはなかった。

酒井委員
 就労問題に関する実態調査が必要と考えるがどうか。

西村がん対策推進室長
 新しいがん対策推進計画において、就労問題に関する実態調査の実施を盛り込んでいる。

酒井委員
 就労問題に関する相談支援体制をどう強化するのか。どのような窓口を考えているのか。

西村がん対策推進室長
 県立がんセンターにおいて就労支援を開始する予定である。来年度はまず、がんセンターで取組を始めるが、その取組をモデルケースとして、他の拠点病院等にも普及できるようにしていきたいと考えている。

塚原委員
 がん検診の受診率が目標に達しなかったが、反省点は何か。

西村がん対策推進室長
 受診率向上について、重点的に取り組み始めたのが23年度からであり、まだ成果が出せる状況になっていないのではないかと考えている。また、実施主体である市町村との連携をもっと強力に進めるべきではなかったかという印象も持っている。このため、24年度は、がん対策の中でも、特に受診率向上を重点に取り組んでおり、新たに市町村モデル事業を開始するなど、市町村の取組を支援する事業を始めたところである。

塚原委員
 がん検診受診率向上のための新年度の取組とそこに期待する効果は何か。

西村がん対策推進室長
 今年度は、新たに市町村モデル事業を実施しているが、来年度に、改めて事業成果の検証を行い、他の市町村にもその状況をお知らせし、効果的な取組の普及を図っていきたいと考えている。
 来年度は、市町村モデル事業を継続するとともに、普及啓発活動により力を入れていきと考えている。コンビニエンスストアとの連携にも取り組むほか、バス・タクシーなどに検診啓発ステッカーを貼って頂く事業や、県内日帰り温泉施設等に乳がん検診やセルフチェック用のリーフレットを置いて頂くこととしている。
 また、児童を対象にして、父兄に対して禁煙を呼びかけてもうらうとともに、がん検診受診も呼びかけるリーフレットを作成し配布することなども予定している。
 さらに、受診の利便性を向上させるため、住んでいる市町村以外の市町村の医療機関でもがん検診が受診出来る体制が構築出来ないか、検討を始めることとしている。
 がん検診は、市町村ごとに全く違うやり方で行われているのが現状である。市町村ごとに異なる実施方式を可能な限り統一することにより、市町村間の相互乗り入れが出来ないか考えている。ハードルは極めて高いが、市町村、医師会、検診機関の参加を頂きながら、検討を始めたいと考えている。

塚原委員
 受診率50パーセントの目標年次(平成29年度)にこだわることなく、早期達成に取り組むべきと考えるがどうか。

西村がん対策推進室長
 単年度で、一気に受診率を上げることは難しいが、継続して取り組むことにより、できる限り早期に達成できるよう頑張りたい。

(4)第41号議案「群馬県健康増進計画の策定」について

酒井委員
 自殺者の減少について、ゼロは無理であっても半減を目指すべきではないか。

佐藤精神保健室長
 国の自殺総合対策大綱では、10年間で20パーセントの自殺者数の減少を目標にしており、平成21年に策定した群馬県自殺総合対策行動計画は、5カ年の目標値で10パーセント450人減とした。命の重さという点では自殺者数をゼロにするということだが、そのための経過があると考えている。

酒井委員
 福島第一原発の事故を受け、放射能から県民の命と健康を守ることが課題であるが、計画の中でどのように位置づけているのか。

高橋保健予防課長
 今回の健康増進計画では記載していない。

酒井委員
 内部被ばくの問題は、しっかりと計画の中に位置づけるべきではないか。

高橋保健予防課長
 WHOが公表した福島第一原発事故による地域住民の健康リスク報告では、今回の事故による最大限の被ばくを見込んだ前提をおいても、福島県内で疾患の罹患の増加が確認される可能性は小さく、福島県外のリスクは無視できるとある。

酒井委員
 「介護保険サービス利用者の増加の抑制」について数値目標を定めることは、受給制限につながり不適切なので、削除すべきではないか。

沼澤介護高齢課長
 介護を必要とする人に必要なサービスを提供するのが前提であり、介護予防に取り組む結果として介護を必要とする人が増えないようにするという趣旨であるので、施策を進めるため、数値目標を定めることとしたい。

