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第5回行政改革評価・推進委員会の概要

更新日:2012年3月8日 印刷ページ表示

1 開催日時

 平成24年2月15日(水曜日)9時55分~15時50分

2 場所

 群馬県介護研修センター
 社会福祉法人群馬県社会福祉事業団 特別養護老人ホーム明風園
 群馬県立ぐんま昆虫の森

3 出席者

 6名(佐藤委員長、荒木委員、桐谷委員、鴻上委員、田中委員、間仁田委員)
 (2名欠席)

4 議事概要

(1) あり方検討委員会の答申を受けたぐんま天文台の取組状況に対する意見(案)について

  • 資料1(あり方検討委員会の答申を受けたぐんま天文台の取組状況に対する意見(案))により事務局から説明後、討議。

説明

事務局

 前回の委員会における「ぐんま天文台」に関する議論を案のとおり委員会の意見としてとりまとめた。この提言は、あり方検討委員会の中間報告の対象となった他の施設と合わせて、後日、委員会から知事に提出していただくことを考えている。

討議

荒木委員

 前回の委員会の後、古在台長が天文学の世界的権威であることを知った。その人的資源をうまく生かし切れていない。古在台長を前面に出して集客に結びつけていく方法もある。

桐谷委員

 今後の天文台のあるべき姿を考えていく上で、県民のニーズも踏まえていくべきである。職員体制の見直しの中で深夜の望遠鏡の貸出しが廃止されたが、夜間観望が中心の施設であり、県民からのニーズはないか。

事務局

 あり方検討委員会の対象となった天文台、昆虫の森、自然史博物館は、各分野の権威の方を長に迎え、人ありきでスタートし、崇高な理念の下で計画を立てて建設したものであるが、他方で多額の経費もかかった。厳しい財政状況の中で、そうした経費を見直す必要が生じたものである。
 御指摘の深夜の望遠鏡貸出しは、通常の夜間観望と比較して利用者数が限定的であるにもかかわらず深夜勤職員を複数配置しなければならないなど、厳しい財政状況の中で経費を削減していくに当たり何を切り詰めていくかを検討した際に、そうした部分は割愛しつつ、県民のすそ野拡大に重点をシフトしてきたものである。

田中委員

 提言案はよくまとまっていると思うが、時間的なことが書かれていない。いつまでに必要か、いつまでに検討するのか、一定の年限を決めるべき。期限がなければ検証もできない。大幅な経費削減を行ったがまだ赤字であることは確かであり、目標期限を設定して早めに取り組んでほしい。

佐藤委員長

 天文台を調査したのは昨年の7月であり、もう少し意思決定のスピードを上げるべき。

事務局

 管理運営主体の検討については、現在、県全体の直営施設のあり方を検討しており、それに合わせる形で検討の年限を出すことは可能である。
 また、委員会審議とのタイムラグを考えると、中間報告対象施設のまとめが全部そろってからではなく、その都度、1施設ずつ提言をいただいていくことも考えられる。

佐藤委員長

 意見を文書に落とし込む際の表現については一任願いたい。
 提言の方法であるが、改革のスピードも求められており、個別の施設ごとに出していった方がよいと考えるがどうか。

間仁田委員

 その都度提言し、スピーディーにやっていくべき。提言への対応状況もこの委員会に報告できるくらいになるとよい。

佐藤委員長

 委員会としては、個別の施設ごとに提言をしていくこととしたい。
 主な意見に記載されている個別意見についても、本日の意見が反映できるものは反映させたい。

鴻上委員

 管理運営主体の検討を誰がやるのかをもっと明確にしておく必要がある。

佐藤委員長

 これまでの取組においてはその部分が不明確だったので、案では「「県として」検討すべき」との表現にしたのだと思う。文意を明確にするために「「天文台だけでなく、県全体として」検討すべき」という表現にしてはどうか。

事務局

 提言については、書面協議により本日の意見を踏まえた修正を行い確定させたいので、よろしくお願いしたい。

(2) あり方検討委員会の答申を受けた明風園の移譲後の状況及び介護研修センターの取組状況について

  1. 明風園の施設概要説明
  2. 介護研修センターの施設概要説明
  3. 施設調査
  4. あり方検討委員会の答申内容
  5. 答申後の高齢者介護総合センターの見直し状況
  6. 明風園の譲渡後の状況
  7. 答申後の介護研修センターの取組状況
  8. 討議

