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鳥獣害対策に関する提言(平成25年12月13日)

 野生鳥獣による被害は、過疎化や高齢化の進展による耕作放棄地の増加、里山の荒廃、鳥獣の生息域の拡大、狩猟による捕獲圧の低下などにより山間部のみならず、市街地においても見られるようになり、県内の農林業への被害額は年間12億円に上り、もはや災害とも言える状況になりつつある。
 これら鳥獣害は、農林家の経営意欲の減退や山村地域の衰退等をもたらすほか、人身被害も危ぶまれるなど、被害額として数字に現れる以上に深刻な影響を与えていることから、一層の鳥獣被害防止対策が必要となっている。
 このため、県においては、平成22年度に鳥獣被害対策支援センターを設置し、野生動物管理を専門とする大学と包括連携協定を結ぶなど、着実に対策を進めているが、被害の減少には至っておらず、先が見えていないのが現状である。
 また、かつては有用な資源として扱われてきた野生鳥獣も、狩猟者の減少や国民生活の近代化等により、利活用文化が失われつつあるが、放射性物質の影響による食肉としての利用制限が解除され、今後市場商品としての利活用が進めば、捕獲数の増加につながることが期待される。シカ、イノシシ、クマを中心に対策を上回るスピードで野生鳥獣被害は増加しており、被害軽減を図るためには、「捕る」対策を強化するとともに、「知る」「守る」対策を総合的に組み合わせた取組が一層重要となっている。
 これらの対策を進めるためには、限りある行財政資源としての人員や予算を有効に活用する必要があり、現在、複数部局にまたがる野生動物対策に関する行政組織を一元化し、野生動物管理、生息環境の整備、狩猟者を含む捕獲の担い手の確保・育成などにより、県民が鳥獣被害の減少を実感できる対策に向けた取組強化を要望するものである。

  1. 庁内組織の一元化及び市町村との連携強化
    野生動物の農林業被害や人身被害等の抜本的解決を図るため、野生動物管理を一元的に推進する行政組織の整備を早急に行うこと。とくに、鳥獣被害対策支援センターの機能を大幅に拡充し、科学的根拠を確保するための調査部門、特定鳥獣適正管理計画等を推進する管理部門、被害対策を推進する部門等の集約化を図ること。
    また、市町村との連携を強化し効果的な被害対策を実施するとともに地域振興に資する事業にも積極的に取り組むこと。
  2. 専門職員の育成と配置
    野生動物対策専門職員を育成するとともに地域主体の被害対策が円滑に実施できるよう配置すること。
  3. 狩猟者の養成・確保
    猟友会等との連携により、狩猟者を養成する各種事業に取り組むとともに、有害捕獲を強化するため、ワイルドライフレンジャー等の職能的捕獲技術者を育成・確保すること。
  4. クレー射撃場の充実
    銃砲による狩猟者の養成、職能的捕獲技術者の育成や捕獲に伴う事故防止・違反防止等の教育訓練に必要不可欠な射撃場の充実を図るため、県クレー射撃場内に騒音防止に配慮したライフル射撃場を新設すること。
  5. 食肉等としての利活用
    地域資源である野生鳥獣の有効活用により捕獲の推進や地域活性化を図るため、食肉、工芸材料等としての加工・流通、衛生管理体制の整備を図ること。
    また、海外市場等への販路開拓も研究すること。
  6. 対策事業を評価する第三者機関の設置
    特定鳥獣適正管理計画や対策事業への県民意見の反映、実施過程の透明性を確保するため学識経験者、県民等により構成する第三者機関を設置し、科学的な評価や事業内容の検討、事業実績及び効果等の評価をおこなうこと。

 上記提言を迅速に実行するため、必要な予算を確保すること。

 平成25年12月13日

 群馬県議会鳥獣害対策特別委員会

 群馬県知事 大澤 正明 様


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