ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織からさがす > 生活こども部 > 県民活動支援・広聴課 > 群馬県情報公開条例の解釈及び運用基準(15~19条)

本文

群馬県情報公開条例の解釈及び運用基準(15~19条)

更新日:2022年4月1日 印刷ページ表示

第15条(部分開示)関係

(部分開示)

第15条 実施機関は、開示請求に係る公文書の一部に非開示情報が記録されている場合において、非開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、前条の規定にかかわらず、開示請求者に対し、当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。ただし、当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは、この限りでない。

2 開示請求に係る公文書に前条第2号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において、当該情報のうち、氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。

趣旨

本条第1項は、公文書の一部に非開示情報が記録されている場合における実施機関の部分開示の義務の内容及びその要件を明らかにするものである。

第2項は、開示請求に係る公文書に個人識別情報(非開示情報)が記録されている場合に、個人識別性のある部分を取り除くことによる部分開示について定めるものである。

解説

1 非開示情報が記録されている場合の部分開示(第1項)

  1. 「開示請求に係る公文書の一部に非開示情報が記録されている場合」とは、1件の公文書に複数の情報が記録されている場合において、各情報ごとに第14条各号に規定する非開示情報に該当するかどうかを審査した結果、該当する情報がある場合を意味する。
    開示請求は、公文書単位で行われることが原則であるため、第13条では公文書に全く非開示情報が記録されていない場合の開示義務を定めているが、本項の規定により、実施機関は、情報単位での開示・非開示の判断を行わなければならないことになる。
  2. 「容易に区分して除くことができるとき」とは、非開示情報に係る部分とそれ以外の部分とを分離することが、物理的、技術的に困難でなく、また、時間、経費などから考えても著しい負担を要しないと判断される場合をいう。したがって、開示情報と非開示情報を容易に区分し得ない場合には、部分開示を行えなくてもやむを得ないものである。
    「区分」とは、非開示情報が記録されている部分とそれ以外の部分とを概念上区分けすることを意味し、「除く」とは、非開示情報が記録されている部分を、当該部分の内容が分からないように黒インクを塗るなどにより、公文書から物理的に除去することを意味する。
    例えば、文章として記録されている内容そのものには非開示情報は含まれないが、特徴のある筆跡により特定の個人を識別することができる場合には、識別性のある部分を区分して除くことは困難である。また、録音されている発言内容自体には非開示情報が含まれていないとしても、声により特定の個人を識別できる場合も同様である。
  3. 文書の記載の一部を除くことは、コピー機で作成したその複写物に黒インクなどを塗り再複写するなどして行うことができ、一般的には容易であると考えられる。
    一方、録音、録画、磁気ディスクに記録されたデータベース等の電磁的記録については、区分して除くことの容易性が問題となる。例えば、複数の人の発言が同時に録音されているがそのうちの一部の発言内容のみに非開示情報が含まれている場合や、録画されている映像中に非開示情報が含まれている場合などでは、非開示部分のみを除去することが容易ではないことがあり得る。このような場合には、容易に区分して除くことができる範囲で、開示すべき部分を決定することになる。なお、電磁的記録について、非開示部分と開示部分の分離が既存のプログラムでは行えない場合は、「容易に区分して除くことができない場合」に該当する。
  4. 部分的に削除すべき範囲は、文書であれば、一般的には、文、段落等、表であれば個々の欄等を単位として判断することをもって足りる。
  5. 本項は、義務的に開示すべき範囲を定めているものであり、部分開示の実施に当たり、具体的な記述をどのように削除するかについては、実施機関の本条例の目的に沿った合目的的な裁量に委ねられている。すなわち、非開示情報の記録部分の全体を完全に黒く塗るか、文字が判読できない程度に被覆するか、当該記録中の主要な部分だけ塗りつぶすかなどの方法の選択は、非開示情報を開示した結果とならない範囲内において、当該方法を講ずることの容易さ等を考慮して判断することになる。その結果、観念的にはひとまとまりの非開示情報を構成する一部が開示されることになるとしても、実質的に非開示情報が開示されたと認められないのであれば、実施機関の非開示義務に反するものではない。
    なお、文字のあった部分を削除したのか、元々文字はなかったのかが判別できないような削除方法をとることは適当ではない。
  6. 「有意の情報が記録されていないと認められるとき」とは、説明責任が全うされるようにするとの観点から、非開示情報が記録されている部分を除いた残りの部分に記載されている情報の内容が、開示をしても意味がないと認められる場合を意味する。例えば、残りの部分に記載されている内容が、無意味な文字、数字等の羅列となる場合などである。
    この有意性の判断に当たっては、同時に開示される他の情報があればこれも併せて判断されるべきである。
    また、有意性の判断は、個々の請求者の意図によらず、客観的になされるべきものである。つまり、開示請求者が知りたいと考える事柄との関連によってではなく、請求の趣旨を損なうか否かで判断するべきものである。