1 明風園の施設概要説明

  • 資料4(特別養護老人ホーム明風園概要)の1ページ及び2ページにより明風園園長から説明。
明風園園長

経緯

 昭和41年4月に群馬県初の特別養護老人ホームとして建設された。
 平成22年4月に社会福祉法人群馬県社会福祉事業団に譲渡された。

運営理念

 従来からの実績と信頼関係をしっかりと引継ぐとともに、利用者ニーズをとらえ、細かなケアの実施により、日々改善を図っている。県の研修の実習施設としても活用されるので、職員の技術向上にも取り組んでいる。
 運営理念として、資料記載の5項目を掲げている。
 最初の項目として、入所施設であることから、職員が笑顔で対応することを掲げている。
 2つ目は、入所者自身にできることはやってもらう、使える機能は使ってもらうことであり、これは個々に応じたケアをしていこうということである。
 3つ目は、地域に根ざした施設にすること。
 4つ目は、チーム力を上げること。
 5つ目は、介護のプロになることであり、職員のスキルアップを図ることである。

各事業の状況

 特別養護老人ホーム、ショートステイ、デイサービス、居宅介護支援事業を行っており、施設介護について移譲後にそれぞれ定員を増やした。また、デイサービスについて、昨年の11月から土曜日も利用できるようにした。

2 介護研修センターの施設概要説明

  • 資料5添付のリーフレット(群馬県介護研修センターご案内)により介護研修センター所長から説明。
センター所長

運営理念

 平成22年4月に研修部門を独立させて設置した。
 尊厳あるケアを実践できる人材を育成するため、7つの基本方針(リーフレット最終面に掲載)に基づき研修を実施している。

事業内容

 「認知症介護研修」は、「認知症介護基礎研修」が県独自の研修であるほかは、厚生労働省のカリキュラムに沿った研修である。県独自の研修及びフォーラム的な「フォローアップ研修」以外は、段階的に受講していく階層別の研修で、一部は市町村の介護保険の指定要件となっている義務付け研修である。
 このほか、「高齢者ケア専門研修」、「ぐんま認定介護福祉士養成研修」を行っており、さらに今年度の法改正を踏まえ、「介護職員等によるたんの吸引等の研修事業」も行っている。
 また、認知症コールセンターを開設し、県民からの相談に応じている。

3 施設調査

  • デイサービスセンター
  • 介護老人福祉施設棟

4 あり方検討委員会の答申内容

  • 資料2(あり方検討委員会中間報告書(高齢者介護総合センター部分抜粋))により事務局から説明。
事務局

 当時の「高齢者介護総合センター」について、特別養護老人ホームを県が直営している事例がほとんどない中で、介護サービス部門は民営化が適当であり、研修部門については、財政負担も含めて県が責任を持って介護現場と一体化した形で実施していく必要があると提言された。
 また、管理運営主体についても、介護サービス部門は県立施設のままで運営のみ指定管理者に任せる形ではなく、施設自体を民営化すべきであり、譲渡に当たっては、県と連携した介護研修の実習の場としての一体的な運営を考慮すべきと提言された。

5 答申後の高齢者介護総合センターの見直し状況

  • 資料3(あり方検討委員会答申後の高齢者介護総合センターの見直し状況)により介護高齢課長から説明。
介護高齢課長

 答申を踏まえ、別紙のとおり「高齢者介護総合センターの民間譲渡にあたっての基本方針」を策定し、平成22年4月1日に、介護部門は「社会福祉法人群馬県社会福祉事業団」に譲渡し、研修部門は県の地域機関として「介護研修センター」を設置した。
 民営化に当たり一番配慮したことは、入所者の環境変化を極力避けることであり、事前の十分な説明や現場実習でしっかり引継ぎを行った。また、非常勤職員の多くを引き続き事業団で雇用してもらった。
 65名いた職員については、個々の意向を十分聴いて次のとおり対応した。研修センター配属11名、県の他所属への異動17名、事業団による雇用31名(うち明風園配属21名)、退職6名である。

