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令和4年 報告

更新日:2022年10月14日 印刷ページ表示

第1 職員の給与

1 職員給与の実態

 本委員会の勧告の対象となる職員は、群馬県職員の給与に関する条例(昭和26年群馬県条例第55号)、群馬県公立学校職員の給与に関する条例(昭和31年群馬県条例第41号)、群馬県一般職の任期付研究員の採用等に関する条例(平成13年群馬県条例第8号)及び群馬県一般職の任期付職員の採用等に関する条例(平成14年群馬県条例第62号)の適用を受ける職員であり、これらの職員は、その従事する職務の種類に応じ、行政職、公安職、研究職、医療職、教育職等14の給料表の適用を受けている。
 本委員会は、これらの職員について、本年4月1日現在における「令和4年職員給与等実態調査」を実施したが、その概要は、参考資料「1 職員給与関係」のとおりである。
 その結果によると、民間給与との比較を行っている行政職給料表又は事務職給料表の適用を受ける職員(本年度の新規学卒の採用者を除く。以下「一般行政職員」という。)の人数は4,704人、平均年齢は43.5歳で、平均給与月額は370,302円となっている。

(参考資料第1表~第10表)

2 民間給与の実態

 本委員会は、職員給与と県内の民間給与との精密な比較を行うため、企業規模50人以上で、かつ、事業所規模50人以上の民間事業所のうちから、層化無作為抽出法によって抽出した179の事業所を対象に「令和4年職種別民間給与実態調査」を実施した。
 なお、本年は、昨年同様、新型コロナウイルス感染症に対処する医療現場の厳しい環境に鑑み、病院は調査対象から除外した。
 この調査では、一般行政職員と類似すると認められる事務・技術関係22職種の約7,200人及び研究員、教員等の32職種約200人について、本年4月分として個々の従業員に実際に支払われた給与月額等を詳細に調査した。
 本年の調査結果の概要は、参考資料「2 民間給与関係」のとおりである。

(参考資料第11表~第24表)

3 職員給与と民間給与との比較

(1)月例給

 本委員会は、「職員給与等実態調査」及び「職種別民間給与実態調査」の結果に基づき、職員にあっては一般行政職員、民間にあってはこれと類似すると認められる事務・技術関係職種の従業員について、役職段階、学歴及び年齢階層を同じくする者同士の本年4月分の給与額をそれぞれ対比し、精密に比較(ラスパイレス方式)を行った結果、職員給与が民間給与を656円(0.18%)下回っていた。

職員給与と民間給与との較差
民間給与(A) 職員給与(B) 較差(A)-(B)(円)
(((A)-(B))/(B)×100)(%)
370,958円 370,302円 656円(0.18%)

(注)民間、職員ともに、本年度の新規学卒の採用者は含まれていない。

(2)特別給

 本委員会は、これまで民間における賞与等の年間支給割合(月数)を算出し、これを職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数と比較した上で、0.05月単位で改定を勧告してきている。
 前記の「令和4年職種別民間給与実態調査」の結果、昨年8月から本年7月までの1年間において民間事業所で支払われた賞与等は、年間で所定内給与月額の4.40月分に相当しており、職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数(4.30月)が民間における賞与等の年間支給割合(月数)を0.10月分下回っていた。

(参考資料第21表)

4 物価及び生計費

 総務省の調査による本年4月の前橋市における消費者物価指数は、参考資料「4 労働経済関係」のとおり、前年同月比2.5%の上昇となっている。
 また、本委員会が同省の家計調査を基礎として算定した本年4月の前橋市における標準生計費は、参考資料「3 生計費関係」のとおり、2人世帯で210,460円、3人世帯で230,750円、4人世帯で251,180円となっている。

(参考資料第25表、第26表)

5 人事院の給与に関する勧告等

 人事院は、本年8月8日、国会及び内閣に対し、職員の給与に関する報告及び勧告を行うとともに、公務員人事管理に関する報告を行ったが、その概要は、参考資料「5 人事院勧告等の概要」のとおりである。

6 本年の給与改定

 本年の職員給与及び民間給与の実態とその比較、物価及び生計費の状況並びに人事院勧告等の概要は、以上のとおりである。
 本委員会は、これらの内容を総合的に勘案し、検討した結果、職員の給与改定について、以下のとおり判断した。

