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令和2年度答申第16号

更新日:2021年3月9日 印刷ページ表示

件名

 生活保護変更決定処分についての審査請求

第1 審査会の結論

 本件審査請求には、理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により審査請求を棄却すべきである。

第2 審査関係人の主張の要旨

1 審査請求人

 令和2年7月21日付けで処分庁が行った生活保護変更決定処分(以下「本件処分1」という。)及び同年8月28日付けで処分庁が行った生活保護変更決定処分(以下「本件処分2」という。)の取消し及び不足分1月に○○円を保護開始に遡って追加して支給することを求めるものであり、その理由は次のとおりである。

  1. 審査請求人は年金生活者支援給付金(以下「給付金」という。)を受け取っておらず、処分庁の判断は誤っている。
  2. 日本年金機構から手続に関する郵便物が届いておらず、給付金は支給されていない。
  3. 処分庁は給付金ではなく、クレジットカード会社からの返金を収入認定している。クレジットカード会社が虚偽で給付金と通帳に記載したものである。
  4. 個人情報保護条例により国民年金担当部局から年金関係の情報を得るのは目的外使用である。

2 審査庁

 審理員意見書のとおり、本件審査請求を棄却すべきである。

第3 審理員意見書の要旨

 処分庁は、審査請求人の給付金の受給状況を確認するため、「年金生活者支援給付金の支給決定情報にかかる留意点と保護費への反映について」(令和元年11月6日厚生労働省社会・援護局保護課保護係長事務連絡。以下「事務連絡」という。)及び生活保護法(昭和25年法律第144号。以下「法」という。)第29条第1項の規定に基づき、○○国民年金担当部局及び金融機関に照会を行い、審査請求人の給付金が支給決定され、支給額が月額○○円であること、令和2年8月14日に審査請求人口座に給付金○○円が入金されていることを確認している。
 本件処分1及び本件処分2について、処分庁が審査請求人に対する保護を変更し、給付金を収入認定したことは、法及び事務連絡等に基づき適正に処理されたものである。
 また、本件処分2については、令和2年10月1日から改定された「生活保護法による保護の基準」(昭和38年4月1日厚生省告示第158号。以下「保護基準」という。)にのっとって適正に保護費の算定がなされていることが認められる。
 更に、本件処分1及び本件処分2において、その他の保護の支給額の算定に違法又は不当な点は認められない。
 よって、本件処分1及び本件処分2には、これを取り消すべき違法又は不当な点はないものと認められる。
 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、棄却すべきである。

第4 調査審議の経過

 当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。
 令和3年1月18日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受
 令和3年1月22日 調査・審議
 令和3年2月24日 調査・審議

第5 審査会の判断の理由

1 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

2 本件処分1及び本件処分2に係る法令等の規定について

(1)生活保護の補足性

 法第4条第1項において、「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。」と、同条第2項において「民法(明治29年法律第89号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。」と規定されている。

(2)保護の基準及び程度等

 法第8条第1項は、「保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うもの」とし、その厚生労働大臣の定める基準として保護基準が定められるとともに、法定受託事務である保護実施の処理基準(地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の9第1項及び第3項)として「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和36年4月1日厚生省発社第123号厚生事務次官通知)、「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和38年4月1日社発第246号厚生省社会局長通知。以下「局長通知」という。)その他の通知が厚生労働省から発出されている。

(3)資料の提供等

 法第29条第1項において、「保護の実施機関及び福祉事務所長は、保護の決定若しくは実施又は第77条若しくは第78条の規定の施行のために必要があると認めるときは、次の各号に掲げる者の当該各号に定める事項につき、官公署、日本年金機構若しくは国民年金法(昭和34年法律第141号)第3条第2項に規定する共済組合等に対し、必要な書類の閲覧若しくは資料の提供を求め、又は銀行、信託会社、次の各号に掲げる者の雇主その他の関係人に、報告を求めることができる」と、法第29条第1項第1号において、「一 要保護者又は被保護者であつた者 氏名及び住所又は居所、資産及び収入の状況、健康状態、他の保護の実施機関における保護の決定及び実施の状況その他政令で定める事項(以下略)」と、同条第2項において、「2 別表第一の上欄に掲げる官公署の長、日本年金機構又は共済組合等は、それぞれ同表の下欄に掲げる情報につき、保護の実施機関又は福祉事務所長から前項の規定による求めがあつたときは、速やかに、当該情報を記載し、若しくは記録した書類を閲覧させ、又は資料の提供を行うものとする。」と規定されている。

