ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織からさがす > 総務部 > 総務課 > 令和3年度答申第5号

本文

令和3年度答申第5号

更新日:2021年10月6日 印刷ページ表示

第1 審査会の結論

 本件審査請求には、理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により審査請求を棄却すべきである。

第2 審査関係人の主張の要旨

1 審査請求人

 処分庁が行った令和3年3月26日付け生活扶助申請却下処分(以下「本件処分1」という。)及び同日付け葬祭扶助申請却下処分(以下「本件処分2」という。)を取り消し、原申請のとおりに支給することを求めるものであり、その理由は次のとおりである。

(1)本件処分1について、処分庁は、クレジットカードの遅延損害金は生活保護の項目にないという理由で申請を却下したが、何も対応しないのは保護責任者遺棄罪にあたる。
(2)本件処分2について、処分庁は見積書を提出しない限り支給しないと言うが、憲法第13条違反である。見積書に記載されている金額は、相手方が請求できる最高額が記載されている。樹木葬のみであれば基準額の上限を少し上回るだけなので、足りない額は生活扶助から回す。

2 審査庁

 審理員意見書のとおり、本件審査請求を棄却すべきである。

第3 審理員意見書の要旨

1 本件処分1の妥当性

 審査請求人が処分庁に提出した書類によると、再振替手数料○円、遅延損害金○円、合計○円の請求が発生したことが認められるが、当該再振替手数料及び遅延損害金は継続性のあるものではなく、「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和36年4月1日厚生省発社第123号厚生事務次官通知。以下「次官通知」という。)で定める「経常的最低生活費」には当たらない。また、次官通知によると「臨時的最低生活費(一時扶助費)」は、「新たに保護開始する際等に最低生活の基盤となる物資を欠いている場合」等の特別な需要のある者について、「最低生活に必要不可欠な物資を欠いていると認められる場合」に認められるものであり、こちらにも該当しない。
 したがって、本件処分1は法令等の定めるところに従って適法かつ適正になされたものであり、違法又は不当であるとはいえない。

2 本件処分2の妥当性

 審査請求人が処分庁に提出した申請書によれば、審査請求人による葬祭扶助の申請に係る費用の予定額が○円であったことが認められ、また、本件では、「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和38年4月1日社発第246号厚生省社会局長通知。以下「局長通知」という。)第7の9の(1)ないし(4)に該当するような事由は認められない。
「生活保護法による保護の基準」(昭和38年4月1日厚生省告示第158号。以下「告示」という。)別表第9によれば、審査請求人の葬祭地である○の級地区分は3級地-1であり、本件処分2の処分時における告示別表第8の葬祭扶助基準額は、大人は182,900円以内であることから、審査請求人から申請があった葬祭費用は当該基準額を超過しており、「生活保護の葬祭扶助の適正な給付等について」(平成26年3月31日社援保発0331第2号厚生労働省社会・援護局保護課長通知。以下「課長通知」という。)2の(2)アにいう「高額な葬祭費用」に当たる。

3 結論

 したがって、本件処分2は法令等の定めるところに従って適法かつ適正になされたものであり、違法又は不当であるとはいえない。

第4 調査審議の経過

 当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。
 令和3年8月18日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受
 令和3年8月25日 調査・審議
 令和3年9月30日 調査・審議

第5 審査会の判断の理由

1 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

2 本件に係る法令等の規定について

(1)生活扶助

 法第12条において「生活扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。 一 衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの 二 移送」と規定されている。

(2)最低生活費

 次官通知第7において、「最低生活費は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別等による一般的な需要に基づくほか、健康状態等によるその個人又は世帯の特別の需要の相違並びにこれらの需要の継続性又は臨時性を考慮して認定すること。」とされ、「経常的最低生活費」と「臨時的最低生活費(一時扶助費)」が定められている。
 また、次官通知第7の1における経常的最低生活費(以下「経常的最低生活費」という。)とは、「要保護者の衣食等月々の経常的な最低生活需要のすべてを満たすための費用として認定するものであり、したがって、被保護者は、経常的最低生活費の範囲内において、通常予測される生活需要はすべてまかなうべきものであること。」とされている。
 そして、次官通知第7の2における臨時的最低生活費(一時扶助費)(以下「臨時的最低生活費」という。)とは、「次に掲げる特別の需要のある者について、最低生活に必要不可欠な物資を欠いていると認められる場合であって、それらの物資を支給しなければならない緊急やむを得ない場合に限り、別に定めるところにより、臨時的に認定するものであること。(中略)(1)出生、入学、入退院等による臨時的な特別需要(2)日常生活の用を弁ずることのできない長期療養者について臨時的に生じた特別需要(3)新たに保護開始する際等に最低生活の基盤となる物資を欠いている場合の特別需要」とされている。

