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文化財保護審議会 平成24年度第1回開催結果

更新日:2012年8月6日 印刷ページ表示

開催日時

 平成24年8月6日(月曜日)午後1時30分~午後4時30分

場所

 群馬県庁第1特別会議室、史跡上野国分寺跡

出席者

  •  大平良治会長、戸所隆副会長、篠木れい子委員、染川香澄委員、野田香里委員、松本健一委員
  •  専門部会長出席者

 村田敬一建造物部会長、榊原悟美術工芸部会長、宮崎俊弥歴史資料部会長、飯島康夫無形・民俗文化財部会長、松本浩一史跡・考古専門部会長、青木雅夫名勝・天然記念物副部会長

  • 事務局出席者

 吉野勉教育長、西田健彦文化財保護課長(参事)、柿沼則久埋蔵文化財主監、須藤正巳文化財保護課次長、洞口正史文化財保護課次長(埋蔵文化財係長)

 文化財活用係:飯塚聡補佐(文化財活用係長)、高島英之主幹、齊藤英敏指導主事、坪内陽祐指導主事、橋本淳指導主事、関朋子主任、武藤直美主任

開会

午後1時30分、文化財保護審議会の開会

委嘱式

 教育長より、委嘱状の交付が行われた。

主催者あいさつ

 教育長より、あいさつ。

自己紹介

 委員、専門部会長、事務局の順に自己紹介を行う。

会長・副会長選出

 大平良治委員が会長に、戸所隆委員が副会長に選出された。その後、会長による新任のあいさつが行われた。

傍聴人の報告

 文化財保護課次長、傍聴人は2名であることを報告。

議事録署名人選出

 会長が、今回の議事録署名人に篠木委員を指名。

傍聴制限確認

 文化財保護課埋蔵文化財主監により、協議については非公開、その他については公開の確認がされ、委員により承認された。

議案

報告事項

  • 群馬県文化財保護審議会の制度改正について
  • 群馬県内の文化財の概要とその指定状況について
  • 平成24年度文化財保護課主要事業
  • 群馬県指定の文化財の現状変更等

議事概要

報告事項1

(事務局(資料に基づき説明))

 平成22年に付属機関に関する県の条例改正により、審議会等の委員は概ね10人程度にすることとなった。そのため、審議会委員6人、専門委員を30人以内とした。

 また、建造物・美術工芸部会を、建造物専門部会と美術工芸専門部会と2つの部会に分離した。

報告事項2

(事務局(資料に基づき説明))

 県の指定等の制度は、重要文化財、重要無形文化財、記録作成等の措置を講ずべき無形文化財、重要有形民俗文化財、重要無形民俗文化財、記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財、選定保存技術、史跡、名勝、天然記念物である。

 指定物件の中で、他県に売買されたり、建造物が火事になったり、樹木が枯れてしまったりした場合、指定解除となる。

報告事項3

(事務局(資料に基づき説明))

 「偲ぶ毛の国」群馬の魅力発掘・発信事業では古墳総合調査と古墳情報発信事業を行う。古墳総合調査は、過去昭和10年に一度実施しているが、開発等で発見された古墳の分布調査を改めて実施する。古墳情報発信事業では、古墳サミット、古墳の出土物紹介冊子の作製を行う。

 史跡上野国分寺跡整備では、平成5年度以降土地買収の難航等によって整備が一時中断していたが、大澤知事の号令の元に再開されることとなった。

 文化財保存事業費補助特別枠では全国に向かって発信できるような文化財のうち5つのストーリーをテーマとするものを選び、それを保存し整備活用していく。

 史跡等保護管理運営、史跡の管理では、県が直接管理をする上野国分寺跡、綿貫観音山古墳に解説員を増員し、運営を充実させる。

報告事項4

(事務局(資料に基づき説明))

