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公文書開示審査会答申第114号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

「平成18年9月19日に知事が許可した群馬県指令西農第668-43号に係る○○市△△の畑地の農地法一時転用による畑基盤整備用のための埋土工事の結果、平成19年5月下旬の大雨により、大量の土砂が周辺や下流に流れ出し、未だに復旧されないまま、放置されているが、この大量の土砂流出に関して、知事が作成、取得した一切の情報」の部分開示決定に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第二部会

第1 審査会の結論

 実施機関が本件公文書について部分開示決定を行った別紙1の「非開示部分」のうち、別紙2の「開示すべき部分」については開示すべきであるが、その余の部分についての原決定は妥当である。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成20年2月25日付けで、「平成18年9月19日に貴殿が許可した群馬県指令西農第668-43号に係る○○市△△の畑地の農地法一時転用による畑基盤整備用のための埋土工事の結果、平成19年5月下旬の大雨により、大量の土砂が周辺や下流に流れ出し、未だに復旧されないまま、放置されておりますが、この大量の土砂流出に関して、貴殿が作成、取得した一切の情報を請求いたします。」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

 ※ 上記の請求内容は、実施機関の補正依頼に対し、申立人が平成20年4月5日付けで補正したもの。

2 実施機関の決定

 実施機関は、平成20年4月21日、本件請求に係る公文書を「平成18年9月19日に知事が許可した群馬県指令西農第668-43号に係る○○市△△の畑地の農地法一時転用による畑基盤整備用のための埋土工事の結果、平成19年5月下旬の大雨により、大量の土砂が周辺や下流に流れ出し、未だに復旧されないまま、放置されているが、この大量の土砂流出に関して、知事が作成、取得した一切の情報」(以下、「本件公文書」という。)であると判断し、次の(1)から(3)の公文書を特定した上で、条例第14条第2号及び第3号イに該当する情報が含まれていることを理由として、部分開示決定(以下「本件処分」という。)を行い、申立人に通知した。

 なお、本件処分における非開示部分及び当該部分を開示しない個々の理由は別紙1のとおりである。

 (1)一時転用許可目的の履行について(以下「公文書1」という。)

 ※ 公文書1は以下の文書から構成されている。

 a 一時転用許可目的の履行について(回議用紙)

 b 一時転用許可にかかる転用目的の履行について

 c 事業計画書

 d 建設残土等のフローシート

 e 残土証明書

 (2)●●●●に対する一時転用目的履行の指導について(以下「公文書2」という。)

 ※ 公文書2は以下の文書から構成されている。

 a ●●●●に対する一時転用目的履行の指導について

 b 一時転用許可にかかる転用目的の履行について

 c 事業計画書

 d 建設残土等のフローシート

 e 残土証明書

 (3)●●●●の事業計画書の提出について(以下「公文書3」という。)

 ※ 公文書3は以下の文書から構成されている。

 a ●●●●の事業計画書の提出について

 b 事業計画書(□□で発生する土砂に関するもの)

 c 建設残土等のフローシート(同上)

 d 残土証明書(同上)

 e 事業計画書(▽▽で発生する土砂に関するもの)

 f 建設残土等のフローシート(同上)

 g 工程表

 h 参考資料

 i 図面

 j 法面の堆肥について

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成20年6月30日付けで、本件処分を不服として実施機関に対し異議申立てを行った。

4 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成20年7月29日付けで、本件異議申立て事案の諮問を行った。

第3 争点

争点1(本件公文書の特定)

 本件公文書に該当するとして、実施機関が公文書1、公文書2及び公文書3を特定したことは妥当であったか。

争点2(条例第14条第2号本文該当性)

 公文書1、公文書2及び公文書3で非開示とされた部分が条例第14条第2号本文に該当するか。

争点3(条例第14条第2号ただし書ロ該当性)

公文書1、公文書2及び公文書3で非開示とされた部分が条例第14条第2号ただし書ロに該当するか。

争点4(条例第14条第3号イ該当性)

 公文書1、公文書2及び公文書3で非開示とされた部分が条例第14条第3号イに該当するか。

争点5(条例第14条第3号ただし書該当性)

