本文
個人情報保護審議会諮問事件第15号
1 件名
「カルテ(通院の期間・全部)」の診療情報非開示決定に対する審査請求の件
2 諮問庁・処分庁
群馬県病院管理者・精神医療センター
3 開示等決定年月日、内容及び理由
(1)平成20年11月14日 非開示決定
(2)条例第13条第1号該当
開示請求をした者の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがあるため。
4 不服申立て
(1)申立年月日 平成20年12月25日
(2)趣旨
上記の非開示決定の取り消しを求める。
5 諮問年月日
平成21年2月9日
6 審議会の判断
(1)結論
群馬県立精神医療センター院長の決定は、群馬県個人情報保護条例の解釈及び運用を誤ったものではなく、妥当であると認められる。
(2)判断理由
本件個人情報は、処分庁が保有する請求人のカルテであり、処分庁が請求人に行った医療に関してその診療経過等が記録されているが、諮問庁は、その全体が条例第13条第1号に規定する「開示請求者の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある」情報であると主張している。
一般に精神医療において、患者への診療情報の開示は、医療機関と患者との信頼関係や、開示が患者の精神状態に与える影響といった複雑な要素を、高度に医学的、専門的な見地から判断する必要があると考えられるが、この判断は、医学上の専門的な学識経験を持つとともに、現在も請求人の診察及び治療に携わっている担当医師にまず求められるべきものといえる。
本件処分は、請求人がカルテの開示を受けることで特定の事柄に興味を奪われ、現在も継続中の治療行為に支障が生じ、結果として請求人本人の病状悪化等が懸念されるとの担当医師の判断を踏まえて行われたものであるが、審議会が改めて担当医師に聴取したところでも同様の見解が確認でき、そしてこの医師の判断は、実際に審議会が見分した本件個人情報の記載内容と十分な整合性を有する合理的なものと認められるため、当審議会においてもこれを尊重すべきであると考える。
よって、本件個人情報は、条例第13条第1号に該当するものと認められる。
7 答申年月日
平成21年9月8日(個審第123号)