6 明風園の移譲後の状況

  • 資料4(特別養護老人ホーム明風園概要)により明風園園長から説明。
明風園園長

 特別養護老人ホームについては、利用者の状況は、特養として平均的な状況である。
 利用者の出身市町村を見ると、近隣からの利用がほとんどである。また、要介護度や認知症日常生活自立度が重度の方の割合が7割程度になっている。
 施設の利用率については、昨年度は県から引き継いだ年度であり、当初は退所者の補充に時間を要したため、年間では93.6%と若干低くなったが、今年度は98%以上になっている。
 ショートステイについては、引継ぎ後に利用者数が安定するまでに時間がかかったが、9月以降は7割程度の利用率になっている。
 デイサービスについては、新たに土曜日も開所したことから、順調に増えてきており、今年度は1か月430名~440名の利用がある。施設譲渡に伴いケアマネージャが全員入れ替わったので、地域に溶け込みながら徐々に増やしてきた。
 事業収支は、「事業活動収支計算書」のとおりである。
 収入について、「国庫補助金等特別積立金取崩額」は、譲渡された建物資産のうち国庫補助金相当分の減価償却費を相殺するためのものである。収入のほとんどは介護報酬となっている。受託事業収入は介護認定調査費であり、雑収入は、群馬県介護研修センターの光熱水費負担金等である。
 事業活動収支は、平成22年度は、△13,865,050円の赤字であった。
 赤字となった主な要因は、引継ぎ初年度であったことから年度当初の施設稼働率がもたついたためと、施設譲渡に伴い職員が入れ替わることへの対応として正規職員を厚く配置したためであり、徐々に修正してきている。今年度の収支は、増床したこともあるが、ほぼ均衡する見通しである。来年度については、介護報酬の改定が全体ではプラスとなったがマイナス要素も多い点が懸念材料だが、さらに若干改善できる見通しである。
 特別収支は、県から譲渡された財産を計上するためのものである。
 今年度の事業計画について、基本的な考え方は変わっていない。チーム力、組織力の強化が第一である。また、介護の質を高めることがCS(顧客満足度)の向上につながると考えており、各職員の基礎力を向上させていく。さらに、常に利用者の改善の結果に気を配ることも大事だと考えている。
 研修センターとの連携については、昨年度は手探りの状態だったが、今年度から2階だけでなく1階のスタッフも対応するようにした。また、事業団の中にも研修指導センターを設置したので、徐々にスタッフの意識も前向きに変化してきている。

7 答申後の介護研修センターの取組状況

  • 資料5(群馬県介護研修センター概要)により介護研修センター所長から説明。
センター所長

 今年度は11名体制で運営している。
 研修の実施状況であるが、概要説明のとおり各事業を実施しており、それぞれの受講者数の実績は、「介護研修センターにおける研修等の実施状況」のとおりである。
 収支の状況は、「公共施設のあり方検討委員会対象施設個表」に記載のとおりである。なお、21年度までの数値は介護部門も含む旧高齢者介護総合センターのものであり、22年度決算額からが介護研修センターの収支である。
 収入は、研修負担金等を受講料として徴収している。21年度からの増加は、ぐんま認定介護福祉士養成研修を2回実施にしたことによるものである。
 支出は、施設を事業団に譲渡していることから施設管理費を面積案分で事業団に支払っているほか、研修実施経費等である。
 明風園との連携について、特に「介護実践リーダー研修」は明風園と一体で実施している研修である。ケアプランと職場研修の企画書を作成する研修で、8日間連続の実習があり、実習後、自分の職場での4週間の研修を行った後に再びセンターでまとめの研修を行うものである。
 年間の研修全体の日程は「平成23年度群馬県介護研修センター年間研修予定一覧」のとおりである。

8 討議

鴻上委員

 見直し前の21年度に研修部門の仕事をしていた人数はどのくらいか。

センター所長

 係長及び担当、研修嘱託、生活相談員1名が携わっていたので3.5名程度である。ただし、特養部門の介護福祉士が、研修企画に参画し講師もしていたので、現在のセンターの職員数と単純に比較することはできない。

鴻上委員

 見直し前後の管理運営費を比較すると、結果として、見直し後の現在の方が一般財源の投入額が増えてしまっているが、どうとらえればよいか。

センター所長

 見直し前は特養業務と兼務していた介護福祉士が、見直し後は研修に特化したことで、研修をよりきめ細かに実施している。また、県庁で実施していた研修をセンターに移管するなど、充実強化した部分もあり、その分、人件費が増加している。

田中委員

 増やした分の効果があれば、コストをかけること自体が悪いとは思わないが、県民に対してそれだけの効果があったか説明できる内容である必要がある。
 他県では同種の研修はどう実施しているか。また、民間で研修を実施できるところはないか。コストをかけて県が直営した方がよい内容なのか。

