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大木 誠一さん
所在地 高崎市
受賞年度 平成25年
半導体素子検査装置の保全業務に長年従事し、半導体試験における不具合の発見・改善に優れた技能を有している。特にICテスタを使用して行われる高周波試験において、装置に使用するケーブルに係る改善を行い、試験精度の向上に大きく貢献した。
電気機械器具保守員 大木 誠一 さん
不良を外へ出さないように
「不良を外へ出さない」
「安定した測定が出来ることが外へ不良を出さないことに繋がる。」と語るルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリング(株)高崎工場で、半導体素子検査装置の保全業務に長年従事している電気機械器具保守員の大木誠一さん。大木さんは、高精度の測定精度が要求される半導体の電気的特性試験において、その培った知識・技能からICテスタ(電気的測定試験装置)の改善を行い、測定精度を大きく向上させた功績をもつ。
現代において、半導体はコンピュータや家電製品だけでなく、自動車、航空機、発電所、通信など、交通機関やインフラのような社会生活を送る上で、必要不可欠なシステムにも幅広く使用されているため、不良が発生したときの影響は計り知れない。そのため、製品の試験には高い技術と、高い精度が要求される。
県内の工業高校電気科を卒業後、入社30余年。数多くの装置の保守業務に携わり、群馬県優秀技能者表彰、創意工夫功労者表彰、今回の卓越した技能者表彰を受賞したほか、日立製作所職業訓練校 電子機器科 技術指導員、国家技能検定(電子機器組立て作業)の技能検定委員、群馬県技能照査委員として尽力し、後進指導育成に活躍し、現在も多くの優秀な人材を育てている。
自分で作ることにより勉強になる
測定器を使用しての調整
「改善は色々やってきた。」試行錯誤の繰り返しで行う改善やノウハウを他の社員や後輩達に伝えるために、技術資料を作成しているという大木さん。後進指導に積極的な大木さんは「やっている内容を他の人が見ても分かるように。」と技術資料を作成し、情報共有を行っている。
「自分で技術資料を作ることにより勉強になる。」技術資料を作成することは大変な労力を要する作業であるが、自らが学ぶことができることと、情報共有の大切さから、忙しい業務の中でも行っている。後輩達へはその姿勢と技術が模範となっている。
会社が休みでもラインは動いている
愛用のギター
趣味はパソコンと学生時代から続けるギター。「休日にはジャズフェスティバルなどに参加させていただいています。趣味もちゃんとやってます。」と笑顔で語る大木さん。気が休まるときがあるかと尋ねると「休日はなるべく業務のことは忘れるようにしています。」と言うが、会社が休みでもラインは24時間稼働しているため、休日でも出社し保守業務にあたることもあるという。
「ラインが止まってはまずい。」大木さんの責任感と技能が会社のライン稼働を支えている。
会社のため、社会のため、そして人のために尽力される大木さんの人柄、生き方は技術者に限らず、誰もが見習うべきである。そして、生活の潤滑剤であるギターの響きが大木さんの人生に磨きをかけている。
諦めなければ何とかなる
「諦めなければ何とかなる」
今までも幾度となく失敗を繰り返してきたという大木さんは「失敗を繰り返してそこから学んでいく。」と前を向く。失敗と過去の技術資料や経験を積み重ねて試行錯誤し、問題が解決したときの達成感がこの仕事の魅力であるとも言う。
「諦めなければ何とかなる。」が好きな言葉だという大木さん。後輩達にも「現代の名工」を受賞させることが今後の目標であるという。受賞できる後輩はいますかの問いに、「もちろんいます!」と力強く答えた大木さんは、これからも製品の品質を守り、改善を進め、後進指導に力を注いでいく。
若手技能者に向けてのメッセージ
「簡単にできることはない。」
「壁にぶち当たったらそこで終わりにしない何回もチャレンジする。」
「休んでも良いが、また同じことをトライすることが大事。」
「諦めなければ何とかなる。」