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「公共施設のあり方に関する最終報告書」について

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

 群馬県公共施設のあり方検討委員会において、平成21年10月23日に最終報告書が取りまとめられ、11月13日に知事に答申されました。

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資料編

公共施設のあり方に関する最終報告書 本文

1 群馬県公共施設のあり方検討委員会について

1 委員会の目的

 平成20年3月に設置された「群馬県公共施設のあり方検討委員会」は、現在の厳しい財政状況を踏まえ、限られた資源を有効に活用するため、県民の視点で、公共施設の必要性を含めて、そのあり方について検討し、見直しを行うことを目的としている。

2 委員会の役割

 知事からの諮問を受けた公共施設のあり方について、その必要性、民間委託等の運営方法、負担軽減の措置などを検討し、知事へ答申を行う。

 具体的には、公共施設の必要性等について検討し、次のような方向性を示す。

  • 廃止、統合、市町村移管、民間移管、存続(業務の拡大・縮小)
  • 指定管理者制度、地方独立行政法人制度の導入
  • 運営方法の効率化
  • その他

3 委員会の組織等

 県政について見識を有する各分野の民間委員15人で構成する(委員の任期は2年)。

委員会の組織等一覧
氏名 職業等 適要

岩井 均

群馬県議会議員

平成21年2月13日就任

大西 章雄

(社)群馬県技能士会連合会長、(株)大西ライト工業所取締役相談役

 

小野里 光敏

群馬県議会議員

平成21年6月4日就任

木村 滋洸

群馬県小中学校PTA連合会顧問

 

黒沢 孝行

群馬県議会議員

 

鴻上 まつよ

中小企業診断士

 

小竹 裕人

群馬大学社会情報学部准教授

副委員長

小林  哲

群馬銀行法人部長

平成21年7月1日就任

鈴木 庄亮

NPO法人国際エコヘルス研究会理事長

 

中村 京子

全国地域活動連絡協議会会長、ぐんま地域活動連絡協議会会長

 

林 章

日本公認会計士協会東京会群馬県会副会長、公認会計士

 

林 時江

(社)群馬建築士会女性委員会副委員長

 

牟田 洋一

群馬県教育委員会委員

 

茂木 一之

高崎経済大学経済学部教授

委員長

森村 孝利

群馬県信用農業協同組合連合会代表理事理事長

 

(50音順)

※退任委員(5人)

  • 尾崎益雄委員(前橋工科大学工学部教授)就任期間平成20年3月21日から平成20年10月30日
  • 真下誠治委員(県議会議員)就任期間平成20年3月21日から平成20年10月30日
  • 松本耕司委員(県議会議員)就任期間平成20年3月21日から平成20年10月30日
  • 金子浩隆委員(県議会議員)就任期間平成21年2月13日から平成21年5月27日
  • 堀江信之委員(群馬銀行元法人部長)就任期間平成20年3月21日から平成21年6月27日

4 検討対象施設等

(1)対象となる施設 68施設
  1. 県が設置した直営の公共施設 24施設
  2. 県が設置した指定管理者制度を導入している公共施設 44施設
(2)検討対象施設
  1. 検討を進めるに当たっての基本的考え方
     直営施設のうち、施設の性格やサービス内容、利用形態などから、民間の参入が見込まれると思われる施設や県の経費負担の多い施設から、委員会で14施設を抽出した。このうち、6施設については平成20年10月の中間報告書までに、審議の上、結論を得た。
     また、指定管理者導入施設のうち、知事から諮問がなされた水産学習館について、第12回委員会において検討対象として追加した。
  2. 検討対象とした施設
     15施設((※注1)は、最終報告書で対象とした9施設)
検討対象とした施設一覧
名称 内容 所管課
旧知事公舎 旧知事公舎

管財課

近代美術館

美術館

文化振興課

歴史博物館(※注1)

博物館

土屋文明記念文学館(※注1)

文学館

自然史博物館(※注1)

博物館

館林美術館

美術館

高齢者介護総合センター

高齢者介護施設

介護高齢課

精神障害者援護寮(※注1)

社会復帰訓練施設

障害政策課

水産学習館(※注1)

内水面漁業振興学習館

蚕糸園芸課

北毛青年の家(※注1)

青少年宿泊体験等施設

生涯学習課

妙義少年自然の家(※注1)

青少年宿泊体験等施設

東毛少年自然の家(※注1)

青少年宿泊体験等施設

生涯学習センター(※注1)