 公文書1、公文書2及び公文書3で非開示とされた部分が条例第14条第3号ただし書に該当するか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 争点1(本件公文書の特定)について

(1)申立人の主張要旨

 申立人が開示請求した内容は、実施機関が平成18年9月19日に農地法第4条により一時転用許可した場所(以下、「本件転用地」という。)で、平成19年5月23日に発生した大規模な土砂崩落事故(以下、「本件事故」という。)に関して実施機関が作成、取得した一切の情報である。実施機関は農地法第83条の2の違反転用に対して、許可の取消し、工事の停止、条件の変更及び原状回復を命ずることができるとあるので、それらに関する一切の書類が本件公文書として特定されなければならない。

 実施機関は、平成19年5月23日の降雨により発生した土砂崩落事故について、翌24日に、農地転用申請者(以下、「本件申請者」という。)と、その縁故関係にある土砂搬入会社が事故報告しに来たということから、当該事故報告書ないし聞き取りメモ等が、本件公文書として特定される。

 その後実施機関は関係機関と連携し現地調査を行っているので、現地調査報告書が本件公文書として特定される。次に実施機関は、本件申請者及び関係者とともに、本件転用地における復旧作業について検討し申請目的どおりの施工を口頭で指導してきたことから、この関係の復命書が本件公文書として特定される。

 したがって、実施機関が特定した公文書1、公文書2及び公文書3は、本件公文書の一部に過ぎず、その他の公文書が開示されないのはおかしい。あるいは、その他の公文書について、不存在なのであれば、その旨通知されなければならない。

 (2)実施機関の主張要旨

a 本件事故の経緯及び本件公文書の特定について

 本件転用地では、畑基盤整備のため土砂の搬入が行われていたが、平成19年5月23日の降雨により本件事故が発生した。翌24日、本件申請者の親族と土砂搬入業者が実施機関を訪れ、事故の報告をしたことで、本件事故を把握した。

 その後、関係機関と連携し現地調査を行い、本件申請者及び関係者とともに本件転用地の復旧作業について検討した上で口頭で指導を行った。しかし、大雨による土砂流出の規模が大きく、今後周辺地における被害も懸念されることから、同年6月25日付けで、本件申請者宛てに公文書1を作成、同日本件申請者の代理人である親族(以下、「本件指導対象者」という。)に交付し、周辺農地や土地利用者への安全確保等の必要な措置を講じた上で、転用目的を確実に実行するよう求めた。その際、実施機関は本件申請者に対し、事業計画書の提出を依頼した。

 さらに、その文書交付の際の復命書として、公文書2を作成した。その後、同年9月26日、本件申請者から事業計画書が提出されたことから、報告書として公文書3を作成した。

 b その他申立人の主張について

 申立人は、本件公文書として特定されるはずの次の公文書が開示されていないとして、開示することを求めているが、下記アからエの理由により、申立人の求める公文書は存在しない。

 ア 公文書2において、本件申請者は◇◇からの残土搬入予定について述べているが、実施機関は本件申請者より◇◇からの残土搬入にかかる事業計画書及び残土証明書を受理していない。

 イ 本件事故に関して、実施機関と関東農政局との間で交わされた関係情報を示す公文書は存在しない。

 ウ 本件事故後、○○市農業委員会が不定期に本件転用地の工事進捗状況確認を実施しているが、これに関する公文書は存在しない。

 エ 申立人は、「H18.9.19 西農第669-319号」の公文書を開示すべきと主張するが、この文書は、本件転用地とは別の農地に関する処分であり、本件公文書には該当しない。

2 争点2(条例第14条第2号本文該当性)及び争点3(条例第14条第2号ただし書ロ該当性)

 (1)申立人の主張要旨

 申立人は農地転用の違法不当行為を実施機関に告発・情報提供してきたにもかかわらず、違法に造成された土地に積み上げられた残土等が崩落し、本件事故が発生した。その結果、周辺や下流の土地に大量の土砂が流れ込み、所有者や耕作者に多大な損害が発生した。

 人の健康、生活及び財産が既に侵害されており、申立人が開示請求を行った情報は、条例第14条第2号ただし書ロに定める「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要と認められる情報」であるので、早急に非開示部分を開示しなければならない。

