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令和3年度答申第9号

更新日:2021年12月16日 印刷ページ表示

第1 審査会の結論

 本件審査請求には、理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により審査請求を棄却すべきである。

第2 審査関係人の主張の要旨

1 審査請求人

 当初の申請時と身体の状態は変わっていないのに却下となったことに納得がいかない。
 また、住民登録が職権消除されると受給の権利を喪失するという説明が、○○福祉事務所長(以下「処分庁」という。)からなかった。

2 審査庁

 審理員意見書のとおり、本件審査請求を棄却すべきである。

第3 審理員意見書の要旨

 次のとおり、本件審査請求には理由がないから、棄却されるべきである。
1 本件については、当初提出された診断書に関節可動域(他動範囲)の記載がなかったため、処分庁は補正を求めたが、○○において大関節測定用の器具がないことから、認定に必要な補正がなされなかった。
令和2年12月23日付け処分庁による特別障害者手当認定請求却下処分(以下「本件処分」という。)は、処分庁が補正を求めた上で、認定に必要な記載が診断書になく、認定することができないとして行われたものであり、違法又は不当な点はない。
2 審査請求人は、最初に手当を受給することとなった平成24年に、住民登録が職権消除されると手当の受給の権利を喪失するという説明が処分庁からなかったと主張しているが、本件処分自体には直接関係がなく、また、どのような場合に受給の権利を喪失するかを受給者に対して明示することを求める法令の規定は存在しないのであるから、そのことをもって、本件処分が違法又は不当であったとはいえない。
3 審査請求人は、日本国憲法第29条第3項に規定する損失補償等について主張しているが、本件処分の違法性又は不当性の判断とは直接関係がない。

第4 調査審議の経過

 当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。
 令和3年11月10日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受
 令和3年11月17日 調査・審議
 令和3年11月25日 審査請求人から主張書面を収受
 令和3年12月16日 調査・審議

第5 審査会の判断の理由

1 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

2 審査会の判断について

(1)本件に係る法令等の規定について

ア 特別障害者手当とは、特別児童扶養手当等の支給に関する法律(昭和39年法律第134号。以下「法」という。)に基づき、精神又は身体に著しく重度の障害を有する者の福祉の増進を図るために支給されるものである。
イ 法第2条第3項に規定する「政令で定める程度の著しく重度の障害の状態」については、特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令(昭和50年政令第207号。以下「令」という。)第1条第2項各号に掲げられており、その具体的な基準は「障害児福祉手当及び特別障害者手当の障害程度認定基準について(昭和60年12月28日社更第162号厚生省社会局長通知。以下「認定基準」という。)により、厚生労働省が定めている。また、認定基準第一の3では、障害程度の認定は、原則として、診断書によって行うこととされている。
ウ 令第1条第2項第1号に該当する障害の程度
令第1条第2項第1号に該当する障害の程度とは、令別表第2各号に掲げる障害が重複するものである。令別表第2各号に掲げる障害のうち審査請求人の障害の状態に関する認定基準は以下のとおりである。
(ア)令別表第2第3号(両上肢機能障害)
a 両上肢の機能に著しい障害を有するもの又は両上肢のすべての指を欠くもの若しくは両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
b 両上肢の機能に著しい障害を有するものとは、おおむね両上肢のそれぞれについて肩、肘及び手の3大関節中いずれか2関節以上が用を廃する程度の障害を有するものをいう。この場合において、関節が用を廃する程度の障害とは、各々の関節が強直若しくはそれに近い状態(可動域10度以下)にある場合又は関節に目的運動を起こさせる筋力が著減(徒手筋力テスト2以下)している場合で日常生活動作に必要な運動を起こし得ない程度の障害をいう。ただし、肩関節については、前方及び側方の可動域が30度以下のものは、その用を廃する程度の障害に該当するものとする。
 なお、この場合には上肢装具等の補装具を使用しない状態で、日常生活において次のいずれかの動作も行うことができないものである。