生涯学習施設

ぐんま天文台

天文台

ぐんま昆虫の森

昆虫館

5 委員会開催状況と検討内容等

委員会開催状況と検討内容
開催日 会場

検討内容等

第1回

平成20年3月21日

県庁

旧知事公舎

  • 群馬県の公共施設の現状について
  • 見直しに当たっての基本的な考え方について
  • 今後の進め方について
  • 旧知事公舎の現地調査

第2回

平成20年4月24日

県庁

  • 今後の進め方について
  • 旧知事公舎について

第3回

平成20年5月22日

ぐんま昆虫の森

高齢者介護総合センター

ぐんま昆虫の森及び高齢者介護総合センターの現地調査

第4回

平成20年6月20日

ぐんま天文台

ぐんま天文台の現地調査

第5回

平成20年7月30日

館林美術館

  • 館林美術館の現地調査
  • 検討課題(案)について

第6回

平成20年9月19日

県庁

「中間報告書(案)」について

第7回

平成20年10月17日

県庁

「中間報告書」について決定

→平成20年10月30日委員長から知事へ答申

第8回

平成21年2月13日

土屋文明記念文学館

  • 土屋文明記念文学館の現地調査
  • 中間報告への対応状況の報告

第9回

平成21年3月19日

生涯学習センター

  • 生涯学習センターの現地調査
  • 精神障害者援護寮「はばたき」について

第10回

平成21年4月23日

自然史博物館

自然史博物館の現地調査

第11回

平成21年5月21日

東毛少年自然の家

東毛少年自然の家の現地調査

第12回

平成21年6月18日

水産学習館及び館林合庁

水産学習館の現地調査

第13回

平成21年7月17日

歴史博物館

  • 歴史博物館の現地調査
  • 水産学習館のあり方について

第14回

平成21年7月31日

県庁

  • 水産学習館のあり方について
  • 最終報告書対象施設のあり方について

第15回

平成21年9月10日

県庁

「最終報告書(案)」について

第16回

平成21年10月23日 県庁

「最終報告書」について決定

6 検討の経過等

(1)設置~中間報告書決定まで(第1回~第7回)
  • 第1回委員会では、事務局から審議対象となる68施設の収支状況等の説明が行われるとともに、見直しに当たっての基本的な考え方が提示され、了承。また、委員会終了後に旧知事公舎の現地調査を実施。
  • 第2回委員会では、本年10月中を目途に中間報告書を取りまとめることとし、中間報告書取りまとめまでに優先的に審議する施設を絞り込むなど、今後の進め方等について決定。また、旧知事公舎の取扱いについて、委員会として「建物については解体することもやむを得ない」との意見集約を行い、出席委員全員により了承。
  • 第3回から第5回までの委員会では、ぐんま昆虫の森、高齢者介護総合センター、ぐんま天文台、館林美術館の現地調査をそれぞれ実施。
  • 第5回委員会では、館林美術館の現地調査終了後、10月の中間報告書取りまとめに向けて、旧知事公舎を除く検討対象5施設(近代美術館、館林美術館、高齢者介護総合センター、ぐんま天文台、ぐんま昆虫の森)の検討課題(案)について審議。
  • 検討対象5施設の検討課題(案)について、文書で委員に意見照会を実施。
  • 第6回委員会では、中間報告書の原案について審議。
  • 第7回委員会では、中間報告書(案)について審議し、中間報告書として取りまとめることを決定。
(2)中間報告書答申後~最終報告書決定まで(第8回~第16回)
  • 第8回委員会では、土屋文明記念文学館の現地調査を実施。調査終了後、中間報告書対象施設所管課長から、中間報告書への対応状況を委員へ報告。
  • 第9回委員会では、生涯学習センターの現地調査を実施。調査終了後、精神障害者援護寮「はばたき」について、所管課長から「指定管理者制度を導入することとし、平成22年4月からの導入を目指し今後準備を進めたい」旨、委員へ説明。この方針について、「サービス水準を下げないこと及びこれまで培ってきたノウハウを伝承できる仕組みについて十分検討すること」を条件に、出席委員全員により了承。
  • 第10回委員会及び第11回委員会では自然史博物館及び東毛少年自然の家の現地調査を実施。なお、第11回委員会では、東毛少年自然の家所長の他、北毛青年の家所長及び妙義少年自然の家所長からそれぞれの施設の状況等について説明。
  • 第12回委員会では、県議会において附帯決議(※注2)がなされた水産学習館について、知事の諮問を受け検討対象施設に追加し、現地調査を実施。

(※注2)県議会平成21年2月定例会環境農林常任委員会において、水産学習館の指定管理者の指定の議案に対し、「公共施設のあり方検討委員会等において、必要性を含めて今後のあり方について検討すること。」と附帯決議された。