 (2)実施機関の主張要旨

 a 条例第14条2号該当性について

 ア 「氏名」、「職業」、「住所」、「電話番号」、「転用目的」、「印影」及び「法人名」について、特定の個人を識別することができるため、非開示とした。

 イ 「地番」、「面積」について、何人も容易に入手できる土地登記簿等を閲覧することにより、特定の個人を識別することができるため、非開示とした。

 ウ 「私的な意志を示す記述」について、個人を識別することができないが、これを開示することにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものに該当するため、非開示とした。

 b 条例第14条第2号ただし書ロ該当性について

 申立人は、本件事故により、農地所有者や耕作者に多大な損害が発生したため、条例第14条第2号ただし書ロに該当すると主張するが、実施機関が非開示とした情報は本件申請者の氏名等個人に関する情報であり、この部分に周辺住民の生活又は財産を保護するため、公にすることが必要な情報は含まれていない。

3 争点4(条例第14条第3号イ該当性)及び争点5(条例第14条第3号ただし書該当性)

 (1)申立人の主張要旨

 申立人は農地転用の違法不当行為を実施機関に告発・情報提供してきたにもかかわらず、違法に造成された土地に積み上げられた残土等が崩落し、本件事故が発生した。その結果、周辺や下流の土地に大量の土砂が流れ込み、所有者や耕作者に多大な損害が発生した。

 人の健康、生活及び財産が既に侵害されており、申立人が開示請求を行った情報は、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要と認められる情報」であるので、早急に非開示部分を開示しなければならない。

 (2)実施機関の主張要旨

 a 条例第14条第3号イ該当性について

 ア 「事業計画」、「経営状況」及び「法人に対する私的な意見」について、開示されることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため、非開示とした。

 イ 「残土搬入量」及び「内訳(車両台数、量、日数)」については、実際の土砂搬入量より大きな数値が記載されているため、これを開示した場合、特定の法人等が行った土砂搬入により本件事故が発生したように関連づけられるおそれがあるため、非開示とした。

 b 条例第14条第3号ただし書該当性について

 実施機関が非開示とした情報は特定の法人に関する情報であり、この部分に周辺住民の生活又は財産を保護するため、公にすることが必要な情報は含まれていない。

第5 審査会の判断

1 争点1(本件公文書の特定)について

 (1)申立人は、今回開示された公文書2に、◇◇から本件転用地への土砂搬入について、事業計画書が作成・提出される予定である旨記載があることから、当該計画書についても本件公文書として特定し開示すべきであると主張する。この点について、実施機関に聴取したところ、◇◇は計画を変更し、本件転用地に土砂を搬入しないことになったため、当該計画書は提出されなかったとのことであったが、この説明に特段不合理な点は認められない。

 (2)また、申立人は、今回開示された公文書3に「H18.9.16 西農第669-319号」と別の文書の文書番号を引用している箇所が見られたことから、当該文書も本件公文書として特定し開示すべきであると主張する。この点について、実施機関に聴取したところ、当該文書は本件転用地とは別の農地に関する処分であって本件事故とは直接の因果関係はなく、また、土砂流出事故以前に取得したものであるため、申立人の求める「土砂流出に関して知事が作成、取得した情報」には該当しないとのことであったが、この説明及び判断にも特段不合理な点は認められない。

 (3)その他申立人が存在することを主張している文書について、実施機関は「本件事故後、現地調査や関係機関との情報交換を行ったが、文書は作成・取得していない」旨説明している。しかしながら、この説明では、文書を作成・取得しなかった理由や根拠が必ずしも明確ではなかったため、審査会が実施機関に対し、条例第30条第4項に基づき調査を実施したところ、公文書1、公文書2及び公文書3が含まれる文書つづり以外には、本件請求に関する文書つづりの存在は認められず、また、当該文書つづりには、公文書1、公文書2及び公文書3の他には対象公文書として特定すべき文書は確認されなかった。