後藤委員
 県としてフッ化物の応用を強力に推進するということか。

高橋保健予防課長
 WHOでは、フッ化物を適正に使用するならば、むし歯の予防方法として公衆衛生学的に効果的な方法であると報告している。また、厚生労働省では、平成15年の通知で安全な実施方法等についての「フッ化物洗口ガイドライン」を出しているところであり、適切な方法で実施されれば、むし歯が予防されるものである。自分の歯をもち続けるということは、生涯を通じてバランスのとれた食事と楽しい会話をすることができ、また、高齢者の誤えん防止も期待できるため、結果として健康増進が図られると認識している。

後藤委員
 「フッ化物洗口を実施する市町村の割合の増加」を目標としているが、県として推進するということか。

高橋保健予防課長
 平成15年の「フッ化物洗口ガイドライン」に従って、推進したい。

後藤委員
 フッ化物の応用について色々な意見がある中、保健予防課長答弁では「推進する」ということだが、あくまで「フッ化物洗口ガイドライン」に従って実施するのか。

高橋保健予防課長
 ガイドラインには、対象者や調整、保護者に対する事前説明など、安全な実施についてまとめられているため、ガイドラインに則って実施するということである。

(5)第51号議案「平成25年度群馬県病院事業会計予算」について

安孫子委員
 ハイブリッド手術室整備について、どのような機能を持ち、どういう患者さんに効果があるのか。

大島心臓血管センター院長
 ハイブリッド手術室は、循環器内科がカテーテル治療を行うカテーテル室と心臓外科医が使用している手術室の両方の機能を合わせもった部屋ということである。
 ハイブリッド手術室で行う治療は、大動脈瘤ステントグラフト術など外科手術より侵襲性が低い。心臓血管疾患など高齢者が多くかかる病気は、少しでも身体的な負担が少ない治療が好ましいため、非常に良い治療ができると思っている。

安孫子委員
 がん専門病院としてどのような緩和ケア治療を目指しているのか。また、疼痛センターではどのような治療を行うのか。

猿木がんセンター院長
 がんと診断されたときから緩和ケアの提供ということも言われており、そういった機能を持たせたいと考えている。患者さんの痛みだけではなく、精神的なつらさに配慮した緩和ケア病棟の運営、また、緩和ケア病棟を中心に在宅との連携をしていきたいと考えている。
 疼痛センターについては、がん性疼痛を中心にして治療を行いたいと思っている。特に痛み治療においては、WHOの三段階除痛ラダーというのがあり、痛み止めを強さに応じて使い分けていく。

安孫子委員
 医療観察法病棟の運営状況はどうか。また、精神疾患を持った患者さんに対する今後の医療的課題についてはどういうものがあるのか。

武井精神医療センター院長
 医療観察法病棟については、昨年3月に開棟し、現在順調に稼働している。特に裁判所、法務省及び医療機関が三位一体となって観察や治療を行い、患者さんも順調に社会復帰をしている。
 また、全体的な課題だが、ひとつは発達障害をもった人達への対応をどうするか。受入について、しっかりした病棟でやっていくのか、あるいはどういった形で受け入れていくのか検討していかなくてはいけない。もうひとつの大きな問題は、精神科救急ではなくて、身体科救急、例えば総合病院には救急があるが、その中に体の病気で来ているけれども、実は精神科的な課題を持った人達が結構いて、その人に対しての対応が十分できていない。自殺未遂で大量服薬してきた場合は分かりやすいが、一見精神疾患ではなさそうで、例えば腎臓の病気だが、よく診ると精神症状をもっているということもあり、こういう場合の治療が中々難しい。こうした患者に適切に対応していく体制づくりが重要であると考えている。