  • 第13回委員会では、歴史博物館の現地調査を実施。調査終了後、水産学習館のあり方について審議。
  • 第14回委員会では、「水産学習館のあり方検討結果(案)」について審議。一部修文について委員長に一任され、出席委員全員により了承。また、10月の最終報告書取りまとめに向けて、最終報告書対象施設(歴史博物館、土屋文明記念文学館、自然史博物館、北毛青年の家・妙義少年自然の家・東毛少年自然の家、生涯学習センターの7施設。既に結論を得ている精神障害者援護寮及び水産学習館を除く。)のあり方について審議。
  • 第14回委員会で提示した最終報告書対象施設の検討課題(案)について文書で委員に意見照会を実施。
  • 第15回委員会では、最終報告書の原案について審議。
  • 第16回委員会では、最終報告書(案)について審議し、最終報告書として取りまとめることを決定。

2 施設のあり方の検討結果

1 はじめに

 当委員会に諮問された対象施設は、建設に当たって、県として、相当な計画検討を行った上で建設されたものであると考えられるが、その後、わが国の経済社会の状況が大きく変わり、行政の役割も大幅に見直さざるを得ない状況になっている。

 対象施設の中には、建設前の検討であれば賛成しかねる施設もあるが、多額の経費を投じて建設され、現に利用され、一定の成果を上げている施設であり、新たに建設する場合のような白紙からの議論というわけにはいかなかった。

 施設建設のために既に投じてある資源を無駄にすることは許されず、廃止や譲渡が困難な施設については、施設自体は当面存続させ、管理運営上の徹底した見直しと利用者増加の積極的な努力を強く求めるものである。

 現在のこの厳しい財政状況は、いわゆる三位一体の改革など国の政策による面もあり、施設の計画段階から予測することは極めて難しかったといえる。しかし、これまでの県のいわゆるハコモノ政策の結果として、多くの施設の管理運営に苦慮する事態を招いていることを、県として正しく受け止め、今後の県政運営に生かしていかなければならない。

 県は、今後こうした施設の建設に当たっては、将来の県民ニーズや管理運営費の負担等をしっかり見通し、県としての役割やその財政的な基盤からも、県にとってふさわしいものとなるよう、今まで以上に広範な観点から丁寧な検討を行うべきである。

2 中間報告書答申後の県の取組について

 当委員会では、検討結果を平成21年度当初予算編成に反映させてもらうため、6施設について審議を先行し、昨年10月に中間報告書を取りまとめ、知事に答申した。県においては、中間報告書を尊重し、提言を踏まえて、施設のあり方や運営方法等についての検討を当初予算編成過程等を通じて行い、平成21年度から具体的な改善や見直しに取り組んでいただいている。

 この数ヶ月間の取組状況や利用状況等の報告を受け、また各委員が自ら見聞きする範囲ではあるが、各施設の積極的な努力の跡が見られるところであり、利用者も増えてきている傾向にある。地元市町村との意思疎通を図る仕組みを設けたり、特に、現場職員の意識が変わってきたとの話を聞いている。

 継続となった施設においては、3~4年間の計画や目標を設定して、取り組んでいただいているが、今後、取組状況をよく検証しながら、状況に応じて計画等を見直すなど、柔軟な対応が必要である。

 県民のために施設の有効活用を図るべく、これまでの慣例に固執することなく、管理運営の徹底した見直しと利用者増加の積極的な努力を引き続き求めるものである。

 なお、最終報告書の対象9施設についても同様である。

3 施設の今後のあり方について

全施設共通

1 現状

 当委員会に示された公共施設は68施設であり、このうち県直営が24施設、指定管理者制度導入が44施設である。

 68施設のうち、入園料などの施設使用料等の収入から管理運営のための直接的な経費を差し引いた収支がマイナスの施設が61施設ある。

 県の財政状況が厳しくなり、各施設の管理運営に投ずることのできる予算が年々抑制され、各施設は総じて厳しい運営を強いられている。様々な工夫や改善努力も行われているが、中には本来想定していた事業や役割の休止・縮小を余儀なくされている施設もある。

