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個人情報保護審議会諮問事件第11号
1 件名
「私の所有する自動車(□□□□)について、自動車ナンバー自動読み取りシステム(いわゆるNシステム)への入力内容及びシステムで把握されている情報の全て」の個人情報の存否を明らかにしない決定に対する審査請求の件
(※ □□□□は車両のナンバー)
2 諮問庁・実施機関
公安委員会・警察本部長
3 開示等決定年月日及び内容
平成18年10月3日 存否応答拒否決定
4 不服申立て
(1)申立年月日 平成18年11月15日
(2)趣旨
本件処分に対し、あらためて審査を行うことを請求する。
(3)理由
請求人が所有する車両を運転中、Nシステムにヒットし盗難車のおそれがあることを理由に、警察官から職務質問を受けた。根拠なく車両の停止を命じられ多大な不利益を被っており、手配車両として登録されていた理由を開示すべきである。
5 諮問年月日
平成19年1月10日
6 審議会の判断
(1)結論
警察本部長の決定は、条例の解釈及び運用を誤ったものではなく、妥当であると認められる。
(2)判断理由
Nシステムは、犯罪捜査を目的として設置されたシステムであり、一般に、特定個人の特定車両がNシステムに手配車両として登録されているかどうかを明らかにした場合、犯罪捜査の進展状況等が推察されるおそれが生じるため、犯罪の捜査に支障が生じることが認められる。
また、手配車両として登録されている車両データ以外の、Nシステムにより読み取られた車両ナンバーのデータに関しても、もし、請求者が実際に走行した日時・場所・車両ナンバーに基づいて、実施機関に対し開示請求を行った場合、請求に対し不存在と答えれば、当該走行経路にはNシステムが設置されていないことが、また、開示又は非開示と答えれば、Nシステムが設置されていることが明らかになると認められる。
設置場所が判明した場合、請求者が車両ナンバーに加工等を施したうえで開示請求をすることで、不存在と答えれば、当該加工を施せばNシステムに把握されないことが、開示又は非開示と答えれば当該加工ではNシステムに把握されることが判明することとなる。それにより、Nシステムの性能が把握されるおそれがあると認められる。
さらに、請求者が継続的に開示請求を行った場合、当該車両ナンバーのデータが存在する間は開示又は非開示と回答し、データを削除した後は不存在と回答すると、車両データの保存期間が把握されるおそれがあると認められる。
このように、Nシステムにより読み取られた特定車両ナンバーの開示請求に対し、開示・非開示・不存在等回答することで、Nシステムを利用した捜査手法・技術・体制などが判明することとなり、犯罪者及び犯罪を企図する者が、Nシステムの設置場所を回避したり、あらかじめ設置機械に対して何らかの妨害活動を行いうることとなる。また、当該車両データの保存期間やNシステムの性能が判明すれば、捜査の技術や体制といったものが判明することにより、犯罪者が警察の捕捉から逃れうることにもなる。
よって、これらの情報の存否について応答することは、条例第13条第5号に該当する非開示情報を開示することになると認められる。
7 答申年月日
平成19年7月9日(個審第79号)