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令和2年度上期(令和2年8月17日・令和2年9月18日)議事録
令和2年度 上期 群馬県公共工事入札監視委員会 定例会議 審議概要
開催日
令和2年8月17日(月曜日)
令和2年9月18日(金曜日)
開催場所
群馬県庁 第一特別会議室
出席委員
委員長 足立 進(弁護士)
委員 尾崎 益雄(会社役員)
委員 金子 眞知子(学習塾経営)
委員 川畑 泰子(立教大学助教)
委員 鴻田 通雄(公認会計士)
審議対象期間
令和元年10月1日~令和2年3月31日
抽出案件
一般競争入札1件、指名競争入札19件、随意契約0件 合計20件
令和2年8月17日の審議
1 審議対象工事の抽出結果について
群馬県公共工事入札監視委員会設置要綱第6条第6項の規定に基づき、今回の抽出当番委員から次のとおり抽出結果の報告がなされた。
抽出結果報告
一般競争入札で落札率の低い案件1件、指名競指名競争入札争入札で同種の工事で落札率に開きのある案件、辞退者数の多い案件、指名業者の数が多い案件随意契約等計20件を抽出した。
※20件の工事は別紙のとおり
・抽出対象工事一覧表(別紙-20件の工事)(PDFファイル:87KB)
2 抽出案件の審議について
抽出当番委員が抽出した20件について、事務局から契約内容及び工事概要等の説明がなされた。
抽出した20件の工事について、群馬県公共工事入札監視委員会設置要綱第2条第2号に規定する事項を審議した。
委員の質疑が行われ、5件の工事においては、より詳細な資料を用いた審議が必要と判断された。その理由は次のとおりとなった。
議案1880について
落札率があまりに低いこと。
議案302について
指名業者が19者と多くて、辞退者数が多いこと。
議案1366について
指名者数が24者と多くて、辞退者数が多いこと。
議案1574、1576について
ほぼ同内容の分割した工事で、施工場所が近隣なのに落札率に差が見られること。
令和2年9月18日の追加審議
5件の審議について
上記5件の工事について、群馬県公共工事入札監視委員会設置要綱第2条第2号に規定する事項を詳細に審議した。
委員からの意見・質問、それに対する回答等
意見・質問 会議の概要のとおり
回答 会議概要のとおり
委員会による提言 なし
会議の概要
議案1880
群馬県立精神医療センター非常用電源装置蓄電池更新工事
発注所属:精神医療センター
工事業種:電気工事
契約方式:一般競争入札
予定価格:5,177,800円(税抜き)
契約金額:2,900,000円(税抜き)
落札率:56.0%
入札参加者数:4者
落札者:(株)柴田電池商会
【委員】本工事を審議対象としたのは、入札に最低制限価格が設定されていなかったこと、病院施設の工事があまりに安い価格で落札されたことに不安を覚えたためである。
【発注所属】予定価格のうち、蓄電池購入が占める割合が全体の75%であり、これらはメーカー出荷時に検品済みであるため、最低制限価格を設定せずとも品質を保つことができると認識しています。通常の物品購入については、入札では最低制限価格は設けないこととなっており、これを準用しました。
【委員】落札率56%という数字を見て、こういうこともあるのかと驚いた。
【発注所属】入札に参加した他の3者のうち、1者は予定価格超過、2者は80%超であるため、予定価格の算定に問題はなかったと考えています。落札した柴田電池商
会が特殊だったのだと思います。
【委員】メンバー、落札者に蓄電池の原価は聞けないのか。
【発注所属】原価は確認できていません。ただ、4者とも同じメーカー既成品で入札しており、メーカー品がしっかりと据え付けられていれば問題はないと考えています。
【委員】蓄電池の製造年月日等は確認しているか。
【発注所属】製造年月日等に問題ないことは確認しています。
【委員】今回の蓄電池の更新は、何度目の更新になるのか。
【発注所属】現在の建物は27~28年前に完成し、以降7~9年ごとに更新しています。
【委員】これまでの蓄電池の価格は記録として残っているのか。
【発注所属】記録が残っているか、確認はできていません。
【委員】以前の工事価格は確認した方がよい。今回は品質に問題はなく、特殊事情により価格が下がったようだが、こうした結果を次回の更新における予定価格を算定する際の一つの材料として活かしてもらいたい。
【発注所属】承知しました。