2 施設の今後のあり方
(1)施設の必要性について
  1. 現在提供しているサービスが民間施設で供給できるものや、施設としての役割を終えたものなど、県立施設として運営する必要性の低い施設は、廃止や民間等への移管・譲渡を検討する必要がある。
  2. 各施設は、その設置目的を果たすため必要な経費を確保する必要があり、その意味からも、継続的な予算措置が可能な、群馬県として身の丈にあったものとなるよう工夫すべきである。なお、県民ニーズ、社会的ニーズ等を踏まえ、施設の設置目的も含め、その内容を適時適切に見直していく必要がある。
(2)管理運営方法について
  1. 県立施設は、広く県民に活用されてはじめて施設としての目的を達成したことになり、また、利用者数は施設についての県民の評価でもある。その実績を見ると、各施設とも開設当時と比べると利用者が減少傾向にあることから、現状に満足することなく、利用者の視点に立って運営を見直し、今まで以上に、利用者を増加させるための取組を行うべきである。
  2. 施設の展示内容や利用方法等について、例えば「ものづくり」の観点から群馬県らしさを出すなど、県立施設としての存在価値を高め、県民に役立つ工夫に努めるとともに、広報・PRについても、これまでの方法にこだわることなく、より一層、工夫していく必要がある。
  3. これまでも利用者アンケート等を実施して、利用者の意見を聞いているが、さらに積極的に、広く県民の声を聞き、施設の運営に生かしていく必要がある。また、同時に、各施設の利用状況や収支状況など、施設の現状について、積極的に情報公開していく必要がある。
  4. 県立施設は、地元市町村や地域に開かれた施設であることが不可欠であり、運営に当たって地域住民やボランティア等との連携・協力をさらに進めるとともに、地元市町村や地域住民等の意見を聞き、その意見を反映する仕組みについて検討する必要がある。
  5. 県立の教育施設については、学校利用促進のため、県及び市町村教育委員会と十分連携し、学校教育の一部として利用する仕組みづくりについて検討する必要がある。
  6. 施設の管理運営費は、毎年度一定額を必要とするものであるから、厳しい財政状況を踏まえ、効率的かつ効果的な管理運営に取り組み、施設全体としての経費削減について、しっかりと検討する必要がある。
  7. 行の料金体系の見直しを検討するとともに、政策的に無料化する場合でも、その利用を当該施設の収入として実績計上するなどの取扱いの工夫も必要である。
(3)管理運営主体について
  1. 県立施設として必要な施設については、その管理運営に、民間ノウハウを取り入れるため、他の同様な施設の事例をよく検証し、部分的な形を含め、その施設の特性にあった指定管理者制度の導入についても、検討すべきである。
  2. 公共施設として提供すべきサービスであっても、県立施設として運営する必要性の低い施設は、市町村との役割分担の観点から、将来的な譲渡を含めて、施設の有効活用について、地元市町村と協議する必要がある。
(4)今後の取組の検証・評価

 報告書において、存続することとした施設については、県として、これまでの運営にとらわれることなく、運営の見直しに真剣に取り組むことを求めるものである。

 今後の改善等の取組は、一定の年限を区切って、目標を設定して行うものとし、その取組結果の検証・評価を行うべきである。

 また、検証・評価に当たっては、専門家や関係者だけではなく、第三者的な立場にある有識者や利用者などで構成する外部の組織を部局横断的に設置して、チェックする手法についても検討すべきである。本委員会として、県民の声を反映できるような、外部の構成員による組織の設置を強く求めたい。

歴史博物館
1 現状

 歴史博物館は、群馬県の歴史の変遷と発展に関する資料を収集・保管・展示し、県民の利用に供することを通じて、県民の教養を高め、かつ群馬県の歴史と文化を調査・研究・学習するあらゆる人のために資する様々な事業を行うことで、本県の教育、学術及び文化の発展に寄与することを目的としている。昭和54年10月に設置された社会教育施設であり、今年で開館から30周年を迎えたところである。常設展・企画展・特別展示等の展示と小学生を中心とする子供たちに対する体験学習を2本柱、車の両輪として実施している。

 本施設は、県立都市公園「群馬の森」内に位置し、県立近代美術館と隣接しており、公園全体として、本県を代表する文化・芸術エリアを形成するとともに、広く県民の憩いの場となっている。

 年間入館者数は約9万人で、うち観覧者が約6万人、教育普及事業参加者が約3万人(平成19年度)となっており、平成21年7月には累計観覧者数が400万人を、教育普及事業参加者も含めた累計入館者数は435万人を突破した。

2 施設の今後のあり方

(1)施設の必要性について

 歴史博物館は、本県の歴史文化に係る研究・社会教育の中心施設として、数多くの県民に利用されており、その設置目的は、今日においても失われておらず、教育的効果も高い施設と考える。本施設の今後のあり方としては、継続とすべきである。

 歴史学習の場として、県内の約半数の小学校に利用されるとともに、多くの県外の小学校にも利用されている。また、観覧だけでなく、体験学習にも力を入れており、学校教育の支援や親子への歴史学習の場としても、多くの参加者を集めている。

 なお、県内博物館の拠点として、83の博物館が加盟する群馬県博物館連絡協議会の取りまとめ役を担っていることから、引き続き県内における連携を強化するとともに、県外博物館との幅広い連携についても、検討していく必要がある。

