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公文書開示審査会答申第119号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

 「平成18年4月28日付で○○警察署に提出されていた告発状の1頁目」の公文書開示請求拒否決定に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第二部会

第1 審査会の結論

 群馬県知事の決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成21年7月24日付けで、「平成18年4月28日付で○○警察署に提出されていた告発状の1頁目」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、平成21年8月5日、本件請求に係る公文書を「平成18年4月28日付で○○警察署に提出されていた告発状の1頁目」(以下「本件公文書」という。)であると特定した上で、本件公文書が刑事訴訟に関する書類であり、条例第40条により適用除外になると判断し、開示請求拒否決定(以下「本件処分」という。)を行った。

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成21年10月3日付けで、本件処分を不服として、実施機関に対し異議申立てを行った。

4 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成21年10月7日、本件異議申立て事案(以下「本件事案」という。)の諮問を行った。

第3 争点(本件公文書の開示請求拒否決定について)

 本件公文書が、条例第40条に規定される刑事訴訟に関する書類として、条例の適用除外とされるか。

第4 争点に関する当事者の主張

 争点(本件公文書の開示請求拒否決定について)

 1 申立人の主張要旨

 当該告発状は、○○の虚偽架空の刑事事件をデッチ上げ、冤罪事件の被疑者・被告人として恣意逮捕・拘禁していた証拠である。すなわち、○○が無実・無罪である事実・真実の「裏返しの証拠」なのであるから、本来の「刑事訴訟に関する書類」では無い。その逆の、当該虚偽の告訴状に名を連ねる、告発人らに関する「刑事訴訟に関する書類」に擬せられるべき書類なのである。

 したがって、当該告発状という似非「公文書」に対する開示請求に対してであるなら、条例第40条は妥当・適当な「開示請求拒否理由」になるであろうが、本件請求に関しては不当・失当であり、理由にはならない。

2 実施機関の主張要旨

 本件請求は、告発状の一部分の開示を求めるものである。告発状とは、犯人及び告訴権者以外の者が捜査機関に対し犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示を示した書類であり、捜査の端緒となるものである。そして、本件告発事案については捜査の結果、刑事訴訟にまで発展している。刑事訴訟の発端となった本件公文書の告発状は、明らかに刑事訴訟に関する書類である。よって、本件公文書は条例第40条に該当し、条例から適用除外となるため、本件請求を拒否するのは妥当である。

第5 審査会の判断

 争点(本件公文書の開示請求拒否決定について)

1 条例第40条について

 刑事訴訟法(以下「刑訴法」という。)第47条では、訴訟に関する書類は、公判の開廷前には公にしてはならないとしており、刑訴法第40条、第53条、第180条には、訴訟関係人に対する公判開始前後の訴訟関係書類及び押収物を含む証拠物の閲覧等が規定され、刑事被告事件に係る訴訟終結後の記録については、刑事確定訴訟記録法において閲覧等に関し必要な事項が定められており、その取扱い、開示・不開示の要件、開示手続等が体系的に定められている。そのため刑訴法第53条の2では、訴訟に関する書類及び押収物については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の規定を適用しないこととしており、本県の条例第40条も同様の理由から、刑事訴訟に関する書類及び押収物については条例を適用しないこととしたものである。

 なお、刑訴法及び条例で、刑事訴訟に関する書類を適用除外としている根拠としては、この他にも、(1)訴訟に関する書類及び押収物は、刑事司法手続きの一環である捜査・公判の過程において作成・取得されたものであるが、捜査・公判に関する国の活動の適正確保は、司法機関である裁判所により図られるべきであること、(2)これらの書類及び押収物は類型的に秘密性が高く、その大部分が個人に関する情報であるとともに、開示により犯罪捜査、公訴の維持その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれが大きいものであることが挙げられる。

 このように、条例の適用除外である場合には、開示請求に係る公文書の全部を開示しないこととなるため、条例施行規則第4条第3号ニの「開示請求に係る公文書が開示請求をすることができないものである場合」に該当し、公文書の全部を開示しない決定として開示請求拒否を行うことになる。

2 本件公文書の条例第40条該当性について

 審査会は、本件事案について概要の説明を実施機関から受けたところ、本件公文書は、平成18年4月28日付けで○○警察署長あて提出した告発状の写しであるとのことである。

 また、実施機関に対して条例第30条第4項に基づく調査を実施し、本件公文書を見分したところ、特定事件に関して、○○警察署長あて提出された告発状の写しであることが認められた。

 告発状は、捜査の端緒となる告発(刑訴法第239条)の内容を示す文書であり、司法警察員に提出した告発状の取扱いについては、刑訴法第242条の規定等により、当該公訴事件の事件記録に編てつされ、捜査中であれば刑事事件の捜査記録、公訴提起がされた場合であれば当該事件の訴訟記録又は不提出記録、不起訴処分とされた場合であれば当該事件の不起訴記録の一部として保管されるものであり、刑訴法第53条の2に定める訴訟に関する書類に該当するものである。

 申立人は、異議申立書から判断するところ、被告発人は無実であり、虚偽架空の刑事事件の端緒となった本件公文書は、刑事訴訟に関する書類ではないと主張するが、刑訴法に基づき司法警察員に提出された告発状である以上、その内容を問わず刑事訴訟に関する書類として位置づけられ、そのことは訴訟の結果に左右されるものでもない。

 また、刑訴法第53条の2に定める訴訟に関する書類とは、被疑事件又は被告事件に関し作成された書類をいい、種類及び保管者を問わないと解されており、本件のように、実施機関が司法警察員に提出した告発状の写しを保管している場合についても、訴訟に関する書類に該当すると判断される。

 よって、本件公文書は、条例第40条の規定により条例の適用除外となる刑事訴訟に関する書類である。

3 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過

年月日 内容
平成21年10月7日 諮問

平成21年11月6日

実施機関からの理由説明書を受領

※異議申立人は意見書を提出せず

平成21年12月22日
(第29回第二部会)

審議(本件事案の概要説明)

平成22年1月25日
(第30回第二部会)

審議(実施機関の口頭説明、審議)

平成22年1月28日

答申