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令和4年度答申第3号

更新日:2022年4月21日 印刷ページ表示

第1 審査会の結論

 本件審査請求には、理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により審査請求を棄却すべきである。

第2 審査関係人の主張の要旨

1 審査請求人

 本件処分を取り消し、実際に支給するまでの利息を付し、原処分によって生じた損害額を加えて支給することを求めるものであり、その理由は次のとおりである。

  • 処分庁は民法第704条違反・業務妨害であり、法令遵守義務に反しているため。

2 審査庁

 審理員意見書のとおり、本件審査請求を棄却すべきである。

第3 審理員意見書の要旨

 生活保護における「臨時的最低生活費(一時扶助費)」は、特別な需要のある者について、「最低生活に必要不可欠な物資を欠いていると認められる場合」に認められるものであり、請求人が主張する自転車の修理代はこれに当たらない。
 よって、請求人が日常生活で使用する自転車の修理代は、「経常的最低生活費」に当たるものと解すべきである。
 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、棄却すべきである。

第4 調査審議の経過

 当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。
 令和4年3月7日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受
 令和4年3月15日 調査・審議
 令和4年4月12日 調査・審議

第5 審査会の判断の理由

1 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

2 本件処分に係る法令等の規定について

(1)生活扶助

 生活保護法(昭和25年法律第144号)第12条において「生活扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。一 衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの 二 移送」と規定されている。

(2)最低生活費

 生活保護法による保護の実施要領について(昭和36年4月1日厚生省発社第123号厚生事務次官通知。以下「次官通知」という。)第7において、「最低生活費は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別等による一般的な需要に基づくほか、健康状態等によるその個人又は世帯の特別の需要の相違並びにこれらの需要の継続性又は臨時性を考慮して認定すること。」とされ、「経常的最低生活費」と「臨時的最低生活費(一時扶助費)」が定められている。
 また、次官通知第7の1において経常的最低生活費(以下「経常的最低生活費」という。)とは、「要保護者の衣食等月々の経常的な最低生活需要のすべてを満たすための費用として認定するものであり、したがって、被保護者は、経常的最低生活費の範囲内において、通常予測される生活需要はすべてまかなうべきものであること。」とされている。
 そして、次官通知第7の2において臨時的最低生活費(一時扶助費)(以下「臨時的最低生活費」という。)とは、「次に掲げる特別の需要のある者について、最低生活に必要不可欠な物資を欠いていると認められる場合であって、それらの物資を支給しなければならない緊急やむを得ない場合に限り、別に定めるところにより、臨時的に認定するものであること。(中略)(1)出生、入学、入退院等による臨時的な特別需要(2)日常生活の用を弁ずることのできない長期療養者について臨時的に生じた特別需要(3)新たに保護を開始する際等に最低生活の基盤となる物資を欠いている場合の特別需要」とされている。

3 本件処分の妥当性について

 生活扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの等を給付するものである。
 最低生活費は、要保護者の衣食等月々の経常的な最低生活需要の全てを満たすための費用として認定するものとされている経常的最低生活費と、特別の需要のある者について、最低生活に必要不可欠な物資を欠いていると認められる場合であって、それらの物資を支給しなければならない場合に限り臨時的に認定するものとされている臨時的最低生活費とに区分される。
 被保護者は、経常的最低生活費の範囲内において通常予測される生活需要を全て賄うべきであるとされているとともに、臨時的最低生活費は出生、入学、入退院等による臨時的に生じた特別需要等に対応するものとされている。
 日常生活用の自転車の修理費は、臨時的に生じた特別需要等に該当するとはいえず、通常予測される生活需要と考えられることから、その修理費用は経常的最低生活費の範囲内において賄うべきものであり、既定の最低生活費のほかに自転車の修理費を最低生活費として給付するよう求める保護変更申請を却下した処分庁の判断は、法令の規定及びその解釈に従い適正になされたものであり、違法又は不当な点は認められない。

4 その他

 その他の点について、違法又は不当な点は認められない。

第6 結論

 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、「第1 審査会の結論」のとおり、答申する。

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