2 個人識別情報が記録されている場合の部分開示(第2項)

  1. 第1項の規定は、公文書に記録されている情報のうち、非開示情報ではない情報の記載部分の開示義務を規定しているが、ひとまとまりの非開示情報のうちの一部を削除した残りの部分を開示することの根拠条項とはならない。
    個人識別情報は、通常、個人を識別させる部分(例えば、氏名)とその他の部分(例えば、当該個人の行動記録)とから成り立っており、その全体が1つの非開示情報を構成する。これは、他の非開示情報の類型が第1号を除き各号に定められた「おそれ」を生じさせる範囲で非開示情報の大きさをとらえることができるのとは、その範囲のとらえ方を異にするものである。このため、第1項の規定だけでは個人識別情報については全体として非開示となることから、個人を識別させる部分を除くことにより残りの部分を開示しても個人の権利利益保護の観点から支障が生じないときには部分開示とするよう、特例規定を設けたものである。
  2. 「(特定の個人を識別することができるものに限る。)」としているのは、「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」(第14条第2号本文の後半部分)については、そもそも特定の個人を識別させる部分が存在しないため、本項の規定を適用する余地がないからである。
  3. 個人を識別させる要素を除去することにより誰の情報であるかが分からなくなれば、残りの部分については、通常、個人情報としての保護の必要性は乏しくなるが、個人識別性のある部分を除いても、開示することが不適当であると認められるものもある。例えば、カルテや作文など個人の人格と密接に関連するものや、個人の未発表の研究論文など開示すると個人の権利利益を害するおそれがあるものである。
    このため、個人を識別させる部分を除いた部分について、公にしても、個人の権利利益を害するおそれがないものに限り、部分開示の規定を適用することとしている。
  4. 第1項の規定により、部分開示の範囲を決定するに当たっては、個人識別情報のうち個人を識別させる部分以外は、個人の権利利益を害するおそれがない限り、第14条第2号に規定する非開示情報には該当しないものとして取り扱う。したがって、他の非開示情報の規定に該当しない限り、当該部分を開示することになる。
    また、第1項の規定を適用するに当たっては、容易に区分して除くことができるかどうかが要件となるので、個人を識別させる要素とそれ以外の部分とを容易に区分して除くことができない場合には、当該個人に関する情報は全体として非開示となる。
    なお、個人を識別させる部分は、第14条第2号イからハのいずれかに該当しない限り、部分開示の対象とならない。

第16条(公益上の理由による裁量的開示)関係

(公益上の理由による裁量的開示)

第16条 実施機関は、第14条の規定にかかわらず、開示請求に係る公文書に非開示情報(同条第1号に該当する情報を除く。)が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該公文書を開示することができる。

