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【平成25年4月23日付け】金井東裏遺跡に関する報道提供資料

平成24年度金井東裏遺跡出土甲(よろい)着装人骨等の詳細調査結果について

1 詳細調査の概要

(1)経過

 金井東裏(かないひがしうら)遺跡出土の甲着装人骨等は、平成24年12月14日に群馬県埋蔵文化財調査センター保存処理作業室に搬入され、平成25年2月23日の第1回金井東裏遺跡出土甲着装人骨等調査検討委員会の検討に基づき、甲着装人骨(1号人骨・1号甲)の調査、2号甲のCTスキャンなどの調査を行いました。

(2)事業名

 金井東裏遺跡出土甲着装人骨等調査事業委託

(3)事業主体

 群馬県教育委員会

(4)調査担当

 公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団

(5)調査期間

 平成25年2月1日から平成25年3月29日まで

2 内容

  • (1) 九州大学大学院の田中良之教授を中心として、甲着装人骨の詳細調査を2回行いました。この調査により、甲の外に出ている部分のほぼ全身の骨を検出し、右上腕骨と左右大腿骨を除く四肢骨の取り上げを終了しました。
  • (2) 両腕の骨を取り上げたところ、頭部の両側の下部に鉄錆状の変色部が観察できたことから、下に鉄製品がある可能性が高まりました。
  • (3) 甲着装人骨の詳細調査の進捗に合わせて三次元計測により、立体の情報を記録しました。
  • (4) 甲内部の空間については、直接、写真撮影と観察ができたことから、ファイバースコープによる調査は行いませんでした。写真撮影の結果、小札(こざね)の重なりとその小札を綴じ合わせたヒモが良好に残されていることがわかりました。
  • (5) 2号甲のCTスキャンを実施しました。その結果、当該甲は巻いた状態の小札甲(こざねよろい)であること、及びその詳細な構造が明らかになりました。また、甲の内部に鉄とは違った素材の遺物があることが判明しました。

3 要点

  • (1) 甲着装人骨の埋もれた姿勢をほぼ捉えることができ、その身長は大腿骨の長さから163センチメートルの男性であると推定されました。また、頭の下に鉄製品がある可能性と、甲の内部に脊椎(せきつい)などの骨が良好な状態で残されている可能性があることがわかりました。
  • (2) 1号甲内部の観察により、甲構造が良く残されていることが判明しました。
  • (3) 2号甲のCTスキャンにより、小札甲の詳細な構造が明らかになったことから、1号甲についてもCTスキャンによって、多くの情報が得られる可能性が高まりました。

【補足説明資料】

1 経過

(1)平成24年9月1日(土)

 金井東裏遺跡の発掘調査開始

(2)平成24年11月19日(月)

 甲着装人骨の確認

(3)平成24年11月29日(木)~12月1日(土)

 現地における甲着装人骨の調査

(4)平成24年12月10日(月)

 記者発表(金井東裏遺跡にて)

(5)平成24年12月12日(水)

 一般公開…来場者2,635名

(6)平成24年12月13日(木)~12月14日(金)

 甲着装人骨等取り上げ及び保存処理作業室搬入

(7)平成25年2月23日(土)

 第1回甲着装人骨等調査検討委員会

(8)平成25年2月24日(日)~2月26日(火)

 甲着装人骨第1回詳細調査(九州大学大学院 田中良之教授)

(9)平成25年3月1日(金)

 2号甲CTスキャン

(10)平成25年3月3日(日)~3月8日(金)

 一般公開…来場者8,306名

(11)平成25年3月11日(月)~3月13日(水)

 甲着装人骨第2回詳細調査

2 甲着装人骨第2回詳細調査の概要

(1)実施期間

 平成25年3月11日(月)~平成25年3月13日(水)

(2)実施内容

 甲着装人骨の両手、両足及び頭部付近の残存状況を見るために、堆積土(Hr-FA)を掘り下げて骨の検出と観察を行いました。骨の検出状況を記録後、手足の骨の一部を取り上げました。