(1)月例給

 本年4月における職員給与と民間給与とを比較した結果、職員給与は民間給与を656円(0.18%)下回っていることから、民間給与との較差、人事院勧告等を踏まえ、月例給の引上げ改定を行う必要がある。
 月例給の改定に当たっては、基本的な給与である給料を引き上げることが適当であり、行政職給料表は、国及び他の都道府県との均衡を考慮し、人事院勧告に準じて改定する必要がある。
 その他の給料表も、行政職給料表との均衡を基本としつつ、本県の実情を踏まえて改定する必要がある。

(2)特別給

 職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数が民間における賞与等の年間支給割合(月数)を0.10月分下回っていることから、民間における賞与等の年間支給割合(月数)に見合うよう、職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数の引上げ改定を行う必要がある。
 年間支給月数の引上げ分については、民間の賞与等の支給状況、人事院勧告等を踏まえ、勤勉手当に配分することが適当である。
 また、再任用職員の勤勉手当並びに任期付研究員及び特定任期付職員の期末手当についても、同様に年間支給月数を引き上げる必要がある。

第2 職員の勤務条件等

1 意欲と能力のある人材の確保

 地方自治体を取り巻く社会情勢が急速に変化する中で、質の高い県民サービスを提供し続けるためには、多様性のある有為な人材を安定的、継続的に確保していく必要がある。
 しかし、近年は民間企業を始め、国や地方自治体でも人材確保に関する取組強化の動きがみられるなど人材獲得競争がし烈になる中で、本県職員採用試験等の受験者数は減少、競争倍率も低下しており、今後も厳しい状況が続いていくことが予想される。このような状況から、意欲と能力のある人材を確保するため、受験者数の増加に向けた採用活動の強化及び採用試験の在り方の見直しは喫緊の課題である。
 本委員会では、採用パンフレットの配布に加え、ホームページやSNSでの情報提供、WEBでの就職説明会の実施など、オンラインを活用しながら積極的な採用広報を行ってきた。これからも任命権者と連携しながら、公務の魅力ややりがいを分かりやすく発信し、より多くの学生、社会人等に興味・関心を持ってもらう必要がある。
 また、昨年度から受験案内のホームページへの掲示や電子申請受付システムを活用した受験申込みを原則とするなど、採用試験手続きのデジタル化を進めており、受験しやすい環境を整備していくことも重要である。
 採用試験制度においては、社会情勢の変化への対応や多様な人材を確保するため、様々な試験制度の改正を行ってきており、本年度は、専門試験を課さず、民間企業で幅広く採用されている総合適性検査を活用した競争試験「行政事務B」を新たに導入したところである。
 民間企業における採用活動の早期化を受け、国においても国家公務員総合職春試験の実施時期の前倒し等を検討しており、人材獲得競争は一層激化することが見込まれる。こうしたことから、引き続き、能力実証の観点に留意しつつ、試験制度の見直しを積極的かつ柔軟に行い、人材確保に取り組んでいく必要がある。

2 能力・実績に基づく人事管理の推進

 能力・実績に基づく適切な人事管理は、より一層職員の士気を高め、その能力を最大限に発揮させるとともに、人材育成に資するものであり、組織活力を向上させるためにも重要である。
 また、能力・実績に基づく人事管理を更に推進していくためには、公平性や納得性の高い人事評価制度の運用や管理監督職のマネジメント能力の向上が求められる。
 任命権者においては、引き続き人事評価制度の趣旨を踏まえた効果的な研修の実施や評価の公平性・透明性の確保等の取組を行っていく必要がある。

3 時間外勤務の縮減

 時間外勤務の縮減は、職員の心身の健康保持や公務能率の向上の観点から極めて重要な課題であるとともに、仕事と生活の両立支援の推進や人材確保にも資するものであり、強くその実現が求められている。
 時間外勤務については、平成31年4月から「群馬県職員の勤務時間、休暇等に関する条例」等を改正し、上限時間を設定している。ただし、大規模災害等への対応に関する業務を処理する場合は、本委員会の許可を受けた上で、上限を超えて時間外勤務を命ずることができることとしており、令和3年度においては、新型コロナウイルス感染症や豚熱等の緊急事態に対して、職員の健康の確保に最大限配慮すること等を求めた上で許可してきたところである。
 任命権者においては、これまでも機動的な人員配置、既存業務の徹底した見直しや、デジタル技術の活用による業務の効率的な執行等に取り組んできたところであるが、これら緊急事態への対応業務の影響もあって、知事部局における令和3年度の一人当たり時間外勤務時間数は前年度に比べて増加している。
 また、教育委員会では、令和2年4月に施行された教育委員会規則において、いわゆる時間外在校等時間の合計時間について上限が定められ、業務量の適切な管理に努めているが、新型コロナウイルス感染症やICT教育推進等新たな業務への対応が求められている。
 これらの状況を踏まえ、管理監督職においては、自ら先頭に立って仕事の進め方の見直しや、所属内の業務の平準化を継続的に推進していくことが重要である。また、任命権者においては、様々な取組を進めてもなお恒常的な長時間の時間外勤務が見込まれる場合には、業務量に応じた柔軟な人員の配置や必要な人員の確保に努める必要がある。加えて、職員の健康確保に最大限の配慮を行うことを、本委員会としては引き続き求めたい。