趣旨

本条は、開示請求に係る公文書に非開示情報が記録されていても、開示請求者に対し、当該公文書を開示することができる場合について定めるものである。

解説

  1. 開示請求に係る公文書に非開示情報が記録されている場合には、第14条及び第15条の規定により非開示情報の部分を開示しないが、個々の事例における特殊な事情によっては、公にすることによって生ずる支障を上回る公益上の必要性がある場合がある。本条は、このような場合について実施機関の高度な行政的判断により裁量的に開示する余地を与えたものである。
  2. 法令秘情報については、法令等によって開示が禁止されている情報であり、本条例による開示の余地がないものであるから、裁量的開示の対象から除外する。
  3. 「公益上特に必要があると認めるとき」とは、第14条第2号ロ及び第3号のただし書の規定による人の生命、健康等の保護のため必要な場合の開示義務に比べ、より広い社会的、公共的な利益を保護する特別の必要のある場合をいう。
  4. 本条は、非開示情報の規定により保護される権利利益があるにもかかわらず例外的に公開するものであるから、適用に当たっては、非開示情報の規定により保護される権利利益と開示による公益を比較衡量して、慎重に判断する必要がある。
  5. 本条により県以外の第三者に関する情報を開示しようとする場合は、第21条第2項(第三者に対する意見書提出の機会の付与等)の手続が必要となる。

第17条(公文書の存否に関する情報)関係

(公文書の存否に関する情報)

第17条 開示請求に対し、当該開示請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、非開示情報を開示することとなるときは、実施機関は、当該公文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。

趣旨

本条は、開示請求の拒否処分の一態様として、一定の場合に、実施機関は、公文書の存否を明らかにしないで、請求を拒否することができることを定めるものである。

解説

  1. 開示請求に対しては、当該開示請求に係る公文書の存否を明らかにした上で、存在している場合は開示又は非開示を回答し、存在しない場合は存在しない旨を回答することが原則である。しかしながら、公文書の内容によっては、存在しているか否かを答えるだけで、非開示情報を開示した場合と同様に、個人や法人の権利利益を侵害したり、県の機関又は国等の機関が行う事務又は事業に支障を及ぼすことがある。そこで、本条は、公文書の存否を明らかにしないで、開示請求を拒むことができる場合を例外的に規定するものである。
  2. 「開示請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、非開示情報を開示することとなるとき」とは、開示請求に係る公文書が具体的にあるかないかにかかわらず、開示請求された公文書の存否について回答すれば非開示情報を開示することとなる場合をいう。また、開示請求に含まれる情報と非開示情報該当性とが結合することにより、当該公文書の存否を回答できない場合もある。例えば、特定の個人の名を挙げて、その病歴情報が記録された文書の開示請求があった場合、当該公文書に記録されている情報は非開示情報に該当するが、非開示であると答えるだけで、当該個人の病歴の存在が明らかになってしまう。このような特定の者又は特定の事項を名指しした探索的請求には、次のような例が考えられる。
    〔1〕県立病院における診療録等、特定個人の病歴に関する情報(第14条第2号)
    〔2〕先端技術を開発する特定企業の設備投資計画に関する情報(第14条第3号)
    〔3〕犯罪の内偵捜査に関する情報(第14条第4号)
    〔4〕特定分野に限定しての試験問題の出題予定に関する情報(第14条第6号)
    なお、特定の個人を名指しした開示請求に係る情報は、第14条第2号に該当し、かつ、個人情報の提供の制限を定めた群馬県個人情報保護条例第8条との整合性からいっても、上記の様なプライバシー性が高いとはいえない情報でも本条が適用されることとなる。ただし、第14条第2号イからハに該当するものは例外である。
  3. 存否を明らかにしないで拒否することが必要な類型の情報については、常に存否を明らかにしないで拒否することが必要である。例えば、公文書が存在しない場合に不存在と答えて、公文書が存在する場合にのみ存否を明らかにしないで拒否したのでは、開示請求者に当該公文書の存在を類推させることとなる。よって、実施機関の職員は、この規定を適用する可能性があるような開示請求の相談を受けた場合は、本条の趣旨にかんがみ、その場で公文書の存否を明らかにしないよう留意するなど、慎重な対応をする必要がある。
  4. 本条は、存否を明らかにしない公文書について例外的に規定したものであるから、適用に当たっては、その妥当性を適切に判断する必要がある。そこで、各課所の長は、適用に当たっては、県民活動支援・広聴課と調整した上で適用願いたい。

第18条(開示請求に対する措置)関係

(開示請求に対する措置)