(3)調査結果

ア 頭部付近

 頭部周辺の堆積土を除去したところ、顔の下側に鉄製品の存在を示すような錆状の変色部分が確認されました。

イ 腕

 第1回詳細調査で、両腕は上腕骨(じょうわんこつ)、橈骨(とうこつ)及び尺骨(しゃっこつ)並びに手根骨(しゅこんこつ)から指骨(しこつ)の一部までが明らかになっていました。
 今回の第2回詳細調査では、左腕は、上腕骨を取り上げた結果、奥に肩甲骨(けんこうこつ)が残存することが確認されました。また、下部に甲の前側と考えられる錆が確認されました。手の指骨は第1回詳細調査で親指・人差し指・中指の三指の痕跡が検出されていましたが、今回その下位から残りの二指の痕跡が検出されました。
 右腕は、今回の調査で、上腕骨以外の骨を取り上げました。上腕骨は甲の中に延びていることから甲を外した後に取り上げることとなりました。

ウ 足

 両足とも大腿骨(だいたいこつ)から中足骨(ちゅうそくこつ)まで検出されました。そして、踵骨(しょうこつ)及び中足骨の範囲には、肉体情報または履物の痕跡と考えられる変色した部分が周囲の土に観察されました。
 左足は、脛骨(けいこつ)及び腓骨(ひこつ)並びに踵骨及び中足骨を取り上げました。大腿骨はほぼ完全な状態で残存していることが確認され、その大腿骨の関節から関節までの長さが43.3センチメートルでした。これを基に導き出される推定身長は163センチメートルと考えられます。
 右足は、脛骨及び腓骨、踵骨及び中足骨並びに大腿骨上半部を取り上げました。
 寛骨(かんこつ)及び仙骨(せんこつ)を取り上げたところ、腰椎(ようつい)部が残存していることが確認されました。

エ 姿勢

 第1回詳細調査で、顔を下にし、両手は肘を曲げ手の平を下に向けて顔の横に置き、両足は膝をついてやや左に傾くような姿勢で倒れていることが確認されていました。今回の第2回詳細調査では、踵骨の先に中足骨が検出され、両足は爪先立ちのような姿勢であったことが確認されました。

3 1号甲内面観察について

 1号甲内部の状況は、甲下側に開いた部分からファイバースコープで内面の状況を観察する予定でしたが、1号人骨の詳細調査の進捗にしたがって、甲内面が直接に観察できるようになりました。そのため、カメラで直接写真撮影し観察を行いました。その結果、小札が重なっている様子とそれを綴ったヒモ(革や繊維かは不明)の様子がわかりました。

4 2号甲CTスキャン撮影の概要

(1)実施日

 平成25年3月1日(金)

(2)実施内容
  • ア 株式会社日立製作所(茨城県)に2号甲を搬入し、CTスキャン撮影を実施しました。
  • イ 2号甲を1ミリメートル間隔でスキャンし、その撮影枚数は600枚以上に上ります。
  • ウ 2号甲の状態を立体的に見られるように画像処理を行いました。
(3)調査結果
  • ア 2号甲は小札甲であり、甲の左前側を巻いた状態で埋もれており、ほぼ一領分が残存しています。
  • イ 鉄の残存状態は悪く、ほとんど錆になっているものと考えられます。鉄の標本と比較し密度が低く、その内部に筋状に非常に密度が低い部分があり、地金部分はほとんど空洞化している可能性があります。
  • ウ 錆てはいますが、甲の形そのものは維持しており、その形態は十分に判読できます。
  • エ 小札は、腰札(こしざね)より上位に7段、腰札1段をはさみ、草摺(くさずり)部分に5段が数えられます。腰札と草摺最下段の小札は中程が内側に湾曲する小札を使用しています。
  • オ 各段の小札の重ね合わせ方は段により異なり、左から右に重ねる段と右から左に重ねる段が認められます。
  • カ 各小札を綴じるヒモ等は残存しているかどうかは今回の撮影では不明です。ただし、綴じ方については、今後、錆の膨らみ方等を詳細に検討することで判読できる可能性があります。また、画像からは甲の内部に鉄とは異なった素材の遺物が存在することが明らかになりました。
  • キ 2号甲のCTスキャンにより、小札甲の詳細な構造が明らかになったことから、1号甲についてもCTスキャンによって、多くの情報が得られる可能性が高まりました。

5 今後の予定

  • (1) 甲着装人骨については、甲内部の調査、及び頭部と甲のCTスキャンなどを行う予定です。
  • (2) 取り上げた骨は、乾燥させ九州大学へ搬送し、形質人類学的な調査を進める予定です。

6 問い合わせ

 公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団
 電話 0279-52-2511

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