【委員】予定価格と比べ極端に低い価格であったことに対し、普通はどう思うだろうか。
【発注所属】それは工事の内容によります。今回はメーカーの既製品の購入費相当として75%占めるため、特に不安は感じていませんが、工事内容により対応は変わります。
【委員】経験的にも、電気工事は落札率が比較的低くなる傾向はある。
【委員】今回の工事により、今後の非常用電源装置の保守等を随契で柴田電池商会に委託するといったことはあるか。結果的に言うと昔はやった一円入札になるということはないのか。客観的に見るとランクがAとCは全然違うから。柴田電気商会はどうしても実績が欲しくて、安く入れたのかと思う。AとCランクではコスト構造が違う。Cランクはコストが掛からないから。
【発注所属】そのようなことはありません。
【委員】柴田電池商会は工事等級がCであるが、等級を上げるための実績が欲しかったのではないかとも想像できる。
【委員】工事実績のランクと業者のランクはどのように関係するのか。その辺の縛りみたいなものはあるのか。
【事務局】工事実績は等級審査の項目にも設定されています。工事等級は、工種や地区並びにその予定金額により、事業者を選定するための基準となります。
なお、柴田電池商会は「工事も行う問屋」であるため、工事事業者としての等級は低くなってしまいます。工事等級は工事実績だけによるものであり、必ずしも事業規模には比例しません。
【委員】問屋であるならば、蓄電池の価格が低いことにも納得がいく。
議案302
令和元年度朝倉県営住宅(88-C棟)外壁改修工事
発注所属:建築課
工事業種:建築一式工事
契約方式:指名競争入札
予定価格:48,640,000円(税抜き)
契約金額:45,350,000円(税抜き)
落札率:93.24%
指名業者数:19者
落札者:(株)アドヴァンス
【委員】そもそも辞退者がこんなに多いのだから、そんなに指名する必要がなかったのではないか。
【発注所属】結果的にやってみなければ分からないところがあります。辞退理由については、確認していないので分かりません。本工事は、県営住宅の入居者が居住しているなかで外壁改修工事をおこなうものです。居住者との調整や各種対応が求められるため、こういったところが敬遠されているのかも知れません。
【委員】予定価格から最低制限価格の間に入っている会社が1者しかいないのはなぜか。
【発注所属】1者であることは結果的なものなので、理由は分かりません。
最低制限価格を下回った会社は、入札額と最低制限価格の差から受注を狙っていった結果だと考えられます。また、市場として建築工事は民間工事の割合が大きいことから、土木工事との比較において積算が難しいのかも知れません。
【委員】「居ながら工事」の場合に、辞退者数が多くなる傾向はあるか。
【発注所属】辞退者数はゼロもあれば、多いケースもあり様々です。
【委員】18者指名して、予定価格内の会社が一者だけだったこと、これだけ辞退することを考えると、一般競争入札で県内から広く参加してもらった方が良いのではないか。
【発注所属】本工事は、「居ながら工事」であることと、今後の不具合への対応など緊急性が求められ、遠隔地の会社では緊急対応は難しいと考えます。また、今回は工法が決まっており、技術提案的な要素が少ないため、価格競争での選定が好ましいと考え、指名競争入札としました。
【委員】技術力に差がないということから、価格のみを採用するのであれば、最低制限価格とはどの様な意味をもつのか。
【発注所属】ダンピング防止がひとつの目的です。労働者に適正な賃金が支払われるよう設定しているものです。
【委員】数字的な面では、特段不可解な点はない。最低制限価格を下回る会社が3者いるものの、落札者との差額は400万円程度である。入札する会社が示した可能額であるのだから採用しても良いのではないか。
【委員】もともとは辞退者が多い。指名競争入札でありながら、そもそも辞退者が多いというのは、制度の趣旨にもとるのではないかというのはあるが。
【委員】説明を聞くとやむを得ない。規則どおりにやっているとのことであるが、何かが残る。
議案1366
単独道路維持修繕事業(除草)【0県債】自転車道除草業務委託
発注所属:伊勢崎土木事務所
工事業種:土木一式
契約方式:指名競争入札
予定価格:6,870,000円(税抜き)
契約金額:6,200,000円(税抜き)
落札率:90.2%
指名業者数:24者
落札者:五料産業(株)
【委員】施工場所が広域にわたるということで、B・C24者(全者)に指名したということか。
