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公文書開示審査会答申第112号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

「群馬県警察本部長に対して請求者が行った、到達番号□□□□の公文書開示請求を、同本部広報広聴課▽▽職員から請求者に電話で当該請求は個人情報開示請求であると情報公開に係わる法令をねじまげて言わしめたという、平成19年10月5日の到達から同年10月12日の前述の電話の時間午後6時9分までの間に係わる内容」の公文書の存否を明らかにしない決定に対する審査請求に係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第二部会

第1 審査会の結論

  実施機関の決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県警察本部長(以下「実施機関」という。)に対し、平成19年10月13日付けで、「群馬県警本部長に対して請求者が行った、到達番号□□□□の公文書開示請求を、同本部広報広聴課▽▽職員から請求者に電話で当該請求は個人情報開示請求であると情報公開に係わる法令をねじまげて言わしめたという、平成19年10月5日の到達から同年10月12日の前述の電話の時間午後6時9分までの間に係わる内容」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、平成19年10月19日、本件請求に関して、公文書の存否を明らかにしない決定(以下「本件処分」という。)を行い、公文書の存否を明らかにしない理由を次のとおり付して、請求人に通知した。

 条例第14条第2号該当

 請求者本人が、実施機関に対して公文書開示請求を行ったことを前提としての開示請求であるが、特定の個人が開示請求を行ったか否かは、個人情報に該当する。

 条例第17条該当

 本件請求については、請求者本人が実施機関に対して公文書開示請求を行ったことを前提として開示請求を行っていることから、当該請求に係る公文書の存在の有無を明らかにしただけで、請求者が開示請求を行ったか否かが判明することとなるため、条例第17条の規定により公文書の存在を明らかにしないで請求を拒否する。

3 審査請求

 請求人は、行政不服審査法第5条の規定に基づき、平成19年10月29日付けで、本件処分を不服として群馬県公安委員会(以下「諮問庁」という。)に対し審査請求を行った。

4 諮問

 諮問庁は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成20年1月10日、本件審査請求事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

第3 争点(条例第14条第2号ただし書ロ該当性)

  本件請求内容が条例第14条第2号ただし書ロに該当するか。

第4 争点に対する当事者の主張

争点(条例第14条第2号ただし書ロ該当性)

(1)請求人の主張

ア かなり前から「知る権利」も基本的人権の一つとして認められてきた。これを具体化したものが数々の情報公開法令であり、また、実施機関は県民の生命・健康・生活又は財産を保護するための実働組織であり、様々な公開することが必要な公文書が存在することが想像される。そこの職員が原請求を個人情報が含まれているからといって存否拒否することであるならその固有名詞のみを明かさずに部分開示すればよいのである。これは、条例第14条第2号ただし書ロにもあるように、公にすることが必要であると認められる情報である。さらに、この案件が開示決定されなければ、「知る権利」の人権侵害になる。

イ 諮問庁が貴審査会に提出した文書の中に、開示することの利益云々が記されているが、本件請求は、県民の生命・健康・生活又は財産を保護するためのものであるから、利益を度外視して開示すべきである。

 また、個人情報を開示するためには特別な事情がない限り窓口に行かねばならず、公文書はインターネットでも開示請求できるという利便性を損なわせようとする魂胆が見え見えであり、本件当該実施機関は悪質である。

(2)諮問庁の主張要旨

ア 本件請求は、開示請求者が行った公文書開示請求に対して、実施機関が電話で説明を行ったことについての開示請求であるが、特定の個人が警察本部長あてに公文書開示請求を行っていることや、その開示請求に対して、警察本部からどのような対応を受けているかということは、当該個人の個人情報であり、条例第14条第2号に規定する非開示情報に該当する。

イ 本件開示請求書は、開示請求者が警察本部長あてに公文書開示請求を行っているということ、そのことについて実施機関から開示請求者へ電話による対応があったということが、請求内容に含まれていることから、開示請求に係る公文書の存在を答えるだけで、請求内容に含まれる開示請求者の個人情報が事実として存在するか否かを明らかにすることとなり、非開示情報を開示することとなることから、条例第17条の規定により、実施機関は、本件請求に係る公文書については、その存否を明らかにせずに開示請求を拒否したものである。