 (4)以上からすれば、実施機関の説明が十分であったとは言い難いが、結果として実施機関が行った本件公文書の特定に不備があったとは認められない。

2 争点2(条例第14条第2号本文該当性)について

 (1)別紙1のうち、実施機関が条例第14条第2号に該当することを理由に非開示とした情報は、「本件申請者の氏名、住所、電話番号、会社名及び印影」((1)bア、(2)aウ及びケ、bア、(3)aア及びイ、bア及びオ、cイ、eア、fイ、gア並びにjア)、「本件転用地並びにその周辺の地番及び面積」((1)bイ、(2)bイ、cオ及び(3)iア)、「本件指導対象者の氏名、姓、職業及び会社名」((2)aア、イ、エ~ク、コ及びサ、dア並びに(3)aウ)、「本件指導対象者に関して実施機関が抱いた印象」((2)aソ)、「土砂の発生場所及び搬入工事の発注者名」((2)cア、ウ及びエ、(3)aカ、ク及びケ並びにhウ)、「土砂搬入工事の発注者が所有する土地の地番」((2)cイ)、「現場責任者の氏名」((3)bイ及びeイ)、「建設所長の氏名及び印影」((3)bウ、cア及びdア)、「工事長の氏名」((3)eウ及びfア)並びに「工事名」((3)gア)に関する記載であることが認められる。

 (2)「本件申請者の氏名、住所、電話番号、会社名及び印影」、「本件指導対象者の氏名、姓、職業及び会社名」、「建設所長の氏名及び印影」、「工事長の氏名」及び「工事名」については、特定の個人を識別できる情報であり、条例第14条第2号に該当するため、非開示としたことは妥当である。

 (3)「本件転用地並びにその周辺の地番及び面積」及び「土砂搬入工事の発注者が所有する土地の地番」については、何人も容易に入手できる土地登記簿等を閲覧することで、特定の個人を識別でき、条例第14条第2号に該当するため、非開示としたことは妥当である。

 (4)「土砂の発生場所及び搬入工事の発注者名」については、公文書1、公文書2及び公文書3の他の記載と組み合わせることで、本件申請者の特定に繋がる情報であり、条例第14条第2号に該当するため、非開示としたことは妥当である。

 (5)「現場責任者の氏名」については、当該現場責任者は法人の代表者であるため、条例第14条第2号に該当する情報とは認められないことから、開示すべきである。

 (6)「本件指導対象者に関して実施機関が抱いた印象」について、実施機関は、特定の地域の特定の活動に関する記載がなされており、特定の個人は識別されないにしても、特定の個人の権利利益を害するおそれがあると説明する。

 実施機関はこれが開示されることにより、具体的にどのような権利利益の侵害が生じるのかを主張していないが、当該記載は、単に実施機関が本件指導対象者に対して抱いた印象に過ぎず、この内容を明らかにしたとしても、特定の個人が従事する特定の活動が阻害される等の権利侵害が生じるおそれは認められない。

 したがって、「本件指導対象者に関して実施機関が抱いた印象」については、これを明らかにしても、特定の個人の権利利益を害するおそれがあるとは認められないことから、条例第14条第2号に該当する情報とは認められないため、開示すべきである。

3 争点3(条例第14条第2号ただし書ロ該当性)について

 申立人は前記2(1)の情報について、人の健康、生活及び財産が既に侵害されており、条例第14条第2号ただし書ロに該当するため開示すべきと主張する。

 しかしながら、当審査会において、公文書1、公文書2及び公文書3の記載内容の子細を見分するとともに実施機関の説明を聴取したところによれば、本件請求時には本件事故にかかる本件転用地の修復作業は概ね完了していたと考えられる上、本件事故で土砂が流入した土地を所有する法人が被害救済を申し出たような事実が認められないこと、さらに、当該法人以外に具体的な被害が確認できないことを鑑みると、争点2による条例第14条第2号該当情報を非開示とする必要性に比べ、これを開示する必要性が上回るとは認められないことから、条例第14条第2号ただし書ロには該当しない。

4 争点4(条例第14条第3号イ該当性)について

(1)別紙1のうち、(2)aシについては、法人等が行う事業についての内容が記載されていることが認められる。しかし、当該事業は群馬県大規模土地開発事業の規制等に関する条例に規定する大規模土地開発事業に該当するものであり、当該事業の実施にあたっては、事業の対象となる地域の地権者や住民の同意ないし理解を得る必要があると考えられるところ、ここで非開示とされている情報も、これらの者の同意ないし理解を得るために当然に周知ないし説明した内容であると推定される。このことからすれば、当該情報は高度の秘匿性を有するものとは解されず、これを公にしたとしても、当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められない。

