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群馬県における新型コロナウイルスゲノム配列解析

 群馬県では現在、新型コロナウイルスの「懸念される変異株(Variant of Concern:VOC)」オミクロン株(B.1.1.529系統)(*注1)について、L452R変異株の陰性率が70%以上となったことから、L452R変異のPCRスクリーニング検査を終了しました。
 新型コロナウイルス感染症(変異株)について(感染症・がん疾病対策課)

 また、群馬県衛生環境研究所では、地域における感染状況の把握を目的として、国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センターの協力のもと新型コロナウイルスSARS-CoV-2の全ゲノム配列の解析を行っています。
 感染クラスターの遺伝的な特徴を把握することによって、クラスターの発生原因を推定したり、積極的疫学調査の支援にもなります。また、上記、変異株スクリーニング検査に加え、変異の状況を監視することもできるため、全ゲノム配列の解析を行い、定期的に公表します。

次世代シークエンサーによる解析

対象検体

 衛生環境研究所に、県内の医療機関、保健所、検査機関等から提出された陽性検体から適するものをピックアップして検査を行っています。
 ※十分なウイルス量があるものしか検査ができないため、全ての陽性検体を検査している訳ではありません。

結果(2022年第16週(4月18日~4月24日)まで)

時系列解析グラフ画像
新型コロナウイルス分子系統の時系列解析(県外、民間機関から国立感染症研究所に送付されたものは含まれず)
時系列解析割合グラフ画像
新型コロナウイルス分子系統の時系列解析(割合)

 これまでの、検体採取週における系統の時系列チャートでは、2021年第6週目(2月8日~14日)までは、国内主流2系統(*注2)といわれているB.1.1.284とB.1.1.214が多く検出されていました。
 しかし、2021年第5週目(2月1日~7日)以降は、Spikeタンパク質にE484K変異を有するR.1(以前は B.1.1.316 に分類されていた(*注3))の検出が目立つようになりました。
 また、感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念されるVOC (*注4)であるN501Y変異株(いわゆるアルファ株, B.1.1.7)が2021年第13週(3月29日~4月4日)以降多く検出されました。2021年第19週(5月10日~16日)にL452R、D614G、P681R変異を有するAY.1およびB.1.617.2(いわゆるデルタ株(*注5))が検出され、更に2021年第26週(6月28日~7月4日)に国内で多く見られるデルタ株であるAY.29が検出以降、急激な感染拡大となりました。
 県内でも2021年第50週(12月13~19日)にオミクロン株であるBA.1が検出され、2022年第1週(1月3日~9日)以降、BA.1系統(BA.1.1を含む)(*注1)が主な流行となっています。また2022年第9週(2月28日~3月6日)以降、BA.2の検出が増加しているので、引き続きゲノム解析による流行の把握が重要と思われます。

参考

  1. SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)について(第8報)(国立感染症研究所:外部リンク)
  2. 新型コロナウイルスSARS-CoV-2ゲノム情報による分子疫学調査(2021年1月14日現在), 病原微生物検出情報, (速報掲載日 2021/1/29)(国立感染症研究所:外部リンク)
  3. 新型コロナウイルスSARS-CoV-2 Spikeタンパク質 E484K変異を有するB.1.1.316系統の国内流入(2021年2月2日現在(国立感染症研究所:外部リンク)
  4. 感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について (第7報) (国立感染症研究所:外部リンク)
  5. 感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について (第9報)(国立感染症研究所:外部リンク)

全国の状況 

ゲノム配列解析とは

 すべての生物は特有の設計図を持っています。この設計図はDNAやRNA分子から出来ており、このDNAやRNAにおける塩基の並び方を確定し、元の生物の特徴を調べることをゲノム配列解析と言います。
 人では、遺伝病やがんの診断、生活習慣病や肥満などへのなりやすさの予測などにも用いられています。新型コロナウイルスは一本鎖のRNAからできており、ゲノムの大きさが小さいため構成するすべてのRNAを確認することが可能です。
 新型コロナウイルスでは、すべてのゲノム情報を確認し、ウイルスに蓄積された変異を追跡することにより、ウイルスの伝播状況についての推定が可能となります。

次世代シークエンサーとは

 RNAにおける塩基の配列を確認するためには、塩基に目印となる試薬をつけ、それを測定して配列を決定します。
従来のシークエンサーは、PCR法によって増幅した遺伝子の一部分の配列しか決定できないので、解析に有用な配列が分かっている場合には有効な解析方法です。
 一方、次世代シークエンサーでは、網羅的に遺伝子配列を決定出来るので、一度に多くの遺伝子配列を調べることができます。

変異とは

 変異とは、生物やウイルスの遺伝子情報が変化することです。
 一般的に、ウイルスは流行していく中で少しずつ変異をおこしていきます。この変異したウイルスが変異株です。変異が起こると感染しやすくなるなどの性質の変化をおこす場合があります。
 新型コロナウイルスについても、約2週間に1箇所程度の速度で変異していると考えられています。
 とくに、N501Yの変異は、従来株よりも、感染しやすい可能性があります。英国で確認された変異株については、重症化しやすい可能性が指摘されています。また、E484Kの変異は、従来株よりも、免疫を逃避したり、ワクチンの効果を低下させる可能性が指摘されています。L452Rの変異は、感染性の増加の可能性が示唆されています。
 個人の基本的な感染症予防策としては、変異株であっても、従来と同様に密の回避、会話時のマスク着用、手洗いなどの徹底が推奨されています。

このページについてのお問い合わせ

衛生環境研究所
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