【発注所属】そのとおりです。
【委員】C業者の辞退者が多い。C業者の指名自体に意味があるのか。
【発注所属】指名の時点では各業者の技術者数は把握できるが、辞退についてはあくまで業者の事情であり手持ち工事の状況等については分かりません。
結果として辞退業者が多かったということです。今回の工事は等級がCとなるのでC業者を基本に考えあえて数を絞るということはしませんでした。
【委員】この工事は毎年行うのか。
【発注所属】毎年です。
【委員】施工範囲は毎年変えるのか。
【発注所属】基本的には毎年同様の範囲となります。
【委員】設計価格は毎年同じか。
【所属】人件費が変わるので同額にはなりません。
【委員】施工範囲が同じであるので設計価格が極端に変わるということは考えにくい。
落札業者等(辞退業者含む)の傾向はどんな感じになるのか。5年間程度把握してはどうか。
【発注所属】把握します。
議案1574
単独道路維持修繕事業0県債 管内一円道路施設補修 分割6号
発注所属:桐生土木事務所
工事業種:土木一式
契約方式:指名競争入札
予定価格:6,810,000円(税抜き)
契約金額:6,700,000円(税抜き)
落札率:98.4%
指名業者数:10者
落札者:(株)阿左美建設工業
議案1576
単独道路維持修繕事業0県債 管内一円道路施設補修 分割5号
発注所属:桐生土木事務所
工事業種:土木一式
契約方式:指名競争入札
予定価格:4,720,000円(税抜き)
契約金額:4,300,000円(税抜き)
落札率:91.1%
指名業者数:11者
落札者:(株)北村土木
【委員】分6、分5は工事内容が同じなのに落札率に差があるのはなぜか。
【発注所属】分6の旧大間々町は街中の平地の道路と北部の国道122号の様に山地の道路を有しています。分5の旧笠懸町は平地のみの道路です。分6は山地の道路があるため倒木撤去等の緊急出動もあり受注者の負担感が強く、また、対象地が広いため会社から現場との距離も遠く負担感が強いと思われます。因みに、先週、今週も警察から連絡があり倒木撤去等の対応を行いました。緊急連絡は次長携帯に24時間対応できるようになっています。国土交通省緊急ダイヤルや警察、消防、一般通行者等から連絡があり、受注者に緊急対応してもらっています。
【委員】そんな大変な工事なのに落札しているのはなぜか。
【発注所属】通行者や地域のためと思われます。
【委員】山間部で倒木撤去等の対応が大変だという写真を付けて欲しかった。
【発注所属】次回から添付します。
【委員】落札率にどのようにかかわるのか。
【発注所属】ガードレール等の補修よりも倒木撤去等の方が緊急性が高いため、山地の道路を有する分6の方が負担感が強く、落札率が高くなっていると思われます。
なお、受注者も桐生土木も24時間、365日対応できる体制を取っています。
【委員】緊急対応等の必要額をどのように算出しているのか。
【発注所属】過去の実績を踏まえ、必要額を算出しています。
【委員】分6のエリアはモロオカ建設も近いのだが、入札金額が低い会社(人員が確保できる会社)が落札したと納得できる。
【委員】入札金額に差がなく辞退者もいない指名競争入札らしい入札である。工事費の精算はどうするのか。
【発注所属】受注者に各工事現場毎にかかった人員、機械等を報告してもらい実績にて精算しています。
【委員】受注者は1年間ずっと担当するのか。
【発注所属】1年間担当してもらいます。
【委員】実際にかかった費用を積算するということか。
【発注所属】実際にかかった費用を積算します。共通仮設費、現場管理費、一般管理費等の諸経費も見ているので赤字にはならないと思います。
-追加質問-
【委員】入札結果登録の摘要欄に落札者以外は内訳書未確認となっているがどういうことか。
【発注所属】落札者以外は内訳書を確認していません。
【事務局】落札者の内訳書を確認する決まりはありますが、それ以外は確認する決まりになっていないため問題はありません。
委員会要望
可能な限り一般競争入札の割合を高めるということが、平成25年に提言として出ている。平成25年度以降の、年度別の一般競争入札と指名競争入札の件数、金額の推移、割合、部局ごとの推移、及び可能なら情報公開をしている県がどれくらいあるのか、次回の委員会においてデータを示してほしい。いろいろな事情があるにしても、一般競争入札の比率を高めるのは、望ましい部分もある。再度提言を行うかは、データを確認したうえで検討したい。