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平成28年 報告

更新日:2016年10月18日 印刷ページ表示

第1 職員の給与

1 職員給与の実態

 本委員会の勧告の対象となる職員は、群馬県職員の給与に関する条例(昭和26年群馬県条例第55号)、群馬県公立学校職員の給与に関する条例(昭和31年群馬県条例第41号)、群馬県一般職の任期付研究員の採用等に関する条例(平成13年群馬県条例第8号)及び群馬県一般職の任期付職員の採用等に関する条例(平成14年群馬県条例第62号)の適用を受ける職員であり、これらの職員は、その従事する職務の種類に応じ、行政職、公安職、研究職、医療職、教育職など16の給料表の適用を受けている。
 本委員会は、これらの職員について、本年4月1日現在で「平成28年職員給与等実態調査」を実施したが、その概要は、参考資料「1 職員給与関係」のとおりである。
 その結果によると、民間給与との比較を行っている行政職給料表又は事務職給料表の適用を受ける職員(本年度の新規学卒の採用者を除く。以下「一般行政職員」という。)の人数は4,816人、平均年齢は44.0歳で、平均給与月額は379,039円となっている。
 (参考資料第1表~第10表)

2 民間給与の実態

 本委員会は、職員給与と県内の民間給与との精密な比較を行うため、企業規模50人以上で、かつ、事業所規模50人以上の民間事業所のうちから、層化無作為抽出法によって抽出した171の事業所を対象に「平成28年職種別民間給与実態調査」を実施した。
 この調査では、一般行政職員と類似すると認められる事務・技術関係22職種の約6,100人及び研究員、医師等の54職種約600人について、本年4月分として個々の従業員に実際に支払われた給与月額等を実地に詳細に調査した。
 また、昨年8月から本年7月までの1年間において民間事業所で支払われた賞与等について調査したほか、各民間企業における給与改定の状況等についても調査した。
 本年の調査結果の概要は、参考資料「2 民間給与関係」のとおりである。
 (参考資料第11表~第23表)

3 職員給与と民間給与との比較

(1)月例給

 前記の「平成28年職員給与等実態調査」及び「平成28年職種別民間給与実態調査」の結果に基づき、職員にあっては一般行政職員、民間にあってはこれと類似すると認められる事務・技術関係職種の従業員について、役職段階、学歴及び年齢階層を同じくする者同士の4月分の給与額をそれぞれ対比し、精密に比較(ラスパイレス方式)を行った結果、職員給与が民間給与を495円(0.13%)下回っていた。

【職員給与と民間給与との較差】
民間給与(A) 職員給与(B) 較差(A)-(B)(((A)-(B))/(B)×100)
379,534円 379,039円 495円(0.13%)

(注)民間、職員ともに、本年度の新規学卒の採用者は含まれていない。

(2)特別給

 本委員会は、これまで民間における賞与等の年間支給割合(月数)を算出し、これを職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数と比較した上で、0.05月単位で改定を勧告してきている。
 前記の「平成28年職種別民間給与実態調査」の結果、昨年8月から本年7月までの1年間において民間事業所で支払われた賞与等は、年間で所定内給与月額の4.32月分に相当しており、職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数(4.20月)が民間における賞与等の年間支給割合(月数)を0.12月分下回っていた。

 (参考資料第22表)

4 物価及び生計費

 総務省の調査による本年4月の前橋市における消費者物価指数は、参考資料「4 労働経済関係」のとおり、前年同月比0.4%の下落となっている。
 また、本委員会が同省の家計調査を基礎として算定した本年4月の前橋市における標準生計費は、参考資料「3 生計費関係」のとおり、2人世帯で197,300円、3人世帯で230,280円、4人世帯で263,290円となっている。
 (参考資料第24表、第25表)

5 人事院の給与に関する勧告等

 人事院は、本年8月8日、国会及び内閣に対し、職員の給与に関する報告及び勧告を行うとともに、職員の育児休業等に関する意見の申出及び職員の勤務時間、休暇等に関する勧告を行い、あわせて、公務員人事管理に関する報告を行ったが、その概要は、参考資料「5 人事院勧告等の概要」のとおりである。

