本文へ
表示モードの切替
印刷

令和4年度答申

件名

 介護給付費支給申請却下処分に対する審査請求

第1 審査会の結論

 処分庁高崎市長が審査請求人に対して行った児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)に基づく障害児通所給付決定の変更申請却下処分(以下「本件処分」という。)の取消しを求める審査請求(以下「本件審査請求」という。)には、理由があるので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第46条第1項の規定により処分を取り消すべきである。

第2 審査関係人の主張の要旨

(1) 審査請求人

 審査請求人の主張は、本件処分は、以下のとおり違法な処分であることから、本件処分の取消しを求める、というものである。
 ア 処分庁は、通所給付決定の変更申請却下にあたり、法に定める審査請求人又は当該子に対する面接による調査を行わず、勘案すべきとされた事項を把握せずに本件処分を行っている。
 イ 処分庁は、通所給付決定に係る公にされた審査基準を定めておらず、行政手続法(平成5年法律第88号)第5条に違反しており違法である。
 ウ 処分庁は、本件処分と同時に申請者に示すべきものとされている理由の提示を欠いたまま本件申請を却下しており、行政手続法第8条に違反しており違法である。
 エ 処分庁は、行政手続法により努めることとされている標準処理期間を定めておらず、審査請求人に審査の進行状況及び処分の時期の見通しを示していない。
 オ 本件処分により、審査請求人の子は、却下処分されていた期間について、必要な療育を受ける権利を侵害されており、この期間の侵害された権利の補償はされておらず、今後も療育を受ける権利が侵害されるおそれがある。

(2) 審査庁

 審理員意見書のとおり、本件処分を取り消すべきである。

第3 審理員意見書の要旨

 次のとおり、本件審査請求には理由があるから、本件処分は取り消されるべきである。
(1) 行政手続法第8条第1項は行政庁が申請拒否処分を行う場合は、同時に、当該処分の理由を示さなければならないこと、同条第2項は、申請拒否処分を書面でするときは当該処分の理由を書面により示さなければならない旨、規定しているが、申請拒否処分に理由を付すべきものとする趣旨は、行政庁の判断の慎重と公正妥当を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を申請者に知らせることによって、不服の申立てに便宜を与えることにあり、理由付記制度の趣旨からして、付記すべき理由は、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して申請が拒否されたかを、申請者においてその記載自体から了知しうるものでなければならず、単に申請拒否の根拠規定を示すだけでは、それによって当該規定の適用の基礎となった事実関係をも当然知りうるような場合を別として、法律の要求する理由付記として十分でないといわなければならない(なお、旅券発給拒否に関する最判昭和60年1月22日参照)。
 この点につき、本件処分の通知書には「児童福祉法施行規則第18条の10に掲げられる事項を総合的に勘案した結果、当該申請について必要性が認められないため」としか記載されていない。当該記載からは、審査請求人が、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して本件処分されたかを知ることは困難であり、かつ、この記載のみで拒否処分に至る事実関係を当然知りうるという事情もない。したがって、本件処分は処分と同時に申請者に示すべきものとされている理由の提示が不十分なままなされた処分であることから、行政手続法第8条に違法する処分として取り消すべきものである。
(2) 審査請求人は、損失補償等についても主張しているが、処分の違法性又は不当性の判断とは直接関係がない。
(3) 他に本件処分に違法又は不当な点は認められない。

第4 調査審議の経過

 当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。
 令和4年5月31日審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受
 令和4年6月30日調査・審議