 したがって、別紙1のうち、(2)aシは、条例第14条第3号イには該当する情報とは認められないため開示すべきである。

 (2)別紙1のうち、(2)aス及びセについては、本件指導対象者が特定の法人等が行う事業や本件事故の原因について発言した内容が記載されていることが認められる。しかしながら、当該記載内容については、前記(1)と異なり、当然に一般に周知することを予定しているような情報とは認められず、また、発言内容が真実のものと真実とは言えないものが混在している可能性があることは否定できないことから、これを公にした場合、あたかもその内容がすべて真実であるかのような誤解を招くなど、発言の対象となっている法人等の社会的信用の低下等不利益となるおそれがあることは否定できない。

 したがって、別紙1のうち、(2)aス及びセについては、公にすることにより、法人等の正当な利益を害するおそれがある情報と認められるため、条例第14条第3号イに該当し、非開示としたことは妥当である。

 (3)別紙1のうち、(3)aエ、オ及びキ、bエ、eエ並びにhア、イ及びエについては、特定の法人等が本件転用地に搬入した土砂量に関する内容が記載されていることが認められる。

 これらは、公文書3の「搬入量(結果)」欄及び事業計画書に記載されている数値及びその内訳であることが認められるが、審査会での調査審議の結果、当該数値は最終的に本件転用地に搬入された土砂量(以下、「結果量」という。)ではなく、当初の土砂搬入計画の変更後の計画量(以下、「変更計画量」という。)であることを確認した。このため、変更計画量を「搬入量(結果)」として開示することにより、本件転用地の周辺住民に変更計画量をあたかも結果量であると誤解させ、特定の法人等の土砂搬入により本件事故が発生したかのような不信感を与えるおそれがあると認められる。

 したがって、別紙1のうち、(3)aエ、オ及びキ、bエ、eエ並びにhア、イ及びエについては、公にすることにより、法人等の正当な利益を害するおそれがある情報と認められるため、条例第14条第3号イに該当し、非開示としたことは妥当である。

5 争点5(条例第14条第3号ただし書該当性)

 申立人は公文書1、公文書2及び公文書3について、条例第14条第3号ただし書に該当することを明確に主張しているわけではないが、異議申立書及び意見書の趣旨を鑑み、当審査会は条例第14条第3号ただし書該当性についても判断することとする。

 当審査会において、公文書1、公文書2及び公文書3の記載内容の子細を見分するとともに実施機関の説明を聴取したところによれば、本件請求時には本件事故にかかる本件転用地の修復作業は概ね完了していたと考えられる上、本件事故で土砂が流入した土地を所有する法人が被害救済を申し出たような事実が認められないこと、さらに、当該法人以外に具体的な被害が確認できないことを鑑みると、争点4による条例第14条第3号イ該当情報を非開示とする必要性に比べ、これを開示する必要性が上回るとは認められないことから、条例14条第3号ただし書には該当しない。

6 その他

 (1)前記4(3)に関し、公文書は行政機関の意思を表すものとして、その正確性及び客観性は最も要求されるものであると考えられるところ、この点が十分に留意されていたとは言い難い内容も認められたことから、実施機関には、より適切な公文書の作成に留意されることを要望する。

 (2)開示請求に係る公文書の一部を非開示とする場合には、部分開示決定通知書等に、開示請求者において、非開示事由のどれに該当するのかをその根拠とともに了知し得る程度の理由が付記されていなければならないが、別紙1のうち、(2)aス並びに(3)aカ、ク及びhウにおける理由の付記について確認したところ、本件処分を取り消さなくてならないほどの瑕疵とは認められないまでも、改善の余地がある表現も見られたことから、実施機関には、より適切な理由付記に努めることを要望する。

7 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

 なお、申立人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

当審査会の処理経過は以下のとおりである。

審査会の処理経過

審査会の処理経過一覧表

年月日

内容

平成20年7月29日

諮問

平成20年9月2日

実施機関からの理由説明書を受領

平成20年10月3日

申立人からの意見書を受領

平成20年11月21日
(第20回第二部会)