4 勤務環境の整備

(1)多様で柔軟な働き方の推進

 個々の職員の事情に応じた多様で柔軟な働き方の推進は、職員一人一人の能力発揮やワーク・ライフ・バランスの実現等に資するものであり、ひいては公務能率の向上につながるものである。このため、これまでもフレックスタイム制や時差出勤の拡大、休憩時間の弾力化、テレワークの充実等が行われてきたところである。
 任命権者においては、引き続き、制度の普及・啓発や利用状況の適切な把握に努めるとともに、必要に応じて制度の見直し等を行っていくことが求められる。
 なお、本年の人事院の報告においては、国家公務員に対する現行フレックスタイム制の更なる柔軟化やテレワークを行う場合に支給する新たな手当の検討について言及されていることから、国及び他の都道府県の動向を注視していく必要がある。

(2)心の健康づくりの推進

 依然として長期の病気休暇の取得や休職をしている職員が一定数おり、職員が心の健康を保持することは、引き続き重要な課題である。
 心の健康づくりについては、これまでも任命権者において、各種取組を総合的・体系的に推進しているところであるが、今後も、ストレスチェック制度の有効活用等により職員自身のストレスへの気付きを促すとともに、高ストレス者と判定された職員に対する医師等との面談の促進等により職員のメンタルヘルス不調を未然に防止するよう努めていくことが重要である。
 また、新型コロナウイルス感染症や豚熱、自然災害への対応に代表される困難業務により、心身への負担が大きくなる職員の増加が強く懸念されることから、管理監督職においては、日頃から、職員との意思疎通を積極的に図り、職員の心身の状況等を適切に把握することに努め、心の健康づくりを一層推進していくことが求められる。

(3)仕事と生活の両立支援

 職員が性別にかかわりなく育児等に取り組める仕事と生活の両立支援の推進は、優秀な人材の確保や職員のキャリア形成支援等の観点から極めて重要な課題である。
 任命権者においては、これまでも各種休暇・休業制度の充実を図ってきたところであるが、育児休業の取得回数の制限緩和等を柱とした「地方公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の一部を改正する法律(令和4年法律第35号)」の施行等により制度が拡充されることを踏まえ、各種制度を利用しやすい勤務環境の整備を引き続き進めていくことが重要である。
 特に、男性職員の育児に伴う休暇・休業の取得については、当該休暇・休業の意義を踏まえた上での計画的な取得及び更なる取得率向上に努めることが必要である。

(4)ハラスメント防止対策

 職場におけるハラスメントは、職員の尊厳を傷つけ、その能力の発揮を妨げるとともに、職場の活力と機能の低下をもたらすものである。
 ハラスメントについては、これまでもハラスメント防止セミナーの実施や相談体制の充実等、各種のハラスメント防止対策が講じられてきたが、職員の勤務意欲の向上や心身の健康保持、働きやすい職場環境を実現するため、引き続き対策を充実・強化し、有効に機能させる必要がある。

5 定年の引上げ

 「地方公務員法の一部を改正する法律(令和3年法律第63号)」の成立及び関係条例の改正により、本県においても令和5年4月から職員の定年が段階的に65歳に引き上がる予定である。
 定年の引上げは、人事管理上幅広い影響があり、特に高齢層職員の能力及び経験の積極的な活用とともに、組織活力の維持を図ることが重要である。
 このため、本県の実情や国の状況、関係者の意見等を踏まえながら、各種の準備を計画的に進めていく必要がある。加えて、新しく設けられた任用及び給与等に関する情報提供・意思確認制度について適切な運用を行っていくことが求められる。

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