(4)収入の認定

 次官通知第8の3(2)ア(ア)において、「恩給、年金、失業保険金その他の公の給付(地方公共団体又はその長が条例又は予算措置により定期的に支給する金銭を含む。)については、その実際の受給額を認定すること。」とされている。
 また、局長通知第8の1(4)アにおいて、「恩給法、厚生年金保険法、船員保険法、各種共済組合法、国民年金法、児童扶養手当法等による給付で、1年以内の期間ごとに支給される年金又は手当については、実際の受給額を原則として受給月から次回の受給月の前月までの各月に分割して収入認定すること。」とされている。

3 本件処分1及び本件処分2の妥当性について

(1)審査請求人の主張について

 審査請求人は、給付金は支給されておらず、クレジットカード会社からの返金を収入認定していると主張する。
 一方、処分庁は、法第29条第1項の規定に基づき、○○国民年金担当部局及び金融機関に照会を行い、審査請求人の給付金が支給決定され、その支給額が月額○○円であること及び令和2年8月14日に審査請求人の普通預金口座に給付金○○円が入金されたことを確認していることが認められる。
 よって、処分庁は、審査請求人の給付金が支給されていること及びその支給額について確認しており、審査請求人の主張を裏付ける事実は認められない。
 また、審査請求人は、個人情報保護条例により国民年金担当部局から年金関係の情報を得るのは「目的外使用」であると主張する。
 一方、処分庁は、法第29条第1項の規定に基づき○○国民年金担当部局及び金融機関に照会を行い、審査請求人の給付金の支給状況の情報を収集及び利用しているが、当該情報は、保護の変更を決定する上で必要な情報であり、目的外の収集及び利用とは認められず、○○個人情報保護条例第○○条に違反するものではない。また、個人情報を本人ではなく、○○国民年金担当部局及び金融機関に照会し、収集したことについても、○○個人情報保護条例第○○条第○○項第○○号に該当することから、違法とは認められない。
 以上のことから、審査請求人の主張は、採用することができない。

(2)本件処分1の妥当性について

 本件処分1の保護費の算定についてみると、審査請求人の最低生活費について、処分庁は、保護基準により、生活扶助費○○円、障害者加算○○円を認定し、医療費については福祉医療が利用可能として0円とし、これらの合計額○○円を最低生活費としたことが認められる。
 また、処分庁が認定した審査請求人の収入額(以下「収入充当額」という。)について、処分庁は、審査請求人が受給する障害厚生年金及び給付金が2か月ごとに支給されることから、障害厚生年金については受給額○○円を2分割して○○円を、給付金については受給額○○円を2分割して○○円を認定し、これらの合計額○○円を収入充当額としたことが認められる。
 これらのことから、処分庁は、保護基準、次官通知第8の3(2)ア(ア)、局長通知第8の1(4)アその他の通知等にのっとり、適正に最低生活費及び収入充当額を認定したものであることが認められる。
 その他、本件処分1において、保護の支給額の算定に違法又は不当な点は認められない。

(3)本件処分2の妥当性について

 本件処分2の保護費の算定についてみると、審査請求人の最低生活費について、処分庁は、令和2年10月1日から改定された保護基準にのっとって、生活扶助費○○円、障害者加算○○円を認定し、医療費については福祉医療が利用可能として0円とし、これらの合計額○○円を最低生活費としたことが認められる。
 また、審査請求人の収入充当額について、処分庁は、審査請求人が受給する障害厚生年金及び給付金が2か月ごとに支給されることから、障害厚生年金については受給額○○円を2分割して○○円を、給付金については受給額○○円を2分割して○○円を認定し、これらの合計額○○円を収入充当額としたことが認められる。
 これらのことから、処分庁は、令和2年10月1日から改定された保護基準、次官通知第8の3(2)ア(ア)、局長通知第8の1(4)アその他の通知等にのっとり、適正に最低生活費及び収入充当額を認定したものであることが認められる。
 その他、本件処分2において、保護の支給額の算定に違法又は不当な点は認められない。

(4)結論

 よって、本件処分1及び本件処分2には、これを取り消すべき違法又は不当な点はないものと認められる。

第6 結論

 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、「第1 審査会の結論」のとおり、答申する。

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