第18条 実施機関は、開示請求に係る公文書の全部又は一部を開示するときは、その旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨並びに開示を実施する日時及び場所を書面により通知しなければならない。

2 実施機関は、開示請求に係る公文書の全部を開示しないとき(前条の規定により開示請求を拒否するとき及び開示請求に係る公文書を保有していないときを含む。)は、開示をしない旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。

3 実施機関は、開示請求があった場合において、直ちに、当該開示請求に係る公文書の全部を開示する旨の決定をして開示をすることができるときは、第1項の規定にかかわらず、開示請求者に対し、同項の規定による通知を口頭によりすることができる。

趣旨

本条は、実施機関は、開示請求に対して開示又は非開示の決定をしなければならないことを定めるものである。

解説

1 全部開示又は部分開示(第1項)

  1. 公文書の全部又は一部を開示する旨の決定は、次のいずれかに該当する場合に行う。
    〔1〕開示請求に係る公文書に非開示情報が記録されていない場合
    〔2〕開示請求に係る公文書の一部に非開示情報が記録されている場合であって、当該非開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるとき(第15条第1項)
    この場合には、公文書の一部を開示する旨の決定を行う。
    〔3〕開示請求に係る公文書に非開示情報が記録されている場合であっても、公益上特に当該公文書を開示する必要があると認めるとき(第16条)
  2. 「その旨の決定」の内容としては、全部開示か部分開示かの別(部分開示の場合には、開示する部分と開示しない部分との区別)が明らかにされている必要がある。
    決定は、1件の開示請求につき複数行う場合もあり得る。例えば、開示請求に係る公文書が大量である場合や、開示請求に係る複数の公文書のうち一部について開示・非開示の審査に時間を要する場合には、先に審査の終了した公文書についてのみ先行して開示決定等を行うことも可能である。
    なお、部分開示の決定を行う場合には、開示しない部分については、開示しない旨の決定を行う場合と同様、行政手続条例第8条に基づく理由の提示、行政不服審査法第82条に基づく教示及び行政事件訴訟法第46条に基づく教示を行う必要がある。

2 非開示、請求拒否、公文書不存在(第2項)