センター所長

 他県では委託による実施が圧倒的多数であり、委託先は、社会福祉法人や社会福祉関係団体、社会福祉協議会などになっている。コールセンターも、本件以外は全て家族会等に委託している。
 県が直営している効果として、認知症介護指導者の資格を持った職員が直接企画立案を行うことで、質の高い研修となっており、介護人材の資質や意欲の向上による定着率の向上にもつながっている。また、委託で実施している他県は研修拠点となる施設がなく、研修ごとに指導できる資格を持つ人を集めて様々な施設で実施している。県が研修施設を設置していることにより、教える側と受講する側の双方にメリットがある。なお、今後、軽易な事務については社会福祉事業団へ委託することも検討し、職員数を削減していきたい。

田中委員

 施設のハード部分は県に残しても維持管理経費がかかるから無償譲渡するという大胆な発想で処理されているにもかかわらず、研修については人材が県に残っているから民間に移譲しないで県でやっているというふうにも聞こえる。研修実施経費が増えてきているのはなぜか。

介護人材確保対策室長

 たんの吸引研修の実施で20,000千円増加している(財源の2分の1が国庫金の事業)。法改正があり、ニーズも多く、県として積極的に取り組んでいる。

田中委員

 研修を増やしているのであれば、研修負担金収入が減っているのはなぜか。受講料はどう積算しているのか。

センター所長

 資料代等の必要経費から積算している。なお、たんの吸引研修は受講料を徴収していない。

田中委員

 県民の福祉の向上につながるから受講料を徴収せずに県費で負担するという考え方もあるが、研修受講者である受益者負担という考えもあり、十分な説明あるいは再検討が必要である。

介護高齢課長

 将来的にも研修事業を県直営でやっていくかどうかは県でも課題としてとらえている。研修自体は必要であり、その企画立案は県の責務である。しかし、実施については委託という選択肢もあり得るので、比較検討し今後の研修センターのあり方を考えていきたい。たんの吸引研修についても、来年度は民間施設でも実施するところがあると聞いており、民間での研修の充実状況を見て考えていきたい。

桐谷委員

 明風園の事業計画について、介護に対する姿勢や意識の高さに敬服する。
 介護職員の資質の問題について、他県の事件であるが、人間関係におけるストレスから介護士が入所者に暴行したという報道があった。職員の資質の向上に努めているということであるが、具体的にどのようなことをしているか。

明風園園長

 入所施設であり、人間関係上の問題が生じることは多い。したがって、大事なのはチーム力、組織力だと考えている。チームでケアをしていくこと、情報を共有して均質なケアをしていくことが必要であり、そうしたことを意識付けしている。

桐谷委員

 介護する人も忍耐力が必要な場面が多いと思う。介護職員の処遇改善も考えていかないといけない。

明風園園長

 職員の処遇改善は、今回の介護報酬の改定にも盛り込まれているが、もっと進めていかなければならない。また、介護現場は離職する人が多く、金銭的な処遇は当然大事であるが、離職の理由としては人間関係の問題が多い。介護現場に勤めている人は介護自体が好きな人が多いが、一人でやらされるとかなり負担感が大きく、離職につながる。チームでやることにより、負担も軽減され、楽しさも出てくる。介護はやりがいのある仕事であり、人材を定着させていくには、個人のスキルを高めて専門家としての自信を持たせるとともに、チーム力を醸成していくことが大事だと考えている。

荒木委員

 なんでもかんでも予算を削るのがよいことだとは思わない。例えば、ぐんま認定介護福祉士は群馬オリジナルのものである。介護に関する群馬スタンダードのようなものをセンターと明風園とが連携して作ることができたらおもしろいのではないか。こうしたことを充実させて、高齢者介護の分野でも、よい意味で群馬らしさを出していけるとよい。

※ 以上で午前中の審議を終了し、ぐんま昆虫の森へ移動。田中委員、間仁田委員は退席。

(3) あり方検討委員会の答申を受けたぐんま昆虫の森の取組状況について

  1. ぐんま昆虫の森の施設概要について、園長から説明
  2. 施設を実地調査
  3. あり方検討委員会の答申内容について事務局から説明
  4. 答申後のぐんま昆虫の森の取組状況について、ぐんま昆虫の森職員から説明
  5. 討議

