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飼料環境係・軽石を用いた脱臭処理装置
目的
畜産に係わる苦情は毎年100件以上あります。そのうち半数以上が悪臭に関する苦情で、臭気対策は重点的に取り組まなければならない課題です。
特に畜産のふん尿処理施設からは強い悪臭が発生しますので、脱臭装置を設置することが必要になります。しかし、農家が導入可能な低コストで簡易な装置はありませんでした。そこで、低コストで管理が容易な脱臭装置を開発しました。
装置の特徴
- 畜産ふん尿処理施設から発生する悪臭は、密閉縦型発酵槽から排出される高濃度臭気から、牛ふん発酵施設から排出される低濃度だが大容量のものまで様々です。
- 軽石を用いた脱臭装置では、密閉縦型発酵槽から排出される高濃度臭気も、空気で希釈してアンモニア濃度を400ppmにすると、より効率よく脱臭できます。
- 大容量の低濃度臭気も脱臭ができ、広範なアンモニア濃度に対応できます。
- 構造が簡単であり、安価な軽石を充填資材として用い、微生物担体として利用することで、小型化でき、低コストで設置できます。
- 30分に1回散水しますが、散水中も送風可能なことから、連続運転に対応できます。
- 維持管理は簡単であり、費用も安くなります。
高濃度臭気対応型脱臭装置の概要
図1 母豚100頭規模発酵装置からの臭気を脱臭する場合の概略図
図2 軽石中心部の日平均温度とアンモニア濃度
冬季はビニルハウスで脱臭槽全体を覆い保温することにより、年間を通してアンモニアを順調に脱臭できます
密閉縦型発酵槽(右)と脱臭装置(左)
臭気送風部及び脱臭槽
低濃度大容量臭気対応型の概要
図3 牛100頭規模発酵装置からの臭気を脱臭する場合の概略図
発酵装置内の20ppm程度のアンモニアは、脱臭装置通過後は、ほとんど検出されなくなります。
低濃度大容量対応型脱臭装置の外観
日常管理
1 送風温度の確認
高濃度臭気対応型では軽石温度、軽石層表面温度、軽石層への送風温度を毎日点検し、送風ブロアの調整やビニルハウスの開閉等により適正範囲(20度から30度まで)に保ちます。
低濃度臭気対応型では軽石温度が適正範囲(20度から30度まで)にあるかを毎日点検して可能な限り調整します。
2 循環水量の確認
高濃度対応型では循環水が増加するため、増加した循環水は、可能なら浄化槽で処理します。不可能な場合は堆肥等に散布します。
低濃度対応型では循環水が減少するので十分な循環水量があるか確認します。