(2)管理運営方法について

  1. 開館以来、常設展示室の基本レイアウトを変えておらず、観覧者の増加を図る観点から、展示内容や展示方法について見直す必要がある。特に、小学生の利用が多い施設であることから、子供たちから見やすくするなど、関心を高めるような工夫に努められたい。
  2. 学校利用について、職員が学校現場に積極的に出て行くなど、教育普及の充実により一層努められたい。
  3. 多くのボランティアを活用しているが、より観覧者の理解を深め、関心を高めるため、展示の解説にも対応できるようなボランティアの養成について検討する必要がある。
  4. 歴史博物館と近代美術館は生活文化部、群馬の森は県土整備部と、県の内部で所管部署・管理方法が分かれているが、管理運営経費の節減や、住民サービスの向上を図るため、施設相互の連携方法等について検討する必要がある。

(3)管理運営主体について

 県直営による管理運営が適当であると考えるが、民間のノウハウを活用する観点から、指定管理者制度について、他県での導入、活用状況など、情報収集に努められたい。

土屋文明記念文学館
1 現状

 土屋文明記念文学館は、土屋文明の業績を記念し、文学に関する県民の理解を深め、もって教育、学術及び文化の発展に寄与することを目的に平成8年7月に設置された社会教育施設である。土屋文明に限らず、群馬県出身または群馬県ゆかりの文学者に関する文学資料を収集・保存、調査・研究し、その成果を開示・公表するとともに文学に関する教育・普及活動を行っている。文学資料の収集状況は、約16万点に上り、土屋文明を中心とする常設展示や様々な文学に関する企画展、特別展を開催している。また、文学館外の活動として、巡回展示や出張展示、貸出展示などを行うとともに、文学に関する様々な講座を開催するなど、普及活動にも取り組んでいる。

 入館者数は、平成8年度の開館時約3万7千人あり、平成10年度に約4万1千人となりピークを迎え、その後徐々に減少し、平成19年度は約1万9千人で、うち観覧者とその他利用(講演会、学習会、各種団体の研修会等)が約半分ずつとなっている。観覧者は個人の利用が多く、特に県立の他の文化・教育施設と比べて、学校等の団体利用が少ない。

 本施設は、高崎市立「上毛野はにわの里公園(歴史公園)」内に位置しており、園内には、国指定の古墳群や市立かみつけの里博物館などがある。

2 施設の今後のあり方

(1)施設の必要性について

 土屋文明記念文学館は、本県の文学に関する中心施設として、県民に対して様々な情報を提供するとともに、貴重な資料の収集に努めており、その設置目的は今日においても失われていないと考える。施設の今後のあり方としては、継続とすることが適当であるが、

入館者数はピーク時から半減し、観覧者数で見ると、年間1万人に達していない現状である。

 本施設は、その館名から、個人文学館のイメージが強いが、実態は総合的な文学館であり、その機能を高め、また、利用者の増加を図るため、館名変更を含めて、文学館のあり方について専門的視点及び県民の視点から検討する必要があると考える。

(2)管理運営方法について

  1. 本施設に対して県民が求めるサービスを再検討し、施設の位置付けを明確にした上で、提供するサービスについて重点化していく必要がある。
  2. 職員体制(嘱託を含む)について、入館者数や業務内容を踏まえた分析・見直しを行う必要がある。その際には、ボランティアの積極的な活用も検討されたい。

(3)管理運営主体について

  1. 歴史公園内に位置しており、公園全体としての機能を発揮させる観点から、施設相互の連携方法等について、高崎市とよく話し合いをする必要がある。
  2. 県直営による管理運営が適当であると考えるが、民間のノウハウを活用する観点から、指定管理者制度について、他県での導入、活用状況など、情報収集に努められたい。
自然史博物館
1 現状

 自然史博物館は、自然の生い立ちや郷土の豊かな自然環境に関する県民の理解を深め、併せて県民の文化活動を援助し、もって教育、学術及び文化の発展に寄与することを目的に、平成8年4月に設置された社会教育施設である。常設展示、企画展、特別展をはじめとして、ファミリー自然観察会、ミュージアムナイトツアー、サイエンス・サタデーなど様々な教育普及事業や調査研究、資料収集等を行っている。

 全国的に入館者数が伸び悩んでいる中で、年間の入館者数は、開館以来、概ね20万人前後で推移しており、うち観覧者が16万人、教育普及事業参加者が4万人(平成19年度)となっている。

 本施設は、富岡市立もみじ平総合公園内に位置し、公園内には市立の美術館、体育館等が設置されている。また、本施設には、かぶら文化ホールが併設されており、平成18年4月から指定管理者制度を導入し、富岡市が指定管理者となっている。

2 施設の今後のあり方

(1)施設の必要性について

 自然史博物館は、本県の自然系の学術文化に係る研究・社会教育の中心施設として、数多くの県民に利用されている。また、自然環境への理解を深め、自然に親しみ学習する施設として、環境保護への取組が求められている時代ニーズにも合致しており、その設置目的は、今日においても失われておらず、教育的効果も高い施設と考える。施設の今後のあり方としては、継続とすべきである。