  • かぶりシャツの着脱(1分以内に行う)
  • ワイシャツのボタンをとめる(1分以内に行う)

c 両上肢のすべての指を欠くものとは、それぞれの指を近位節(指)骨の基部から欠き、その有効長が0のものをいう。
d 両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するものとは、指の著しい変形、麻痺による高度の脱力、関節の硬直、瘢痕による指の埋没又は拘縮等により指があってもそれがないのとほとんど同程度の機能障害があるものをいう。
 なお、この場合には日常生活において次のいずれの動作も行うことができないものとする。

  • タオルを絞る(水を切れる程度)
  • とじひもを結ぶ(10秒以内に行う)

(イ)令別表第2第4号(両下肢機能障害)
a 両下肢の機能に著しい障害を有するもの又は両下肢を足関節以上で欠くもの
b 両下肢の機能に著しい障害を有するものとは、おおむね両下肢のそれぞれについて股、膝及び足の3大関節中いずれか2関節以上が用を廃する程度の障害を有するものをいう。この場合において、関節が用を廃する程度の障害を有するとは、各々の関節が強直若しくはそれに近い状態(可動域10度以下。なお、足関節の場合は5度以下)にある場合又は下肢に運動を起こさせる筋力が著減(徒手筋力テスト2以下)している場合で、起立歩行に必要な動作を起こし得ない程度の障害をいう。ただし、膝関節のみが100度屈位の強直である場合のように単に一関節が用を廃するにすぎない場合であっても、その下肢は歩行する場合に使用することができないため、その下肢の機能に著しい障害を有するものとする。
 なお、この場合はつえ、松葉づえ、下肢装具等の補装具を使用しない状態で、日常生活において次のいずれかの動作も行うことができないものである。

  • 片足で立つ
  • 階段の昇降

c 両下肢を足関節以上で欠くものとは、ショパール関節以上で欠くものをいう。
d 人工骨頭又は人工関節をそう置換したものについては、そう入置換した状態で認定を行うものとする。
(ウ)令別表第2第5号(体幹機能障害)
a 体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの
b 体幹機能障害は、高度体幹麻痺等を後遺した脊髄性小児麻痺、脳性麻痺、脊髄損傷、強直性脊椎炎等によって生ずるが、これらの多くのものは障害が単に体幹のみならず四肢に及ぶものが多い。このような症例における体幹の機能障害とは四肢の機能障害を一応切り離して、体幹のみの障害の場合を想定したものをいう。従ってこのような症例の場合は体幹と四肢の障害の程度を総合して判定するものであるが、この際体幹と下肢の重複障害として認定するときは慎重に行うこと。
c 座っていることができないとは、腰掛、正座、横座り、長座位及びあぐらのいずれもできないものをいい、立ち上がることができないとは、臥位又は座位から自力のみで立ち上がれず、他人、柱、つえ、その他の器物の介護又は補助によりはじめて立ち上がることができるものをいう。
(エ)令別表第2第6号(内部障害)(心臓)
a 心臓の機能障害については、永続する機能障害(将来とも回復する可能性がないか極めて少ないものをいう。以下同じ。)をいうものとする。
b 心臓の機能障害の程度についての判定は、呼吸困難、心悸亢進、チアノーゼ、浮腫等の臨床症状、X線、心電図等の検査成績、一般状態、治療及び症状の経過等により行うものとし、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される状態にあるものについては、令別表第2第6号に該当するものとする。
c 令別表第2第6号に該当すると思われる症状には、次のようなものがある。
次のうちいずれか2以上の所見があり、かつ、自己の身辺の日常生活活動でも心不全症状又は狭心症症状が起こるもの