  1. (1)開示請求に係る公文書について、そのすべてを開示しない場合(開示請求に係る複数の公文書のうち一部についてのみ決定を行う場合であって、当該決定に係る公文書のすべてを開示しないときを含む。)であるが、具体的には、以下のケースが該当する。
    〔1〕開示請求に係る公文書の全部に非開示情報が記録されているため、すべて非開示とする場合(非開示情報が記録されている部分を、それ以外の部分と容易に区分して除くことができない場合を含む。)
    〔2〕開示請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで非開示情報を開示することとなるため、開示請求を拒否する場合(第17条)
    〔3〕開示請求に係る公文書を当該実施機関が保有していない場合
    〔4〕開示請求の対象が、条例の附則により対象となると定めた期日前に作成・取得したものであるため、当該実施機関が保有していないこととなる場合又は本条例による開示請求の対象外である場合(実施機関が公社の場合のみ)
    この場合について、「請求をすることができる事項についての請求である」か否かについては、行政手続条例上、一般には申請の内容審査を経ないと判断できない問題(場合により対象となる期日以降に取得していることもある)であると考えられ、「請求の形式上の要件」には当たらないと解されるので、開示請求に形式的な不備があるとして開示請求を拒否するのではなく、公文書不存在の決定(条例の対象となっている公文書を当該実施機関が保有していない)をすることとなる。
    ただし、条例の対象外となっている日を作成・取得日として指定した請求等は、対象外であることが明白なため、拒否の決定をすることとなる。
    〔5〕開示請求の対象が、第2条第4項に規定する公文書に該当しない場合
    〔6〕開示請求の対象が、本条例の適用除外規定により、本条例による開示請求の対象外である場合(第40条)
    〔7〕開示請求の対象が他法令等により本条例第22条本文に規定する方法と同一の方法で開示すると規定されているため、当該同一方法による開示を認めない場合(第25条)
    〔8〕公文書の特定が不十分である場合等、開示請求に形式的な不備がある場合
    ただし、当該不備を補正することができると認められる場合は、原則として、開示請求者に補正を求めるものとする(第12条第2項)。
    〔9〕権利濫用に関する一般法理が適用される場合
    〔5〕~〔9〕の場合については開示請求拒否の決定を行うこととなる。
  2. (2)開示しない旨の決定を通知する際には、行政手続条例第8条に基づく理由の提示、行政不服審査法第82条に基づく教示(審査請求をすることができる旨、審査請求をすべき実施機関及び審査請求をすることができる期間)及び行政事件訴訟法第46条に基づく教示(取消訴訟を提起することができる旨、当該訴訟の被告とすべき者及び当該訴訟の出訴期間)を書面により行うことが必要である。
    このうち、理由の提示については、単に条例上の根拠条項を示すだけでは足りず、請求者が拒否の理由を明確に認識しうるものであることが必要であると解されている。したがって、非開示情報の内容が明らかにならない限度において、どのような類型の情報が記録されているかを示すことになる。
    同旨 最高裁判所第一小法廷 平成4年12月10日判決(平成4年(行ツ)第48号)
     「理由付記制度の趣旨にかんがみれば、公文書の非開示決定通知書に付記すべき理由としては、開示請求者において、…非開示事由のどれに該当するのかをその根拠とともに了知し得るものでなければならず、単に非開示の根拠規定を示すだけでは、当該公文書の種類、性質等とあいまって開示請求者がそれらを当然知り得るような場合は別として、本条例…の要求する理由付記としては十分ではないといわなければならない。…後日、実施機関の補助職員によって、被上告人に対し口頭で非開示理由の説明がされたとしても、それによって、付記理由不備の瑕疵が治癒されたものということはできない。」
    また、開示請求に係る公文書に複数の非開示情報が記録されている場合や1つの情報が複数の非開示情報に該当する場合には、そのそれぞれについて、理由の提示が必要である。なお、非開示情報が多く、かつ、散在しており、それぞれについて個別に理由を提示することが困難な場合には、理由の提示の趣旨が損なわれない範囲で、同種・類似の事項をまとめて理由を記載することはあり得る。

3 即日開示(第3項)

県が保有する公文書等の写しの交付は任意で提供できるものを除き情報公開条例等により行っているが、〔1〕全部を公開(公表)することについて既に実施機関として意思決定されたもので、その後事情の変更がないもの、〔2〕法令等の規定により閲覧等がなされているものについては、口頭の決定により写しの交付を即日にできることとした。

ここで「実施機関として意思決定した」とは、群馬県事務専決規程(昭和43年9月20日訓令甲第11号)第4条及び第7条等により第18条の事務に係る専決権限を有する課長(部に置く室の室長を含む。)又は所長の決定がなされている状態をいう。

第19条(開示決定等の期限)関係

(開示決定等の期限)

第19条 前条各項の決定(以下「開示決定等」という。)は、開示請求があった日から起算して15日以内にしなければならない。ただし、第12条第2項の規定により補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、当該期間に算入しない。

2 前項の規定にかかわらず、実施機関は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、同項に規定する期間を45日以内に限り延長することができる。この場合において、実施機関は、開示請求者に対し、遅滞なく、延長後の期間及び延長の理由を書面により通知しなければならない。

3 開示請求に係る公文書が著しく大量であるため、開示請求があった日から起算して60日以内にそのすべてについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、前2項の規定にかかわらず、実施機関は、開示請求に係る公文書のうちの相当の部分につき当該期間内に開示決定等をし、残りの公文書については相当の期間内に開示決定等をすれば足りる。この場合において、実施機関は、第1項に規定する期間内に、開示請求者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。

  1. この項を適用する旨及びその理由
  2. 残りの公文書について開示決定等をする期限

趣旨

本条は、開示決定等を行うべき原則的期限(開示請求があった日から起算して15日)、延長可能な期間(開示請求があった日から起算して最大60日)及び著しく大量な公文書の開示請求があった場合についての期限の特例を定めるものである。