(3)葬祭扶助

 法第18条第1項において、「葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。 一 検案 二 死体の運搬 三 火葬又は埋葬 四 納骨その他葬祭のために必要なもの」と規定されている。。
 また、局長通知第7の1(1)において、「葬祭扶助については、葬祭地の級地基準によること」とされ、告示別表第9において審査請求人の葬祭地である○の級地区分は3級地-1と、告示別表第8の1において3級地の大人の基準額は182,900円以内と定められている。
 そして、局長通知第7の9において、「(1)小人の葬祭に要する費用が保護の基準別表第8の1の小人の基準額をこえる場合であって、当該地域の葬祭の実態が大人と同様であると認められるときは、保護の基準別表第8の1の基準額について大人の基準を特別基準の設定があったものとして適用して差しつかえない。(2)法第18条第2項第1号に該当する死者に対し葬祭を行なう場合は、葬祭扶助基準額表の額(火葬料等についての加算及び(1)により特別基準の設定があった場合を含む。)に1,000円を加算した額を特別基準の設定があったものとして、計上して差しつかえないこと。(3)死亡診断又は死体検案に要する費用(文書作成の手数料を含む。)が5,350円をこえる場合は、葬祭扶助基準額表の額(火葬料等についての加算並び(1)及び(2)より特別基準の設定があった場合を含む。)に当該こえる額を加算した額を、特別基準の設定があったものとして、計上して差しつかえないこと。(4)火葬又は埋葬を行なうまでの間、死体を保存するために特別な費用を必要とする事情がある場合は、必要最小限度の実費を特別基準の設定があったものとして計上して差しつかえないこと。(5)略(6)略」と規定されている。
 さらに、課長通知2の(2)アにおいて、「葬祭に要する費用が、告示別表第8葬祭扶助基準並びに局長通知第7の9の(1)から(4)までの範囲内である場合に限って、死亡した被保護者の遺留金品を充当してもなお不足する費用について、支給するものであること。なお、葬祭扶助はあくまで最低限度の葬祭を行った場合に適用されるものであることから、高額な葬祭費用に対して葬祭扶助費の支給限度額を適用する取扱いは認められないので留意すること。」とされている。
 加えて、「単身世帯の被保護者の死亡により保護を廃止する場合や葬祭扶助を行う場合に係る取扱いについて」(平成25年10月31日25検第553号。以下「会計検査院通知」という。)1(3)において、「葬祭費用が葬祭扶助の基準額を超える葬祭については、最低限度の生活を保障する保護の対象とならないことから、これに対して葬祭扶助を行うことはできない」と、同2(2)において、「保護は、基準額の範囲内で行われるものであり、葬祭費用が葬祭扶助の基準額を超える葬祭に対して、その費用の一部に充当するために葬祭扶助を支給することはできない」とされている。

3 本件処分1及び本件処分2の妥当性について

(1)本件処分1の妥当性について

 審査請求人が処分庁に提出した本件処分1に係る令和3年1月26日付け保護変更申請書に係る申請書類によると、クレジットカードの引き落としができなかったため、再振替手数料○円及び遅延損害金○円の合計○円の請求が発生したことが認められる。
 しかし、当該再振替手数料及び遅延損害金は、継続性のあるものではなく、経常的最低生活費として認定できる費用には当たらない。また、審査請求人が次官通知第7の2(1)から(3)までに掲げる特別の需要のある者であり、最低生活に必要不可欠な物資を欠いていると認めるに足りる事実は認められず、臨時的最低生活費として認定できる費用にも当たらない。
 したがって、本件処分1は、適法かつ適正になされたものであり、違法又は不当であるとはいえない。

(2)本件処分2の妥当性について

 審査請求人が処分庁に提出した本件処分2に係る令和3年1月26日付け葬祭扶助申請書によれば、葬祭費用の予定額が○円であったことが認められる。
 告示別表第9によれば、審査請求人の葬祭地である○の級地区分は3級地-1であり、本件処分2の処分時における告示別表第8の葬祭扶助基準額は、大人は182,900円以内であることから、当該申請書において申請された葬祭費用は当該基準額を超過している。
 また、当該申請書において申請された葬祭費用について、局長通知第7の9(1)から(4)までに該当する事由は認められない。
 さらに、課長通知2の(2)アなお書き、会計検査院通知1(3)及び2(2)において、葬祭費用が葬祭扶助の基準額を超える葬祭に対して、その費用の一部に充当するために葬祭扶助を支給する取扱いは認められていない。
 したがって、本件処分2は、適法かつ適正になされたものであり、違法又は不当であるとはいえない。

(3)結論

 よって、本件処分1及び本件処分2には、これを取り消すべき違法又は不当な点はないものと認められる。

第6 結論

 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、「第1 審査会の結論」のとおり、答申する。

群馬県行政不服審査会答申集ページへ戻る群馬県行政不服審査会ページへ