  • 心胸比が60%以上のもの
  • 心電図で陳旧性心筋梗塞所見があるもの
  • 心電図で脚ブロック所見があるもの
  • 心電図で完全房室ブロック所見があるもの
  • 心電図で第2度の房室ブロック所見があるもの
  • 心電図で心房細動又は粗動所見があり、心拍数に対する脈拍数の欠損が1分間10以上のもの
  • 心電図でSTの低下が0.2mv(ミリボルト)以上の所見があるもの
  • 心電図で第1誘導、第2誘導及び胸部誘導(ただしV1を除く。)のいずれかのT波が逆転した所見があるもの
  • 心臓ペースメーカーを装着したもの
  • 人工弁を装着したもの

心臓ペースメーカー及び人工弁を装着したものについては装着した状態で認定を行うものとする。
エ 令第1条第2項第2号に該当する障害の程度
令第1条第2項第2号に該当する障害の程度とは、次のいずれかに該当するものとする。
(ア)令別表第2第1号から第7号までのいずれか1つの障害を有し、かつ、認定基準第三の2(1)の表に規定する身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害を重複して有するもの
a 認定基準第三の2(1)の表第7号 一上肢の機能障害
 一上肢の機能に著しい障害を有するもの又は一上肢のすべての指を欠くもの若しくは一上肢のすべての指の機能を全廃したもの
 一上肢の機能に著しい障害を有するものとは、おおむね肩、肘及び手の3大関節中いずれか2関節以上が用を廃する程度の障害を有するものとする。この場合において、関節が用を廃する程度の障害を有するとは各々の関節が強直若しくはそれに近い状態(可動域10度以下)にある場合又は関節に目的運動を起こさせる筋力が著減(徒手筋力テスト2以下)している場合で日常生活動作に必要な運動を起こし得ない程度のものとする。
 なお、肩関節については、前方及び側方の可動域が30度以下のものはその用を廃する程度に該当するものとする。
 一上肢のすべての指を欠くものとは、それぞれの指を近位節(指)骨の基部から欠き、その有効長が0のものをいう。
 一上肢のすべての指を全廃したものとは、一上肢のすべての指の各々の関節の可動域が10度以下のものとする。
b 認定基準第三の2(1)の表第8号 一下肢の機能障害
 一下肢の機能を全廃したもの又は一下肢を大腿の2分の1以上で欠くもの
 一下肢の機能を全廃したものとは、一下肢の股、膝及び足の3大関節のいずれの関節とも用を廃する程度の障害を有するものとする。この場合において、関節が用を廃する程度の障害を有するとは、各々の関節が強直若しくはそれに近い状態(可動域10度以下。なお、足関節の場合は5度以下。)にある場合又は下肢に運動を起こさせる筋力が著減(徒手筋力テスト2以下)している場合で起立歩行に必要な動作を起こし得ない程度のものとする。
 大腿の切断の部位及び長さは実用長をもって計測するものとする。
c 認定基準第三の2(1)の表第9号 体幹の機能障害
 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するものとは、室内においては、つえ、松葉づえその他の補助器具を必要とせず、起立移動が可能であるが、野外ではこれらの補助器具の助けをかりる必要がある程度又は片脚による起立保持が全く不可能な程度のものとする。
(イ)令別表第2第3号から第5号までのいずれか1つの障害を有し、かつ、次の日常生活動作評価表の日常生活動作能力の各動作の該当する点を加算したものが10点以上のもの。(この評価は、つえ、松葉づえ、下肢装具等の補助具等を使用しない状態で行うものである)

  • タオルを絞る(水をきれる程度)
  • とじひもを結ぶ
  • かぶりシャツを着て脱ぐ
  • ワイシャツのボタンをとめる
  • すわる(星座・横すわり・あぐら・脚なげだしの姿勢を持続する)
  • 立ち上がる
  • 片足で立つ
  • 階段の昇降