審議(本件事案の概要説明)

平成21年1月8日
(第21回第二部会)

審議

平成21年2月10日
(第22回第二部会)

審議(実施機関の口頭説明)

平成21年3月23日
(第23回第二部会)

審議

平成21年4月27日
(第24回第二部会)

審議(条例第30条第4項による調査を実施)

平成21年5月28日

答申

別紙1

注1)ページ数は審査会で計算した。

注2)決裁欄や文字のない行は行数に算入しない。

注3)件名や段落頭等その他のスペース、発言者部分は文字数に算入しない。

注4)句読点や記号(複数の行にまたがるものを除く。)は文字数に算入する。

(1)公文書1

 b 一時転用許可にかかる転用目的の履行について

公文書1表
 

非開示部分

非開示理由

本件申請者の氏名

条例第14条第2号(個人情報)該当

本件転用地の地番及び面積

条例第14条第2号(個人情報)該当

(2)公文書2

 a ●●●●に対する一時転用目的履行の指導について

公文書2a表
 

非開示部分

非開示理由

自1ページ1行目1文字目
至1ページ1行目5文字目

条例第14条第2号(個人情報)該当

自1ページ3行目8文字目
至1ページ3行目20文字目

条例第14条第2号(個人情報)該当

自1ページ6行目13文字目
至1ページ6行目31文字目

条例第14条第2号(個人情報)該当

自1ページ6行目35文字目
至1ページ6行目39文字目

条例第14条第2号(個人情報)該当

自1ページ8行目19文字目
至1ページ8行目21文字目

条例第14条第2号(個人情報)該当

自1ページ12行目5文字目
至1ページ12行目16文字目

条例第14条第2号(個人情報)該当

カのうち、末尾の2文字に付された振り仮名

条例第14条第2号(個人情報)該当

発言者(本件指導対象者)の姓

条例第14条第2号(個人情報)該当

自1ページ17行目14文字目
至1ページ17行目16文字目

条例第14条第2号(個人情報)該当

自1ページ17行目31文字目
至1ページ18行目10文字目

条例第14条第2号(個人情報)該当

自2ページ5行目2文字目
至2ページ5行目5文字目

条例第14条第2号(個人情報)該当

自2ページ12行目8文字目
至2ページ12行24文字目

条例第14条第3号イ(法人等事業情報)該当

自2ページ14行目26文字目
至2ページ15行目17文字目

条例第14条第3号イ(法人等事業情報)該当

自2ページ26行目1文字目
至2ページ27行目16文字目

条例第14条第3号イ(法人等事業情報)該当

自3ページ5行目1文字目
至3ページ5行目30文字目

条例第14条第2号(個人情報)該当

 b 一時転用許可にかかる転用目的の履行について

公文書2b表
 

非開示部分

非開示理由

本件申請者の氏名

条例第14条第2号(個人情報)該当

本件転用地の地番及び面積

条例第14条第2号(個人情報)該当

 c 事業計画書

公文書2c表
 

非開示部分

非開示理由

「場所」欄の氏名

条例第14条第2号(個人情報)該当

「場所」欄の地番

条例第14条第2号(個人情報)該当

「工事発注者」欄の氏名

条例第14条第2号(個人情報)該当

「埋立等面積」欄の施設名

条例第14条第2号(個人情報)該当

「埋立等面積」欄の面積

条例第14条第2号(個人情報)該当

 d 建設残土等のフローシート

公文書2d表
 

非開示部分

非開示理由

「搬入先」欄の氏名

条例第14条第2号(個人情報)該当

(3)公文書3

 a ●●●●の事業計画書の提出について

公文書3a表
 

非開示部分

非開示理由

自1ページ1行目1文字目
至1ページ1行目4文字目

条例第14条第2号(個人情報)該当

自1ページ2行目28文字目
至1ページ2行目31文字目

条例第14条第2号(個人情報)該当

自1ページ8行目1文字
至1ページ8行目3文字目

条例第14条第2号(個人情報)該当

自1ページ14行目6文字目
至1ページ14行目11文字目