1 施設概要説明

  • かやぶき民家前で園長から口頭説明。
園長

 平成14年にかやぶき民家周辺と雑木林ゾーンで一部開園した。全面オープンは平成17年である。
 広大なフィールドの中で、昆虫だけでなく里山の自然を体験してもらう施設である。
 かやぶき民家は、桐生市の重要文化財に指定されているが、地元の方に協力していただいて囲炉裏を焚いて維持しており、昔のくらしの様子が分かるような展示もしている。
 また、この民家は移築当初に落雷で2階部分が焼け落ちてしまったが、大勢のボランティアの協力で復元でき、その時のボランティアの方々が、その後も昆虫の森の運営に協力してくれている。 

2 施設調査

  • かやぶき民家
  • 雑木林ポイント
  • 不二山沼ゾーン
  • 昆虫観察館
  • 食草育成温室
  • 別館
3 あり方検討委員会の答申内容
  • 資料6(あり方検討委員会中間報告書(ぐんま昆虫の森部分抜粋))により事務局から説明。
事務局

 ぐんま昆虫の森については、多額の経費をかけて運営されているが、厳しい財政状況の下で、県立の教育施設として今後どこまでの機能を備えておくのがふさわしいのか、もっと利用者を増やす取組が必要ではないかとの問題意識から検討が行われ、以下のような提言があった。

施設の必要性について

 必ずしも県としてなくてはならない施設ではないが開園して間もない施設であり、運営内容等の徹底した見直しと利用者増加の積極的な努力が強く求められた。特に、生態温室については群馬県ではなく亜熱帯の自然や蝶を展示することの必要性、里山については昆虫観察以外での利用拡大などについて検討が求められた。

管理運営方法について

  • 教育施設ではあるが観光施設としての利用も視野に入れつつ利用者の拡大を図ること
  • 既存施設や人員を見直して管理運営を効率化すること
  • できる限り利用の制約をなくして、昆虫だけでなく野外で楽しめる要素を増やす方向での運営を検討すること
  • 今まで以上に地元やボランティアとの協働を重視した運営とするよう工夫すること
  • 県内外へのPR、学校等の団体利用の促進など、新たな利用促進策を検討すること

管理運営主体について

 民間ノウハウを活用する指定管理者制度導入の可能性を検討する必要がある。

その他

 管理運営の改善等の取組は、年限を区切って目標を設定して行い、取組や結果の検証を行うよう求められた。

4 答申を受けたぐんま昆虫の森の取組状況
  • 資料7(あり方検討委員会答申後のぐんま昆虫の森の見直し状況)によりぐんま昆虫の森事務局から説明後、討議。
昆虫の森事務局

経緯

 あり方検討委員会の中間報告を受けて、県民に親しまれる施設を目指して、経費削減と来園者増加を両立させた平成21年度から24年度までの4か年の改善計画を作成した。
 計画に沿って、映像トンネルを廃止して新たな昆虫展示に改装するなど魅力ある展示空間を確保するとともに効率的な園運営により燃料・光熱水費のほか徹底した経費削減を行った。一方で、職員のアイデアを生かした目玉プログラムの企画実施や児童生徒の利用促進などの利用者増加策により、平成21年度には過去最高の117,265人の来園者となり、大きな実績を上げた。
 今後は、多額の維持費がかかる昆虫ふれあい温室(旧生態温室)の加温を停止して食草育成温室で蝶の飼育展示を行い、期日を定めて昆虫ふれあい温室に放すこととし影響を検証する。一方で、地元関係者を含む「ぐんま昆虫の森利用促進委員会」の提言も参考にして効率的な園運営に努め、通年開園、体験プログラムの通年実施、入園料の徴収を継続する。これにより、昆虫の森の魅力を失うことなく里山体験などのポテンシャルを十分生かし、最低限の経費で効率的な県民サービスの提供に努め、地域に根ざした園運営を行う。

数値目標

 経費の大幅削減と来園者の増加を共に達成し、来園者一人当たりの経費2,000円以下を目指し、経費の削減についてはおおむね計画どおり、来園者の増加については計画を上回る実績を上げている。