前記の各動作の評価は次によること

ひとりでできる場合 …0点
ひとりでできてもうまくできない場合 … 1点
ひとりでは全くできない場合 … 2点

注(1)とじひもを結ぶの場合については、次によること
5秒以内にできる … 0点
10秒以内にできる … 1点
10秒ではできない …2点
注(2)かぶりシャツを着て脱ぐ及びワイシャツのボタンをとめるの場合については、次によること
30秒以内にできる … 0点
1分以内にできる …1点
1分以内ではできない …2点

オ 令第1条第2項第3号に該当する障害の程度
 令第1条第2項第3号に該当する障害の程度とは、次のいずれかに該当するものとする。
(ア)認定基準第二の4(内部障害)又は5(その他の疾患)に該当する障害を有するものであって、認定基準第三の1(7)ウの「安静度表」の1度(絶対安静)に該当する状態を有するもの。
(イ)認定基準第二の6(精神の障害)に該当する障害を有するものであって、認定基準第三の1(8)エの「日常生活能力判定表」の各動作及び行動に該当する点を加算したものが14点以上となるもの。
カ「改訂特別障害者手当等支給事務の手引」(平成10年4月30日発行。厚生省大臣官房障害保健福祉部企画課監修。以下「手引」という。)において、「肢体不自由の障害程度の判断については、一部の例を除き関節可動域(ROM)、筋力テスト(MMT)の内容が、その客観的根拠となるものであり、当該記載を欠くものについて認定することは適当とは認められない」とされている。

(2)本件処分について

ア 認定方法について
障害程度の認定については、上記(1)イのとおり、原則、診断書に基づいて行うこととされている。本件において処分庁が審査請求人から提出された診断書により判断することは適正である。
イ 診断書の記載内容について
肢体不自由用診断書には、「6.握力」において右○○キログラム、左○○キログラムとなっている。「8.関節可動域及び筋力(首・体幹・四肢)」においては、関節運動筋力が左上下肢において○○となっているが、関節可動域については大関節測定用の器具がないことから、関節可動域の測定ができていないため正確な記載がない。「11.日常生活動作の障害程度」においては、○○、○○、○○、○○、○○、○○、○○、○○、○○、○○、○○、○○、○○、○○、○○のいずれの動作においてもひとりではまったくできないと記載されている。「12.備考」においては、「○○の後遺症のため、○○は屈曲拘縮を来たしている。ADLはほぼ全介助の状態である。大関節測定用の器具が無く、正確な関節可動域(他動範囲)の記載が困難である」と記載されている。診断書(肢体不自由用)における補足資料では、「○○」ができない要因について、「○○」と記載されている。
心臓疾患用診断書には、「9.臨床所見」において、○○が有りとなっている。また、「10.X線・心電図所見」では、○○、○○において有りとなっている。「11.活動能力の程度」の項目では、○○とあり、「12.安静を要する程度」は「○○」となっている。
ウ 令第1条第2項各号の該当性の有無について
審査請求人の障害程度が令第1条第2項各号に該当するかについて、上記診断書記載事項より判断すると以下のとおりと考えられる。
(ア)令第1条第2項第1号の該当性の有無について
a 両上肢の機能障害について(令別表第2第3号)
診断書では、「手指の関節の可動域」における「6.握力」の項目で、右○○キログラム、左○○キログラムとなっている。また、「関節可動域及び筋力」における「関節運動筋力」の項目では、左は「○○」「○○」「○○」の全項目が「○○」となっているが、右は「○○」「○○」「○○」の全項目が「○○」となっている。したがって、○○の状態であると推測できる。一方で、関節可動域(他動範囲)の記載がなく、客観的根拠を欠くことから、両上肢の機能障害に該当するかどうかを判断することはできない。
b 両下肢の機能障害について(令別表第2第4号)
診断書では、「関節可動域及び筋力」の「関節運動筋力」の項目において、「○○」「○○」「○○」の全項目が、右は「○○」、左は「○○」となっている。一方で、関節可動域(他動範囲)の記載がなく、客観的根拠を欠くことから、両下肢の機能障害に該当するかどうかを判断することはできない。
c 体幹の機能障害について(令別表第2第5号)
診断書では、「日常生活動作の障害程度」における「○○」の項目が○(ひとりでもうまくできる)となっている。また、「○○」の項目は×(ひとりではまったくできない)となっているが、診断書(肢体不自由用)における補足資料によると、立ち上がる動作ができない要因は「○○」という診断結果になっている。一方で、関節可動域(他動範囲)の記載がなく、客観的根拠を欠くことから、体幹の機能障害に該当するかどうかを判断することはできない。
d 内部障害(心臓)について(令別表第2第6号)
診断書の「X線・心電図所見」における「○○」「○○」の2項目が有りとなっており、かつ、「活動能力の程度」が「○○」となっている。以上のことから内部障害(心臓)は該当する。
以上のことから、令第1条第2項第1号について、該当するかどうかの判断をすることはできない。
(イ)令第1条第2項第2号の該当性の有無について
a 令別表第2第1号から第7号までのいずれか1つの障害を有し、かつ、認定基準第三の2(1)の表に規定する障害を重複して有するものについて
上記(ア)dのとおり、令別表第2第6号(内部障害(心臓))は該当している。
一方で、認定基準第三の2(1)の表に規定する障害を重複して有するかどうかの判断に当たり、診断書において、関節可動域(他動範囲)の記載がなく、客観的根拠を欠くことから、該当するかどうかの判断をすることができない。
b 令別表第2第3号から第5号までのいずれか1つの障害を有し、かつ、認定基準第三の2(2)の日常生活動作評価表の点を加算したものが10点以上のものについて
令別表第2第3号から第5号のいずれも該当するかどうか判断することはできないことから、認定することは適当とは認められない。
(ウ)令第1条第2項第3号の該当性の有無について
認定基準第二の4(内部障害(心臓))に該当するが、診断書によると、安静を要する程度が「○○」であるため、令第1条第2項第3号に該当しない。

