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公文書開示審査会答申第122号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

「群馬県警察本部○○が作成又は取得した○○に関する文書等の一切及び平成○年○月○日以降○○に対して行われた聴取の際、○○による発言内容並びに○○からの聴取内容の一切」の公文書の存否を明らかにしない決定に対する審査請求に係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第二部会

第1 審査会の結論

 実施機関の決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県警察本部長(以下「実施機関」という。)に対し、平成21年10月20日付けで、「群馬県警察本部○○が作成又は取得した○○に関する文書等の一切及び平成○年○月○日以降○○に対して行われた聴取の際、○○による発言内容並びに○○からの聴取内容の一切」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、平成○年○月○日、本件請求に関して、公文書の存否を明らかにしない決定(以下「本件処分」という。)を行い、公文書の存否を明らかにしない理由を次のとおり付して、請求人に通知した。

  • 条例第14条第2号該当
    本件開示請求は、特定個人が関係する事案を請求内容に含んでいる。当該事案の有無は、個人に関する情報であり、条例第14条第2号(個人情報)に該当する。
  • 条例第17条該当
    本件開示請求については、当該開示請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、上記非開示情報を開示するのと同じ結果を生じさせることになるため、条例第17条の規定により公文書の存在を明らかにしないで、請求を拒否する。

3 審査請求

 請求人は、行政不服審査法第5条の規定に基づき、平成21年12月5日付けで、本件処分を不服として群馬県公安委員会(以下「諮問庁」という。)に対し審査請求を行った。

4 諮問

 諮問庁は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成22年2月3日、本件審査請求事案の諮問を行った。

第3 争点(条例第14条第2号ただし書ロ及びハ該当性)

 本件請求内容が条例第14条第2号ただし書ロ及びハに該当するか。

第4 争点に対する当事者の主張

(1)請求人の主張要旨

ア 本人の現在の状況から請求人は精神的、経済的に痛手を被っており、情報を公にすることにより、請求人の生命、健康、生活が保護されるものであり、条例第14条第2号ただし書ロに該当する。

イ 開示請求する聴取内容が職務の遂行にかかり行われたものであり、条例第14条第2号ただし書ハに該当する。

ウ 請求人が本人の妻であり、情報が公にされることにより、本人の権利利益が侵害されるものではなく、家族として本人の情報を把握しておくのは、当然の権利であることから、諮問庁の決定理由は不適正である。

(2)諮問庁の主張要旨

ア 特定の個人に関する文書を○○が作成又は取得しているということ、○○が特定の個人から聴取を行ったということ及びその際の発言内容は、当該特定個人の個人情報であり、条例第14条第2号本文に規定する非開示情報に該当する。

イ 非開示情報該当性の判断に当たっては、開示することの利益と開示されないことの利益との調和を図ることが重要であり、個人情報についても、公にすることによって害されるおそれがある当該情報に係る個人の権利利益よりも、人の生命、健康等の保護の必要性が上回るときは、開示しなければならないと考えるが、本件請求に係る情報については、非開示情報として保護されるべき個人情報を開示する必要性は認められないので、条例第14条第2号ただし書ロに該当しない。

ウ 本件請求は、その請求内容に、特定の個人の所属、氏名及び特定の日以降に○○による聴取が行われたという個人情報を含んでいる。そのため、開示請求に係る公文書の有無を答えるだけで、特定の個人に関する文書を○○が作成又は取得したという事実及び特定の日以降に○○による特定の個人に対する聴取が行われたという事実の有無を明らかにすることとなり、特定の個人の個人情報を開示した場合と同様の結果となる。したがって、条例第17条(公文書の存否に関する情報)の規定により、実施機関は、本件請求に係る公文書については、その存否を明らかにせずに開示請求を拒否したものである。

エ 条例では、何人に対しても等しく開示請求権を認めており、開示請求者が何人であるか、又は開示請求者が開示請求に係る公文書にも記録されている情報について利害関係を有しているかなどの個別事情があっても、当該公文書の開示決定等の結論が異なるものではない。