 本施設は、県内の約半数の小学校に利用されるとともに、多くの県外の小学校にも利用されており、教育普及や調査研究にも力を入れ、実績を上げている。また、施設の展示内容も充実しており、観光面からも本県を代表する施設になり得ると考える。

(2)管理運営方法について

  1. 展示内容が充実していることから、教育施設としてだけではなく、観光施設としても明確に位置付け、関係部署と連携しながら、積極的なPR等を行い、県内外における集客の新たな展開を図るべきである。
  2. 学校利用促進のため、県教育委員会と連携するとともに、研究部門職員の学校現場への出張授業の拡大や、学校側のニーズを取り入れた運営等をさらに推進すべきである。
  3. 調査研究の成果について、県民に対してより一層の情報発信に努めるとともに、大学等との連携について検討されたい。

(3)管理運営主体について

  1. 数多くの施設が設置された市立の大規模な総合公園内に位置しており、利用者側に立った一体的・総合的なサービスが提供できるよう、施設相互の連携方法等について、富岡市とよく話し合いをする必要がある。
  2. 県直営による管理運営が適当であると考えるが、民間のノウハウを活用する観点から、指定管理者制度について、他県での導入、活用状況など、情報収集に努められたい。
精神障害者援護寮「はばたき」
1 現状

 精神障害者援護寮「はばたき」は、入院医療の必要はないものの、地域生活移行のための訓練が必要な精神障害者に対する支援施設として、他の民間事業者の先駆けとなるべく、平成7年に設置された県内初の援護寮で、これまでに県内全域から159名の利用者を受け入れるとともに、76名を地域に送り出している(平成21年3月現在)。

「はばたき」の特徴として、民間援護寮では受け入れが難しい、多くの処遇困難者(※注3)を受け入れていることが挙げられる。また医療観察制度(※注4)の対象者について、地域社会での処遇を行う際の連携機関の一つとして期待されている。

 なお、民間の援護寮は、医療法人系4施設、社会福祉法人系1施設、財団法人系1施設の計6施設が県内に設置されている。

(※注3)「処遇困難者」とは、過去又は援護寮入寮後に「自傷行為」、「他害行為」等を行い、処遇サービス提供に支障が生じる者。

(※注4)「医療観察制度」とは、心神喪失又は心神耗弱の状態で殺人、放火等重大な他害行為を行い、その状態により不起訴等になった者に対し、裁判所の決定に基づき、入院・通院等による医療を確保し、社会復帰の促進を目的として平成17年に制定された心神喪失者等医療観察法に基づく処遇制度。

2 施設の今後のあり方

(1)施設の必要性について

 県内の精神科病院には、退院後に生活訓練を必要とする潜在的な待機者が多数存在しており、病院と地域を結ぶ中間施設としての機能を持つ援護寮は不可欠な施設であり、今後の施設のあり方としては、継続とすることが妥当であり、かつ、社会的必要性も極めて高い施設である。

 医療観察法の施行により、援護寮は、同法適用者の退院後の地域生活移行に向けた受け皿的な役割も担うこととなったが、その多くは処遇困難な者であるため、県立の援護寮である「はばたき」には、処遇困難者の受け入れを求められるケースが増加することが見込まれる。また、収入の少ない障害者が民間事業者の援護寮のサービスを利用することも難しい。なお、「はばたき」は、県内で唯一、自炊を中心とする生活訓練サービスを提供している施設である。

(2)管理運営主体について

 直営方式による運営方法が義務付けられている施設ではなく、県内に同様の事業を行う民間事業者が存在している。また、支出の大半を占める人件費について、現在の職員配置は精神保健福祉法上の基準をぎりぎり満たしている状況で、これ以上の人員削減による経費の節減は困難である。民間ノウハウの活用によるサービスの向上、運営経費の縮減などの効果が見込まれると考えられ、指定管理者制度を導入することが適当である。

 ただし、指定管理者制度導入に当たっては、現状のサービス水準を維持すること及びこれまで培ってきたノウハウを伝承できる仕組みについて十分検討すべきである。

【注】精神障害者援護寮「はばたき」は、第9回委員会(平成21年3月19日)で、今後のあり方を検討し、上記の結論を得た。この結論を踏まえ、県議会平成21年5月定例会に、平成22年4月から指定管理者制度を導入する条例改正案が提案され、可決された。

水産学習館
1 現状

 水産学習館は、河川等の内水面における水産動植物の繁殖保護、利用等に関する県民の理解を深め、もって内水面漁業の振興に寄与することを目的に、昭和62年に設置した淡水生物専門の水族館方式の学習施設であり、群馬県に生息する魚類を中心に約90種を展示している。(農水省の補助事業で設置した施設であり、博物館法を設置根拠とする水族館ではないことから、収集保存、調査研究、教育普及を本来の目的とした施設ではない。)施設の規模としては、展示施設延床面積が382平米と、近県の水族館と比べ極めて小さい。

