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現在地 ぐんまの技一番! > 高橋 明さん

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高橋 明さん

更新日:2023年8月1日 印刷ページ表示

作業風景の画像1

所在地 みなかみ町

受賞年度 平成27年
新たな工法である「たにがわ成形」(わずかな間にガラスを板状に伸ばし、金型に移して作品を作る)に優れた技能を有し、手作りガラス製品の量産化を可能にした。また、身近な食器のみならず、ガラスの持つ可能性を広げ、建築素材への利用や、芸術性の高い製品も生み出している。国際的にも高い技能を発信するなど、業界の発展に多大な貢献をするとともに、新たな工法の開発、後進技能者への技能継承に貢献している。


ガラス製品成形工 高橋  さん

ガラス製品づくりの道へ

テーブルコーディネータとのコラボ作品 「IN「印」」の画像
テーブルコーディネータとのコラボ作品「IN「印」」

高橋さんは、上越クリスタル硝子(株)に先に入社していた兄に誘われ、同社のガラス工場とギャラリー(売り場)を見学した。そのときのガラス製品のあまりの美しさに引き込まれ、16歳のときに同社に入社した。以後、ガラス製品成形工として四十余年にわたり、その道一筋に携わってきた。

「たにがわ成形」の考案

「たにがわ成形」作業風景の画像
「たにがわ成形」作業風景

ガラス製品は、息を管で吹きこみガラスをふくらませる「宙吹き(ちゅうぶき)」が基本的な工法だが、この工法では、製品を大量生産することができない。そこで、高橋さんは、宙吹きの工法と同様の手作り感のある製品を大量生産できる新たな工法を考案した。鉄板の上に、溶解炉から取り出したガラスを載せ、ガラスが加工できるわずかな間に、自作のへらを使い平らな板状に延ばす。それを別の金型に移してお皿などの製品をつくる工法である。この工法によって、手作りでありながら、同じ形、同じサイズのものを何回でも製作できるようになった。上越クリスタル硝子(株)では、この工法を、最初の製品のシリーズ名にちなんで今でも「たにがわ成形」と呼んでいる。

シャンデリアや装飾壁も製作

マンダリンホテル上海ロビー壁画の画像
マンダリンホテル上海ロビー壁画

「たにがわ成形」により、従来の手作り製品をより安価で提供できるようになったことから、高度経済成長期には、ガラス製品が家庭や飲食業界に広く浸透した。また、高橋さんは、「たにがわ成形」の応用により、シャンデリアや建築用の装飾ブロックなどのガラス製品を短期間で製作することを可能にした。高橋さんの作品は芸術性も高く、須崎御用邸をはじめ帝国ホテルなどの著名ホテル、ワシントンの日本大使館、池袋の芸術劇場などのシャンデリアや装飾壁等を製作し、高い評価を得ている。

後進の育成へ邁進

「水盤」の画像
「水盤」

これまで製造部長(総職長)として製造部全体の管理、技術開発等も行いながら、部下の技術指導を直接行ってきた。その指導方法は、不良原因を単に指摘するのみでなく、部下が自らその原因を導き出せるような助言指導を行うとともに、長年培った豊富な経験と知識、高度な技能を惜しみなく伝授し、後進技能者の指導育成に尽力してきた。また、顧客から求められる意匠の商品開発にあたっては、どうすれば思いどおりの作品ができるかを探求する姿勢は、まさに後進技能者の鏡となっている。

若手技能者に向けてのメッセージ

作業風景の画像2

「先輩職人のやっていることをよく観察して、失敗してもいいから実際に自分でやってみて、その繰り返しでその技を確実に自分のものにしていってほしい」

「昨日より今日、今日より明日。現状に満足せずに進んでいけば、より良い商品・作品ができる」

「自分一人ではこの仕事はできない。仲間との連携が大事」

フォトギャラリー

「手伸 葉大皿」作業風景の画像3石川県立音楽堂壁画

「角皿」帝国ホテルのシャンデリア「金彩角皿」