第5 審査会の判断

当審査会は、本件事案について審査した結果、次のとおり判断する。

1 争点(条例第14条第2号ただし書ロ及びハ該当性)

(1)条例は第13条で原則開示をうたい、第14条で例外的に非開示を認めている。また、条例第17条は、開示請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで非開示情報を開示することとなるときは、当該公文書の存否を明らかにしないで開示請求を拒否することができると規定している。本件請求は、条例第14条第2号の個人に関する情報であることから、同号に該当することについて判断を行うこととなる。

 条例は非開示とすべき個人情報の類型について個人識別型を採用しているので、条例第14条第2号本文にいう「個人に関する情報」であって「特定の個人を識別することができるもの」とは、当該情報に係る個人が誰であるかを識別させることになる氏名その他の記述の部分だけでなく、特定の個人情報全体を指すほか、当該情報単独では特定の個人を識別することができないが、他の情報と照合することにより識別可能となるものについても含まれると解される。

 また、条例は、公文書の開示請求権を「何人」に対しても認めており、開示請求者に対し、開示請求の理由や利用等の目的等の個別的事情を問うものではなく、開示請求者が誰であるか、又は開示請求者が開示請求に係る公文書に記録されている情報について利害関係を有しているかどうかなどの個別的事情によって、当該公文書の開示決定等の結論に影響を及ぼすものではない。

(2)本件請求は、○○が特定個人に対して聴取を行った際の記録文書を求めるものであるが、請求内容に特定の個人名が記載されており、請求内容全体が、特定個人に関する情報であることは明らかである。

 したがって、本件請求に係る情報が存在しているか否かを答えることは、特定個人が○○の聴取を受けたか否かという、条例第14条第2号本文に該当する個人情報を開示することになるため、同号ただし書きイ~ハ又は条例第16条で規定する公益上の理由による裁量的開示に該当しない限り、条例第17条に基づき、公文書の存否を明らかにしない決定をすることになる。

(3)請求人は、本件請求が条例第14条第2号ただし書ロに規定される「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当すると主張している。

 ここで、「公にすることが必要であると認められる情報」とは、人の生命、健康、生活又は財産の保護の必要性が、公にすることにより害されるおそれがある個人の権利利益よりも上回る場合をいうものであり、開示の必要性も、その公にする必要性と個人の権利利益を比較衡量した上で判断されるものである。

 本件は、特定個人の妻が夫である特定個人の情報を開示請求した事例であるが、公文書開示制度は、請求者の個別事情を考慮しないことは前述のとおりであり、本件事案における請求者の個別事情を考慮しないで判断すると、特定個人が○○の聴取を受けたか否かを明らかにすることが、人の生命、健康、生活又は財産を保護するために必要であるとは認められないため、条例第14条第2号ただし書ロには該当しない。

(4)また、請求人は、特定個人が公務員であることから、条例第14条第2号ただし書ハに規定される「職務の遂行に係る情報」に該当すると主張している。

 ここで、「職務の遂行に係る情報」とは、公務員等が行政機関その他の国の機関、地方公共団体の機関等の一員として、その担任する職務を遂行する場合における当該活動についての情報を意味する。

 その該当性については、その情報が具体的な職務の遂行と直接の関連を有するか否かで判断するところ、本件において、公務員である特定個人が○○から聴取を受けた際の情報は、○○の職員にとって「職務の遂行に係る情報」であったとしても、聴取を受けた特定個人にとって「職務の遂行に係る情報」にはあたらないことから、条例第14条第2号ただし書ハには該当しない。

2 結論

  以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 内容
平成22年2月3日 諮問
平成22年2月4日 諮問庁からの理由説明書を受領
平成22年3月3日 審査請求人からの意見書を受領
平成22年3月19日
(第31回 第二部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成22年4月21日
(第32回 第二部会)
審議(実施機関の口頭説明)
平成22年6月28日
(第33回 第二部会)
審議
平成22年7月26日
(第34回 第二部会)
審議
平成22年7月27日 答申