安孫子委員
 小児医療センターの外科病棟増改築工事について、なぜ、この事業に取り組むのか。また、これからの小児救急の課題はどのようなことがあるか。

林小児医療センター院長
 外科病棟については、建設から30年経過するので、色々なことが十分ではなくなってきている。感染症が出ると、6人部屋に1人しか入れなくなることもあり、病床利用率がかなり落ちてしまう。また、シャワー等、様々な物が30年経っても全く修理していなかったので、不備な点が多々あった。
 小児の救急は、県内全病院のシステムがきちんとしていることが必要であると同時に、小児の集中治療については、専門家がいてこそきちっと対処できるということが明らかになった。県内には、小児の救急救命センターがほとんどないのが現状であり、県立病院である当センターが、その役割を担うべきものであると考えている。

中沢委員
 防災カーテン賃貸借契約について、なぜ賃貸なのか。

服部がんセンター事務局長
 コストを考え、リースで定期的に交換した方が経費が安いということで取り入れている。今回の議案の内容については25年度に開設する緩和ケア病棟の追加分を提案させていただいた。

(6)議第2号議案「群馬県歯科口腔保健の推進に関する条例」について

中沢委員
 本県の条例案はフッ化物の応用について、各方面に配慮した内容となっていると考えるが、他道府県条例を比較した場合、どのように認識しているか。

高橋保健予防課長
 「フッ化物の応用」を規定しているのは21本である。近県では、茨城県、埼玉県、神奈川県、千葉県及び新潟県の条例においても「フッ化物の応用」について規定している。

中沢委員
 フッ化物の効用は、どのようなものか。

高橋保健予防課長
 WHO、厚生労働省、日本歯科医師会及び群馬県歯科医師会等において、フッ化物の応用はむし歯予防に効果があるとしている。しかし、過量使用だと健康に影響がでるため、安全に実施する必要がある。

酒井委員
 フッ素化合物の使用については、見解が分かれている。使いすぎると健康に害があることを理解しておく必要があり、効能との両論併記にすべきと思うがどうか。

橋爪委員
 条例案第11条第4号の表現は、各方面に配慮したものである。量を摂り過ぎれば害が生じるのは身体に良いものも同じである。むし歯の三大予防方法にフッ化物の応用があり、WHOも推奨していることが大前提である。

酒井委員
 県民の役割を規定しているが、どのような趣旨のものか。

橋爪委員
 責務を負わせるということではなく、歯科口腔の健康のため、県民が目標に向かって進んでいくという趣旨である。

酒井委員
 歯科医師の役割を規定しているが、いろいろな立場の歯科医師もいる中で、専門家に役割を発揮してもらうことをどう位置付けているか。

橋爪委員
 歯科医師には、歯科医師会員とそうでない者がいるが、行政としては事業を推進するため、歯科医師会を通じて行うこととなるが、この条例は県民全体で取り組むというものであり、非会員に対しても必要な情報を提供すべきであると考えている。

後藤委員
 フッ化物の使用効果と健康への影響の双方について平等に情報提供を行うのか。

橋爪委員
 現時点で、フッ化物応用の安全性について賛否両論ある限り、情報共有は必要である。しかし、平成15年の「フッ化物洗口ガイドライン」に従って、現在も保護者から事前同意を得て実施しているところである。保護者に反対意見があるならば、行政として、意見を集約する必要はある。

後藤委員
 平成15年の「フッ化物洗口ガイドライン」について、インフォームドコンセントの内容が不十分で、安全性が強調されており、毒性等について記載がないとの指摘もある。情報提供は推進派の意見のみではなく、反対派の意見にも配慮すべきであると考えるがどうか。

橋爪委員
 事前説明と合意について群馬県も群馬県なりに考えていったほうがいいと思うが、大前提として、むし歯の減少にはフッ化物は有効であると考えている。

後藤委員
 条例案第11条第4号の「必要により」は誰が判断するのか。

橋爪委員
 中学校卒業くらいまでに行うことが効果が高いと言われており、仮に、学校で導入する場合には、学校長が判断することになると思うが、ステージによって違いがあると考えている。