解説

1 開示決定を行うべき原則的期限(第1項)

  1. 「開示請求があった日」とは、開示請求の宛先である実施機関の開示請求の受付をする窓口(県民活動支援・広聴課、各地域機関等)に、開示請求書が到達した日を指す。
    例えば、開示請求の対象となる公文書を保有していない地域機関等に誤って開示請求書が提出された場合には、開示請求者に対して提出先が異なる旨を伝えるか又は受付担当窓口に回送するかのどちらかを速やか行う必要があるが、後者の措置をとった場合でも、開示請求があった日とは、正しい窓口に到達した日を指す。
  2. 期間計算に当たっては、「開示請求があった日」を起算日とする。また、期間の末日が実施機関の休日に当たる場合は、群馬県の休日を定める条例(平成元年条例第16号)第2条(県設立地方独立行政法人及び公社の場合は民法第142条)により、その翌日をもって期間が満了することとなる。
  3. 本項は、開示決定等の期限を定める規定であり、開示請求者に対する通知の到着日が15日以内であることを求めているものではないが、実施機関は、開示決定等をしたときは、速やかに第18条各項に規定する通知を行う必要がある。
  4. 「補正に要した日数」とは、実施機関が第12条第2項の規定により補正を求めてから、開示請求者が補正をした開示請求書を実施機関に提出するまでの期間を指す。
    この経過については開示請求者に責があり、開示決定等の期間計算に含めることは適当でない。なお、この規定がなくても期間計算は同様に解されるところであるが、明確化を図ったものである。
  5. 形式上の不備がある開示請求であっても、補正を求めるまでの期間は、期間計算に含まれる。
    開示請求書に形式上の不備があるかどうかは、必ずしも形式的審査により直ちに明らかになるものではない。例えば、公文書の特定が十分かどうかは、実施機関において、開示請求の記載された内容により確認することが必要である。このような期間は、適法な開示請求の場合であっても必要なものであり、期間計算の中に含めている。
  6. 公文書が特定されているか否かについて実施機関と開示請求者の間に認識の相違がある場合など、実施機関が補正を求め続けることによりいつまでも開示決定等の期限が到来しない事態が生じるおそれがある。しかしながら、開示請求者が補正の求めに応じない旨を明らかにしたときは、補正されないことが明確になったのであるから、その時点以降はもはや「補正に要する日数」には当たらない。したがって、補正を求めた日から補正の求めに応じない旨が明らかにされた日までの日数を除いて、期間計算することとなり、いつまでも期限が到来しないという事態は生じない。
  7. 第12条第2項において「相当の期間を定めて」補正を求めることとしているのは、開示請求者による補正の機会を保障するためであるから、当該「相当の期間」内は、不適法な開示請求であることを理由とする拒否処分を行えない。したがって相当の期間を定めて補正を求めることと、開示決定等の期限とは直接関係しない。また、補正がされないまま「相当の期間」が過ぎた場合には、実施機関は拒否処分を行うことができるようになるが、開示請求者が補正を行うために更に時間を必要とする場合等にまで、拒否処分を行わなくてはならないわけではない。
    補正を求めている間は、開示決定等を行うべき期間が進行しないので、実施機関が本条違反を問われることはない。

2 延長可能な期間(第2項)