 現状変更がある場合は届け出や許可をし、大きな破壊等はできないことになっている。

(議長)事務局の説明について、質問や何か気がついたことは。

(委員)文化財保護課の主要事業の1にある「偲ぶ毛の国」の表現について、髪の毛の薄くなった人間にとっては非常に気になる形容である。懐かしい毛の国とか、上毛の国とか、懐かしいという意味で使う「偲ぶ毛の国」というのは、名称としてはどうか思う。次に、質問であるが、群馬県には榛名山の南に里見村があるが、ここは南総里見八犬伝の発祥の地といえる。里見氏は元々は新田から来て、最後は鳥取県の倉吉まで藩が移封されていくが、結果として倉吉に何が残っているかというと、少年歌舞伎の里見八犬伝が残っている。そうすると県を越えた形で南総里見八犬伝の文化財が考えられる。新田、榛名、あるいは市川市の里見氏、南総里見八犬伝の館山城の所の北条氏を連携させて文化財発掘を考えると、県の中で留まってはまずいのではないか。このような取り組みの仕方は何か考えているか。

(事務局)一点目の「偲ぶ毛の国」について、先生方のお手元に配付してある冊子『「上毛かるた」ゆかりの地 文化財めぐり』の102頁の「偲ぶ毛の国二子塚」という読み札から引用した表題である。群馬県は古墳が多く、古墳が群馬県を代表する文化財といえる。歴史的な部分から「偲ぶ毛の国」ということである。

(委員)自分も子どもの頃に上毛かるたで育っているから分かるが、今の表現として、そぐわないというか、上毛かるたを知る人たちにはいいかもしれないが、子どもたちは上毛かるたで遊ばなくなっているようなこともある。また、平成24年度文化財保護課主要事業となると、我々は文化財保護審議会委員であるため、「偲ぶ毛の国」というタイトルも委員が考えたと思われる。もちろん前から決まっていた名称ではあるが、もっといいネーミングがなかったかと質問されることになると思う。

(事務局)古墳が群馬だということで二子塚を省略しているが、予算編成時にこのネーミングを考えた。しばらくはこのままいきたい。

(議長)ペットネームのようなものをつけることはいけないのか。

(事務局)このままでさらにということか。来年度に向けて考えたい。

(委員)今の人たちにも分かりやすいように、もう少し考えて貰いたい。

(事務局)今後の検討とさせていただきたい。

(委員)文化財だけではなく、観光事業でもネーミングの際には群馬県と栃木県と熊本県というのはネーミングが悪い。お米の名前で「ゴロピカリ」があるが、今の季節だと原爆のイメージがあるからピカというだけで売れない。私の勤める大学は千葉県にあり、そこに光が丘というところあるが、「ピカリ光が丘」とつけたところ、住民から今使うのはまずいという話が出た。いい悪いは別にして、その時期に使ってはいけない、使わないほうがいい、今はこの言葉では通じないという言葉はちょっと考えた方がいい。

(事務局)言葉は検討させていただきたい。里見の関係は県のレベルでは動いていないが、先ほどの話で里見氏がいくつかの県にまたがっているということがあり、それについては市や地域の住民の方が熱心に動いている。里見は今は高崎市になっているが、市は応援できることは応援するというのが実態である。文化財保護の関係でいうと、先ほど話にあった古代の郡役所の跡が伊勢崎市で見つかった。太田市でも見つかった。川を越えて埼玉県の深谷市にもやはり古代の郡役所が見つかっており、先週の金曜から日曜に伊勢崎市のショッピングモールのホールを使い、その3市が一緒になって古代の郡役所ということで出土品を展示し、説明や講演会を行った。そういう機運は最近とても増えていると思われる。これは近い地域内の例であるが、近い遠いは関係なく、同じテーマで全国規模でこういう文化サミットはされている。例えば古代の国分寺があった市町村が全国規模で「国分寺サミット」を開催したことがある。それは私どもが主導するということでなく、皆さんの機運が高まって増えているというのが実感である。

(委員)文化サミットということに関しては全くそのとおりで、それが里見梨ということとなると産業と結びつく。今あげた土地は全部梨の産地である。千葉県の市川市も里見梨の産地であり、倉吉市は二十世紀梨、全部梨サミットができる。そういうこととなると産業的な連携が考えられると思う。

(事務局)そういうことも、この場で先生方にいろいろお話を聞かせていただきたいと考えている。私どもは歴史のことばかりで、梨まで考えが至らない。範囲が広がってくると、県庁では果物の関係の部署と一緒になっての動きが出てくると思われる。