(3)本件処分の違法性又は不当性の有無について

 手引にあるとおり、肢体不自由の障害程度の判断において関節可動域、筋力テストの記載は客観的根拠として必要であり、当該記載がない診断書で認定することは適当ではない。
 本件については、当初提出された診断書に関節可動域(他動範囲)の記載がなかったため、処分庁はその補正を求めたが、○○に大関節測定用の器具がないことから、認定に必要な補正がなされなかった。
 したがって、本件処分は、処分庁が補正を求めた上で、認定に必要な記載が診断書になく、認定することができないとして行われたものであり、違法又は不当な点はない。
 なお、本件において、審査請求人は、○○に大関節測定用の器具がないため、関節可動域、筋力テストの実施ができなかった。上記の結論は、これにより、診断書に障害の状態の認定に必要な記載がされていないというやむを得ない事情があったことによるものである。よって、障害の状態の認定に必要な事項が記載された診断書の作成が可能となった場合は、本件処分とは結論が異なる場合もありうる。

(4)審査請求人のその他の主張について

 ア 処分庁による説明について
 審査請求人は、最初に手当を受給することとなった平成24年に、住民登録が職権消除されると手当の受給の権利を喪失するという説明が処分庁からなかったと主張しているが、本件処分自体には直接関係がなく、また、どのような場合に受給の権利を喪失するかを受給者に対して明示することを求める法令の規定は存在しないのであるから、そのことをもって、本件処分が違法又は不当であったとはいえない。
イ その他の主張について
 審査請求人は、日本国憲法第29条第3項に規定する損失補償等について主張しているが、本件処分の違法性又は不当性の判断とは直接関係がない。

(5)審査請求人による主張書面について

 審査請求人により提出された令和3年11月25日付け主張書面における主張は、審理手続における従前の主張を繰り返すものであり、審査結果に影響を及ぼすものではない。

 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、「第1 審査会の結論」のとおり答申する。

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