 本施設は、県立つつじが岡公園内に位置しており、平成18年度からは、(財)群馬県公園緑地協会が指定管理者として管理運営している。なお、つつじが岡公園内は、花山部分(環境森林部)、花山を除く部分(県土整備部)、水産学習館(農政部)と、県の所管が3分化されている状況にある。

 入館者数は、開館時40,513人であり、年々増加し、平成2年度に100,432人となりピークを迎え、その後徐々に減少し、平成20年度は27,124人となっている。なお、入館者は4月~5月(ツツジ開花時期)に集中しており、年間入場者数の約6割を占めている。また、学校利用などの団体利用者も東毛地区、栃木県に偏っている。

2 施設の今後のあり方

(1)施設の必要性について

  1. 設置から20年以上を経過した現在、設置目的である「内水面漁業の振興に寄与する学習の場」から「水生生物とその生息環境の学習の場」にシフトしており、当初の設置目的は果たされたと考えられる。また、東毛を中心とする児童の学習施設として利用されていることは、一定の評価はできるが、県立施設としては規摸もかなり小さく、現状において規模の拡大や機能の充実を図ることも困難である。こうしたことから、本施設の今後のあり方としては、廃止する方向で検討すべきである。
    ただし、内水面漁業振興のための施策については、県として、引き続きしっかりと取り組んでいく必要がある。
  2. また、本施設のあるつつじが岡公園周辺は、県立及び市立の学習施設や観光施設が数多く存在しており、それらが一体となって魅力ある学習エリア、観光エリアを形成している。したがって、隣接する温室のあり方も含めて、地元館林市の意見も十分聞きながら、県として、つつじが岡公園全体のグランドデザインを策定する必要があると考えられる。なお、グランドデザインの策定に当たっては、公園全体の魅力、集客力等の付加価値をアップさせる観点から検討されたい。

(2)その他(つつじが岡公園の管理運営主体について)

 つつじが岡公園の管理主体が3分化され、それぞれの施設毎に指定管理者が指定されている。今後、以下の点について検討されたい。

  1. 花山部分、花山を除く部分、水産学習館と所管部が3分化され管理されている現状を見直し、一体的・総合的に管理できるような管理主体の一本化。
  2. 地域に根ざした都市公園としての機能を一体的に発揮させる観点から、花山部分について指定管理者となっている館林市を公園全体の指定管理者とする管理運営形態。
    なお、将来的には、施設の館林市への移管・譲渡の可能性を含めて、館林市とよく話し合いをする必要がある。
  3. 管理運営に当たってのボランティアの積極的な活用。
北毛青年の家・妙義少年自然の家・東毛少年自然の家
1 現状

 青少年の心身ともに健全な育成に資することを目的とし、野外の自然体験・集団宿泊体験を中心に行う青少年教育施設として、北毛青年の家(昭和43年4月設置)、妙義少年自然の家(昭和46年8月設置)及び東毛少年自然の家(昭和54年11月設置)は設置された。主に県内の小学生を対象に、学校や家庭では得難い自然体験や集団宿泊体験をする教育の場として評価を得ている。また、各施設毎に地域の特色などを生かした体験学習プログラムの提供に努めている。

 県立の青少年教育施設については、各施設の設置・運営の意義や財政状況等を踏まえた再編を進め、平成18年度までに、大幅な再編整備が実施された(12施設から4施設に再編:直営3施設、指定管理者制度導入1施設(青少年会館)、廃止3施設、地元市へ移管5施設)。

 当該3施設は、建設時からすでに約30年~40年経過しており、老朽化が進んでいる(耐震対策については、平成21年度中に対応が完了する予定)。

 利用者数(平成19年度)は、北毛青年の家が約2万4千人、妙義少年自然の家が約2万人、東毛少年自然の家が約3万人となっている。3施設は、地理的にバランスよく配置されており、各所管地域からの利用者が全体の約6~8割を占めている状況である。

 ※県内の約8割の小学校が県内での宿泊を伴う体験学習を実施しており、そのうち6割が県立施設を、3割が国立や市町立の教育施設等を利用している。

2 施設の今後のあり方

(1)施設の必要性について

 当該3施設は、本県における野外体験活動や集団宿泊活動の主要施設として、数多くの小学生に利用されている。また、自主性や社会性を培い、青少年の健全育成を図る上で大きな役割を果たしており、その設置目的は、今日においても失われておらず、教育的効果も高い施設と考える。3施設の今後のあり方としては、継続とすべきである。