経費削減

  • 職員体制の見直し
     計画どおり常勤職員を4か年で17人から10人に4割削減する。
  • 施設運営に係る経費削減
     ほぼ計画どおりに大幅な経費削減を行い、4か年で6割削減する。
    具体的には、管理運営の見直し(嘱託職員の臨時職員化、閑散期の臨時職員の半減、自動券売機の導入、巡回警備委託の廃止、清掃回数や下草刈りの範囲の削減)、昆虫ふれあい温室の平成24年度からの加温停止、昆虫展示の見直し(映像トンネルの廃止、映像ソフトの新規製作中止、季節展の簡素化、レンタルサーバーへの切替え)、教育普及事業の見直し(閑散期の体験プログラムの一部中止)などにより、平成20年度の事業費2億6千8百万円余に対し、平成24年度は1億5百円余となる予定であり、年間経費を1億6千3百万円余削減する。

利用者増加に係る取組

  • 学校利用の促進
     指導主事や社会教育主事が集まる機会をとらえてPRを行った。また、埼玉県北部や栃木県西部の学校にもPRに出かけている。結果として、学校利用は平成20年度は300校弱だったものが、現在では400校を超え、県内の6割以上の小学校が利用している。
     学校利用における校外学習の効果を高めるという面から見ると、指定管理者導入はメリットが少ないと考える。
  • 施設のリニューアル及びフィールドの整備
     映像トンネルを廃止し、昆虫に関する学習展示や世界の昆虫を生態展示するコーナーにリニューアルし好評を得ている。
     かやぶき民家の2階を資材置き場から養蚕農家の暮らしや農具の展示コーナーに変え、昔の暮らしの学習コーナーとして利用している。
     また、友の会会員や地元ボランティア、ロータリークラブなどの協力により、ホタルの生息環境の整備や植樹などが進んだ。
  • 企画の充実
     ホタル鑑賞会の開催や夜間観察会の予約不要化、四季折々のイベント開催などを行った。
  • 地元や他団体との連携企画
     各種団体のイベント等との連携などを行った。
  • 広報PR
     観光地やマスコミ等への積極的なPRに取り組んでいる。

入園者の目標と推移

 入園者数は、平成20年度の88,212人に対し、平成21年度は過去最高の117,265人を記録し、平成23年度も東日本大震災の影響があったものの11万人を見込んでおり、大幅に増加している。

5 討議

荒木委員

 昆虫ふれあい温室の加温を止めることについて、温室内の植物は大丈夫か。

昆虫の森事務局

 秋までは特に加温しなくても今と同じ植生を維持できるが、秋の夜間や冬期に加温しないと来年の早春頃に影響が出てくる可能性がある。

荒木委員

 それでは、加温停止の影響を検証した後で「やっぱり元に戻そう」となったときに、枯れてしまった植物の植替えが必要となり逆に経費がかかってしまうのではないか。

昆虫の森事務局

 現在は亜熱帯の自然を忠実に再現しているが、加温をしなくても鑑賞に堪える植物に順次代えていくことを検討している。経費削減を図るためのいくつかの選択肢の中から、この案であれば、今後も蝶の飼育を続けることができ、職員が減るので種類は若干減らすが、温室への放蝶等も可能になると考えたものである。

佐藤委員長

 加温を停止して実験的にきめ細かく温度を調節していくということか。

昆虫の森事務局

 そのとおりである。入園者の意見や植物等への影響を見極めながら対応していきたい。

鴻上委員

 あり方検討委員会の委員であった立場から見て、ものすごい努力と工夫をして改善が図られており感動した。
 結果として、経費削減により職員が減った一方で学校利用が増えているが、対応し切れているのか。現状の人数で対応できる範囲で対応するということになってしまうと本末転倒である。

昆虫の森事務局

 職員数を減らしてきているが、学校利用の受入れを制限することは考えていない。学校利用に係わる職員を減らした分は嘱託職員を配置しており、また、臨時職員の半減も閑散期のみとして夏の繁忙期は行わないので、おおむね今までどおりの対応が可能である。
 体験プログラムについても、平日や冬の閑散期は簡素化や減少せざるを得ないが、繁忙期は影響が出ないようにスケジュール等を調整中である。

生涯学習課長

 繁忙期は、県庁の本課職員も業務応援に入っている。

佐藤委員長

 繁忙期の入園者数を100とすると閑散期はどのくらいか。

昆虫の森事務局

 8月の入園者数約2万3千人に対し、2月は約2千5百人であり、10分の1である。

桐谷委員

 来園者一人当たり経費を2,000円以下にしようという難しい数値目標に対して、PRも含め、職員が努力し、苦労している様子がよく分かった。
 子ども達に豊かな自然を体験させるプログラムも多く用意されている。こうした内容は、特に都会の子ども達にこそ体験してほしい。

