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令和元年度答申第9号

更新日:2020年4月14日 印刷ページ表示

件名

 特別障害者手当認定請求却下処分についての審査請求

第1 審査会の結論

 本件審査請求には、理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により審査請求を棄却すべきである。

第2 審査関係人の主張の要旨

1 審査請求人

 特別障害者手当について以前から認定されていた。身体の状態は悪くなっているにもかかわらず、非該当となったことに不服があり、処分の取消しを求める。

2 審査庁

 審理員意見書のとおり、棄却すべきである。

第3 審理員意見書の要旨

 次のとおり、本件審査請求には理由がないから、棄却されるべきである。

  • 特別障害者の障害程度については、特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令(昭和50年政令第207号。以下「令」という。)第1条第2項各号において定められており、その具体的な基準は「障害児福祉手当及び特別障害者手当の障害程度認定基準について」(昭和60年12月28日付け社更第162号厚生省社会局長通知)の別紙「障害児福祉手当及び特別障害者手当の障害程度認定基準」(以下「認定基準」という。)によることとされている。
  • 特別障害者の障害程度の認定については、認定基準第1の3により、原則診断書に基づいて行うこととされている。本件処分において処分庁が審査請求人から提出された診断書により判断することは適正である。
  • 診断書により認められる審査請求人の障害程度は、令第1条第2項各号のいずれにも該当しないことから、処分庁が特別障害者手当の認定請求を却下したことに違法又は不当な点はない。

第4 調査審議の経過

 当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。
 令和2年2月12日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受
 令和2年2月20日 調査・審議
 令和2年3月16日 調査・審議

第5 審査会の判断の理由

1 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

2 審査会の判断について

(1) 本件に係る法令等の規定について

ア 特別障害者手当とは、特別児童扶養手当等の支給に関する法律(昭和39年法律第134号。以下「法」という。)に基づき、精神又は身体に著しく重度の障害を有する者の福祉の増進を図るために支給されるものである。
イ 法第2条第3項に規定された「政令で定める程度の著しく重度の障害の状態」については、令第1条第2項各号に掲げられており、その具体的な基準は認定基準により、厚生労働省が定めている。また、当該認定基準第1の3では、「障害程度の認定は、原則として、診断書によって行うこと」とされている。
ウ 令第1条第2項第1号で定める著しく重度の障害の状態とは、令別表第2各号に掲げる障害が重複するものである。令別表第2各号に掲げる障害のうち審査請求人の障害の状態に関する認定基準は以下のとおりである。

(ア) 第1号(視覚障害)

 両眼の視力の和が0.04以下のもの
a 試視力表の標準照度は、200ルクスとする。
b 屈折異常のある者については、矯正視力によって測定する。矯正視力とは、眼科的に最も適当な常用しうる矯正眼鏡(コンタクトレンズを含む。)によって得られた視力をいう。
c 両眼の視力の和は、両眼視によって累加された和ではなく、両眼のそれぞれの視力を別々に測定した数値の和をいう。

(イ) 第6号(内部障害)(呼吸器)

a 呼吸器の機能障害については、永続する機能障害をいうものとする。
b 呼吸器の機能障害の程度についての判定は、予測肺活量1秒率(以下「指数」という。)、動脈血ガス分析値及び臨床症状によるものとする。ここでいう指数とは、1秒量(最大努力下の最初の1秒間の呼気量)の予測肺活量(性別、年齢、身長の組合せで正常な状態ならば当然あると予測される肺活量の値)に対する百分率である。
c 令別表第2第6号に該当すると思われる機能障害の状態とは次の(b)又は(c)の所見があり、(a)の症状を有するものとする。
(a) 呼吸困難が強いため歩行がほとんどできないもの
(b) 指数の測定ができないもの又は指数が20以下のもの
(c) 動脈血ガス分析値が、動脈血O2分圧で55mmHg以下のもの又は動脈血CO2分圧で60mmHg以上のもの

(ウ) 第6号(内部障害)(その他の疾患)

 病状には慢性に経過する極めて重とくな疾患で、短期間に軽快することを期待できない疾患を総じて含むもので特定疾患治療研究事業の対象疾患にとどまらず、対象となるものである。認定に際しては、特定の症状を以って評価することが困難な場合が多く個別に表出された症状の総括によって評価しなければならないために、X線・検尿・血液検査・心電図等の所見を必要とする場合も多い。臨床所見はあくまで「常時安静、就床を要する程度」のものであり、それを裏付ける所見が必要となることから慎重に取扱うこと。
 なお、「常時安静、就床を要する程度」とは、結核の治療指針(昭和38年6月7日保発第12号厚生省保険局長通知)に掲げる安静度表の2度以上に該当すると認められるものである。
エ 令第1条第2項第2号で定める著しく重度の障害の状態とは、次のいずれかに該当するものである。
(ア) 令別表第2のいずれか1つの障害を有し、かつ、認定基準第3の2(1)の表に規定する障害を重複して有するもの
(イ) 令別表第2第3号から第5号までのいずれか1つの障害を有し、かつ、認定基準第3の2(2)の日常生活動作評価表の日常生活動作能力の各動作の該当する点を加算したものが10点以上のもの
 令別表第2のいずれか1つの障害に関する認定基準については、上記ウのとおりであり、認定基準第3の2(1)の表に規定する障害のうち、審査請求人の障害の状態に関する認定基準は以下のとおりである。

(ア)第10号(内部障害)(呼吸器)

 呼吸器(呼吸系結核及び換気機能)の機能障害については、次のいずれかの所見があり、かつ、ゆっくりでも少し歩くと息切れがするものとする。
a 指数(予測肺活量1秒率)が30以下のもの
b 動脈血ガス分析値が動脈血O2分圧で75mmHg以下のもの又は動脈血CO2分圧46mmHg以上のもの