 近年、広域圏臨海学校などの市町村立施設が廃止されており、県立施設へのニーズも高まってきている。また、3施設は県内にバランスよく配置され、広域をカバーしながら、各地域の青少年教育の中核的な役割を担っており、施設の必要性は高いと考える。

 ただし、利用状況が一定の時期に偏らざるを得ないことから、年間を通じての稼働率を高める方策について、検討されたい。

(2)管理運営方法について

  1. 施設を有効に活用するため、閑散期(4月、9月、12月~3月)について、ボーイ・ガールスカウトなど青少年教育団体への積極的なPR、企業の社員研修等での利用促進、団体以外(家族利用等)の利用受入などについて検討されたい。ただし、学校利用が少ない時期に限るなど、青少年教育施設の本来の目的が損なわれないよう、留意しなければならない。
  2. 使用料の設定について、使用時期や、使用目的による差別化について検討されたい。
  3. 学習効果を高めるため、近隣の県有施設(北毛:ぐんま天文台、妙義:自然史博物館、東毛:昆虫の森など)や県事業(尾瀬学校等)と連携し、各地域の特色を生かした学校利用プログラムの開発に取り組む必要がある。
  4. 主催事業や各種の体験プログラムについて、ボランティアとの協働及び地域の団体等との連携に努める必要がある。
  5. 施設・設備については、老朽化が目立っており、計画的な改修に努めるべきである。その際、今後の利用形態のあり方の検討も踏まえた計画が望まれる。

(3)管理運営主体について

 県直営による管理運営が適当であると考えるが、民間のノウハウを活用する観点から、指定管理者制度について、他県での導入、活用状況など、情報収集に努められたい。

(4)その他

 青年の家と少年自然の家の利用者層は、ほぼ同じ(小学生が中心)である実態から、青少年自然の家として、名称を一本化することについて検討されたい。

生涯学習センター
1 現状

 生涯学習センターは、県民の生涯にわたる学習活動を促進し、県民文化の創造及び振興に寄与するために昭和62年10月に設置された教育施設である。

 県の生涯学習推進の中核的なセンターとして、まなびねっとぐんま、ぐんま県民カレッジ、指導者養成をはじめ、少年科学館の運営(プラネタリウム、おもしろ科学教室等)や家庭教育・子育て支援、貸館事業など、幅広い事業を行っている。

 平成14年4月からセンター事業及び施設管理を(財)群馬県教育文化事業団に全部委託していたが、指定管理者制度が創設されたことを機に、管理運営方法を見直し、事業内容が教育に関する技術的・専門的な知識を必要とすること、学校との連携が重要で教員の配置を必要とすることから、平成18年4月から県直営による管理とした。

 入館者数は、過去10年、20~25万人の間で推移している。平成20年度は約25万3千人であり、うち貸館利用人数は約15万1千人で、入館者の約6割を占めている。

2 施設の今後のあり方

(1)施設の必要性について

 生涯学習センターは、本県における生涯学習の拠点施設として、広域的な学習情報提供、指導者養成、先導的な学習プログラムの開発・実施等、市町村や各種団体等に対する指導的な役割を担うべき施設であり、その設置目的は、今日においても失われておらず、施設の今後のあり方としては、継続とすべきである。

 ただし、貸館事業については、市町村の役割である公民館的な要素が強く、本来県がやるべき仕事なのかという意見も出されたところである。現在、多くの利用がなされている実態も考慮しながら、県と市町村の役割分担の観点から、今後の課題としてその必要性について検討する必要がある。

(2)管理運営方法について

  1. 職員体制(嘱託・臨時を含む)について、貸館事業に伴う開館時間の見直しも含めて、分析・見直しの検討が必要である。その際には、ボランティアの積極的な活用も検討されたい。
  2. 生涯学習の直接の担い手である市町村等を支援し、高度で専門的な知識を有する指導者を養成する施設としての位置付けを強化するため、次のような事業内容について検討する必要がある。
    • 市町村、各種団体等への支援、職員向けの研修による人材育成の充実
    • 出張型の研修や職員が市町村(公民館)の現場支援に出向くなどの積極的な取組
    • 生涯学習に係る調査研究機能の強化と大学や高校等との連携の推進
  3. 少年科学館について、ぐんま天文台とのさらなる連携に努めるとともに、おもしろ科学教室の充実を図るなど少年科学教育を一層推進する必要がある。

(3)管理運営主体について

 県直営による管理運営が適当であると考えるが、民間のノウハウを活用する観点から、指定管理者制度について、他県での導入、活用状況など、情報収集に努められたい。

 ただし、貸館事業の必要性の検討を踏まえた上で、部分的な指定管理者制度の導入について検討する必要があると考える。