後藤委員
 「希望者」について、個人の判断を求めるとして、どういう情報を提供するのか。「フッ化物洗口ガイドライン」に従って実施するのか。

橋爪委員
 そうなると思われる。

(7)高齢者施設の口腔ケアの現状について

中沢委員
 口腔機能向上加算を受けている施設・居宅サービス事業所等の状況はどうか。

沼澤介護高齢課長
 介護老人保健施設等の入所施設については、届出制ではないため、県では状況を把握していない。他方、居宅サービス等については、2,127事業所のうち、471事業所、22パーセントが口腔機能向上加算を届け出ている。

(8)前橋赤十字病院の移転候補地について

中沢委員
 健康福祉部から前橋赤十字病院の役割を厚労省に説明し、厚労省から農水省への働きかけをしてもらうよう要請を継続してほしいがどうか。

片野健康福祉部長
 敷地が、農地であり、所管の関東農政局の事前協議を農政部と一体となって鋭意取り組んでいる。事態の早期解決に向け努力していきたい。

(9)難病対策について

田所委員
 難病に対する相談窓口はあるか。

高橋保健予防課長
 難病相談については、保健福祉事務所、中核市保健所で相談が受けられる。また群馬大学医学部附属病院に県の難病相談支援センターを設置している。

田所委員
 難病患者への介護等の支援はどうか。

相澤障害政策課長
 4月から障害者総合支援法が施行され、難病患者が対象に加わる。対象の130疾病に該当する場合には、障害福祉サービスの対象となる。

吉山委員
 現状はまだ難病に指定されていないが、慢性骨髄性白血病について、どのように認識しているか。

西村がん対策推進室長
 慢性骨髄性白血病の治療については、以前は、「慢性期」のうちに「骨髄移植」などが成功しないと難しい状況だったが、新薬の登場で、治療成績は飛躍的に向上した。しかしながら、治療薬剤費については高額であると認識している。

吉山委員
 県内の患者数はどのくらいか。

西村がん対策推進室長
 県内における慢性骨髄性白血病の患者数については、正確な数は分からないのが実態であるが、平成23年の患者調査では、全国で約1万1千人と推計されている。人口比から推計すると、県内では170~180人程度ではないかと思われる。

吉山委員
 これまでに、患者や医師などの団体から、助成を求める要望はなかったか。

西村がん対策推進室長
 県に対する助成の要望は受けていない。

(10)重粒子線治療について

塚原委員
 本年度の治療実績は、どうなっているか。また、利子補給の利用実績が少ないが、どう認識しているか。

川原医務課長
 1月末までの治療実績は260人。うち群馬県民は164人で63パーセントに当たる。他県で多い県は埼玉県の36人、長野県の18人。疾病別では前立腺がんが181人で、頭頸部腫瘍が21人、肝臓がんが16人となっている。
 利子補給利用者は、昨年度1名、今年度2名である。患者は、民間生命保険の先進医療特約を使うケースが増えているとともに、保険が適用されるIMRT等、他の治療方法を選ぶケースもあるようである。

塚原委員
 治療者数600人が目標だが、現在の体制で対応できるのか。

川原医務課長
 今後治療者数を増やすためには、専門医師や医学物理士、放射線技師、看護師など人材の育成・確保が急務である。群馬大学では、現在の医療スタッフでは、300人代が限界と考えており、リーディング大学院や北関東地域連携がん先進医療人材育成プラン等による人材育成を図っている。人材確保は大きな課題であるが、群馬大学も目標に向かって努力しているので、県としても、しっかり連携して支援していきたい。

塚原委員
 重粒子線に関してより一層のPRが必要と考えるがどうか。

川原医務課長
 県内医療機関にパンフレットを配布するほか、近隣県のがん診療連携協議会に群馬大学の教授と出席し、重粒子線治療の説明を行っている。また、首都圏の病院を回ってPRしているほか、ホテルニューオータニに置かれている粒子線がん相談クリニックに群馬大学が医師の派遣を行い、重粒子線治療を紹介している。さらに、ぐんまちゃん家でのパンフレット配布も行っている。今後も、しっかりとPRをしていきたい。

