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令和2年度答申第9号

更新日:2020年11月20日 印刷ページ表示

件名

 生活保護申請却下処分についての審査請求

第1 審査会の結論

 本件審査請求には、理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により審査請求を棄却すべきである。

第2 審査関係人の主張の要旨

1 審査請求人

 令和2年6月18日付けで処分庁が行った生活保護申請却下処分(以下「本件処分」という。)の取消し及び生活保護を同月8日に遡って開始することを求めるものであり、その理由は次のとおりである。
 (1) 処分庁による審査請求人の年金受給額の計算が誤っている。障害年金は2か月に1回の支給であり、収入認定額は2分割すべきである。

2 審査庁

 審理員意見書のとおり、本件審査請求を棄却すべきである。

第3 審理員意見書の要旨

 審査請求人は年金受給額を月額換算せずに収入充当額を計算したことにより保護の要否の結果を誤ったと主張する。
 これに対して処分庁は、年金及び年金生活者支援給付金が2か月ごとに支給されることを考慮し、受給額を月額に割り戻して収入充当額としており、保護の要否判定時の収入の計算の際に年金支給額の計算を誤っている事実は認められない。
 また、本件の申請時における審査請求人の収入充当額は最低生活費を上回っていたと認められるため、保護を要する状況になく、要否判定に係る計算についても妥当なものであったと認められる。
 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、棄却すべきである。

第4 調査審議の経過

 当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。
 令和2年9月29日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受
 令和2年10月6日 調査・審議
 令和2年11月5日 調査・審議

第5 審査会の判断の理由

1 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

2 本件に係る法令等の規定について

(1)保護の基準及び程度等

 生活保護法(昭和25年法律第144号。以下「法」という。)第8条第1項は、「保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うもの」とし、その厚生労働大臣の定める基準として「生活保護法による保護の基準」(昭和38年4月1日厚生省告示第158号。以下「保護基準」という。)が定められるとともに、法定受託事務である保護実施の処理基準(地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の9第1項及び第3項)として「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和36年4月1日厚生省発社第123号厚生事務次官通知。以下「次官通知」という。)、「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和38年4月1日社発第246号厚生省社会局長通知。以下「局長通知」という。)その他の通知が厚生労働省から発出されている。

(2) 申請による保護の開始

 法第24条第3項は、「保護の実施機関は、保護の開始の申請があつたときは、保護の要否、種類、程度及び方法を決定し、申請者に対して書面をもつて、これを通知しなければならない。」と規定している。

(3) 収入の認定

 次官通知第8の3(2)ア(ア)において、「恩給、年金、失業保険金その他の公の給付(地方公共団体又はその長が条例又は予算措置により定期的に支給する金銭を含む。)については、その実際の受給額を認定すること。」とされている。
 また、局長通知第8の1(4)アにおいて、「恩給法、厚生年金保険法、船員保険法、各種共済組合法、国民年金法、児童扶養手当法等による給付で、1年以内の期間ごとに支給される年金又は手当については、実際の受給額を原則として受給月から次回の受給月の前月までの各月に分割して収入認定すること。」とされている。

(4) 保護の決定

 次官通知第10において、「保護の要否及び程度は、原則として、当該世帯につき認定した最低生活費と、第8によって認定した収入(以下「収入充当額」という。)との対比によって決定すること。」とされている。

3 本件処分の妥当性について

  1. 審査請求人の収入充当額について、処分庁は、審査請求人が受給する障害厚生年金及び年金生活者支援給付金が2か月ごとに支給されることから、障害厚生年金については受給額○○円を2分割して○○円を、年金生活者支援給付金については受給額○○円を2分割して○○円を認定し、そのほか、手持金として○○円を認定し、これらの合計額○○円を収入充当額としたことが認められる。
  2. また、審査請求人の最低生活費について、処分庁は、保護基準により、生活扶助費○○円、障害者加算○○円を認定し、国民健康保険税として、年額○○円を月額に割り戻した金額○○円を認定し、医療費については福祉医療が利用可能として0円とし、これらの合計額○○円を最低生活費としたことが認められる。
  3. これらのことから、審査請求人の主張する年金受給額の計算の誤りは認められず、処分庁は、保護基準、次官通知第8の3(2)ア(ア)、局長通知第8の1(4)アその他の通知等にのっとり、収入充当額及び最低生活費を認定したものであることが認められる。
     よって、本件の申請時の審査請求人の収入充当額は、最低生活費を上回っており、保護を要するものとは認められず、本件処分には、これを取り消すべき違法又は不当な点はないものと認められる。

第6 結論

 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、「第1 審査会の結論」のとおり、答申する。

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