  1. 「事務処理上の困難」とは、当該開示請求に対し第1項に規定する期間内に開示決定等を行うことが、実施機関側の事情により困難であることを意味し、それの有無は、〔1〕開示請求に係る公文書の量の多少、〔2〕開示請求に係る公文書の開示・非開示の審査の難易、〔3〕当該時期における他に処理すべき開示請求事案の量のほか、実施機関の他の事務の繁忙等の事情も考慮して判断されるものである。
    「その他正当な理由」としては、例えば、第21条に規定する第三者に対する意見書提出の機会を付与するに当たり、公文書に記録されている情報の量が大量であるため第三者に十分な時間を与えることが必要と認められる場合や、第三者が多数存在するため手続に時間を要する場合などが挙げられる。
  2. 「同項に規定する期間」とは、開示請求があった日から開示決定等を行うべき日までの期間を指すものであり、本項が適用される場合には、最大で、開示請求があった日から起算して60日以内に処理をすればよいことになる。
  3. 申請者の求めに応じ、申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めることは、行政手続条例第9条に定められているところであるが、本条例では、期限を延長する場合には、必ず通知しなければならないこととしている。
    「遅滞なく」とは、合理的な理由による遅滞は許されるという趣旨であるが、通知の発送は、原則的な期限である開示請求があった日から起算して15日以内に行うものとする。
    「延長後の期間」とは、開示決定等が行われる時期の見込みを指すものであり、また、「延長の理由」においては、期限を延長することが必要となった事情を説明するものである。

3 大量請求があった場合における開示決定等の期限の特例(第3項)

  1. 各実施機関は、それぞれ遂行すべき任務を負っているので、本規定を設けることにより開示請求の処理と他の行政事務の遂行との適切な調和を図るものである。
    本項を適用する場合の事務の流れは、以下のとおりである。
    〔1〕開示請求のあった日から起算して15日以内に、本項を適用する旨等を通知する。
    〔2〕開示請求のあった日から起算して60日以内に、相当の部分について開示決定等をする。
    〔3〕相当の期間(〔1〕の通知において、その期限を示す。)内に、残りの部分について開示決定等を行う。
  2. 「開示請求に係る公文書が著しく大量」かどうかは、1件の開示請求に係る公文書の物理的な量とその審査等に要する業務量だけによるわけではなく、実施機関の人員などの事務体制、他の開示請求事案の処理に要する事務量、その他の事務の繁忙、勤務日等の状況なども考慮した上で判断される。
  3. 「事務の遂行に著しい支障」とは、当該開示請求の処理を担当する課所が遂行すべき通常の事務に容認できない遅滞を来すことを意味する。
  4. 「相当の部分」とは、開示請求を受けた実施機関が通常60日以内に開示決定等ができる分量を意味する。著しく大量な公文書の開示請求であっても、他の開示請求者との平等を図る観点から、60日以内に処理できる量については、当該期間内に開示決定等を行うものである。
  5. 当該開示請求のすべてを処理できない事情にかんがみ、当該残りの公文書についての処理は、「相当の期間」内に行う必要がある。実施機関は、ある程度のまとまりの公文書ごとに、早く審査の終了したものから順に開示決定等を行うことが望ましい。なお、「相当の期間」とは、当該残りの公文書について実施機関が処理するに当たり必要とされる合理的な期間をいう。
  6. 本項が適用されるケースは例外的な場合であり、比較的早期に本項適用の必要性の見当がつくと考えられるので、第1項に規定する原則的な処理期間内(開示請求があった日から起算して15日以内)に、必要な通知を行わなければならないこととしている。
  7. 「その理由」とは、本項を適用することが必要となった事情を一般の人が理解し得る程度に示すことを意味する。
  8. 「残りの公文書について開示決定等をする期限」とは、最終的に当該開示請求に係るすべての公文書についての開示決定等を終えることが可能であると見込まれる期限を意味する。
    本項の性質上、当該期限が比較的長期になる場合もあり得るため、予測し得ない事務の繁忙などその後の事情の変化により、当該期限を厳守できない場合も想定できる。しかしながら、特例規定を適用する場合には、請求者に処理の時期の見通しを通知することが適切である。
    仮に通知した期限までに開示決定等がなされなかった場合には、開示請求者は、不作為についての審査請求や不作為の違法確認訴訟により争う余地があるが、不作為に当たるかどうかは、個別の案件に応じた判断が必要であり、通知した期限を守れなかったことを理由として直ちに違法とする意味ではない。
  9. 本項による通知においては、60日以内に開示決定等をする「相当の部分」を示すことは要しない。通知は15日以内に行わなければならないため、当該時点で60日以内に開示決定等ができる部分を的確に判断することは困難であること、60日以内には当該部分についての開示決定等が通知されることを考慮したためである。