(イ) 第10号(その他の疾患)

 その他の疾患については、令別表第2第1号から第9号で定めるもののほか身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状がある場合において、その症状が認定基準第3の2(1)の表に掲げる障害と同程度以上であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。
 この場合の障害程度の判定においては一般状態が次に該当するものとする。
 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助を必要とし、日中の50パーセント以上は就床している。
オ 令第1条第2項第3号で定める著しく重度の障害の状態とは、次のいずれかに該当するものである。
(ア) 認定基準第2の4又は5における「内部障害」又は「その他の疾患」に該当する障害を有し、かつ、認定基準第3の1(7)ウの「安静度表」の1度(絶対安静)に該当する状態を有するもの
(イ) 令別表第1第9号の障害を有し、かつ、認定基準第3の2(2)の日常生活動作評価表の日常生活動作能力の各動作の該当する点を加算したものが14点以上のもの

(2) 本件処分について

ア 認定方法について

 障害程度の認定については、上記(1)イのとおり、原則診断書に基づいて行うこととされていることから、処分庁が審査請求人から提出された診断書により判断することは適正である。
 視覚障害用診断書には、◯◯と記載されている。
 肝臓・血液疾患及びその他の疾患用診断書においては、「9肝疾患」及び「10血液疾患」には記載がなく、「11その他の疾患」には記載があり、「1.症状」には「◯◯」、「2.臨床検査」には「◯◯」と記載があり、「12安静を要する程度」には「◯◯」と記載があり、「13活動能力の程度」には「◯◯」と記載があり、「14備考」には「◯◯」と記載がある。

イ 令第1条第2項各号の該当性の有無について

 審査請求人の障害程度が令第1条第2項各号に該当するかについて、上記診断書記載事項によると以下のとおりと考えられる。

(ア) 令第1条第2項第1号の該当性の有無について

a 視覚障害について
 審査請求人の障害は◯◯とあることから、視覚障害は該当する。
b 内部障害(呼吸器)及び内部障害(その他の疾患)について
 呼吸器の機能障害における認定基準には、上記(1)ウ(イ)c(a)にある「呼吸困難が強いため歩行がほとんどできないもの」を有するものが令別表第2第6号に該当するとある。診断書の活動能力の程度には「◯◯」とあり、「呼吸困難が強いため歩行がほとんどできないもの」に該当しない。このことから、内部障害(呼吸器)にも該当しない。
 また、診断書には、安静を要する程度は「◯◯」と記載されている。上記(1)ウ(ウ)にある「常時安静、就床を要する程度」には該当しないことから、内部障害(その他の疾患)は該当しない。
 以上のとおり、視覚障害には該当するものの重複する障害はないため、上記(1)ウにある「令別表第2各号に掲げる障害が重複するもの」には該当せず、令第1条第2項第1号の障害程度には該当しない。

(イ) 令第1条第2項第2号の該当性の有無について

a 上記(1)エにある「令別表第2のいずれか1つの障害を有し、かつ、認定基準第3の2(1)の表に規定する障害を重複して有するもの」について
 診断書の活動能力の程度には「◯◯」とあり、上記エ(イ)にある「身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助を必要とし、日中の50パーセント以上は就床している。」に該当しない。このことから、内部障害(その他の疾患)は該当しない。
 内部障害(呼吸器)について、呼吸器の機能障害における認定基準には、上記エ(ア)のとおり「ゆっくりでも少し歩くと息切れがするもの」とある。診断書には、安静を要する程度は「◯◯」と記載があり、備考には「◯◯」と記載があり、内部障害(呼吸器)に該当する可能性がある。
 「令別表第2のいずれか1つの障害を有し、かつ、認定基準第3の2(1)の表に規定する障害を重複して有するもの」に該当するかについては、上記イ(ア)aのとおり、審査請求人は、令別表第2の基準を満たす障害を1つ有しているものの、認定基準第三の2(1)の表に規定する障害を1つ有する可能性はあるが、2つを有することはないため該当しない。
b 上記エにある「令別表第2第3号から第5号までのいずれか1つの障害を有し、かつ、認定基準第3の2(2)の日常生活動作評価表の点を加算したものが10点以上のもの」について
 上記アのとおり、審査請求人に令別表第2第3号(両上肢の障害)、第4号(両下肢の障害)及び第5号(体幹の障害)の障害はないため、該当しない。
 以上のとおり、令第1条第2項第2号の障害程度には該当しない。

(ウ) 令第1条第2項第3号の該当性の有無について

a 上記(1)オにある「認定基準第2の4又は5における「内部障害」又は「その他の疾患」に該当する障害を有し、かつ、認定基準第3の1(7)ウの「安静度表」の1度(絶対安静)に該当する状態を有するもの」について
 上記アのとおり安静を要する程度は「◯◯」であるため、該当しない。
b 上記(1)オにある「令別表第1第9号の障害を有し、かつ、認定基準第3の2(2)の日常生活動作評価表の日常生活動作能力の各動作の該当する点を加算したものが14点以上のもの」について
 上記アのとおり、審査請求人に令別表第1第9号の障害(精神の障害)はないため、該当しない。
 以上のとおり、令第1条第2項第3号の障害程度には該当しない。
 以上のとおり、審査請求人の障害の状態は、令第1条第2項各号に該当しない。

ウ 上記以外の違法性又は不当性についての検討

 他に本件処分に違法又は不当な点は認められない。

 よって、処分庁が特別障害者手当の認定請求を却下したことに違法又は不当な点は認められない。

 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、「第1 審査会の結論」のとおり答申する。

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