ウ 請求人は、本件請求公文書は、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報と思われるため、請求のとおりに開示せよと主張する。

 確かに、非開示情報該当性の判断に当たっては、開示することの利益と開示されないことの利益との調和を図ることが重要であり、個人情報についても、公にすることによって害されるおそれがある当該情報に係る個人の権利利益よりも、人の生命、健康等の保護の必要性が上回るときは、開示しなければならないと考えるが、本件請求については、非開示情報として保護されるべき個人情報を開示する必要性及び正当性は認められない。

 なお、本件請求は、開示請求者からの本人情報の開示請求であり、実施機関は、このような請求の場合は、個人情報保護条例に基づく個人情報の開示請求を行うことを勧めている。

 請求人に対しても、個人情報の開示請求を行うことを勧めているが、請求人は理解を示さず、条例に基づく開示請求を行ったものである。

 条例は何人に対しても等しく開示請求権を認めており、本人からの本人に関する情報の開示請求であっても、当該公文書の開示決定等の結論が異なるものではない。

 したがって、本件請求について、実施機関が、公文書の存否を明らかにしないで開示請求を拒否したことは、適正であったと判断する。

第5 審査会の判断

 当審査会は、本件事案について審査した結果、次のとおり判断する。

1 争点(条例第14条第2号ただし書ロ該当性)

 条例は第13条で原則開示をうたい、第14条で例外的に非開示を認めている。本県の条例は非開示とすべき個人情報の類型について個人識別型を採用しているので、条例第14条第2号本文にいう「個人に関する情報」であって「特定の個人を識別することができるもの」とは、当該情報に係る個人が誰であるかを識別させることになる氏名その他の記述の部分だけでなく、特定の個人情報全体を指すほか、当該情報単独では特定の個人を識別することができないが、他の情報と照合することにより識別可能となるものについても含まれると解される。

 また、条例の開示請求制度は、何人に対しても開示請求権を認めていることから、本人から、本人に関する情報の開示請求があった場合にも、開示請求者が誰であるかは考慮されず、条例第14条第2号ただし書イ~ハ又は条例第16条で規定する公益上の理由による裁量的開示に該当しない限り、非開示となる。

 本件請求は、請求人が行った公文書開示請求に対して、実施機関が電話で説明を行ったことに関する情報を求めるものであるが、請求内容に「請求者」という記載があることから、請求内容全体が、特定の個人に関する情報であることは明らかである。

 したがって、本件請求に係る情報が存在しているか否かを答えることは、特定の個人に関する情報を開示することになり、条例第14条第2号本文に該当することとなる。

 しかし、請求人は本件請求が条例第14条第2号ただし書ロに規定される「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当すると主張しているため、以下、この点について判断する。

 公にすることが必要であると認められる情報とは、人の生命、健康、生活又は財産の保護の必要性が、公にすることにより害されるおそれがある個人の権利利益よりも上回る場合をいうものであり、開示の必要性も、その公にする必要性と個人の権利利益を比較衡量した上で判断されるものである。

   条例が何人にも開示請求権を認め、何人にも同じ情報を開示することから、自己の個人情報の開示請求である等の個別事情を考慮しないことは前述のとおりである。

   また、条例第14条第2号ただし書ロは、「公にすることが必要である」ということを要件としているが、本件請求については、特定の個人が公文書の開示請求を行い、それに関して実施機関から電話で説明を受けたことに関する情報が何人にも公にされることにより害されるおそれがある当該個人の権利利益を上回る必要性があるとは認められないため、本件請求内容は条例第14条第2号ただし書ロには該当しない。

2 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

   なお、請求人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過

年月日 内容
平成20年1月10日 諮問
平成20年1月17日 諮問庁からの理由説明書を受領
平成20年2月1日 審査請求人からの意見書を受領
平成20年4月25日
(第16回 第二部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成20年6月24日
(第17回 第二部会)
審議(実施機関の口頭説明)
平成20年7月24日
(第18回 第二部会)
審議
平成20年7月29日 答申