(議長)文化も広域的な視点が必要なのかもしれない。里見については何代か前の教育長さんが、お墓があるということで、千利休はここがルーツではないかと話された。これについて裏千家はまとめているが、墓参りにも来ている。千利休を里見家を中心に遡ると、最終的には堺に入ったのだろうが、里見がルーツでないかと思われる。

(委員)「偲ぶ毛の国」のコメントに賛同である。また、誰を対象にこういった文化財の保護及び活用を考えていくかということであるが、「偲ぶ毛の国」というネーミング、それだけでは伝わりにくい。上毛かるたについて知らない方、あるいはまだ上毛かるたに触れていない県外の方にはわからないということで、誰を対象としているのかを伺いたい。審議委員というものはその審議をするという役割であるが、資料を拝見したところ、審議会は文化財の保護及び活用に関する重要事項を審議するということで、質問した。

(事務局)対象は全ての県民である。私どもは文化財のそばを通ればこれは古墳、このお宮の社殿が重要文化財、ということはそれなりの勉強をしているため知っているが、実は地元の方が、案外ご自分の住んでいる近くの文化財をご存じないということがよく分かった。今までも努力はしていたつもりだが、まだ十分ではなく、ほんの一部の人しか知らないというのが実情である。それで地域の人には地域の文化財を知って貰いたいというのが主旨である。そうすると、地域の方となるため、お年寄りからお子さんまで皆さん入り、まずは自分の小学校なら小学校の学区の中の文化財は理解してもらい、学年が上がるにつれて広がっていけばというのが私の気持ちである。また、群馬県出身の方が例えば東京に行き、「君は群馬の人間だったら群馬ってどういう街なの。」と聞かれたときに、自分が住んでいた街を文化財を紹介しながら言ってもらえるとありがたいと思う。これは私個人の気持ちであるが、それが今まで足りなかったということである。

  中学生では日本史を学ぶため、県では教科書の副読本的なものを作ろうと計画している。小学校高学年から中学校1年生までの学校の社会科の授業で歴史を学ぶ子どもさんたちがターゲットとなる。また古墳の調査で県民のボランティアをお願いしたが、普段そこにいるとなると、お年寄りもターゲットの一つだと思っている。お年寄りの方にもご自分が育った地域のことをもう一度勉強してもらい、自分の経験プラス新しい知識でそれを伝えてもらいたい。小学生とお年寄りが核であり、間を埋める中学生高校生、お年寄りには自分のお孫さんにも広がっていければというのが構想である。

(委員)今ターゲットがあった方がいいとおっしゃっられたのは、そこの問題だと思う。お年寄りの方からというのも確かに順序はその通りではあるが、私が上毛かるたを知っているというのは子ども時代からで、そして今も覚えている。一例で山口県の萩の話を挙げるが、萩の明倫小学校というのは小学校の1年生から6年生まで全部吉田松陰の言葉を毎年10、6年間で60覚えさせる。そして小学校6年生を卒業したときには吉田松陰の言葉を60全員覚えている。これは毎朝毎朝覚え、完璧に覚えている。それは文化遺産そのものではないかと萩の場合には思っているわけである。そういうことで考えると、小学校の内に群馬県全部のことは知らなくても構わないが、小学校に全部広げていく。小学生が覚えれば、おじいちゃんおばあちゃんにこうなんだよ伝える訳だから。そうすれば、それは60年後まで残っているという、そういう文化遺産の取り組みもあるということである。もう少しターゲットを絞ったらどうかというのが私の感想である。

(委員)教育長の話の観光に結びつけるということであるが、ネーミングにその県の考え方、狙いが表れてしまう、分かりやすい形で伝わってしまうと思う。県の中ということもあるが、それをきっかけに県外から観光に来る人もいるし、また群馬県へ移住しようという人もいる。ネーミングの中に県外の人への視点というのも入れていただければと思う。