第5 審査会の判断の理由

(1) 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

(2) 審査会の判断について

ア 本件における法令等の規定について

 (ア) 法第21条の5の8第1項の規定により、現に障害児通所給付費の支給を受けている保護者は、支給量等を変更する必要があるときは、居住地の市町村に申請し、障害児通所給付費を支給する旨の決定を受けなければならないとされている。
 そして、市町村は、保護者から法第21条の5の8第1項の規定による変更申請が行われたときは、同条第2項の規定により、法第21条の5の7第1項に定める障害児の介護者の状況等を勘案して、通所給付決定の変更の決定ができることとされている。
通所給付決定に係る法令の規定については、次のとおりである。
 a  法第21条の5の6第1項
 通所給付決定を受けようとする障害児の保護者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村に申請しなければならない。
 b  法第21条の5の6第2項
 市町村は、前項の申請があったときは、次条第1項に規定する通所支給要否決定を行うため、厚生労働省令で定めるところにより、当該職員をして、当該申請に係る障害児又は障害児の保護者に面接をさせ、その心身の状況、その置かれている環境その他厚生労働省令で定める事項について調査をさせるものとする。この場合において、市町村は、当該調査を障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第51条の14第1項に規定する指定一般相談支援事業者その他の厚生労働省令で定める者(中略)に委託することができる。
 c  児童福祉法施行規則(昭和23年厚生省令第11号)第18条の7法第21条の5の6第2項に規定する厚生労働省令で定める事項は、次の各号に掲げる事項とする。
 一 法第21条の5の6第1項の申請に係る障害児の介護を行う者の状況
 二 当該障害児に関する保健医療サービス又は福祉サービス等(前条第1項第3号から第5号までに掲げるものに係るものを除く。)の利用の状況
 三 当該申請に係る障害児又は障害児の保護者の障害児通所支援の利用に関する意向の具体的内容
 d  法第21条の5の7第1項
 市町村は、前条第1項の申請が行われたときは、当該申請に係る障害児の心身の状態、当該障害児の介護を行う者の状況、当該障害児及びその保護者の障害児通所支援の利用に関する意向その他の厚生労働省令で定める事項を勘案して障害児通所給付費等の支給の要否の決定(中略)を行うものとする。
 e  児童福祉法施行規則第18条の10
 法第21条の5の7第1項に規定する厚生労働省令で定める事項は、次の各号に掲げる事項とする。
 一 当該申請に係る障害児の障害の種類及び程度その他の心身の状況
 二 当該申請に係る障害児の介護を行う者の状況
 三 当該申請に係る障害児の保護者に関する障害児通所給付費の受給の状況
 四 当該申請に係る障害児の保護者に関する障害児入所給付費の受給の状況
 五 当該申請に係る障害児の保護者に関する介護給付費等の受給の状況
 六 当該申請に係る障害児に関する保健医療サービス又は福祉サービス等(前3号に掲げるものに係るものを除く。)の利用の状況
 七 当該申請に係る障害児又は障害児の保護者の障害児通所支援の利用に関する意向の具体的内容
 八 当該申請に係る障害児の置かれている環境
 九 当該申請に係る障害児通所支援の提供体制の整備の状況
 f 法第21条の5の8第1項
 通所給付決定保護者は、現に受けている通所給付決定に係る障害児通所支援の支給量その他の厚生労働省令で定める事項を変更する必要があるときは、厚生労働省令で定めるところにより、市町村に対し、当該通所給付決定の変更の申請をすることができる。
 g 法第21条の5の8第2項
 市町村は、前項の申請又は職権により、前条第1項の厚生労働省令で定める事項を勘案し、通所給付決定保護者につき、必要があると認めるときは、通所給付決定の変更の決定を行うことができる。この場合において、市町村は、当該決定に係る通所給付決定保護者に対し通所受給者証の提出を求めるものとする。
 h 法第21条の5の8第3項
第21条の5の5第2項、第21条の5の6(第1項を除く。)及び前条(第1項を除く。)の規定は、前項の通所給付決定の変更の決定について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
 i 児童福祉法施行令(昭和23年政令第74号)第25条の3法第21条の5の8第3項の規定による技術的読替えは、次の表のとおりとする。

規定による技術的読替えの一覧
法の規定中読み替える規定 読み替えられる字句 読み替える字句
第21条の5の6第2項 前項の申請があったときは、次条第1項に規定する通所支給要否決定を行うため 第21条の5の8第2項の通所給付決定の変更の決定のために必要があると認めるときは
当該申請 当該決定
(略) (略) (略)

 (イ) 申請に対する拒否処分に係る行政手続法の規定については、次のとおりである。
 a 行政手続法第8条第1項
 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。
 b 行政手続法第8条第2項
前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。

イ 本件処分の違法性の有無について

 (ア) 行政手続法第8条の規定に基づく適合性について
本件処分には行政手続法が適用され、行政手続法第8条第1項及び第2項は、行政庁が申請拒否処分を行う場合は、同時に、当該処分の理由を示さなければならないこと、申請拒否処分を書面でするときは、同時に、書面により当該処分の理由を示さなければならない旨を規定している。
 この規定は、行政庁の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を申請者に知らせて不服の申立てに便宜を与えることにあり、その趣旨からして、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して申請が拒否されたかを、申請者においてその記載自体から了知しうるものでなければならないと解されている(最判昭和60年1月22日)。
 この点につき、本件処分の通知書には、「児童福祉法施行規則第18条の10に掲げられる事項を総合的に勘案した結果、当該申請について必要性が認められないため」としか記載されていない。当該記載からは、審査請求人が、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して本件処分されたかを知ることは困難であり、かつ、この記載のみで拒否処分に至る事実関係を当然知りうるという事情もない。したがって、本件処分は処分と同時に申請者に示すべきものとされている理由の提示が不十分なままなされた処分であることから、行政手続法第8条に違法する処分として取り消すべきものである。
 (イ) 上記以外の違法性又は不当性についての検討
他に本件裁決を左右するような違法又は不当な点は見られず、審査請求人の主張する損失補償等については、処分の違法性又は不当性の判断とは直接関係がない。

 以上のとおり、本件処分は行政手続法に違反して違法であることから「第1 審査会の結論」のとおり答申する。
 なお、処分庁は、本件処分において、審査請求人からの求めがあるまで5ヶ月余にわたり却下決定通知書を通知せず、通知様式にも宛名の誤り、公印の押印漏れなどの極めて初歩的な事務処理の過誤が認められることから、関係法令及び関係通知を十分に確認し、適切な処理をすべきことを付言する。

令和4年度第1回群馬県障害者介護給付費等・障害児通所給付費等不服審査会合議体開催概要へ戻る

このページについてのお問い合わせ

健康福祉部障害政策課
〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
電話 027-226-2636
FAX 027-224-4776
E-mail shougai@pref.gunma.lg.jp
迷惑メール対策のため、メールアドレスの一部(@pref.gunma.lg.jp)を画像化しております。