6 本年の給与改定

 本年の職員給与及び民間給与の実態とその比較、物価及び生計費の状況並びに人事院勧告等の概要は、以上のとおりである。
 本委員会は、これらの内容を総合的に勘案し、検討した結果、職員の給与改定について、以下のとおり判断した。

(1)月例給

ア 給料表
 本年4月における職員給与と民間給与とを比較した結果、職員給与は民間給与を495円(0.13%)下回っていることから、民間給与との較差、人事院勧告等を踏まえ、月例給の引上げ改定を行う必要がある。
 改定に当たっては、基本的な給与である給料を引き上げることが適当であり、行政職給料表は、人事院勧告に準じて改定する必要がある。
 その他の給料表も、行政職給料表との均衡を基本としつつ、本県の実情を踏まえて改定する必要がある。ただし、大学学長職給料表は、国の指定職俸給表に準じていることから、改定しないこととする。

イ 初任給調整手当
 医師に対する初任給調整手当について、公務に必要な医師を確保する必要があることから、医師の適切な給与水準を確保するため、人事院勧告に準じて支給上限額を改定する必要がある。

(2)特別給

 職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数が民間における賞与等の年間支給割合(月数)を0.12月分下回っていることから、民間における賞与等の年間支給割合(月数)に見合うよう、職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数を0.1月分引き上げる必要がある。
 年間支給月数の引上げ分については、民間の賞与等の支給状況、人事院勧告等を踏まえ、勤勉手当に配分することが適当である。
 大学学長職給料表の適用を受ける職員及び再任用職員の勤勉手当並びに任期付研究員及び特定任期付職員の期末手当についても、同様に年間支給月数を引き上げる必要がある。

7 給与制度の改正等

(1)扶養手当の見直し

 人事院は、本年、民間企業及び公務における配偶者に係る手当をめぐる状況の変化等を踏まえ、扶養手当について、平成29年4月1日から段階的に配偶者に係る手当額を他の扶養親族に係る手当額と同額まで減額し、それにより生ずる原資を用いて、子に係る手当額を引き上げるよう勧告した。
 本県の状況を見ると、国と同様、民間企業における配偶者に家族手当を支給する事業所の割合、公務における配偶者を扶養親族とする職員の割合がいずれも減少傾向にある。
 本県の給与制度は、公務としての類似性や地方公務員法に定める給与決定原則を踏まえ、これまで基本的に国の制度に準拠していること、また、人事院が見直しに当たって考慮した配偶者に係る手当をめぐる状況の変化等や少子化対策の推進については、本県においても同様な状況にあることから、人事院勧告に準じて扶養手当の見直しを行うことが適当である。
 見直しに当たっては、配偶者に係る手当の受給者への影響をできるだけ少なくする観点から、人事院勧告に準じて段階的に実施する必要がある。

(2)介護時間制度の新設等に伴う給与の取扱い

 人事院は、介護時間の新設に伴い、介護時間を承認され勤務しなかった時間は無給とするものの、当該勤務しなかった時間がある場合であっても、昇給及び勤勉手当において直ちに不利にならない取扱いとなるようにし、あわせて、介護休暇及び育児休業等についても同様の取扱いとなるよう所要の措置を講ずることとした。
 本県においても、仕事と家庭の両立支援の推進が重要な課題であることを踏まえ、介護時間を新設する場合は国と同様の取扱いとする必要がある。
 また、国において本年4月から実施されている勤勉手当に係る勤務期間から1箇月以下の育児休業の期間を除算しない取扱いについて、本県においても男性職員の育児休業の取得を促進する必要があることから、国と同様に措置する必要がある。

第2 職員の勤務条件等

1 意欲と能力のある人材の確保

 若年人口の減少や民間企業における高い採用意欲等を背景に、県職員採用試験等の受験者数が減少傾向にある中、意欲と能力のある人材の確保は重要な課題である。
 本委員会としても、業務内容説明会や就職説明会等を開催し、本県職員の職務内容ややりがい等を積極的に周知するなど受験者確保に向けて取組を行っている。
 また、本年3月に策定された「群馬県職員の女性活躍推進プラン」も踏まえ、大学等における説明会等を幅広く実施するとともに女性にとって働きやすい職場環境等について積極的に広報するなど女性の採用拡大に向けて取組を行っている。
今後は、こうした取組を継続するとともに、確保が難しい技術系職種については、任命権者と連携し、関係大学への訪問等を充実させるなど受験者増加に向けて取組を一層進めていく必要がある。
 また、女性の採用拡大とともに女性の登用についても、研修等による意識づくりなどの取組を継続し、今後も積極的に進めていく必要がある。

