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令和2年度答申第17号

更新日:2021年5月14日 印刷ページ表示

件名

 措置費等負担額決定処分についての審査請求

第1 審査会の結論

 本件審査請求には、理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により審査請求を棄却すべきである。

第2 審査関係人の主張の要旨

1 審査請求人

 令和2年11月10日付け処分庁による措置費等負担額決定処分(以下「本件処分」という。)の取消しを求めるものであり、その理由は次のとおりである。

  1. 被措置児童(以下「本児」という。)の実母である審査請求人は○○である。その生活は本件審査請求に係る代理人(以下「代理人」という。)が支えているが、代理人は被措置児童の扶養義務者ではない。
  2. 本件処分により審査請求人及び代理人の経済的基盤が侵害されているため、本件処分の取消しを求めるもの。

2 審査庁

 審理員意見書のとおり、本件審査請求を棄却すべきである。

第3 審理員意見書の要旨

 次のとおり、本件審査請求には理由がないから、棄却されるべきである。
 児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)第27条、第50条及び第56条では、都道府県が児童養護施設への入所措置を採った場合において、入所等に要する費用について、本人又はその扶養義務者から、その負担能力に応じ、その費用の全部又は一部を徴収することができると規定している。
 群馬県児童福祉法施行細則(昭和42年群馬県規則第26号。以下「細則」という。)第30条の規定により、知事は、措置等を決定したときは、細則別表第2に示す基準に従い、当該世帯の階層区分及び本人又はその扶養義務者が負担する費用の額(以下「措置費等負担額」という。)を認定し、通知するものとされている。
 細則第32条及び「児童福祉法第56条費用徴収事務取扱要領」(以下「事務取扱要領」という。)第6第1項の規定により、知事は、措置等が継続されている者について、毎年7月に措置費等負担額の再認定を行うものとされている。
 審査請求人は本児の母であって扶養義務者に該当するため、法第56条に規定する本児の児童養護施設入所に係る費用を徴収することのできる者の範囲に入る。
 審査請求人は令和元年中は○○であったため、細則別表第2中「○○世帯」として「○○階層」に該当し、○○ため、処分庁は措置費等負担額を○○円と認定し、審査請求人宛て通知を行った。
 以上のことから、本件処分は、処分庁が法令等の規定にのっとり適正に行ったものであり、何ら違法又は不当な点は認められない。

第4 調査審議の経過

当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。
令和3年2月17日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受
令和3年2月24日 調査・審議
令和3年3月26日 調査・審議

第5 審査会の判断の理由

1 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

2 本件処分に係る法令等の規定について

(1)入所の措置について

  法第27条第1項第3号は、都道府県の措置として、「児童を小規模住居型児童養育事業を行う者若しくは里親に委託し、又は乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設若しくは児童自立支援施設に入所させること。」を規定している。

(2)費用の徴収について

 法第50条は、「次に掲げる費用は、都道府県の支弁とする。」として、同条第7号で、「都道府県が、第27条第1項第3号に規定する措置を採つた場合において、入所又は委託に要する費用及び入所後の保護又は委託後の養育につき、第45条第1項又は第45条の2第1項の基準を維持するために要する費用」を挙げ、また、法第56条第2項で、法第50条第7号に規定する費用を支弁した都道府県の長は、「本人又はその扶養義務者から、その負担能力に応じ、その費用の全部又は一部を徴収することができる」と規定している。

(3)扶養義務者について

 扶養義務者とは、法第56条第1項で「民法に定める扶養義務者をいう。」とされており、民法(明治29年法律第89号)第877条第1項は、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。」と規定している。

(4)費用の負担について

 細則第30条第1項は「知事は、措置等を承諾又は決定したときは、別表第2及び別表第3に示す基準に従い、当該世帯の階層区分の認定及び法第56条第2項又は第5項の規定による本人又はその扶養義務者が負担する費用の額(以下「措置費等負担額」という。)の認定を行うものとする。」と、同条第2項は「知事は、前項の規定により措置費等負担額を認定したときは、措置費等負担額決定書(別記様式第62号)により、本人又はその扶養義務者に通知するものとする。」と規定している。更に、措置費等負担額の認定に当たっては、細則別表第2において、「各月初日の措置児童等の属する世帯の階層区分」により決定するものとされている。
   事務取扱要領第5第1項第1号は「世帯階層区分の認定は、措置児童等の属する世帯の扶養義務者の市町村民税額、所得税額の課税額の合算に基づいて行う。」と、事務取扱要領第3第5項は「児童の属する世帯」とは「措置児童等と生計を一にする通常の消費経済上の一単位をいう。」と規定している。

(5)措置費等負担額の再認定について

   細則第32条第1項は「知事は、次の各号のいずれかに該当する場合は、前条第1項の規定に準じて措置費等負担額の再認定を行うものとする。」と、同項第1号は「前2条の規定による措置費等負担額の認定の基礎となつた本人又はその扶養義務者の所得税額、市町村民税額又は生活保護法による保護に変動が生じたことを知つたとき。」と規定している。
 また、事務取扱要領第6第1項は「措置等が継続されている者についての認定の更新は、毎年7月に行い、7月分の調定から認定後の負担額を適用するものとする。」と規定している。

3 本件処分について

  1. 審査請求人は、本児の母にあたることが確認されており、本児の直系血族であり民法第877条第1項に規定する扶養義務者であることから、法第56条第2項に規定する、本児の児童養護施設入所に係る費用を徴収することのできる者の範囲に入ることが認められる。また、生活の実態においても本児と生計を一にしていたことが認められた。なお、代理人については、本件処分時点において、審査請求人と事実婚の関係であり、本児と養子縁組をするに至ってないことが確認されており、本児の直系血族とは認められないことから処分庁は調査・認定の対象外とした。
  2. 本件処分に係る世帯の階層区分の認定及び措置費等負担額の認定については、細則第30条第1項の規定により細則別表第2に基づいて行うこととされているが、審査請求人が令和元年中は○○であったため、細則別表第2中「○○世帯」として「○○階層」に該当することから、処分庁は、措置費等負担額を○○円と認定し、細則第32条第2項において準用する細則第30条第2項の規定により審査請求人宛て通知を行った。
  3. なお、この認定にあたっては、○○と処分庁は判断した。
  4. また、審査請求人は、審査請求書において、「今回の「措置費等負担額の決定通知書」の内容」が「著しく堪え難い特別の事情」に該当すると主張しているところであるが、「措置費等負担額決定書」に記載された「この決定額に著しく堪え難い特別の事情がある場合には、変更申請をして再認定を受けることができ」るとは、事務取扱要領第7第2項の「扶養義務者から、生活環境の著しい変化(病気、倒産、失業等)を理由として、1により認定した負担額についての変更の申請があったときは、実情等を下記により十分調査のうえ、費用負担が困難であると費用徴収権者が認めた場合は、当該年の課税額を推定し階層区分の変更を行うことができる」との規定を踏まえたものであり、審査請求人については、本件処分に係る措置費等負担額の認定の基礎となった年である令和元年から本件処分時点にかけて、代理人と事実婚の状態となったことを除き、生活環境の著しい変化は認められないところであるから、審査請求人の主張は採用することができない。
  5. 以上のことから、本件処分は、処分庁が法令等の規定にのっとり適正に行ったものであり、何ら違法又は不当な点は認められない。

第6 結論

 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、「第1 審査会の結論」のとおり、答申する。

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