(11)障害者歯科診療について

橋爪委員
 本県の障害者歯科診療の現状はどうか。

川原医務課長
 全身麻酔による歯科治療を行うことができる医療機関は少なく、今年度実績があるのは、県内では小児医療センター、館林厚生病院、桐生厚生総合病院、群馬大学医学部附属病院の4か所で、全身麻酔はできないが障害者の診療を専門に行う医療機関は、県歯科総合衛生センター、富岡甘楽口腔保健センター、館林邑楽歯科医療センター、障害者施設内に設置されているのぞみの園診療所などがある。県歯科総合衛生センターは、今年度、歯科医師2名体制となり7月から静脈内鎮静法による治療を開始したところである。
 また、比較的軽度の障害を有する患者への対応が可能な医療機関としては、群馬県歯科医師会の登録制度により登録された障害者協力歯科医院が71か所ある。

橋爪委員
 小児医療センターでは、成人もとりあえず診療しているが、病院の規格が成人にあっていないという問題点がある。1次・2次医療を含めた中で整備について考えなければならないと思うがどうか。

川原医務課長
 今後も総合病院での受入れを拡大しつつ、それぞれの地域で障害者歯科に対応できるよう、しっかりと取り組んでいきたい。

橋爪委員
 診療報酬上は時間との兼ね合いで、病院としてのデメリットがあると思うがどうか。

川原医務課長
 歯科医療は、通常の医療と比べて診療報酬が低い上、全身麻酔や静脈内鎮静で対応する場合は、2名の歯科医師で午前中に1人の患者しか対応できないので、採算上厳しいと聞いている。

(12)発達障害者支援センターについて

橋爪委員
 今、相談の待機期間はどうなっているのか。

相澤障害政策課長
 3~4か月待ちである。

橋爪委員
 県、市町村を問わず、あらゆる関係機関が連携してやっていく必要があるのではないか。待機期間が長くなっていると思うがどうか。

相澤障害政策課長
 毎年相談件数が増加している。前年度と比べて待機期間は長くなっている。

橋爪委員
 学校において発達障害が認知されてきていることが相談が増えていることに影響しているのか。また学校等と連携をとっているのか。

相澤障害政策課長
 学校の対応は承知していないが、県庁内の関係課と意見交換、情報共有を図るなど連携を強化していきたい。

橋爪委員
 早期発見が本人の将来に一番いいという見解がある中、学校等と連携が必要と思うがどうか。

片野健康福祉部長
 発達障害者数については顕在化してきている。高崎市だけでなく、他の市町村や学校などでも対応していただいている。あらゆる関係者が可能な限り連携できる体制をとるため、来年度は、障害政策課内に「発達支援係」を創設し、組織的にも人的にも発達支援の施策を充実していきたい。

(13)県立病院の警備業務委託のあり方について

後藤委員
 県立病院の警備業務委託について、少なくとも最低制限価格を設けるべきと考えるがどうか。

瀬古病院局総務課長
 病院局は、公共性はもちろんのこと、経済性と独立採算性を経営の基本原則としている。基本的にはなるべく安くということであるが、業務の確実な実行を確保するため、必要に応じて、最低制限価格を設けている。本件については、履行の確実性が担保されていると考えているため、最低制限価格を設ける必要性は今のところないと考えている。

後藤委員
 過去10年間、ほとんど業務量が変わらない中、金額が大幅に下がっているというのはどこかで無理をしていて、結局は従業員の賃金にしわ寄せがいくということだと思う。指定管理者の制度においては、指定管理を受けた企業で働く従業員の労働条件をモニタリングするとガイドラインが改正されている。指定管理も経営面を重視しているが、勤めている従業員の労働条件までチェックしている中で、病院局はあまりにもケアが薄いと思う。少なくとも最低制限価格くらいは設けてもよいのではないか。