2 新人事評価制度の定着化

 本年4月に改正地方公務員法が施行されたことを受け、本県においても、人事評価制度の見直しを実情に即して行い、能力及び実績に基づく人事管理を推進しているところである。
 能力及び実績に基づく人事管理は、職員の士気を高め、その能力を最大限に発揮させるとともに、人材育成に資するものであり、組織活力を保つためにも重要である。
 公正で信頼性の高い人事評価制度を定着させるためには、制度理解や評価者の資質向上は必要不可欠であることから、任命権者は本年度の人事評価の実施状況等を踏まえ、引き続き制度の理解促進やより効果的な研修の実施等に努める必要がある。

3 雇用と年金の接続

 雇用と年金の接続については、任命権者ごとに、それぞれの実情に応じ、再任用制度を活用して取り組んでいるところである。
 再任用制度の運用に当たっては、再任用職員の能力及び経験を活用することとあわせて、高いモチベーションをもって職務に取り組める環境づくりが重要である。
 任命権者においては、従来の運用方法を検証した上で、国等の動向を踏まえながら、再任用職員の能力及び経験を有効に活用できる配置や組織内での適切な受入体制について、実情に応じて見直しを行う必要がある。

4 勤務環境の整備

(1)仕事と家庭の両立支援の推進

 仕事と家庭の両立を支援し、職員が男女を問わず育児や介護に取り組みやすい勤務環境の整備を図ることは、優秀な人材を確保し、職員が能力を十分に発揮して職務を遂行していく上で重要である。
 本年、人事院が勧告等を行った介護休暇の分割取得、介護時間の新設等については、民間労働法制の改正内容に即したものであり、本県においても同様に措置する必要がある。なお、介護休暇については、任命権者において本県の現行制度を踏まえた検討が必要である。
 また、昨年、本委員会が制度拡充の必要性等について引き続き検討していくこととしたフレックスタイム制について、育児又は介護を行う職員への制度拡充は、当該職員の事情に応じた柔軟な勤務を可能とし、両立支援に資するものと考えられることから、各任命権者において適切な公務運営を確保した上で、制度拡充を図る必要がある。
 任命権者においては、こうした制度面の充実に加え、職員が必要に応じて円滑に両立支援制度を利用できるよう、制度の周知や職員が置かれている状況の適切な把握など、職場としての支援体制を整備する必要がある。

(2)時間外勤務の縮減等

 時間外勤務の縮減は、職員の健康保持、両立支援の推進、さらには公務能率の向上の観点からも極めて重要な課題である。
 任命権者においては、これまで長年にわたり様々な取組を実施してきているところであるが、必ずしも時間外勤務が縮減されたとは言えない状況である。
 こうした状況を踏まえ、任命権者においては、これまでの取組を点検し、必要な改善を図るとともに、更に徹底した事務・事業の見直しや適正な人員配置に努め、管理監督職員においては、時間外勤務縮減のための職場環境づくりを更に進めることが必要である。職員においても、これまで以上に効率的に業務を遂行することが求められる。
 また、年次有給休暇の計画的取得の促進についても、時間外勤務の縮減と同様の観点から、引き続き積極的に取り組んでいく必要がある。

(3)心の健康づくりの推進

 職員が心の健康を保持することは、職員本人やその家族にとって大切なことであり、また、公務能率の向上の観点からもとりわけ重要な課題である。
 メンタルヘルス対策については、メンタル不調の発生予防、早期発見・早期対応、円滑な職場復帰と再発防止を総合的・体系的に推進していく必要がある。
 任命権者においては、今年度から実施されるストレスチェック制度を有効に活用し、職員自身のストレスへの気付きを促すとともに、各職場におけるメンタル不調の発生予防や早期発見・早期対応に一層取り組んでいく必要がある。

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