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群馬県における微小粒子状物質(PM2.5)の調査結果について

 大気中の微小粒子状物質(PM2.5)は、呼吸により肺の深部にまで到達し健康影響を及ぼすことが懸念されており、2009年に環境基準が定められました。微小粒子状物質は様々な化合物からなり、発生源も多岐にわたる極めて複雑な大気汚染物質です。群馬県衛生環境研究所では、微小粒子状物質の汚染実態を把握するため、当研究所の特別研究制度等により2003年度から調査研究に取り組んでいます。

微小粒子状物質濃度と化学組成

調査方法

  • 調査地点; 前橋(衛生環境研究所)
  • 採取装置; アンダーセンエアーサンプラー
  • 分級粒径; 2.1マイクロメートル以下(PM2.1(※注))
  • 採取期間; 毎月2週間(連続捕集)
  • 質量濃度算出法; 秤量法(秤量条件:温度20度、相対湿度50%)
  • 分析項目; 水溶性イオン成分、炭素成分

微小粒子状物質濃度について


表1 前橋における微小粒子状物質濃度(PM2.1(※注))平均値
 年度    PM2.1   ( マイクログラム / 立方メートル ) 
 2003 22.7
 2004 20.2
 2005 22.2

 本研究で得られた2003~2005年度の微小粒子状物質濃度の年平均値は20.2~22.7マイクログラム/立方メートルの範囲でした(表1)。環境基準を評価する標準測定方法とは異なる手法ですが、前橋では現行の環境基準を超える濃度レベルとなっていました。
 また、2009年度にも同様の手法で一年間観測を実施したところ、平均値は15.4マイクログラム/立方メートルとなっており、2005年度よりも低い値でした。

(※注) PM2.1について
 大気中に浮遊する粒子の粒径分布は、1~2マイクログラム/立方メートル付近が谷となる二山型の分布を示します。このため、PM2.1濃度とPM2.5濃度はほぼ同等の数値になると考えられます。

微小粒子状物質の成分

 2003~2005年度の3年間にわたる長期観測結果から季節別にPM2.1の平均組成を解析しました(図1)。

 その結果、大部分は硝酸アンモニウム(NH4NO3硫酸アンモニウム ((NH4)2SO4有機物で構成されており、季節によって組成比は異なることが分かりました。自動車や燃焼系発生源から排出される元素状炭素(EC)の含有率は10%程度でした。

 硝酸アンモニウム粒子は、自動車や固定発生源から排出された窒素酸化物(NOx)が大気中で変化してできた硝酸ガス(HNO3)と、人間活動や家畜などから排出されるアンモニアガス(NH3)が反応することにより生成します。

 また、硫酸アンモニウム粒子は、工場や発電所等の人為発生源や火山などから排出された二酸化硫黄(SO2)が大気中で酸化され硫酸(H2SO4)になり、これがアンモニアガス(NH3)と反応することによって生成します。

 これらのようにガス状物質から大気中での化学反応などによって二次的に生成する粒子を二次粒子といいます。

 有機粒子(有機物)には、自動車やボイラー施設などの燃焼系発生源から直接排出される一次有機粒子と、揮発性有機化合物(ガス状物質)が大気中で変化して粒子化する二次有機粒子が存在します。前橋では有機粒子についても二次粒子の割合が多いことを示す研究データ (文献2、4)が得られています。

【図1】 2003~2005年度の3年間にわたる長期観測結果から季節別にPM2.1の平均組成を解析したグラフ画像

図1 ケミカルマスクロージャーモデルによる微小粒子の季節別化学組成(出典;熊谷ら、2010(文献3)の図を改変)


群馬県におけるPM2.5汚染の特徴

 群馬県のPM2.5は二次生成による無機粒子・有機粒子の割合が大きいことが分かりました。前橋で二次粒子の割合が大きい要因の一つに、群馬県の位置が関係していると考えられます。
 関東平野では、春から夏にかけて日中に南東風が卓越するため、大気汚染物質は内陸へと輸送されます。そのため、特に夏季においては、群馬県では県内の発生源だけでなく、関東地域内での広域的な大気汚染の影響も考えていく必要があります。これは光化学オキシダントについても同様です。その一方で、近年は越境汚染の影響も懸念されていますが、影響の程度を明らかにするにはさらに詳細な解析が必要です。 

 その他、前橋における最近の観測結果では、PM2.5に含まれる特定の成分分析から、バイオマスの燃焼(野焼きなど)がPM2.5の発生源として寄与していることを示唆するデータも得られています(文献4、5)。

 当研究所では、県内のPM2.5汚染状況の把握と発生源を解明するための調査研究に取り組んでいるほか、国や近県の研究機関との共同観測に参加し、PM2.5の関東広域汚染の実態解明に取り組んでいます。

当研究所におけるPM2.5に関する主な発表論文

  1. Iijima, A., Tago, H., Kumagai, K., Kato, M., Kozawa, K., Sato, K., Furuta, N.: Regional and seasonal characteristics of emission sources of fine airborne particulate matter collected in the center and suburbs of Tokyo, Japan as determined by multielement analysis and source receptor models., J. Environ. Monit., 10, 1025–1032, 2008.
  2. Kumagai, K., Iijima, A., Tago, H., Tomioka, A., Kozawa, K., Sakamoto, K., Seasonal characteristics of water-soluble organic carbon in atmospheric particles in the inland Kanto plain, Japan. Atmospheric Environment, 43, 3345-3351, 2009.
  3. 熊谷貴美代, 田子 博, 飯島明宏, 小澤邦壽, 坂本和彦: 群馬県平野部および山岳部における微小粒子状物質の季節特性, 大気環境学会誌, 45, 10-20, 2010.
  4. Kumagai, K., Iijima, A., Shimoda, M., Saitoh, Y., Kozawa, K., Hagino, H., Sakamoto, K.: Determination of dicarboxylic acids and levoglucosan in fine particles in the Kanto plain, Japan, for source apportionment of organic aerosols. Aerosol and Air Quality Research, 10, 282-291, 2010.
  5. 熊谷貴美代, 関東内陸部における大気中炭素性エアロゾルの特性および粒子状物質汚染に関する研究, エアロゾル研究, 26, 315-320, 2011.
  6. 星野隆昌, 熊谷貴美代, 山口直哉, 齊藤由倫, 大気中微小粒子状物質汚染の実態調査, 衛生環境研究所年報, 43, 2011.

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