瀬古病院局総務課長
 委員ご指摘の労働者の賃金の問題については、行政全体の労働政策上の課題と認識している。議論が進んでいくのを待ちたいと考えている。

(14)子育て支援行政について

吉山委員
 認可外保育施設が待機児童解消にも貢献していると捉えているが、県として保育ニーズをどのように捉えているか。

金田子育て支援課長
 認可外保育施設は、特色ある保育や長時間保育など多様なサービスにより一定の役割を果たしており、保育ニーズに対応していると考えている。市町村では、量的に捉えるニーズとして認可保育所等公的な保育サービスの需要量を把握しており、認可外保育施設に関しては入所状況の把握に留まっていると考えられる。
 平成27年度から施行される子ども・子育て支援新制度においては、市町村の計画や事業量を検討する上で、どこまでをニーズとして考えるかがポイントであり、国の検討でも認可外保育施設の扱いについて、県や市町村の意見を参考に検討すると聞いている。

吉山委員
 認可外保育施設についての実態について県と市はどのように情報共有をしているか。

金田子育て支援課長
 認可外保育施設に関する実態調査や県への届出、報告書については、全て市町村を経由して提出されることになっている。立入調査の結果についても市町村に通知している。

吉山委員
 子ども・子育て支援関連3法による地方版子ども子育て会議の設置時期と、委員のメンバーについてどう考えているか。

金田子育て支援課長
 地方版子ども・子育て会議は設置する予定である。設置時期については、国に子ども・子育て会議が設置され、基本方針等が今夏頃までに示される予定なので、25年度の早いうちに立ち上げたいと考えている。
 メンバーについては、国の会議の構成も参考に、当事者や事業者もメンバーに加えたいと考えている。

吉山委員
 子ども・子育て支援新制度による認定こども園の申請等の窓口は一元化するべきと思うがどうか。

金田子育て支援課長
 現行の幼保連携型認定こども園は、保育所と幼稚園の双方の認可が必要であるが、新たな幼保連携型認定こども園は一本の認可になるため、指導監督や窓口は一本化する必要がある。
 一方、その他の認定こども園は、それぞれの認可が基本となるが、子育て支援課が調整して対応したいと考えている。

(15)群馬がん治療技術国際戦略総合特区申請について

酒井委員
 がん治療技術国際戦略総合特区について、指定されなかったということだが、今後、4次申請を行う方向か。

塚越健康福祉課長
 3次指定にならなかった理由として内閣府から示された内容及びそれに伴う詳細な理由等を確認した上で検討する。4次指定が最終ということになるが、期限までに今回指摘された内容に対してどの程度改善が図れるかという問題もあり、申請にあたっては税財政上のメリットの大きい国際戦略特区だけでなく、税制上の優遇措置が若干低く、補助金の傾斜配分も少ないが、よりハードルの低い地域活性化での申請も視野に入れて検討していくことになると考えている。

酒井委員
 4次指定申請にあたっては議会に諮る必要があると考えるがどうか。

塚越健康福祉課長
 申請にあたっては議会に相談をさせていただく。

(16)介護報酬改定による影響について

酒井委員
 平成24年度の介護報酬の改定により、訪問介護のサービス提供時間区分が見直され、利用者や事業者に大きな影響がでているが、県はこの状況について把握しているか。

沼澤介護高齢課長
 介護報酬改定の影響については、現時点では、県民からの問い合わせはほとんどなく、県ホームヘルパー協議会との意見交換等においても特別な話は聞いていない。
 国では、次期介護報酬改定に向け、介護サービス事業者の経営状況やサービスの提供状況等について調査が行われ、介護報酬改定の効果の検証を行うこととしている。国の動向を注視していきたい。

酒井委員
 時間短縮によって、回数を増やすと負担が増える、訪問介護事業所の収入も減っているなど、支障が出ているという調査結果がある。昨年4月の介護報酬改定で介護職員処遇改善加算が創設されたが、介護職員処遇改善交付金の方が良かったとの意見を聞くが、県の考えはどうか。

沼澤介護高齢課長
 介護職員処遇改善加算は、対象が介護職員に限定されていること、平成26年度末までの限付きであることから、県としては、次期介護報酬改定において、介護職員だけでなく介護従事者全般の処遇向上に繋がるよう、加算によるのではなく基本部分の改定を行うのが一番良いと思っている。