佐藤委員長

 他県にはこうした県立の昆虫体験施設はあるのか。

園長

 類似施設は日本に25館あるが、現在1館が休館中なので、稼働しているのは24館である。多くは市町村立の施設であり、また、約半分は指定管理者による管理への切替えが進んでいる。
 都道府県立では、多摩動物園の中にある昆虫園が動物園利用者約100万人のうち約30万人が入園しており全国1位である。ぐんま昆虫の森は年間入園者が約11万人であり、2番目の実績である。

昆虫の森事務局

 他の施設は、都市公園や動物園の中に併設されており、点としての昆虫館である。ぐんま昆虫の森は里山を中心とした面的な施設であり、虫採りも含め、里山を体験してもらって価値が出る施設である。他には類がない施設だと考えている。

園長

 虫採り網を貸し出しているのはここだけである。都市公園などではそうしたことが禁止されている。大きなフィールドがあることが、それだけ人や手間はかかっているが、ぐんま昆虫の森の特色である。

佐藤委員長

 あり方検討委員会の答申はかなり厳しい表現になっているが、そういう観点から見た場合にこれまでの取組状況をどう評価するか。

鴻上委員

 あり方検討委員会が設置された経緯として、厳しい財政状況の中で年間数億円の運営経費をかけている施設について経費削減の必要があるという問題意識があった。また、ぐんま昆虫の森は、委員会での検討の順番が最初の方であったことも厳しい表現となったことに影響したと思う。
    来園者一人当たりの経費2,000円という数字は、あり方検討委員会で意見が出たが、明確な根拠に基づくものではないと記憶している。削減しすぎて運営に支障をきたすことは問題と考えており、「一人当たりの経費2,000円」の基準を見直してもよいのではないか。

佐藤委員長

 あり方検討委員会の答申に沿ったことができているかどうかの評価という観点では、管理運営主体の検討結果について説明があったが、生涯学習課と検討した結果か。

生涯学習課長

 当課と協議した結果であり、教育委員会としての見解である。

佐藤委員長

 答申では「民間事業者の意向を広く聴取する」方法も提案されているが、民間事業者の意見は聞いたか。

生涯学習課長

 民間事業者には問い合わせていない。

鴻上委員

 あり方検討委員会で調査した時には魅力が薄い施設との印象を受けたので、営業活動のようなことは県職員よりも民間が得意な分野であり、指定管理も検討すべきとの意見が出たものである。
 しかし、実際にこの3年間でここまでの取組ができた。県職員でもやればできるということが証明できたのではないか。

生涯学習課長

 地元や民間の方も入った利用促進委員会の意見も参考にして、運営の見直しをしてきた経緯もある。

荒木委員

 施設がオープンした当時から、地元やボランティアとよい関係にあるとの印象を持っていた。

荒木委員

 県民に対しての行政サービスということも踏まえた上で、首都圏からもっと人が呼べるのではないか。県の観光部局等をもっと利用してPRした方がよい。

佐藤委員長

 持っている資源をPRして、まずは知ってもらうことが必要である。

桐谷委員

 昆虫観察館も安藤忠雄氏の設計ですばらしい建物である。

昆虫の森事務局

 駐車場のナンバー調査を実施しているが、昨年度は県外ナンバーが26%で約4分の1を占めた。20年度は19.7%であり、これまでのPR活動により、若干ではあるが増えてきている。

荒木委員

 プレゼンの仕方によって、もっと伸びしろがあると思う。

園長

 99%がマイカーでの来園である。首都圏からも多く来園しているが、他に交通手段がない。東武鉄道の「りょうもう号」と接続するバスがあれば理想である。通常のバスについても、みどり市のデマンドバスが目と鼻の先まで来ているのに市が違うのでここまでは来ない。交通の便がなんとかなれば、多少は違ってくると思う。

事務局

 小中学生を主に対象としている施設であり、友達同士でも来られる環境が理想である。開園当初からバス会社等に要望はしているが、経営的に難しい面がある。

鴻上委員

 来園者も増えており、この数字を見せてバス会社等に改めて検討してもらってもよいのではないか。

(4) その他

  • ぐんま天文台に関する意見書は、書面協議により確定する。
  • 次回委員会は5月の連休後に開催予定。議題は、あり方検討委員会中間報告対象施設の残り2施設(近代美術館、館林美術館)の検証と新行政改革大綱を1年回しての評価を予定している。

(参考)第5回委員会資料