条例第14条第3号イ(法人等事業情報)該当

自1ページ15行目6文字目
至1ページ15行目10文字目

条例第14条第3号イ(法人等事業情報)該当

自1ページ16行目1文字目
至1ページ16行目4文字目

条例第14条第2号(個人情報)該当

自1ページ16行目5文字目
至1ページ16行目9文字目

条例第14条第3号イ(法人等事業情報)該当

自1ページ16行目27文字目
至1ページ16行目30文字目

条例第14条第2号(個人情報)該当

自1ページ17行目1文字
至1ページ17行目4文字目

条例第14条第2号(個人情報)該当

 b 事業計画書(□□で発生する土砂に関するもの)

公文書3b表
 

非開示部分

非開示理由

「事業者」欄の住所、氏名及び電話番号

条例第14条第2号(個人情報)該当

「現場責任者」欄の氏名

条例第14条第2号(個人情報)該当

「工事請負者」欄の氏名

条例第14条第2号(個人情報)該当

「埋立等土量及び運搬車両台数」欄の土量及びその内訳

条例第14条第3号イ(法人等事業情報)該当

「その他」欄の1行目19文字目から2行目8文字目まで

条例第14条第2号(個人情報)該当

 c 建設残土等のフローシート(同上)

公文書3c表
 

非開示部分

非開示理由

「元請」欄の氏名

条例第14条第2号(個人情報)該当

「搬入先」欄の住所、氏名及び電話番号

条例第14条第2号(個人情報)該当

 d 残土証明書(同上)

公文書3d表
 

非開示部分

非開示理由

建設所長の氏名及び印影

条例第14条第2号(個人情報)該当

 e 事業計画書(▽▽で発生する土砂に関するもの)

公文書3e表
 

非開示部分

非開示理由

「事業者」欄の住所、氏名及び電話番号

条例第14条第2号(個人情報)該当

「現場責任者」欄の氏名

条例第14条第2号(個人情報)該当

「工事請負者」欄の氏名

条例第14条第2号(個人情報)該当

「埋立等土量及び運搬車両台数」欄の土量及びその内訳

条例第14条第3号イ(法人等事業情報)該当

 f 建設残土等のフローシート(同上)

公文書3f表
 

非開示部分

非開示理由

「元請」欄の氏名

条例第14条第2号(個人情報)該当

「搬入先」欄の住所、氏名及び電話番号

条例第14条第2号(個人情報)該当

g 工程表

公文書3g表
 

非開示部分

非開示理由

工事名

条例第14条第2号(個人情報)該当

 h 参考資料

公文書3h表
 

非開示部分

非開示理由

自1ページ6行目4文字目
至1ページ6行目9文字目

条例第14条第3号イ(法人等事業情報)該当

自1ページ7行目3文字目
至1ページ7行目7文字目

条例第14条第3号イ(法人等事業情報)該当

自1ページ8行目1文字目
至1ページ8行目4文字目

条例第14条第2号(個人情報)該当

自1ページ8行目5文字目
至1ページ8行目9文字目

条例第14条第3号イ(法人等事業情報)該当

 i 図面

公文書3i表
 

非開示部分

非開示理由

本件転用地並びにその周辺の地番及び面積

条例第14条第2号(個人情報)該当

j 法面の堆肥について

公文書3j表
 

非開示部分

非開示理由

本件申請者の氏名及び印影

条例第14条第2号(個人情報)該当

別紙2

(2)公文書2

 a ●●●●氏に対する一時転用目的履行の指導について

公文書2a表

実施機関が非開示とした部分

開示すべき部分

自2ページ12行目8文字目
至2ページ12行目24文字目

自2ページ12行目8文字目
至2ページ12行目24文字目

自3ページ5行目1文字目
至3ページ5行目30文字目

自3ページ5行目1文字目
至3ページ5行目30文字目

(3)公文書3

 b 事業計画書(□□で発生する土砂に関するもの)

公文書3b表
 

非開示部分

非開示理由

「現場責任者」欄の氏名

「現場責任者」欄の氏名

 e 事業計画書(▽▽で発生する土砂に関するもの)

公文書3e表
 

非開示部分

非開示理由

「現場責任者」欄の氏名

「現場責任者」欄の氏名