(17)生活保護について

酒井委員
 生活保護費の引き下げは最低賃金や就学援助など40以上の制度にも影響が及ぶとされているが県として実態調査などの考えがあるか。

塚越健康福祉課長
 生活扶助基準に連動し制度実施の基準としているものとして就学援助、保育料の免除、住民税非課税世帯の基準など様々なものがあるが、国ではそれぞれの制度の趣旨や目的、実態を考慮しながら、できる限り影響がないように対応することを基本方針としており、これらの動向を注視していきたい。
 また、県の制度も影響を受けるため、先般、全般的な調査を実施したが、例えば、生活福祉資金の貸付対象となる低所得者の定義が保護基準の1.7倍に設定されていることなどが判明したので、今後、影響が少なくなるようできる限り対応したいと考えている。

酒井委員
 生活保護世帯に対して、滞納分の国保税の納入を求めたり、自主的な納付も受け取るべきではないと考えるが、国保税滞納分の扱いについて県内の状況はどうか。

萩原国保援護課長
 生活保護費は差し押さえができず、そこから滞納分の国保税の支払いを求めることは好ましくないと考えている。県では、生活状況に配慮し、必要に応じて執行停止を行うなど適切な対応をとるよう指導している。

酒井委員
 大阪府と新潟県では生活保護世帯からは国保税を徴収しないよう指導しているというが、本県も市町村に指導すべきと考えるがどうか。

萩原国保援護課長
 自主的な納付まで制限するべきとは考えていない。

(18)特別養護老人ホームの待機者解消策について

安孫子委員
 待機者解消には、特別養護老人ホームの整備だけでなく、民間事業者を活用すべきと考えるがどうか。

沼澤介護高齢課長
 特別養護老人ホームの入所申込者は、平成24年5月1日現在で、県全体で8,878名であり、このうち在宅で緊急度の高い方が1,147名という状況である。県では、在宅で緊急度の高い方ができるだけ早期に入所できるよう、平成24年度から平成26年度までの3年間で特別養護老人ホームを1,235床整備する予定である。
 一方、入所申込者の中には、比較的自立度も高く、要介護度が低い方も含まれていることから、介護保険施設だけでなく、在宅でのサービス供給体制の整備、サービス付き高齢者向け住宅や地域密着型サービス拠点の整備など、多様な福祉・介護サービス基盤の整備を推進していくこととしている。

(19)災害時における糖尿病患者への対応について

安孫子委員
 災害時に緊急用のインスリンを持たずに逃げた方など、県ではどのような対応を考えているか。

高橋保健予防課長
 糖尿病では有病者の推計割合で6.7パーセントとされているが、18才以下の方で小児慢性特定疾患事業の対象となっている糖尿病の方は、平成23年度で122人いる。
 小児慢性特定疾患事業の対象の方であれば、糖尿病で療養している人の把握、災害時の医療機関の情報などが繋がるような役割を果たすのが行政の役割と考えている。現段階では十分とはいえないが、平時から災害時をにらんで計画を立てておく必要があると思っている。

安孫子委員
 災害時、糖尿病患者には即効性のあるインスリンが必要となる。危機管理室と連絡をとりながら取り組む必要があると考えるがどうか。

須野原薬務課長
 災害用医薬品備蓄事業では、災害発生後3日間を想定し、被災者1万人分の医薬品等を委託で備蓄している。消毒薬等が主なものであるが、慢性疾患患者用医薬品もリスト化している。本来望ましいのは固有の薬であり、あくまでも緊急的なものである。

(20)児童自立支援施設ぐんま学園について

岸副委員長
 中学校卒業後の支援はどうなっているのか。

金田子育て支援課長
 武尊寮という年長児用の寮があり、中学卒業後も入所を継続し、高校進学やアルバイトをしながら自立のための訓練などを行っている。ただし、武尊寮は男子を対象としているため、女子は前橋市内の別の施設で対応している。

岸副委員長
 退所後も追跡調査を行っているか。

金田子育て支援課長
 施設の指導員が関わってきた子どもたちのその後の状況について心配をしつつ、連絡を取っているケースもある。


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