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クロピラリド関連情報
クロピラリドによる生育障害
クロピラリドは、米国、豪州、カナダ等で粗飼料や飼料穀類の生産に使用されている除草剤で、家畜や人に対する毒性は低く、健康に影響を及ぼす心配はありませんが、トマト、ナス、大豆、スイートピー、マメ科牧草などは耐性が弱いとされるため、これらの作物に対し、輸入飼料を給与した家畜の排せつ物由来の堆肥を使用した場合、生育障害を起こす可能性がありますので注意が必要です。
畜産農家の皆様へ
輸入飼料を給与した牛に由来する堆肥を販売・譲渡・施用する際にはご留意ください!
- 海外で使用された農薬の成分(クロピラリド)が含まれた輸入飼料が家畜に給与された場合、堆肥を通じて、園芸作物やマメ科牧草等の生育に障害を起こす可能性があります。
参考
- クロピラリドは、広葉雑草(クローバーなど)を枯らす除草剤の成分で、我が国が粗飼料や飼料穀類の多くを輸入している米国、豪州、カナダ等の各国で使用されています(我が国では申請がなく農薬登録されていません)。
- クロピラリドは、家畜の体内から速やかに排出され、家畜や人に対する毒性が低いため、飼料に含まれていても、家畜や人の健康に影響を及ぼす心配はありません。
- クロピラリドに対する感受性は、作物や品種により大きく異なります。イネ科作物は耐性があるため、通常の施用量では稲、麦、とうもろこしやイネ科牧草の生産に障害を引き起こす心配はありません。
これまでの生育障害の発生状況
これまで、主に牛の排せつ物に由来する堆肥(一部、馬の排せつ物に由来する堆肥)を施用した育苗中のポット栽培や施設栽培において、生育障害が生じています。
農林水産省の調査では、牛、馬、豚及び鶏の排せつ物に由来する堆肥でクロピラリドが検出されています。
生育障害が生じやすい作物(耐性の弱い作物)
クロピラリド耐性の弱い作物は、ナス科、マメ科、キク科で、次のようなものです。
- 特に弱いもの
(例)トマト類、大豆、えだまめ、さやえんどう、そらまめ、ニンジン、キク、ヒマワリ、コスモス、アスター、ケイトウ - 弱いもの
(例)ピーマン、ナス、さやいんげん、ガーベラ、しゅんぎく、ふき、ひゃくにちそう、セロリ
園芸農家等へは、これらの作物を栽培する際に、次のような対策を指導しています。
- ポットで栽培する場合は、家畜由来堆肥の利用を控える
- 施設で栽培する場合は、家畜由来堆肥の投入量を低減し、土壌とよく混和する
園芸作物等の生育障害の発生を防止するために
牛又は馬の排せつ物に由来する堆肥(排せつ物含む)を販売・譲渡する場合
提供先と次の情報を共有しましょう
クロピラリドに関する情報
輸入飼料を給与した牛又は馬の排せつ物に由来する堆肥には、クロピラリドが含まれている可能性があるため、堆肥の施用に当たっては作物の種類や施用量に留意する必要がある
※平成28~29年度の実態調査において、輸入粗飼料のみならず穀類やその加工穀類(小麦ふすま、大麦ぬか)にもクロピラリドが含まれていることが認められました。
堆肥の原料に関する情報
- 家畜の種類(牛、馬)
- 家畜の用途(乳用牛、肥育牛、肥育馬 等)
※ 平成28~29年度の実態調査において、肥育牛の排せつ物に由来する堆肥は、他の畜種に比べてクロピラリド濃度が高い傾向が認められました。
給与飼料に関する情報
「新たに輸入飼料を給与し始めた」
「輸入飼料の購入先を切り替えた」等
※ 給与飼料の変更に伴って、クロピラリドが含まれている可能性が変化し得ます。
生物検定を実施した場合は、その結果を伝達しましょう
クロピラリド耐性の弱いサヤエンドウなどを用いた試験栽培(生物検定)を行った場合は、その結果を伝達しましょう。
マメ科牧草の生産に堆肥等を施用する場合
生物検定等によって生育障害が出ないことについての確認や、堆肥製造時の活性炭の混合等の被害軽減対策を実施した上で施用しましょう。
生物検定の方法
堆肥中に含まれるクロピラリドにより、作物の生育障害を引き起こすか否かを確認するために、生物検定を実施してください。
※生物検定の方法はチラシをご参照ください。