(委員)これは私も含めてのいろいろな委員会やこういった事業のあり方に関わる発言になると思うが、今の話を伺って、本当にその通りだと思う。やはり県の事業であるので、県の若い子どもたちの心に、文化財・文化遺産を通して心を育み、財産を渡していくというのが一番中核にあり、それが全ての若い子どもたちに伝わり心が育まれ、心が生き生きしているところに人が集まってくる。観光課は観光として人を呼ぶことを考えなくてはいけないけれど、この文化財保護課の優先順位としてはその若い子どもたちだと思う。だから教科書や冊子として使ってもらうとなったときに、ただ物とか事柄を記述するのではなく、やはり物語らなければいけない。こういった公文書であっても何かちらっと物語が背後にある、あるいは物語ろうという意思があるということが読んでいる者にちょっと感じられることが背後にあるとよい。説明のあり方だったり、文言のあり方であったり、あるいは予算の取り方であったり、何に関してもとても大事なことだと思う。私も群馬での暮らしが長くなってきたため、群馬がどうなっているのか辞書で見ると書いてあるが、里見八犬伝は知っていたが、梨までつながるとか、あるいは様々な文学につながっていくとか、つながっていっているよ、あるいは求めているよ、というのが予算を獲得するときとか事業を展開するときの趣旨の説明にしてもあってほしい。それが私たち審議委員の課題でも宿題でもあると思う。それが1人1人の職員の方にあるとただ単に物の説明で終わらないで、人がいる、時代があるとか、あるいは隣の県と関わっているとか、朝鮮半島と関わってくるとかになってくるのだと思う。上毛三碑などまったくそのとおりであると思う。そういった物語がなければ本当にたいして面白くない、ただ価値が高いだけで終わってしまうという気がする。ぜひそれを求めたいというか求めようじゃないかという提言である。

(委員)県で大きな事業をするというときは、ミッションステイトメントがあってするわけであるが、日本は意外とやりっ放しが多い。やはり検証が必要である。やろうと思ってやったことがどこまでどう伝わるかとかっていうことを、きちんと現場で検証し、それを次に活かすということが絶対に大事である。

  例えば日本の博物館で展示をするときには研究者や準備室ができ、そこでいろいろと考えるが、そこに利用者は入ってこない。やはり出て行って、試して、そして一回でうまくいくはずはない事なので何度も積み重ねながら螺旋であがっていく。そういう事業を是非していただきたい。

(委員)文化財の体系図のところで、いわゆる文化的景観や伝統的建造物群の指定は国ので県は制度がないという。登録もないというのはわかるのだが、ダイレクトに国の指定となっていく。ぜひ県から指定していくような、身近な形でやっていただくことができないか検討していただきたい。

  例えば資料58頁の3に「東国文化の中心・群馬の再認識事業」とあるが、文化的景観など、身近な文化的景観を一般の人は文化財としていわゆる価値がないと思うものでも、結構これは群馬にとっては重要であると、景観的に重要であるということのつながり、行政などとのつながりを考えたときに、県民意識の高揚という点からも必要と思う。すぐには文化財保護という視点からは難しいとは思うが、文化的景観の所に、その辺の意思というのが国の方にはあると思う。今後ご検討していただきたい。

(議長)文化財保護審議会の原点となるようなところから質問があったが、今日すぐ結論というわけではないため、ぜひ検討していただき、次回にでも報告していただければありがたい。

(委員)国の文化財保護で、それが国宝となると県が手を出せないと言われたことがあるが、内情をいうと、安倍政権の時に教育基本法の改正があった。かなり批判的な運動にさらされたが、あのとき国を愛する心を入れるかどうかということについて、私は協力を頼まれた。自民党の方ではそれはぜひ入れたいと言ったのだが、私はそのとき国を愛する心だけではダメだ、国と郷土を愛すると、郷土を入れなくてはダメだと言った。結果とすると教育基本法には郷土という言葉が入った。その文言はわずかに郷土という二文字が入っただが、県が副読本、郷土副読本を出せる、それを作ってもよい、基本的にお金も出せることが可能となった。戦後、教育基本法で郷土副読本は作らせなかったのであるが、国と郷土を愛するという郷土の文字が入ったことにより、法律的にいうと、お金が出ることになった。文化財保護にもいろいろありますよということと、同時にそれを郷土読本で、ここは教育委員会ですから具体的にしていくことができるだろうと考えている。

(議長)非常に貴重な意見である。日本は中央集権型であったが、2000年に分権改革が行われ、その中で文化の分権化というのは非常に必要であったと思われる。とくに文化財保護行政は中央集権型の行政であったと思うので、一気に進めるわけにはいかないが、どうかその辺をご検討いただければと思う。

協議事項

史跡上野国分寺跡の視察

閉会

午後4時30分、文化財保護審議会の閉会となる。